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1941年12月8日の対米開戦から79年が経過した。
「追い詰められたためやむを得なかった戦争」論を含めても、あまりにも愚かでまさに亡国政策であったという認識は国民共通になっているものと思うが、どうして?なぜ?他の選択肢は?誰の責任などの戦争問題が、戦後75年以上経った今なおきちんと総括されているとは思わない。
かつてここ阿修羅で、「戦争責任」ではなく、「敗北責任」をきちんと考える必要があると訴えた。
300万人超の同胞が戦禍のなかで死に、アジア諸国や米国などで多数の犠牲者を出した歴史的悲劇について、日本が悪かったという似非リベラル的な戦争責任論ではなく、戦争肯定論を含め、朝鮮半島・中国大陸での拡張政策から対米開戦判断そして敗戦後6年に及ぶ占領期(その期間に制定されたのが現憲法)についてきちんと考え直すことが日本の今後のためにも必要な知的作業だと思っている。
12月8日ということで、今回は、通説的な問題を簡単に取り上げる。
(1)対米通告(最後通牒)が間に合っていても“だまし討ち”であることは変わらない
対米開戦=真珠湾米海軍基地への奇襲攻撃について語られるものとして、在米日本大使館職員の怠慢から、最後通牒の手交が真珠湾奇襲攻撃後になったため、日本は卑怯な“だまし討ち”を行った国として謗りを受けることになるとともに、米国民の対日憎悪を煽ってしまったことで、戦争の様相まで変えたということがある。
では、最後通牒が刻限(真珠湾攻撃開始)までに手交されていれば、“だまし討ち”とは言われなかったのだろうか。
残念ながら、きちんと指定時刻に手交されていても、“だまし討ち”であることは変わらなかったのである。
仮に、真珠湾攻撃の前日に手交されていたとしても、「“だまし討ち”をしたジャップは汚い。徹底的にやっつけるべき」と罵られ気勢を上げられていたはずである。
なぜなら、末尾に全文を掲載しているが、最後通牒の結論は、“これ以上の交渉はムダだから、もう交渉はしない”という内容であって、対米宣戦布告やいずれかの国への武力行使を示唆するものでもないからである。
(最後通牒の最終段落を抜粋)
「合衆国政府ノ意図ハ英帝国其ノ他卜苟合策動シテ東亜ニ於ケル帝国ノ新秩序建設ニ依ル平和確立ノ努力ヲ妨碍セントスルノミナラズ日支両国ヲ相聞ハシメ以テ英米ノ利益ヲ擁護セントスルモノナルコトハ今次交渉ヲ通ジ明瞭卜為リタル所ナリ。斯クテ日米国交ヲ調整シ合衆国政府卜相携へテ太平洋ノ平和ヲ維持確立セントスル帝国政府ノ希望ハ遂ニ失ハレタリ。
仍テ帝国政府ハ茲ニ合衆国政府ノ態度ニ鑑ミ今後交渉ヲ継続スルモ妥結ニ達スルヲ得ズト認ムルノ外ナキ旨ヲ合衆国政府ニ通告スルヲ遺憾トスルモノナリ。」
むろん、米国ルーズヴェルト政権は、“おかしくなった”日本が“なんら問題解決につながらない”対米戦争を仕掛けてくることを知ってはいたが、それは公の話ではなかったから、
「日本は、我が国と交渉しても妥結の見通しがないからもう交渉はしないと言ってきただけなのに、突然、連合艦隊で突如ハワイに猛攻撃を仕掛けてきた。こんな汚く恥ずべき行動はない。連邦議会は徹底的に日本を懲らしめるため宣戦布告を決議してほしい」
と、実際の歴史と同じように強い非難をもって宣戦布告を行ったであろう。
対米戦争は、日米間の懸案事項に関して“なんら問題解決につながらない”無駄なものである。
日本にとっての日米間懸案事項は、石油禁輸(くず鉄など他の品目も)の解除と米国が行っている蒋介石政権への支援停止ということになるが、二つとも、負けないことが戦略で勝つことは考えられていない対米戦争を仕掛けて解決できるものではないことは自明だ。
日本が中国や仏印からの撤兵という米国の意向を受け容れられないのなら、石油禁輸に対応するためには、対米戦争ではなく、ナチスドイツに占領されたオランダの植民地である東インド(インドネシア)などの石油資源を武力的に獲得することで解決しなければならないのである。
その結果、米国が日本に宣戦布告したなら、受けて立つほかない。それが、第一次世界大戦後に日本海軍が策定した対米戦争計画の根幹でもあった。
(それで、蘭領東インドの石油資源が強奪(強制的買い付けでも可)されたくらいでは、ルーズヴェルト政権はともかく、米国世論や連邦議会が対日戦争を求めることはなかったはずである)
(2)12月2日の「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」打電は破滅的誤り
陰謀論ベースの話をここでは語らないが、対米戦争を真珠湾奇襲攻撃で開始することで、米国の海軍力を削ぎ日本海軍の優位性を一定期間保持することが目的なら、連合艦隊がハワイに向けて航行している12月2日に、攻撃決行を意味する「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」を連合艦隊に打電したのは、不要であるだけでなく破滅的誤りでもある。
陰謀論でもよく議論されることだが、ハワイに向かっていた連合艦隊は、無線を封印していたので、米国が日本海軍連合艦隊の動きを知ることは出来なかったとも言われている。
知られているように、開戦前の時点で、米国は、日本の暗号を、外務省→海軍→陸軍の序列で解読していた。
(外務省暗号電文はすべて解読:だから、1940年末からカソリック聖職者を使った「日米諒解案」交渉を行い、その過程で打たれる電報をもとに、日本政府が対米政策をどのように考えているのか把握しようとした)
仮に、「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」は解読されても、12月8日に何かをしでかそうとしている程度しか推測できないものだが、前項の最後通牒と照らし合わせると、武力行使であることがほぼ推測できてしまう。種類が限られ頻発する数字は暗号のなかでも解読されやすいものである。
(米国政権は、手交遅れとなった最後通牒の内容について、在米大使館職員が英文でタイプ打ちを完了させる前に把握していた。戦争を意味する内容ではないが)
この問題を簡単に言えば、「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」と「最後通牒」を解読したなら、米国政権及び軍事組織は、太平洋艦隊の基地があるハワイか、日本が欲しい資源がある東南アジアに武力を行使する可能性があると考え、潜水艦や航空機で徹底的に偵察するのが“当たり前”の対応である。
アリューシャン列島からフィリピンまでカバーしていた米国なら、日本海軍の目標がハワイでも東南アジアでも、日本海軍艦隊の動きを確認することは難しくない話なのである。
結論を言えば、奇襲攻撃を成功させるために、無線封印までして動きを把捉されないようにしたのなら、「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」の打電もやってはならないのである。
連合艦隊は真珠湾攻撃を既定方針としてハワイに向け航行しているのだから、何も連絡が無ければそのまま攻撃決行とし、攻撃中止の場合のみ打電すれば済むことである。
[参考資料]
帝国政府対米通牒(覚書)
一、帝国政府ハ 「アメリカ」合衆国政府トノ間ニ、友好的諒解ヲ遂ゲ両国共同ノ努力ニ依リ太平洋地域ニ於ケル平和ヲ確保シ以テ世界平和ノ招来に貢献セントスル真摯ナル希望ニ促サレ、本年四月以来合衆国政府トノ間ニ両国国交ノ調整増進並ニ太平洋地域ノ安定ニ開シ誠意ヲ傾倒シテ交渉ヲ継続シ来リタル処、過去八月ニ亙ル交渉ヲ通ジ合衆国政府ノ固持セル主張並ニ此間合衆国及英帝国ノ帝国ニ対シ執レル措置ニ付茲に率直ニ其ノ所信ヲ合衆国政府ニ開陳スルノ光栄ヲ有ス。
二、東亜ノ安定ヲ確保シ世界ノ平和ニ寄与シ以テ万邦ヲシテ各其ノ所ヲ得シメントスルハ帝国不動ノ国是ナリ。曩(サキ)ニ中華民国ハ帝国ノ真意ヲ解セズ不幸ニシテ支那事変ノ発生ヲ見ルニ至レルモ帝国ハ平和克服ノ方途ヲ諦ズルト共ニ戦禍ノ拡大ヲ防止センガ為終始最善ノ努力ヲ致シ来レリ。客年九月帝国が独伊両国トノ間ニ三国条約ヲ締結シタルモ亦右目的ヲ達成センガ為ニ外ナラズ。
然ルニ合衆国及英帝国ハ有ラユル手段ヲ竭(ケツ)シ重慶政権ヲ援助シテ日支全面和平ノ成立ヲ妨碍シ東亜ノ安定ニ対スル帝国ノ建設的努力ヲ控制セルノミナラズ或ハ蘭領印度ヲ牽制シ或ハ仏領印度支那ヲ脅威シ帝国卜此等諸地域トガ相携へテ共栄ノ理想ヲ実現セントスル企図ヲ阻害セリ。殊ニ帝国ガ仏国トノ間ニ締結シタル議定書ニ基キ仏領印度支那共同防衛ノ措置ヲ講ズルヤ合衆国政府及英国政府ハ之ヲ以テ自国領域ニ対スル脅威ナリト曲解シ和蘭国ヲモ誘ヒ資産凍結令ヲ実施シテ帝国トノ経済断交ヲ敢テシ明カニ敵対的態度ヲ示スト共ニ帝国ニ対スル軍備ヲ増強シ帝国包囲ノ態勢ヲ整へ以テ帝国存立ヲ危殆ナラシムルガ如キ情勢ヲ誘致スルニ至レリ。右ニ拘ラズ帝国総理大臣ハ本年八月事態ノ急速収拾ノ為合衆国大統領卜会見シ両国間ニ存在スル太平洋全般ニ亙ル重要問題ヲ討議検討センコトヲ提議セリ。然ルニ合衆国政府ハ右申入ニ主義上賛同ヲ与へ乍ラ之ガ実行ハ両国間重要問題ニ関シ意見一致ヲ見タル後トスベシト主張シテ譲ラズ。
三、仍テ帝国政府ハ九月二十五日従来ノ合衆国政府ノ主張ヲモ充分考慮ノ上米国案ヲ基礎トシ之ニ帝国政府ノ主張ヲ取入レタル一案ヲ提示シ論議ヲ重ネタルガ双方ノ見解ハ容易ニ一致セザリシヲ以テ現内閣ニ於テハ従来交渉ノ主要難点タリシ諸問題ニ付帝国政府ノ主張ヲ更ニ緩和シタル修正案ヲ提示シ交渉ノ妥結ニ努メタルモ合衆国政府ハ終始当初ノ原案ヲ主張シ協調的態度ニ出デズ、交渉ハ依然渋滞セリ。茲ニ於テ十一月二十日ニ至リ帝国政府ハ両国国交ノ破綻ヲ回避スル為最善ノ努力ヲ尽ス趣旨ヲ以テ枢要且緊急ノ問題ニ付公正ナル妥結ヲ図ル為前記提案ヲ簡単化シ
(一) 両国政府ニ於テ仏印以外ノ南東亜細亜及南太平洋地域ニ武力進出ヲ行ハザル旨ヲ確約スルコト
(二) 両国政府ニ於テ蘭領印度ニ於テ其ノ必要トスル物資ノ獲得ガ保障セラルル様相互ニ協力スルコト
(三) 両国政府ハ相互ニ通商関係ヲ資産凍結前ノ状態ニ復帰スルコト、合衆国政府ハ所要ノ石油ノ対日供給ヲ約スルコト
(四) 合衆国政府ハ日支両国ノ和平ニ関スル努力ニ支障ヲ与フルガ如キ行動ニ出デザルコト
(五) 帝国政府ハ日支間和平成立スルカ又ハ太平洋地域ニ於ケル公正ナル平和確立スル上ハ現ニ仏領印度支那ニ派遣セラレ居ル日本軍隊ヲ撤退スベク又本了解成立セバ現ニ南部仏領印度支那ニ駐屯中ノ日本軍ハ之ヲ北部仏領印度支那ニ移駐スルノ用意アルコト等ヲ内容トスル新提案ヲ提示シ同時ニ支那問題ニ付テハ合衆国大統領ガ曩(サキ)ニ言明シタル通、日支間和平ノ紹介者卜為ルニ異議ナキモ日支直接交渉開始ノ上ハ合衆国二於テ日支和平ヲ妨碍セザル旨ヲ約センコトヲ求メタルガ、合衆国政府ハ右新提案ヲ受諾スルヲ得ズト為セルノミナラズ援蒋行為ヲ継続スル意思ヲ表明シ、次デ更ニ前記ノ言明ニ拘ラズ大統領ノ所謂日支間和平ノ紹介ヲ行フノ時機猶熟セズトテ之ヲ撤回シ遂ニ十一月二十六日ニ至リ偏ニ合衆国政府ガ従来固執セル庶則ヲ強要スルノ態度ヲ以テ帝国政府ノ主張ヲ無視セル提案ヲ為スニ至リタルガ、右ハ帝国政府ノ最モ遺憾トスル所ナリ。
四、抑々本件交渉開始以来帝国政府ハ終始専ラ公正且謙抑ナル態度ヲ以テ鋭意妥結ニ努メ屢々難キヲ忍ビテ能フ限リノ譲歩ヲ敢テシタルガ、交渉上重要事項タリシ支那問題ニ関シテモ協調的態度ヲ示シ合衆国政府ノ提唱セル国際通商上ノ無差別待遇原則遵守ニ付テハ本原則ノ世界各国ニ行ハレンコトヲ希望シ且其ノ実現ニ順応シテ之ヲ支那ヲモ含ム太平洋地域ニ適用スル様努力スベキ旨ヲ表明シ尚支那ニ於ケル第三国ノ公正ナル経済活動ハ何等之ヲ排除スルモノニアラザルコトヲモ闡明セルガ更ニ仏領印度支那ヨリノ撤兵ニ付テモ情勢緩和ニ資スルガ為前述ノ如ク南部仏領印度支那ヨリノ即時撤兵ヲ進ンデ提議スル等極力妥協ノ精神ヲ発揮セルハ合衆国政府ノ夙ニ諒解スル所ナリト信ズ。
然ルニ合衆国政府ハ常ニ理論ニ拘泥シ現実ヲ無視シ其ノ抱懐スル非実際的原則ヲ固執シテ何等譲歩セズ徒ラニ交渉ヲ遷延セシメタルハ帝国政府ノ諒解ニ苦シム所ナルガ特ニ左記諸点ニ付テハ合衆国政府ノ注意ヲ喚起セザルヲ得ズ。
(一) 合衆国政府ハ世界平和ノ為ナリト称シテ自己ニ好都合ナル諸原則ヲ主張シ之ガ採択ヲ帝国政府ニ迫レル処、世界ノ平和ハ現実ニ立脚シ且相手国ノ立場ニ理解ヲ持シ相互ニ受諾シ得ベキ方途ヲ発見スルコトニ依リテノミ具現シ得ルモノニシテ、現実ヲ無視シ一国ノ独善的主張ヲ相手国ニ強要スルガ如キ態度ハ交渉ノ成立ヲ促進スル所以ノモノニアラズ。
今般合衆国政府ガ日米協定ノ基礎トシテ提議セル諸原則ニ付テハ、右ノ中ニハ帝国政府トシテ趣旨ニ於テ賛同ニ吝ナラザルモノアルモ合衆国政府ガ直ニ之ガ採択ヲ要望スルハ世界ノ現状ニ鑑ミ架空ノ理念ニ駆ラルルモノト云フノ外ナシ。
尚日、米、英、支、蘇、蘭、泰七国間ニ多辺的不可侵条約ヲ締結スルノ案ノ如キモ徒ニ集団的平和機構ノ旧構想ヲ追フノ結果、東亜ノ実情卜逆離セルモノト云フノ外ナシ。
(二) 合衆国政府今次ノ提案中ニ「両国政府ガ第三国卜締結シ居ル如何ナル協定モ本取極ノ根本目的タル太平洋全域ノ平和確保ニ矛盾スルガ如ク解釈セラレザルコトニ付合意ス」トアルハ即チ合衆国ガ欧洲戦争参入ノ場合ニ於ケル帝国ノ三国条約上ノ義務履行ヲ牽制セントスル意図ヲ以テ提案セルモノト認メラルルヲ以テ右ハ帝国政府ノ受諾シ得ザル所ナリ。
由来合衆国政府ハ其ノ自己ノ主張卜理念トニ眩惑セラレ自ラ戦争拡大ヲ企図シツツアリト謂ハザルヲ得ズ。合衆国政府ハ一方太平洋地域ノ安定ヲ策シ自国ノ背後ヲ安固卜為シツツ他方英帝国ヲ援ケ欧洲新秩序建設ニ邁進スル独伊両国ニ対シ自衛権ノ名ノ下ニ進ンデ攻撃ヲ加へントスルモノナルガ、右ハ太平洋地域ニ平和的手段ニ依り安定ノ基礎ヲ築カントスル幾多ノ原則的主張卜全然矛盾背馳スルモノナリ。
(三) 合衆同政府ハ其ノ固持スル主張ニ於テ武力ニ依ル国際関係処理ヲ排撃シツツ一方英帝国等卜共ニ経済力ニ依ル圧迫ヲ加へツツアル処、斯ル圧迫ハ場合ニ依リテハ武力圧迫以上ノ非人道的行為ニシテ国際関係処理ノ手段トシテ排撃セラルベキモノナリ。
(四) 合衆国政府ノ意図ハ英帝国其ノ他ノ諸国ヲ誘引シ支那其ノ他東亜ノ諸地域ニ対シ其ノ従来保持セル支配的地位ヲ維持強化セントスルモノト見ルノ外ナキ処東亜諸国ガ過去百有余年ニ亙リ英米ノ帝国主義的搾取政策ノ下ニ現状維持ヲ強ヒラレ両国繁栄ノ犠牲タルニ甘ンゼザルヲ得ザリシ歴史的事実ニ鑑ミ右ハ万邦ヲシテ各其ノ所ヲ得シメントスル帝国ノ根本国策卜全然背馳スルモノニシテ帝国政府ノ断ジテ容認スル能ハザル所ナリ。
合衆国政府今次提案中仏領印度支那ニ開スル規定ハ正ニ右態度ノ適例卜称スベク仏領印度支那ニ関シ仏国ヲ除キ日、米、英、蘭、支、泰六国間ニ同地域ノ領土主権ノ尊重並ニ貿易及通商ノ均等待遇ヲ約束セントスルハ同地域ヲ六国政府ノ共同保障ノ下二立タシメントスルモノニシテ仏国ノ立場ヲ全然無視セル点ハ暫ク措クモ東亜ノ事態ヲ紛糾ニ導キタル最大原因ノ一タル九国条約類似ノ体制ヲ新ニ仏領印度支那ニ拡張セントスルモノト観ルベキモノニシテ帝国政府トシテ容認シ得ザル所ナリ。
(五) 合衆国政府ガ支那問題ニ問シ帝国ニ要望セル所ハ或ハ全面撤兵ノ要求卜云ヒ或ハ通商無差別ノ無条件適用卜云ヒ何レモ支那ノ現実ヲ無視シ東亜ノ安定勢力タル帝国ノ地位ヲ覆滅セントスルモノナル処、合衆国政府ガ今次提案ニ於テ重慶政権ヲ除ク如何ナル政権ヲモ軍事的政治的且経済的ニ支持セザルコトヲ要求シ南京政府ヲ否認シ去ラントスル態度ニ出デタルハ交渉ノ基礎ヲ根抵ヨリ覆スモノト云フベク、右ハ前記援蒋行為停止ノ拒否卜共ニ合衆国政府ガ日支間ニ平常状態ノ復帰及東亜平和ノ回復ヲ阻害スルノ意思アルコトヲ実証スルモノナリ。
五、要之今次合衆国政府ノ提案中ニハ通商条約締結、資産凍結令ノ相互解除、円弗為替安定等ノ通商問題乃至支那ニ於ケル治外法権撤廃等本質的ニ不可ナラザル条項ナキニアラザルモ他方四年有余二亙ル支那事変ノ犠牲ヲ無視シ帝国ノ生存ヲ脅威シ権威ヲ冒瀆スルモノアリ、従テ全面的ニ観テ帝国政府トシテハ交渉ノ基礎トシテ到底之ヲ受諾スルヲ得ザルヲ遺憾トス。
六、 尚、帝国政府ハ交渉ノ急速成立ヲ希望スル見地ヨリ日米交渉妥結ノ際ハ英帝国其ノ他ニ関係国トノ間ニモ同時調印方ヲ提議シ合衆国政府モ大体之二同意ヲ表示セル次第ナル処、合衆国政府ハ英、濠、蘭、重慶等卜屢々協議セル結果特ニ支那問題ニ関シテハ重慶側ノ意見ニ迎合シ前記諸提案ヲ為セルモノト認メラレ、右諸国ハ何レモ合衆国卜同ジク帝国ノ立場ヲ無視セントスルモノト断ゼザルヲ得ズ。
七、惟フニ合衆国政府ノ意図ハ英帝国其ノ他卜苟合策動シテ東亜ニ於ケル帝国ノ新秩序建設ニ依ル平和確立ノ努力ヲ妨碍セントスルノミナラズ日支両国ヲ相聞ハシメ以テ英米ノ利益ヲ擁護セントスルモノナルコトハ今次交渉ヲ通ジ明瞭卜為リタル所ナリ。斯クテ日米国交ヲ調整シ合衆国政府卜相携へテ太平洋ノ平和ヲ維持確立セントスル帝国政府ノ希望ハ遂ニ失ハレタリ。
仍テ帝国政府ハ茲ニ合衆国政府ノ態度ニ鑑ミ今後交渉ヲ継続スルモ妥結ニ達スルヲ得ズト認ムルノ外ナキ旨ヲ合衆国政府ニ通告スルヲ遺憾トスルモノナリ。
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