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※2020年9月9日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
https://twitter.com/Trapelus/status/1303598172179066880
※文字起こし
<論戦本格化>
<波乱はあるか>
<菅氏優勢、追う岸田・石破氏>
自民党総裁選が8日告示されたのを受けた新聞夕刊の見出し。テレビも記者が、自民党本部前で「いよいよ論戦が始まった」みたいなリポートをしていた。国会議員票の7割を固めた菅官房長官が、石破元幹事長と岸田政調会長を退けて勝利するのは確実。それはメディアが一番よく分かっているのに、しらじらしすぎやしないか。
今度の総裁選で「菅圧勝」の流れをつくったのは、二階派を筆頭に麻生派、細田派、竹下派、石原派の5派閥だった。安倍首相の辞意表明直後に「党員投票なしの簡易型総裁選」の道筋をつけ、電光石火で「菅支持」を決めた二階幹事長の動きに他派閥が慌てて雪崩を打った結果なのだが、それにメディアも積極的に加担した。派閥の“密室談合”を垂れ流し、「菅で決まり」をもり立て、国民に刷り込んだのだ。
特にこの1週間のテレビ報道は酷かった。
出馬表明会見や8日の所見発表演説会でも分かるように、菅はアベ政治の継承を繰り返すだけで、マトモに政策や国家観を語ることができない。だから、「秋田の農家出身」「高卒で上京し、段ボール工場に勤務」「地方議員からの叩き上げ」といった苦労人エピソードに頼るしかない。ところがテレビは、そうした浪花節が大好物。美談に仕立て上げ、コメンテーターもヨイショして盛り上げる。
国民が知りたいのは、グダグダのコロナ対策や落ち込んだ経済を、これからどう立て直すのかなのに、告示までに菅、石破、岸田の3人が揃った討論会は皆無だった。6日のNHK「日曜討論」で行われるはずだったが、菅は台風対応を理由にドタキャン。自民党関係者は、「討論だとどうしても比較される。石破さんと一緒に出演したら、政策がないのがバレてボロが出るから嫌なんだろう」と言ったが、初めて3人が揃って出演した8日夜の「報道ステーション」では、菅の苛立った様子が見てとれた。
メディアは政治部中心に、菅シンパが多い。菅は下戸なのに、1次会、2次会、3次会と「3階建て」で宴会に顔を出すほど付き合いがいい。長期にわたって権力中枢に座している菅にメディアがなびき、「菅首相」を前提に紙面や番組が作られ、その結果、世論調査で菅が石破を逆転して「ポスト安倍」のトップに躍り出る、というデタラメなのである。
法大名誉教授の須藤春夫氏(メディア論)はこう言う。
「菅氏は短期間であっという間に首相候補の本命になった。出馬した理由は安倍政権の『継承』ですが、果たしてそれが日本社会や国民にとって利益になるのかどうか。そこが重要なのに、メディアは冷静な検証をほとんどすることなく、派閥と一緒に勝ち馬に乗っかって、総裁選を『お祭り』にしている。テレビは特に酷く、菅氏の経歴を物語仕立てにして、国民の目くらましに一役買っている。ジャーナリズムを完全に放棄しています」
疑惑を封印する「腐敗政権の守り神」 |
菅は、総裁選告示前からメディアのインタビューで新政権の人事に言及し、「派閥からの要望は受け付けない」「改革意欲のある人、専門的立場の人を優先したい」と語っていた。
世論の批判をかわす狙いなのは明らかだ。菅は過去に「派閥解消」を掲げてきた。それなのに、総裁選では主要5派閥の丸抱え。矛盾を突かれての強弁なのだろう。大真面目に報じる新聞もどうかしている。
既に5派閥の間では、閣僚ポストや党執行部人事をめぐってシ烈な主導権争いが勃発している。麻生、細田、竹下の派閥領袖3人が揃って異例の記者会見を開き、二階派を牽制したのは序の口。菅の選挙対策本部の人事では、「なぜ二階派がこんなにたくさんいるのか」と他派が反発したというし、20人の推薦人についても、あえて「入閣待機組」の名前を載せて「猟官運動」をやっているのだから醜悪すぎる。これほどの派閥の強い意向を、菅が無視できるわけがない。
8日は菅と同じ神奈川県連所属で、菅が目をかけている河野防衛相が閣議後会見で、財務相や経済産業相など「経済閣僚」就任に意欲を示していると受け止められる発言をしたという。河野は麻生派所属。麻生派内には、「総裁を目指すなら経済閣僚をやっておいた方がいい」との声があるらしい。河野が重要閣僚に登用されれば、麻生派はシメシメということだ。
菅の繰り返す「安倍政治の継承と発展」。これは安倍の「負の遺産」の継承でもある。「モリカケ」「桜」「IR贈収賄」「河井夫妻の選挙買収」。菅を担ぐ派閥のボスの麻生と二階は、菅とともに安倍政権の屋台骨であり、これら不祥事の“共犯関係”。不都合な真実を、一蓮托生で隠蔽して、墓場まで持って行くつもりなのだろう。「ポスト安倍」が、パンドラの箱を開けかねない石破では、絶対に困るのだ。
そんな腐臭漂う首相選びを、自民党全体が受け入れる異様。それが今度の総裁選の本質なのである。
政治評論家の森田実氏が言う。
「麻生氏は首相までやったのに財務相に就いて安倍氏を支え、権力の甘い汁を吸ってきた。そういう人たちが今度は菅氏を担いで体制維持を図ろうとしています。安倍政権は道徳的に破綻した政権でした。安倍政権を継承する菅氏は『腐敗政権の守り神』になろうとしているのです」
8日の菅の出陣式は、ホテルニューオータニの鶴の間で行われた。「桜を見る会」で、安倍の後援会が、疑惑の前夜祭を開催したのと同じ会場だ。そこまで継承するのは、疑惑を封印するという強い意思表示なのか。
安倍政権の「相似形」では日本に未来はない
今度の総裁選は、前代未聞の壮大な茶番劇だ。それを知りながら、メディアは実態を報じず、菅の支持率アップを後押しするような実況中継のイカサマなのである。
党員投票が実施されないことについても、最初こそ批判はしたが、国会議員票が菅に雪崩で尻すぼみ。むしろ、ほとんどの地方県連が独自に予備選を行うことになり、党員の声が反映されると“お墨付き”を与えているような状態だ。
予備選は、36府県連が、地方県連に割り振られた3票を得票数に応じて配分する「ドント式」を採用。得票数が最も多い人に3票全てを与える「総取り」はわずか8都道県で過去最少だ。「ドント式」は票が分散するので、いくら石破の党員人気が高いとはいえ、地方票での圧倒は至難の業。正式な党員投票ではないし、わずか3票なので、地方票への国会議員の影響力を排除することは難しい。
もはや正視できない狂乱の総裁選。ベテランの船田元・元経企庁長官が自身のウェブサイトに次のように書いている。船田は竹下派だが、菅不支持を明言した。
<私は残念ながら菅官房長官を支援することは出来ない。なぜなら菅政権は安倍政権の「相似形」だからである。2年前の総裁選でも白紙投票しており、今回もその相似形を推すことはできない。安倍政権はアベノミクスや外交面で評価のある一方、賃金が伸びないこと、格差が拡大したこと、森友・加計問題や河井問題など、いくつかの負の遺産を背負っている。これらを払拭して新しい局面を作らないと、国民の自民党に対する信頼は容易に回復できないと考えている>
政権にモノ申してきた村上誠一郎・元行革相(無派閥)や中谷元・元防衛相(谷垣グループ)は石破の推薦人になった。
「総裁候補の3人で唯一、正しいことを言っているのは石破氏です。安倍政治を転換しなければ日本に未来はありません」(森田実氏=前出)
石破票はどこまで伸びるだろうか。これからが「本格的な論戦」と言うメディアが、来週14日の投票日まで少しでもまっとうな報道をするのかどうかである。
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