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自民・二階幹事長に支配された日本の政治の絶望…燻る“菅首相降ろし”、無投票再選も
https://biz-journal.jp/2020/11/post_191215.html
2020.11.16 20:00 文=編集部 Business Journal
「自民党の公式サイト」より
11月12日、菅義偉首相が二階俊博自民党幹事長と昼夜2度続けて会食した。異例のことだけに自民党内がざわついた。菅首相は、昼は二階氏とその側近の林幹雄幹事長代理の2人を官邸に招き、蕎麦で接待。夜は東京都内のホテルの日本料理店で二階氏、林氏に加え、小池百合子東京都知事と夕食を共にした。
菅首相と小池都知事は新型コロナウイルス対策をめぐってたびたび対立するなど「不仲説」がささやかれている微妙な関係。二階氏が2人の間を取り持って、引き合わせたのは間違いない。電光石火の仕掛けによって、先の総裁選で自民党の主要派閥が菅首相誕生へ雪崩を打って支持する道筋をつけた二階氏が、菅首相の「後見役」としての立場や自身が主導権を握っていることを党内に見せつけたかたちだ。
二階氏の権勢誇示は、衆議院の解散総選挙をめぐる発言にも見てとれる。11月10日の記者会見では、「米国の選挙がすぐ日本の解散に響くわけではないが、いろいろな要素を考えながら慎重に対応していきたい」と発言。アメリカでバイデン新政権がスタートする来年1月20日以降となる首相の訪米が、解散の時期に影響する可能性に含みを持たせた。
ところが、「ならば1月解散はない」という見方が広がりかけると、12日のTBSのCS番組で「米国に行くことと解散は関係があるようで実際はない」と、永田町の空気を否定するかのような見解を示した。かと思えば、翌13日のBSフジの番組では、「(菅首相は)『就任以来10カ月だとか、1年足らずでこれだけのことをした。支持をいただきたい』というかたちの解散を頭に描いているかもしれない」と発言し、早期解散を否定したうえで総選挙の時期にまで踏み込み、来年夏〜秋という想定を披露した。
12日の番組では、来年9月末の首相の党総裁任期満了までに総選挙が行われ、自民党が勝利すれば菅首相の無投票再選が望ましいという考えも示し、「選挙で勝てばそういう落ち着き方になる可能性はある」とも言及している。
「二階氏は以前、安倍氏3選の流れをつくった時のように、来年の総裁選についても自分が流れをつくるつもりなのだろう。菅首相の予算委員会での答弁がひどすぎたので、党内では早くも来年の通常国会を乗り切れるのか、と不安視する声が上がっていて、すんなり来年の総裁選も菅さんで、という空気にはなっていない。二階氏が踏み込んだ発言を繰り返すのは、ガタガタしている党内を牽制する狙いもある」(自民党ベテラン議員)
■“ポスト菅”
そんななかで、ひときわ元気なのが安倍晋三前首相だ。12日、安倍氏の出身派閥である清和会(細田派)の政策勉強会が議員会館の会議室で開かれ、今は無所属の安倍氏が講師として招かれた。こうした勉強会は通常、メディアに頭撮りさせるのに、この日は完全にシャットアウト。勉強会には安倍氏の派閥復帰や領袖就任を熱望する面々など50人近くが集まった。どうやら領袖の細田博之会長に遠慮して、内密に開催したようだ。
体調悪化で退陣した安倍氏だが、党内では早くも「再々登板」の声まで出ている。安倍氏への期待感は裏を返せば、自身の後継である菅首相の否定を意味するのに、安倍氏は上機嫌で高みの見物を決め込んでいるように見える。
安倍氏は11日には、自身の応援団だった「アベノミクスを成功させる会」を衣替えした「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」の会長に就任。12日に共同通信、13日には時事通信のインタビューを受け、メディアへの露出も高めている。インタビューでは、「菅首相が解散総選挙に勝てば当然続投」「(自身の再々登板については)考えていない」と言っていたが、本心はどうなのか。
「現時点で自身の3度目の首相就任は念頭にないと思う。しかし、菅首相に対しては少なからず不満があるようです。安倍政治の継承と言いながら、安倍氏が退陣前に示した『敵基地攻撃能力のあるべき方策を年末までに示す』というのを反故にしようとしているし、憲法改正についても関心が低い。安倍氏の盟友の麻生太郎財務相も、閣内にはいるものの菅首相との距離をさらに広げていて、第3次補正予算案の編成にも渋い顔です。今後の菅内閣の支持率次第ですが、下がってくれば細田派や麻生派は菅首相ではない別の顔を立てて動くことになるかもしれない」(安倍氏に近い議員)
細田派では、派内をまとめられるかどうかは別として、下村博文政調会長が来年の総裁選出馬に意欲満々。前述の政策勉強会でもわかるように細田派は事実上の安倍派なので、細田派の動向は安倍氏次第ということになる。
麻生氏も「菅首相続投はNO」ということになれば、自派閥の河野太郎行革担当相を担ぐ可能性が出てくる。もっとも、河野氏については「事実上の菅首相後継狙い。つまり菅首相が続投するなら総裁選出馬を1回見送るだろう」(菅首相に近い無派閥議員)という見方もある。その場合、麻生氏は“大宏池会”で岸田文雄前政調会長を担ぐかもしれない。
竹下派でも茂木敏充外相がかねてより総裁選出馬への色気を見せている。茂木氏は最近、閣内で麻生氏に接近中という。
「菅首相が来年の総裁任期満了までに解散総選挙を打てるかどうかだ。できなきゃ追い込まれ、解散せずに短命で終わることもあり得る」(前出の自民党ベテラン議員)
細田派も麻生派も竹下派も、二階氏が我が世の春を謳歌し続けることを面白く思っていない。来年の秋に向け、さまざまなシナリオがありそうだ。
(文=編集部)
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