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改定国民投票法「次期国会成立」で与野党が合意 国民に隠れて結託
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/19457
2020年12月9日 長周新聞
臨時国会が5日に会期末を迎え、改憲手続きを定める改定国民投票法案の採決は先送りとなった。しかし与野党は臨時国会で同法を初めて審議入りさせ、衆院憲法調査会は来年召集する通常国会での成立を想定して「継続審議」を決定している。与野党は「採決先送り」でしばらく時を待ち、通常国会中のもっとも採決しやすい時機を見計らって強行成立に踏み切ろうとしている。
国民投票法の改正案は11月26日に実質的な審議に入ったが、ツイッターなどを含めて全国で採決反対の声が広がった。そのなかで自民党と立憲民主党の幹事長が1日に会談し、今国会での採決は見送り、来年の通常国会で「結論を得る」ことで合意している。この会談で自民党の二階俊博幹事長が「通常国会では何らかの結論を得ることで合意したい。一日も早く結論を得たい」と呼びかけ、立憲民主党の福山哲郎幹事長が承諾した。自民党の森山裕国対委員長は会談後「結論を得るということは採決を得るということだ」と説明している。そして翌2日には、自民党の衛藤征士郎・改憲推進本部長が改憲団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の会合に出席し「たとえ一部にちゅうちょする政党があったとしても信念をもって憲法改正を提案し、その意志を問うことは成熟した民主主義国家のあり方として当然だ」と発言した。
こうしたなかで3日に衆院憲法審査会を開き、2度目となる改定国民投票法案の質疑をおこなった。自民党は駅や商業施設に「共通投票所」をもうける7項目改定について「各党におおむね異論がない」とし、来年1月召集の通常国会での採決を求めた。それに対し立憲民主党は期日前投票の時間を短縮できる規定にふれ「民意を示す機会を制限するのは不適切」と主張した。国民民主党は早期成立に同意している。ほとんど矛盾のない論議を経て、自民党が「質疑はほぼ尽きている」と主張し速やかに結論を出すよう求めた。自由討議では立憲民主党の議員が自民党の衛藤改憲推進本部長の発言について「与党の責任者がこんなことをおっしゃっていては、落ち着いた議論はできない。改正案の採決どころではない」とのべた。だが自民党の新藤義孝・与党筆頭幹事が「一部に反対があっても頑張って賛成して頂けるようにしたいという意気込みだと思う」と答えて終了した。
そして4日には再度、憲法審査会を開き、わずか3分で改定国民投票法案を継続審議の扱いとすることを決定した。したがって次期通常国会ではいきなり採決に踏み切る可能性も否めない。
現在、問題になっている改定国民投票法は、国の最高法規である憲法の「改定案」の賛否を問う投票行動について規定した法律である。現行の国民投票法を2016年の改定公職選挙法(18歳以上の選挙権を認めた)に見合った内容に変えるもので、主な変更点は7項目(@「選挙人名簿の閲覧制度」への一本化、A「出国時申請制度」の創設、B「共通投票所制度」の創設、C「期日前投票」の事由追加・弾力化、D「洋上投票」の対象拡大、E「繰延投票」の期日の告示期限見直し、F投票所へ入場可能な子供の範囲拡大)ある。具体的には、水産高校実習生に洋上投票を認めたり、投票所に同伴できる子供の範囲を「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大する、というような、公職選挙法ではすでに実行している内容だ。
そのため国民投票法自体に改憲内容に言及する規定はない。しかし国民投票法を成立させ、改憲手続きの整備を完了していなければ、その次の改憲発議に進むことができない。そのため改定国民投票法案の動向は、改憲の有無を左右する重要な焦点になっている。
なお来年の通常国会は1月18日に召集する予定(会期150日間、延長1回まで)となっている。この会期内に改定国民投票法案を成立させるには衆院と参院での採決が必要で、成立よりも前に衆院解散となれば「継続審議中」で廃案になる。
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