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11月1日廃止されるのは大阪市ではなく民主主義ではないか ファクトチェック・ニッポン!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/280563
2020/10/28 06:00 更新日:2020/10/28 19:08
大阪都構想住民投票で何が変わる!?(C)日刊ゲンダイ
11月1日、大阪市民は大きな選択を迫られる。住民投票だ。一般に「都構想をめぐる」とされるが、正確には、「大阪市を廃止して特別区を設置すること」を問うものだ。具体的には、中核市規模の4つの特別区に分割する。
賛成派は、これによって大阪市が持つ広域行政の機能が大阪府に一元化され、互いが張り合うように政策を実行した二重行政の無駄がなくなる上、大阪市の持つ基礎自治体としての機能は、より住民に身近になると主張する。反対派は、そもそも二重行政の弊害が明確ではない上に、政令指定都市として大阪市が得ていた財源を失うことで特別行政区は財政的に行き詰まり、市民サービスの低下を招くという主張。
大阪市民の私は既に投票しているが、投票の結果より気になるのは、この間の議論だ。正直に言おう、賛成派、反対派のどちらも冷静に議論しているとは思えない。誤解を恐れずに言うなら、11月1日に廃止されるのは大阪市ではなく民主主義ではないかと感じる。
例えば、物事にはメリットとデメリットがあるが、賛成派はメリットのみを言い、反対派はデメリットばかり言う。とても議論にならない。反対派の意見で気になるのは、「大阪市をなくしてはいけない」という情緒的な訴えだ。それは私がもともと大阪の人間ではないからかと思ったが、生まれも育ちも大阪の知人でそう語る人は少なくない。「一度廃止されたら(大阪市に)戻れない」とも言う。それは既に政策論ではない。
一方で、賛成派の意見では、根拠の曖昧な夢物語を聞かされることが多い。賛成派の大阪府議が、「東京は東京市を廃止して23区になったことで投資を呼び込んだ」と述べていた。東京が東京市を廃止したのは1943年。戦前だ。これは太平洋戦争の戦況悪化から本土空襲が懸念される中で、内務省の役人が務めていた東京知事に権限を集中させるという戦争遂行上の必要性から生じたものだ。投資は関係ない。
では、戦後の復興はどうだろうか? 羽田空港の開港や東京オリンピックなどの国家的なプロジェクトが東京で行われたことに理由を見る方が自然だろう。では、投資はどうか? これは許認可権を独占している中央官庁の集中する東京に大手企業が本社を置いたということだろう。ちなみに、東京23区が設置している特別区制度調査会は、「都区制度はあくまでも住民生活のための制度であって、成長のための制度ではない」と断じている。
加えて不思議なのが、大阪市が出している特別区の設置による「経済効果」だ。「10年間で累計約1・1兆円の『財政効率効果が発現する』」と試算したのは学校法人嘉悦学園だ。なぜこの学園の試算を信じられるのか? 私にはわからない。
私には、反対派と賛成派の議論は「情緒」VS「夢物語」に見える。この内容から、私がどちらに投票したかは推測できるかもしれない。ただし、私は都構想のような地方自治を考える議論に否定的ではない。むしろ、地方自治の在り方は多角的に検討すべきと考えている。そのためにも強調したい。失ってはいけないのは民主主義だ。
立岩陽一郎 ジャーナリスト
ジャーナリスト、1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー。
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