(回答先: 【経済学者のトンデモ理論】 利子率と物価変動の関係 〈参加型アップ〉 投稿者 あっしら 日時 2002 年 2 月 28 日 16:34:27)
>デフレやインフレという事象の基になる物価は、雑ぱくに、「通貨供給量×回転数」/「国内販売商品の総量」もしくはまったく同値である「国内販売商品の価格総和」/「国内販売商品の総量」だと考えたほうがわかりやすいだろう。(別の投稿から)
要するにあっしらさんは国内総売買額(GDP)と社会が生産し
た商品額の関係によってインフレかデフレかの傾向がほぼ決定
されると言いたいのでしょう。
私は需給関係の問題と景気の問題と商品に対する貨幣価値の
問題とは一応きちんと分けて考えたほうがいいと思います。
現実には相互に密接な関係があることが多いのですが、ある
現象について考えるときには「抽象」が役に立ちます。
たとえばここでは「需要」を「消費」と同じ意味とするとし
て、需要と供給(生産)が仮に一致したとしても社会総売買量
が社会規模や以前の状態に比べて少なければ不景気です。失業
者もたくさんいるかもしれません。
また貨幣の商品に対する価値の増減は、純論理的には貨幣に
対する市民の要求や信頼によって最終的には決定されます。
だから景気が良くて消費や投資が盛んな時は皆が貨幣を欲す
るのでその価値が上がることが多いのですが、理論的にはそう
ならなくてもかまわないし実際に政策が成功すればインフレな
き好景気は実現できます。
またインフレをともなう不景気、すなわちスタグフレーショ
ンも実際に起こることがあります。
貨幣価値というのは国内に対しても国外に向けても(為替相
場)その社会の安定性・信頼性によって根本的には支えられて
います。典型的にはロシアのルーブルの歴史に現れていると思
います。
あっしらさんの言う「通貨供給量×回転数」というのは社会
総売買額(GDPに近い概念)のことですね。私はそれと社会が実
際に生産した総商品量との関係では、貨幣価値の問題も景気の
問題もあまり有意義な説明はできないのではないかと思います。
社会総売買額とは景気のことですから、それ自体が景気を決
定するというのは変な話です。流れた貨幣量としての総売買額
は単に景気の反映であって、それが在庫や売れ残りを含めた商
品総生産量との関係で貨幣価値(物価)を規定するというのも
論理的に飛躍があると思います。
売れ残りがたくさん出れば、それは今後の社会縮小再生産の
傾向要因となりますが、それを貨幣価値の問題と直結させる理
由は何ですか?
私はあっしらさん提起したの「回転数」に対する政策的処方
箋の問題にも同様の疑問を持ちます。
この「回転数」というのは景気(総売買額)によって事後的
に決定されるものですから、通貨量に大きな変化がない状態で
景気が良くなれば上昇するし景気が悪くなれば下降します。回
転数は景気と通貨政策によって決定される結果としての経済様
相に過ぎません。
わざわざ回転数を実体的に扱ってそれを政策の重要な対象と
考える理由が私にはよく分かりません。
私はあっしらさんの物価論も回転数問題も間違っているとい
うより「経済における因果関係」というものをきちんとそこで
取り扱っていない気がします。
それはあっしらさんがエコノミストや役人より軽薄だとか知
的でないということを意味するわけではありません。
彼らはもっとナンセンスなことを言ったりしでかしたりしま
す。責任ある立場でそういうことをするので社会は大きな迷惑
を被ります。
言うまでもなく、私もいい加減なことや間違ったことをいう
ときがあるでしょう。お互いに議論を感情的にならず楽しみま
しょう。私もあっしらさんのパワフルで独創的な知的能力には
敬意を持っています。