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※2020年12月14日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年12月14日 日刊ゲンダイ2面
【この政権は統治能力を失っている】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) December 15, 2020
無能政権に日本全国で反乱ののろし
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/z4bwZoqSH0
※文字お越し
「下落は一時的なものだ。右往左往してはいけない」
首相に近い自民党幹部からこんな声が出るほど、支持率の急落に政権が動揺しているという。
毎日新聞が12日実施した世論調査は、菅内閣の支持率が40%となり、前回(11月7日)の57%から17ポイントもの大幅下落となった。一方、不支持率は49%で、前回の36%から13ポイントのアップ。支持と不支持も逆転した。新型コロナウイルス対策への無策が原因になったのは確実で、菅政権のコロナ対策を「評価する」はわずか14%。前回の34%から20ポイントも下がった。「評価しない」は62%で、前回27%から急上昇だ。
感染拡大に何の手も打たず、そのくせ「Go To トラベル」継続には、「Go Toが感染原因となるエビデンスはない」とエビデンスを示さず非科学的な頑迷固陋。国民が苛立ち、呆れるのは当然で、支持率急落は、無能政権に対し日本全国で反乱ののろしが上がったということだ。幹部が今さら動揺とは、それこそ世論と政権の意識がいかに乖離しているかの証左である。
「政権発足3カ月で支持と不支持が逆転するのは異例のことです。支持率は30%台突入が視野に入ってきました。世論は『菅首相は叩き上げをアピールしていたけれど、庶民感覚を分かっていない』と落胆し、強い不信感を抱いている。時に『頑固に貫き通す』のは長所になることもありますが、失政となって逆回転すると、頑迷は欠点としか見られません」(政治評論家・野上忠興氏)
事実上、感染拡大を放置
「Go To トラベル悪者論」が世論の多数派となる現状に、ようやく菅も焦ってきたのか、週末、東京都と名古屋市もトラベル事業の一時停止対象とすることを検討し始めた。
13日の日曜、菅、西村経済再生相、田村厚労相が官邸に集まり、都や愛知県との調整が行われた。14日、政府は対策本部を開き、最終的な対応を決定する。
焦点は「Go To」の“主役”である東京都の扱いだが、札幌市と大阪市同様に、東京都や名古屋市を目的地とすることを一時停止し、出発については自粛で調整されているようだ。
しかし、全国一斉の停止ではないし、あくまで自粛。飲食店などの営業時間短縮もそうだが、政府や自治体の呼びかけが、果たしてどれほど効果があるものなのか。それは、ここまでの菅政権のコロナ対策が支離滅裂だからだ。
「勝負の3週間」として集中的な感染防止を国民に要請しながら、その一方で「Go To トラベル」の6月末までの延長を決め、予備費から3000億円超を支出するのが菅政権なのである。旅行を推奨しているのだから、感染防止要請に説得力はなく、「自粛だし、外出したっていいよね」となっておかしくない。
実際、この2週間、都市部の人出はちっとも減っていない。東京の新宿・歌舞伎町や札幌・すすきのなど、「勝負の3週間」の最初の週末の人出こそ微減だったものの、次の週末は微増に転じてしまった。12日は全国主要駅や繁華街の全95地点のうち約7割で前週より増加していた。国民がまともに政府の警告に耳を貸さなくなっているのだ。
経済評論家の斎藤満氏がこう話す。
「政府は言っていることとやっていることが違うので、誰も言うことを聞かなくなりますよ。医師会などが示す強い危機感を共有すると言いながら、積極的な感染防止対策を取っていない。20〜50代の移動が感染拡大の要因になっている可能性が高いというのに、トラベル事業を続けているのは、事実上、感染拡大を放置しているようなものです。自粛にとどめていることも、多少ならば動いてもいいという誤ったメッセージになっています」
命を軽視し、税金を死に金にして浪費 |
菅は11日に出演したニコニコ生放送の番組で、コロナ対策で経済を回すことにこだわる理由を「命と暮らしを守る」「経済が悪くなると、暮らしも雇用も守れなくなる」と強調していた。
確かに自殺者の増加が止まらない。11月まで前年同月比で5カ月連続して増えていて、コロナ禍での生活苦や将来不安などが影響していると推測される。
菅が国民の命と暮らしを守りたいならば、なおさら、大手旅行代理店ばかりが潤い、金持ちの物見遊山に利用される「Go To」より、困っている人に給付金を出すなどの直接支援の方が意味があるのではないか。「Go To」をやめたら経済が冷え込むと言うなら、大手だけじゃなく中小・零細にも行き渡る給付金を手当てすればいい。7兆円も残っている予備費をどうして使わないのか。
「Go To イート」にしても登録しているのは飲食店全体の3分の1に過ぎない“欠陥事業”だ。オンライン予約には10社を超える予約サイトが参加していたから、登録店が重複しているのは確実で、恩恵を受けられない飲食店が山ほどあったのは間違いない
そのうえ飲食店は時短要請を受け入れても、40万円や50万円ぽっきりの協力金しかもらえず、後は自助でよろしく。それも自治体に責任丸投げで、政府は涼しい顔をしているのだから、たちが悪い。
「菅政権が『Go To』に固執するのは、観光業界のためだけでなく、二階幹事長や利権に群がる連中に忖度しているからなのではないですか。そう疑いたくなるほど、命を軽視した政策が継続され、本当に困っている人が救済されない。“死に金”が浪費されている状況です。こんな無能力政権には、早く辞めてもらうしかありません。これから年末にかけ、一番怖いのは医療崩壊です。いざという時に病院で何とかしてもらえる、という安心感が大事なのに、通常でも医者が少なくなる年末年始に、ここまで重症者が増えれば、命の不安に陥れられる人が増えかねません」(斎藤満氏=前出)
届かない医療支援にも他人事
医療従事者も限界だ。春以降、休む間もなく第2波、第3波と続き、差別にさらされながらも使命感で働き続けてきた。むろん、「Go To」などとは無縁の生活を送っている。それなのに、日本医労連によれば、今冬のボーナスは4割超の医療機関で、昨年よりも今夏よりも減額。医療従事者の心中察するにあまりある。
ボーナスカットは受診控えなどで病院経営が悪化しているからだが、政府が緊急包括支援交付金として3兆円を支出済みの医療支援は、まだ6000億円分しか医療機関に届いていない。あまりに遅い。遅すぎる。
この問題について、菅は11日の番組で質問されると、「1日でも早くお届けできるようにしたい」と、反省なく他人事のような回答だったからア然だ。
一般企業でも冬のボーナスカットは、2008年のリーマン・ショック以来の減額幅。もはや錯乱としか言いようがない政府のコロナ対策の無策無能には、医療従事者だけでなく、庶民の怒りもふつふつと湧き上がってきている。
「自民党議員が地元のシニアクラブに挨拶に行ったら、『コロナで命の危険にさらされているうえに医療費は2倍なんて、俺たちに死ねということなのか』と叱られたそうです。身近な問題には世論は敏感です。デジタル化や携帯料金値下げは小手先の手法だと、すっかり国民に見破られた。内閣支持率はもっと下がるでしょう。来年10月までに必ず衆院選が行われますから、『菅首相では選挙を戦えない』という空気が自民党内に広がる可能性もあります」(野上忠興氏=前出)
この政権に統治能力がないことはハッキリした。このままコロナ対策を任せていたら未曽有の混乱になりかねない。菅政権に退陣要求を突きつける国民が、ますます増えていくだろう。
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