花粉症の元凶は表面のトゲ 兵庫医大教授が新学説
2002/03/17
「花粉症の元凶は花粉の表面のトゲ」という世界初の新学説を、兵庫医科大学(西宮市武庫川町一)の中野富夫客員教授と堀清記教授(ともに生理学)らが唱えている。花粉症の原因とされているスギの花粉などに限って、表面にトゲや突起があることを電子顕微鏡突き止めた。これらが大気汚染などで機能が弱まった現代人の粘膜を傷つけて炎症を起こすという。(森本尚樹)
花粉症が起きる仕組みについては諸説あるが、一般的には花粉に抵抗するIgE抗体と呼ばれる物質が鼻の粘膜などの細胞に結合し、侵入した花粉に過剰に反応することで、くしゃみや鼻水などを引き起こすとされている。
両教授らは約三百種類の植物の花粉を、電子顕微鏡で観察。その表面を約四千五百倍から一万倍で確認したところ、表面が、無数のトゲで覆われている▽棒柱が突き出ている▽粒で覆われている▽網目状▽滑らかなもの―など少なくとも六種類があることが分かった。
花粉症の原因といわれるスギ、シラカバ、ヒノキ、ヨモギ、ブタクサなどの花粉は、いずれも棒柱が突き出ているか、トゲに覆われていた。
また花粉は炎症を悪化させる因子である「インターロイキン」を発生させ、さらに症状を拡大させる一酸化窒素が細胞に現れ、花粉症を起こすという。
すでに国内外の学会で発表しているほか、今年十月にもカイロで開かれる国際耳鼻咽喉科大会で発表する。
中野客員教授は「有害花粉を飛ばす樹木の遺伝子を組み替え、花粉の表面からトゲなどをなくせば、花粉症はなくなる」と話している。