(回答先: 疑念と質問に回答させていただきます 投稿者 あっしら 日時 2002 年 2 月 28 日 22:48:50)
丁寧なご回答ありがとうございます。はお互いが諸用語に含
ませる意味内容の食い違いについてはひとまずは議論しないこ
とにします。
それでもいくつか疑問が残ります。
まず、私はあっしらさんの言う「中央銀行が供給した通貨量
がどれほどの頻度で使われたかという「通貨流通量」(「通貨
供給量×回転数」)」というのは社会総売買額のことだと思い
ました。
あっしらさん自身「「回転数」は、GDPが算出された後で
、確定されている「通貨供給量」を基に算出されたものでしか
ありません。」と言っているではありませんか。
このことについてもう一度検討し直し欲しいと思います。
だから「生産や輸入などを通じた商品供給の量と「通貨供給
量」を重要なファクターとする「通貨流通量」の関係で物価変
動(=貨幣価値変動)が生じます」というご指摘にも疑問を抱
きます。
「通貨流通量」が総売買額のことだとするとあっしらさんの
定式は在庫や売れ残りを含めた総供給額と実際に売れた消費額
のズレが貨幣価値を規定するという意味になるでしょう。
しかしそのズレは直接的には景気を引き下げる可能性のある
要因と考えるべきです。
実際にどの程度のどういう内容(単なる売れ残りかそうでな
いのか)のズレがどの程度の景気の悪化に結びつくか定式化な
どできるものでしょうか。
とにかく私は景気の問題と貨幣価値の問題は一応別個だと思
うのであっしらさんの定式にはどうしても論理的な飛躍がある
と思うのです。
>現在の貨幣供給量と供給は、中央銀行がその供給量と利率を決
めた上で貸し出しを行うことで実現されます。
>経済学的な意味での「貨幣に対する市民の要求や信頼」は、中
央銀行の行動によって最終的には決定されると言えます。
貨幣に対する市民の要求や信頼が中央銀行の行動に間接的に
政策を通して影響されるのは言うまでもありません。
しかし直接的には景気に対する判断・見通しと国家によって
支えられている円などの通貨システムに対する信頼性によって
決定されるのです。
>貨幣価値が「その社会の安定性・信頼性によって根本的には支
えられている」ことは社会学的には言えますが、経済学的には、貨幣価値が安定性・信頼性を確保されていないと社会の安定性
と信頼性は実現できないものです。
経済学的にも「貨幣価値はその社会の安定性・信頼性によっ
て根本的には支えられている」のです。
このことをきちんとつきつめて考えないと、今の日本の経済
問題が根本的には日本人の習性・習慣、戦後体制、主権、軍事
、文化、国際関係、国民意識、国家に対する意識などに規定さ
れていることが分からなくなってしまいます。
>欲望はあるのに需要がないために過剰在庫になったのなら、
「通貨流通量」がそれに追いつかなかったことを示唆しています。「通貨流通量」が追いつかなかったということは、「通貨供給量」が追いつかなかったか、「回転数」が追いつかなかったです。
需要(消費)がなくて在庫が増える理由は景気が悪かったり、やたら働くくせに節約して金を貯めこむ人が多かったり、経済
的に豊かでない人が多くなったり、企業が売れないものをたく
さん作ったり、きちんとした営業努力をしなかったりと色々で
しょう。
それをいきなり貨幣流通量が原因だとするのは短絡的な論理
的飛躍があります。
もちろん貨幣供給量不足は需要不足・在庫増加の原因の一つ
ではありえます。しかしそれに特殊な例の一つ以上の位置づけ
を与えるのはおかしいと思います。
通貨の回転数は景気の反映でしかありませんから、それを実
体視して需要不足とか景気悪化の原因とみなすのはあべこべです。
景気が悪くなると回転数が下がるだけのことです。「回転数
が下がったから景気が悪くなった」とか「さあどうやって回転
数を上げて消費を増やすか」というのは言葉遣い・表現として
も適切でない感じがします。
まだあったと思いますがここらへんで今日は終わらせます。