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※週刊現代 2021年1月9日号 各紙面クリック拡大
石破か、河野か…菅政権はもう終わり「次の総理は誰か」という大問題 22人の識者にアンケート
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79570
2021.01.27 週刊現代 2021年1月9日号 :現代ビジネス
這い上がり、のし上がり、菅がようやく掴んだ地位と力も、わずか3ヵ月でメッキが剥げた。打開策はあるのか。政権の寿命はいつまでか。そして「次」は―。大規模調査と総力取材で明らかにする。
早くも限界に達した
宰相・菅義偉の内心は手元を見ればわかる。昨年12月のある夜、菅と会食した人物が証言する。
「異様だった。菅さんが終始、箸の入っていた袋をいじり回して、しまいにはビリビリに破いてしまったんです」
菅には人と話しているとき、名刺やメモ用紙といった手元の紙を弄ぶ癖がある。ストレスが大きければ大きいほど、手遊びは激しくなる。いつものポーカーフェイスを保ってこそいたが、このとき菅の心は箸袋と同様、千々に破れ乱れていた。
首相就任から3ヵ月余りが過ぎ、あっというまにハネムーン期間は終わった。当初70%近かった支持率は3割台に半減。「ガースーです」とおどけて見せても、もはや笑ってくれる人はいない。
「菅政権のパワーも、3割に急落だな」
ある自民党議員に対し、菅はボソリと自嘲気味に漏らしたという。
それだけで済めば良いほうだろう。安倍政権成立の'12年から昨年まで、「最強の官房長官」そして「たたき上げの総理」と称えられ人生の絶頂を走ってきた菅だが、2021年は「暗転」の年になるのが目に見えている。
新型コロナの再々流行と、得体の知れぬ「変異種」の出現。菅と近い議員らに浮上した汚職疑惑。一向に見通しの立たない東京オリンピック……。
「あまりのストレスで、菅さんの生活は崩壊している。このひと月ほどは、床についても2時間ほどで目覚めてしまい、途切れ途切れに一日3〜4時間しか睡眠を取れていない」(自民党閣僚経験者)
菅政権の支持率急落で、永田町では新年早々から政局の突風が吹き始めている。後述するが、「菅政権の次」を意識した大物たちの動きが活発化しているのだ。
それを受け、本誌は政治評論家、記者・ジャーナリスト、政治学者ら総計22人に、政界の今後を予測する緊急大規模アンケートを実施した(5ページ目にアンケート結果を一覧で掲出している)。
まず目につくのは、菅政権はいつまで続くのかとの問いに、多くの識者が「今年限り」との厳しい回答を寄せていることだ。
〈支持率が回復しなければ、今年9月の自民党総裁任期いっぱいで終わることも考えられる〉(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
〈よほどの幸運でもない限り、総裁任期とともに退陣に追い込まれる〉(東京大学先端科学技術研究センター教授で政治学者の牧原出氏)
ともすれば、春を迎える前に命脈が尽きるとの見方さえある。
〈任期満了までが既定路線だが、正月明けにコロナがひどくなれば、3月の予算通過後に終わりもありえる〉(前東京都知事の舛添要一氏)
この難局の中、菅政権が短命で倒れれば、その混迷は安倍政権が倒れた時の比ではないだろう。
党内力学で選ばれた「ポッと出」の菅にとって、国民に信を問う解散総選挙は、抜けば党内の異分子を黙らせることのできる「伝家の宝刀」である。これをいつ振るうかが、菅にとって最大の懸案だ。
識者には、次の解散総選挙の時期は今年9〜10月との意見が多かったが、早ければ春にも実施されるとの見方もある。
〈最速で年度内(=3月)。その後なら秋口か任期満了〉(東京工業大学准教授の西田亮介氏)
〈オリンピック直後に、選挙にちゃんと勝てるのであれば(解散が)行われる公算が高いでしょう。すべては総裁選との兼ね合いです。総裁選に勝つための総選挙、といういささか倒錯的な構図になっています〉(国際政治学者の三浦瑠麗氏)
官邸はバラバラだ
いま実際に菅が模索している解散の時期は、オリンピック明けだという。菅に近い自民党ベテラン議員がこう証言する。
「'21年夏に東京オリンピックをなんとか観客入りで開催し、終了直後に勢いを駆って解散、大勝利をおさめる。そして、9月の総裁選で無投票再選される。これが菅総理のベストシナリオだ」
だがこのシナリオは「東京オリンピックの成功」、さらにそのための「コロナ抑え込み成功」が前提である。つまりは、東京オリンピックを今夏に開催できるか否かが、菅政権にとって最重要の課題になるのは明らかだ。
この点については、
〈政府としてはなんとしても開催したいだろう〉(大和大学准教授で政治学者の岩田温氏)
〈海外からの観客を受け入れるか、無観客で実施するかなどいくつかの選択肢があるが、政権浮揚策として開催にこだわる〉(東洋大学教授で元朝日新聞政治部長の薬師寺克行氏)
と、強行開催するのでは、との見方が多かった。しかし無観客での開催となれば、盛り上がりに欠け、支持率アップの起爆剤にはなりづらい。むしろ、かえって政権批判を招く可能性も高い。
だから菅はなんとしても、春までにワクチンを承認することにこだわっているのだが、打開の兆しは一向にない。目に見えず忖度もしてくれないウイルスという敵に、苛立ちは募る。
昨年12月22日午後、官邸の首相執務室には菅の舌打ちが響いていた。
「ワクチンができても、副反応で死者が出るおそれもあります」
そんな厚労次官・樽見英樹の言葉に、菅は不快感を隠さなかった。一刻も早くワクチンを使わないと、失われるのは国民の生命だけではない。オレの政治生命も絶たれてしまうではないか。
同時期、菅にコロナ関連で説明に赴いた別の官僚に対しては、苛立ちのあまり、執務室で説明資料を面前で投げつけた。
しかし、官僚に当たり散らしたところで何も好転しない。春先までにワクチンないし治療薬が颯爽と現れ、コロナは消滅、そして夏の国立競技場は満員御礼―そんな夢物語があり得ないことは、菅も分かっている。
要するに、手詰まりになりかけているのだ。
もし解散に打って出たとして、自民党は菅総裁で選挙に勝てるかとの質問には、政局のプロたる政治部記者たちの見解は「勝てない」でほぼ一致している。それどころか、菅はその前に退陣に追い込まれるとの見方も少なくない。
〈8月末から9月末に総裁選が行われ、菅氏は降板。解散総選挙は新総理総裁のもと行われる。『菅では勝てない』という党の判断で、菅氏は解散権を奪われる〉(朝日新聞政治部記者・40代)
〈党内で選挙を見据えた「菅降ろし」が始まる。五輪を花道に退陣〉(毎日新聞政治部OB・50代)
〈菅総理はコロナに解散権を封じられた。任期満了まで打つ手なし〉(時事通信政治部記者・40代)
自民党関係者に取材すると、「菅は選挙の顔になり得ない」というこの記者たちの分析に同意する向きが多い。それは単に菅の見た目が暗いだとか、喋りが下手だといった理由からだけではない。人心が離れているのだ。ある自民党幹部議員が言う。
「官邸がバラバラになりかけている。変なことを言うとすぐ吊し上げられて飛ばされるから、みんな黙っている。
最近も、鳴り物入りで共同通信から一本釣りした柿崎(明二)首相補佐官を陰で非難していた。『世間の声を伝えるのが仕事なのに、GoToトラベルが不評だということすら報告しなかった』と。菅さんは和泉(洋人)首相補佐官以外の話を聞かなくなっている」
菅さんは総理になって変わってしまった。官房長官時代も明るい人ではなかったけれど、今はそれに加えて陰湿で攻撃的になった―。自民党の議員秘書らの間では、そんな世評が流れる。
一方、菅は菅で「総理になると、官房長官の時より情報が入らなくなった気がする」とぼやいている。それは菅が耳に痛いことを言う人間を遠ざけているからなのだが、自覚がない。
こうした菅の現状を象徴する事件があった。来年度予算案の折衝で、菅が諸々の判断を副総理・財務相の麻生太郎に任せきりにしたため、麻生が「総理なんだから自分で考えろ」とキレたのだ。
「おい、いつまでも官房長官気分でいるんじゃねえぞ。役人は何でもハイハイ言うことを聞くかもしれんが、国民はそうはいかん。官邸がリードしなきゃ政権も続かんぞ」
周囲は菅に苛立ち始めているのである。
安倍の復権はあるか
次の総選挙で自民党が獲得する議席数についても、菅のもとで選挙が行われた場合、現有の282議席から減らすとみる識者が大半だった。
〈このまま総選挙を戦えば、かろうじて単独過半数ギリギリ、40議席減程度になる〉(ジャーナリストでテレビ朝日コメンテーターの川村晃司氏)
〈菅で選挙をやっても厳しい。現時点での分析でも240議席前後まで減らすとみられる〉(政治ジャーナリストで元共同通信記者の野上忠興氏)
もちろん、安倍政権下と変わらず野党が弱小のいま、自民党は大敗を喫するわけではない。しかし、勝てない総裁は引きずり降ろされるのが掟だ。選挙が迫り、自民党の苦戦が明らかになるにつれ、「菅降ろし」の動きは本格化するだろう。
菅政権のおしまいを、永田町の住人、また日頃政界をウォッチする識者たちも感じ取っている。では、菅の「次」を担う政治家とは誰なのか。
次の総理大臣は誰になるかとの問いに、最も多く名前が挙がったのが行政改革担当相の河野太郎、そして次が前自民党政調会長の岸田文雄だ。
〈やむを得ずだが、各派閥が担ぎやすい岸田文雄が有力〉(政治評論家の小林吉弥氏)
〈細田派・竹下派・麻生派・岸田派の4派が担ぐ岸田氏が軸。選挙の顔としてうまく時流に乗れれば河野氏もありえる〉(前出・朝日新聞政治部記者)
安倍の正統後継者と見られていた岸田は、前回の総裁選では途中まで「本命」だった。政治家では安倍に次ぐ213万人ものツイッターフォロワー数を誇る河野は、急速に国民人気を高めつつある。確かに二人とも、ネームバリューは十分だ。
さらに「初の女性総理」を目指す野田聖子が次期総裁選に打って出る可能性や、前回の総裁選で最下位となり、派閥会長を退いた石破茂の復活を指摘する声も多かった。
〈自民党支持率が低迷した場合、党として「女性総理」のサプライズで人気の挽回に賭ける可能性がある〉(前出・小林氏)
〈自民党には「振り子の論理」がある。金権からクリーン、タカ派からハト派というように、男から女、主流から非主流へと目先を変える。その場合、野田や石破になる〉(前出・野上氏)
ただし今、前述の通り、政局は急速に流動化している。キーパーソンはおなじみの顔ぶれ、安倍、麻生、そして幹事長の二階俊博だ。彼らの都合で「次の総理」が決まることを考え合わせると、少し様相は変わってくる。
「今年の国会は、久しぶりに予算委員会をテレビで野次りながら見れたよ」
昨年12月、安倍は自民党議員らの前でそう言って目尻を下げた。連日、「桜を見る会」に関する疑惑が報じられていた中で、余裕の構えだ。追及をのらりくらりとかわし、公設第一秘書に責任を押し付けることに成功したのだから、当然だろう。
一方この間、菅は必死だった。鶏卵大手のアキタフーズから金銭を受け取った疑惑が浮上したのは、菅の衆院初当選同期で「菅さんが最も個人的に親しい」(前出・自民党ベテラン議員)元農水相の吉川貴盛だった。二階派の大幹部でもある。
「吉川さんは総裁選で菅さんの選対事務局長を務めていたし、菅さんは二階さんに頼んで、吉川さんのために党執行部にも『選対委員長代行』というポストをわざわざ新設したほど。議員では一番頼りにしていたから、議員辞職は大ダメージです」(同・自民党ベテラン)
疑惑は菅のもう一人の側近、国対委員長の森山裕にも飛び火した。菅は一連の捜査の背後に安倍がいるのではないか、と疑心暗鬼に陥り、本件が大きく報じられないようマスコミ各社に直電を入れたとも噂される。
二階は誰を選ぶのか
意気軒昂な安倍は、親しい周辺の人物に「あと10年は(議員を)やりたい」と豪語する。悪化した潰瘍性大腸炎もすっかり持ち直し、令和のキングメーカーとなる意欲を隠そうとしていない。
何せ、安倍は在任中、石破を筆頭に、自身に歯向かう可能性のある輩を潰し切ったのだ。いまや最大のライバルとなった菅が消えれば、再び安倍の天下というわけである。
「コロナで一番大変な今年を菅さんに押し付ける。去年の総裁選で岸田さんの苦戦が濃厚になった時、安倍さんは『(岸田総理は)次の次でいい』と言っていましたが、実際にその通りになりつつある」(前出・自民党閣僚経験者)
菅を「露払い」にしてコロナを切り抜け、自分の意を汲む者を総理にする。安倍の意中にあるのは岸田、そして意外にも外相の茂木敏充だ。安倍はかねて茂木を高く買っており、総理在任時にも「岸田でなければ茂木だな」と繰り返していた。
麻生は自派閥に注目株の河野を抱えるが、河野の党内ウケが悪いこともあり、総理のタマではないと見ている。何より河野の後ろ盾は、いまや麻生が蛇蝎のごとく嫌う菅である。麻生派が河野を推すはずもなく、次の総裁選では安倍と歩調を合わせるとの見方が党内の大勢だ。
そうなれば、カギは今のところ菅の側についている二階の動向である。
両者に近い議員らは「菅・二階の関係は磐石だ」と言う。実際、二階は菅と膝詰めで話し合い、事態を打開するための解散日程を精査してもいる。
しかし、それとは別に81歳の二階には大きな宿題がある。自身の後継問題だ。三人息子の誰に継がせるか決まるまでは、意地でも議席を手放せない。菅と心中するわけにはいかないのだ。
今回、二階の引退の時期についても識者の意見を問うたが、
〈本人の体力が続くまで〉(前出・牧原氏)
〈次の選挙には挑む。菅内閣での引退は考えていない〉(ジャーナリストの田原総一朗氏)
〈幹事長でなくなった時〉(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)
と、引退は当面ないとの見解が多く寄せられた。菅の進退が窮まれば、かつて安倍から菅へと乗り換えたように、二階が再び勝ち馬に乗ることは目に見えている。
二階が菅に引導を渡す日。そのとき、早くも「次の総理」をめぐる闘争が幕を開ける。2021年は引き続き、政局の年となるだろう。(文中一部敬称略)
『週刊現代』2021年1月9日号より
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