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※週刊朝日 2021年1月15日号 紙面クリック拡大
【スクープ】第二の村木事件 元検察事務官が訴える検察の「証拠」改ざん
https://dot.asahi.com/wa/2021010600066.html
2021.1.8 08:02 今西憲之 週刊朝日 2021年1月15日号
検察庁(C)朝日新聞社
「桜を見る会」疑惑で安倍前首相を不起訴にして批判された検察庁。その検察で違法捜査や証拠改ざん疑惑が浮上している。元検察事務官が訴える「第二の村木厚子(元厚生労働事務次官)事件」とは? 検察の不正義を暴く。
* * *
「長く仕えた検察がここまでひどいとは、思いもしませんでした」
怒りに口元を震わすのは、元神戸地検の検察事務官、Aさん(58)。
Aさんは2012年3月、検察事務官を務めていた神戸地検を分限免職処分となった。わかりやすくいえば「クビ」だ。
Aさんはそれまで11回も検察庁から表彰を受けていた優秀な事務官だった。なぜ、こんな仕打ちを受けたのか?
「検察が法を無視して一般の検察事務官である私に違法なことをさせていたのです。それが分限免職処分の引き金になった。その後、検察は証拠改ざんまでして裁判に出してきました」
09年4月だった。神戸地検の刑事部に配属されたAさんは、当時の刑事部長から呼ばれて、
「これから一任事件をやってもらいます」
と声をかけられたという。一任事件とは何か?
検察事務官も検事、副検事と同様に、被疑者や参考人などの取り調べ、供述調書の作成などが可能だ。その場合、検察庁法などで定められた検察官事務取扱検察事務官(以下、検取)という資格を得て、検事や副検事の指導・監督のもとに捜査に加わることとなる。
だが、Aさんの場合は異なっていた。
「いきなり、副検事から警察で捜査した記録などを渡されて『これをやってください』と命じられました。本来、検事、副検事がやらねばならないものを、検取でもない検察事務官が、最後まで一任されたというものでした」
つまり、警察から検察庁に送致された事件の捜査、取り調べ、起訴か不起訴かの判断まで、すべて検察事務官が担当して判断しろと指示されたという。
Aさんが見せてくれた検察事務官当時のロッカーは大量の刑事記録の書類であふれていた。
10年1月の兵庫県警からの<送致書>には、手書きで<部長決裁まで任>と記されていた。同年2月にAさんが作成したのは、事件を捜査・検討して不起訴とした<不起訴裁定書>。そこには<主任検察官>としてAさんの印鑑が押印されている。
仕事量が急増したことと、重責を担わされたことで、Aさんは精神を病み、同年3月には、10日間ほど病気休暇をとった。
「検事や副検事からは、何の指示もサポートもありません。起訴か不起訴かを決する、本来、検察事務官に与えられていない責務を求められたことで精神状態もおかしくなってしまった。何度も一任事件をやめさせてほしいと訴えたが、無視された。それをきっかけに上司と対立、言い争うようになった」(Aさん)
そして上司との対立からAさんの勤務評定は5段階の最低「E」まで落とされた。さらに職場対立で大声を出し、秩序を乱したという理由で、神戸地検はAさんを分限免職処分に踏み切った。
Aさんはこれを不服として12年5月、人事院に分限免職処分の取り消し審査請求を起こした。Aさんが神戸地検在籍時に刑事部長だった田辺信好弁護士(元岡山地検検事正)は、13年5月に人事院で証人となったときにこう証言している。
「(神戸地検が主張する)一般の検察事務官に包括的に事件処理をということは、権限を認めること。丸投げです。私の在籍時はなかったが、検察庁によっては忙しいというところは、違法だがルーズになっていたのが実態ではないか。主任検察官のところにAさんの印鑑があるというのは、ありえない」
地方の検察庁で部長経験もある、元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士もこう指摘する。
「ある地検の交通部にいたとき、誰がやっても結論は同じという事案はある程度、検察事務官に任せました。もちろん、最後は私自身が報告を受け、処理内容をチェックしていました。今回のような検察事務官への一任は、ありえないことだ」
しかし、神戸地検は「一任事件」についてはAさんの検取の適格を見極めるために指導の一環でやらせていたなどと主張。人事院はAさんの訴えを却下して、分限免職処分を認めた。
そこで同年6月にAさんは民事訴訟を提訴。処分の取り消しを求めて現在、裁判中だ。
その裁判で神戸地検が請求した証拠に重大な問題があることがわかった。人事院での審査の際、前出の刑事部長ら神戸地検の5人が証言した。16年3月、神戸地検はその「反訳書」(録音文字起こし)を裁判で証拠請求した。
「反訳書を見ていると明らかに内容が違っていることに気づいた。そこで反訳書と審査の録音を突き合わせたところ、4人の証言内容がおかしいことがわかった。多くの箇所で言葉を削除したり、話していない言葉が付け加えられたりしていた。検察が証拠を改ざんするなんて、信じられませんでした」(Aさん)
改めて本誌でも、入手した人事院での審査時の証言の録音と「反訳書」を照らし合わせてみた。Aさんの弁護士が「一任事件」の違法性について質問している回答が削除されていた。また、聞いていない架空の「質問」が記されていたり、検察の主張に正当性を与える意味合いの文言が加筆されていた。
Aさん側は裁判で神戸地検の「反訳書」について“改ざん”を主張し、録音に沿った書き起こし文書を裁判所に提出した。すると、神戸地検は1年以上も経過した17年7月に「要約書」として訂正してきたという。
検察の証拠の改ざんで記憶に新しいのは、無罪判決を受けた元厚労事務次官の村木厚子氏の事件だ。その捜査の際、大阪地検特捜部によって、証拠品のフロッピーディスクのデータが改ざんされていることがわかり、検察の信頼は地に堕ちた。特捜部長ら3人が逮捕され、有罪となった。
Aさんの弁護人はこう憤慨する。
「Aさんから反訳書の問題を指摘され、腰を抜かすほど驚きました。まさに証拠を“改ざん”して裁判に出してきた。中身はミスとは言い難いもので、A4サイズ1枚分ほども証言を削除している部分もあった。意図的に思えました」
検察裏金問題を告発した、元大阪高検公安部長の三井環氏もかつて神戸地検に在籍した。
「検取でない検察事務官に、一任事件として起訴か不起訴かまでやらせるなんて、神戸地検でも他の検察庁でも聞いたことがない。事実なら違法です。人事院証言の反訳を都合よく書き換えて裁判に出したのは、検察の証拠“改ざん”。村木事件と構造は同じではないのか。虚偽公文書作成罪に該当する」(三井氏)
神戸地検にAさんの件について質問状を送ったが、こう回答があった。
「裁判継続中ですので、回答は差し控えさせていただきます」
裁判の行方が注目される。(今西憲之)
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