(回答先: 国産杉守らず杉花粉症患者を激増させ国産葱などは守るセーフガードは極悪犯罪 投稿者 木村愛二 日時 2002 年 2 月 27 日 22:42:23)
花粉症は人工林の間伐遅れが原因 ?
戦後の木材重要に押されてスギ・ヒノキの拡大造林が推進され
日本の全森林のおよそ4割強、面積にして1千万ヘクタールの人工林が造成されました。
これらの人工林はどう仕立てたかというと、まず、チェーンソーでもともとの広葉樹の原生林・2次林を切り倒し、
(その材の多くはパルプ材となりました)その後「地拵え」といって、植林のための地ならしをして、
そこに1ヘクタールあたり約3000本のスギ・ヒノキ苗を植えたわけです(これは1.8m間隔のグリッドと考えて下さい)。
苗木の背丈はおよそ5〜60cm。夏になれば日本の湿潤な山には雑草がわんさかと生えてきます。
草に覆われて、苗木ぼ光合成ができなくなってしまう。そこで「下草刈り」といって、スギ苗の周囲の雑草を
大きなカマ(最近はエンジン式の「刈り払い機」)でもって刈る、という作業が7〜8年も続きます。
そうして大きくなったスギの木には、またまた試練が待っています。それは「間伐」です。
考えてもみて下さい。1.8m間隔で植えられた樹木がその間隔でずっと育つことができるでしょうか?
ダイコン畑だって間引かなければ共倒れになってしまいます。この間伐を怠ると、木の葉っぱ同士がぶつかり合い
光を獲得しにくくなりますから、枝が下からどんどん枯れ上がっていき、木が太くなれず、ひょろ長い木の森になってしまう。
そこで「間伐」といって、生育のよくない木や、曲った木など、劣勢の木を伐って、密度管理をしていくわけです。
では最初から疎に植えればいいじゃないか、と思うでしょうが、そうすると下草刈りの手間が大変だし
苗木には形質的にも優劣があって、材生産を目指すとなると、どうししても最初から間引くのを想定して植えなければならないのです。
この間伐を怠ると。もやしのような、線香を立てたような森になってしまいます。
実は、こんな、もやしのような人工林がいま日本中に蔓延しているのです。
なぜかといえば、ひとつはこの間伐した細い木が売れないから、山林所有者は間伐のような手入れをしたがらないのです。
細い間伐材も、戦後の復興期には建築資材の「足場丸太」あるいは炭坑で使う「抗木」として飛ぶように売れた時代が
ありましたが、いまや太いスギでさえダイコン数本の値段と変らないという超安値です。
間伐を怠ると林内に枯死する木が出てきます。木が必死に光りを獲得しようにもなにせ1.8m間隔です。
枝同士が擦れあい、ぎゅうぎゅう詰めになっています。こんな手入れに見放されたスギたちが、
子孫を残さねばという断末魔の悲鳴を「大量の花粉放出」という形で表現しているのではないでしょうか。
ところで、間伐遅れの弊害はこれだけではありません。間伐が遅れると、林床に光が差しませんから、下草や潅木が生えず、
土が露出し、雨のたび表土が流れていきます。土砂崩れが最も多い、河川に対する「保水力」が最も少ないのもこういう山です。
もともと「山は木の畑」と考えた日本の近代林業もおかしかったのです。植えたスギの間にきちんと広葉樹も生えていて、
それが階層構造になっているような、天然の針葉樹林に近いような山。これからの林業はこういう健全な山づくりを
していかねばなりません。そうすれば、おのずと花粉症も消えていくのではないでしょうか。
保水力のある山は緑のダムになりますから、無駄なダムなど止めて、公共事業を人工林の手入れのシフトしていけば
一石三鳥ですね。
人工林の密度管理については下記を参照して下さい。
http://tamarin.cside21.com/kan16.html