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渡部建“汗だく100分”会見の刃は安倍・菅コンビにこそ振るえ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/282265
2020/12/05
記者への誠意はゼロ(C)日刊ゲンダイ
前首相と現首相の会見時間を足しても、不倫謝罪会見に及ばないとは――。4日、安倍前首相は「桜を見る会」前夜祭の費用補填について釈明。菅首相は臨時国会の事実上の閉会を受け、就任以来約2カ月半ぶりに官邸内で会見を開いた。浮き彫りになったのは、権力とメディアのなれ合いだ。
◇ ◇ ◇
「報道について承知しているが、まだ何も聞いていない」
「桜を見る会」前夜祭の費用補填を巡り、東京地検特捜部からの任意聴取要請の有無について、こうスットボケた安倍前首相。捜査には「基本的に誠意をもって対応していく」と繰り返したが、質問には「お答えを控える」を連発するなど、記者への「誠意」はゼロだった。
幹事社が報道各社へ質問を促した直後、安倍氏は「ありがとうございました」と一方的に会見を打ち切り。去り際に、「きちんと話すつもりはないのか」と問いかけられた瞬間、記者団に向き直って「私が背を向けた段階で言わないでいただきたい」と逆ギレ。「今、申し上げた通りです」と言い捨てて、開始から3分でドロンだ。
言いたいことだけを言って立ち去るスタイルは「安倍政権の継承」を自任する菅首相にも受け継がれている。
首相就任直後を最後に4日まで、質問込みの正式な会見を開いてこなかった。やっとの会見で「機会があるときにぶら下がり(取材)などでメッセージを発してきた」と強弁したが、実際は退邸時などに1〜2分だけ有無を言わさずしゃべるだけ。4日も会見時間50分のうち冒頭18分を原稿のボー読みに費やした。
渡部建の会見は汗ダラダラで100分にも及んだ(C)日刊ゲンダイ
吉川元農相の「鶏卵疑惑」にどこも突っ込まず
メディアもメディアだ。吉川貴盛元農相の「鶏卵疑惑」について安倍氏や菅首相に質した社はゼロ。緊張感が欠けていた証拠に、菅首相は学術会議問題の影響を問われ、ニヤニヤしながら「かなり大きくなるんじゃないかと思った」と言い放った。終始、涼しげな顔は、多目的トイレでの不貞行為を散々なじられ、汗をダラダラ流しながら釈明に追われた、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建(48)とは対照的だった。
仕事復帰のタイミングや謝罪のあり方を追及した芸能リポーターたちの“ド詰め”は、視聴者が渡部に同情を覚えるほどの徹底ぶり。一芸人が不倫や復帰時期について100分もツルシ上げられているのに、前首相は疑惑に口を閉ざし、現首相は一方的な「メッセージ」が常態化。どう考えても異常な光景だ。
「首相が事前に用意された想定問答を読みあげるだけという慣習を破れないのは、メディアにも責任があるし、政権となれ合っているようにも見えます。菅政権にも『桜』や『学術会議』『Go To キャンペーン』など、突っ込むべき課題が山ほどある。こうした問題こそ、政権側と記者が100分でも200分でも丁々発止のやりとりをしなければなりません。政権の抱える問題を徹底追及しないのに、不倫問題をここぞとばかりに突っ込んでいる姿を見せられたら、メディア不信は高まるばかりです」(法大名誉教授の須藤春夫氏=メディア論)
政権とメディアのなれ合いこそ、菅首相の言う「悪しき慣習・前例」である。少しは「渡部会見」で見せた刃を振るったらどうか。
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