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【飛び交う組閣情報でよぉーく分かった】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 13, 2020
菅に仲間なし 打算と利害の人間関係https://t.co/q3BpL5pqF3
※文字起こし
ポスト安倍を決める自民党総裁選の投開票まであと2日。6日間の選挙戦は最終盤に入ったが、番狂わせは期待できそうにない。
国会議員票394票の8割を固め、都道府県票141票の過半数を確保した菅官房長官の圧勝は揺るがず、「菅政権」を見据えて総乗りした5派閥による猟官運動の方が盛り上がっている状況だ。
真っ先にスガ支持を打ち出し、「菅雪崩」のきっかけをつくった二階派(47人)のドン・二階幹事長は満願成就で続投がほぼ決まり。争奪戦になっているのが、内閣の要かつスポークスマンの官房長官だ。「問題ない」「問題ないという報告を受けている」「指摘は当たらない」などと都合の悪い質問をはねつける「最強の官房長官」の後継には、論功行賞として森山国対委員長(石原派=11人)の起用が取り沙汰される。安倍首相が抱える数々の疑惑を追及する野党を封じ込めた菅―二階―森山のトライアングルの一角だ。安倍の辞意表明翌日、菅が二階に出馬意向を伝えた会談にも同席し、「菅総裁」の誕生に向けて一役買った。
組閣や党役員人事をめぐり、菅は「各派閥からの要望は受け付けない。事前に打ち合わせなどはしない」「改革意欲のある人をまず優先して考えたい」「専門的立場の人も優先した方がいい」などと言っているが、真に受ける人間などいない。だからこそ、総裁選の流れをつくった二階の向こうを張り、安倍の出身派閥で党内最大の細田派(98人)の細田博之会長、アベの盟友で麻生派(54人)を率いる麻生副総理兼財務相、竹下派(54人)の竹下亘会長がそろって会見。スガ支持を表明して貸しをつくったのだ。密室政治の産物としては先輩格の森元首相がキングメーカー気取りで「官房長官と党三役を取れ」とハッパをかけ、萩生田文科相やらコロナ担当の西村経済再生相を押し込もうとしている。麻生は自身の留任を視野に入れ、竹下派は茂木外相の続投や党四役ポストも求めているという。そして、5派閥に共通しているのは、衆院当選6回以上などの「入閣待機組」の初入閣である。
理念なき権力欲の危うさ
飛び交う組閣情報でよぉーく分かったのは、菅には志を同じくする仲間などいないということ。ポスト安倍と対立して冷や飯食いはゴメンとばかりに、勝ち馬に殺到しているだけなのだ。
政治評論家の森田実氏は言う。
「安倍首相は7年8カ月も政権を握ってきましたが、国民のために成し遂げたことは何もない。長くやったというだけ。アベ政治の継承を掲げる菅長官はとどのつまり、首相の座に就いても何もやらないということ。堂々とハリボテ内閣を継続すると宣言しているのです。国民が聞きたいのは、携帯電話料金の引き下げといった細かい方針ではなく、いかなる社会をつくろうとしているか、です。理想を訴える石破元幹事長や岸田政調会長は泡沫扱いされ、総裁選の中心にいる菅長官は何も語らない。理想も理念もないのに、権力を欲しがる政治家は危険極まりない。容易に時流にのみ込まれ、影響力のある人間に巻き込まれてしまいますよ」
菅は「雪深い秋田の農家の長男」「高卒で単身上京し、段ボール工場に勤務」「地方議員出身の叩き上げ」と苦労人エピソードで庶民性をアピールし、「パンケーキ好き」で親近感を得ようとしているが、しょせん付け焼き刃。結局、菅には人間味がないのだ。国家観がないのだ。むしろ、総裁選を通じて浮き彫りになったのは、怪しさが付きまとう人脈ばかりだ。
見え隠れする「観光利権」「デジタル利権」 |
菅は総裁選向け政策パンフレットで〈Go To キャンペーンをはじめ、感染対策をしっかり講じることを前提に、観光など新型コロナによってダメージを受けた多くの業種を支援します〉とうたっているように、1・3兆円の巨額予算を投じる観光支援策「Go To トラベル」を前のめりで旗振りしている。裏で糸を引いたのが、観光族議員のドンとしての顔も持つ二階だ。二階は全国約5600社の旅行業者を傘下に収める「全国旅行業協会」の会長を1992年から務めている。一方の菅は、成長戦略にインバウンドを掲げ、「2030年までの訪日外国人6000万人達成」を推し進めてきた。菅と二階が手を組んだのは強烈な権力欲にとどまらず、観光利権もまたしかりなのである。
そして、菅と二階が「観光の目玉」として推進しているのがIR(カジノを含む統合型リゾート)だ。菅は地元の横浜市に、二階もまたお膝元の和歌山への誘致に躍起になっている。IR汚職で4度も逮捕された秋元司衆院議員は自民党を離党したものの、二階派の特別会員として手元に置いていることからも、力の入れようがうかがいしれる。
菅が省庁再編案に上げる「デジタル庁」の新設もうさんくさい。「行政のデジタル化は(各省庁の)縦割りが大きな障害になっている。強力に推進する体制づくりが必要だ」と力説し、デジタル庁に司令塔の役割を担わせてマイナンバー制度を軸とする行政のデジタル化を加速させるというのだが、その先に見え隠れするのは、あの竹中平蔵氏が熱を入れる「スーパーシティー」だ。加計疑惑で全国区の知名度を得た国家戦略特区を利用し、キャッシュレス決済、自動走行車両の導入、行政手続きのIT化などデジタル生活に特化した自治体をつくるという構想である。デジタル化の大義名分の下、個人データが丸裸にされ、第三者にわたる懸念が指摘されているが、コロナ禍を奇貨とばかりに動きは加速。これを後押しする「地方創生・未来都市推進議員連盟」の呼びかけ人には菅も二階も名を連ねている。
「最高善」と乖離する自民党政治
菅の周りにいるのは既得権益をさらに囲い込もうという輩、あるいは規制緩和で生まれる新たな利権に目がない連中ばかりである。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏が呆れ顔で、こう言う。
「そう多くない候補者討論でさえ、菅長官の薄っぺらさは隠しようがなくなっています。憲法改正をめぐり、政府見解に真っ向反する〈自衛隊の立ち位置が憲法の中で否定されている〉とTBSの番組で失言し、翌日に慌てて修正。それに懲りず、テレビ東京の番組では〈将来的なことを考えたら行政改革を徹底した上で、国民にお願いして消費税は引き上げざるを得ない〉と消費増税に踏み込んだ。波紋が広がると、また翌日に〈安倍晋三首相は今後10年上げる必要がないと発言した。私も同じ考えだ〉と修正です。増税の必要性について『△』とした石破元幹事長と岸田政調会長の鼻を明かしてやろうと強く出たものの、派閥の領袖クラスに〈解散したらヒドイ目に遭うぞ〉とでも脅されて慌てたのでしょう。軽い神輿として担がれているのが伝わってきます」
打算と利害の人間関係。国の基本理念に「自助・共助・公助」を掲げ、弱肉強食を是とする新自由主義的発想を隠そうともしないのだから、当然の帰結である。
「最も古い政治学のテキストであるアリストテレスの倫理学は、〈最高善は政治の領域にある。善こそが政治の目的でなければならない〉としています。つまり、政治は国民大衆の幸福を追求すること、と言っているのです。政治とはそれほど高い理念を求められるものなのに、自民党は大きくかけ離れてしまっている」(森田実氏=前出)
恐るべき薄っぺらな男を担ぎ、群がる連中の猟官運動の浅ましさ。国民一人一人の脳裏にしっかりと焼き付けておく必要がある。
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