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巨大補正予算を透明公正に配分しない安倍内閣
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2020年8月 5日 植草一秀の『知られざる真実』
4月7日に安倍内閣が発表したコロナ経済対策。 安倍首相は事業規模108兆円を強調したが、みそくそ一緒の数字の積み上げに何の意味もない。 108兆円のなかの26兆円が税金や社会保険料の支払い猶予、45兆円が企業の資金繰り支援だった。 108兆円のうち71兆円が景気対策でない。 財政支出は39.5兆円とされたが、これは、 1.昨年12月の総合経済対策 9.8兆円 2.本年2月の緊急対応策 0.5兆円 3.4月の緊急経済対策 29.2兆円 を足し合わせたもの。 しかも、39.5兆円のなかの12.5兆円は財政投融資で財政支出でない。 財政支出は3回の対策合計で27兆円しかなかった。 27兆円の内訳は、 1.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発 2.5兆円 2.雇用の維持と事業の継続 12.2兆円 3.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復 2.8兆円 4.強靱な経済構造の構築 8.0兆円 5.今後への備え 1.5兆円 3と4の10.8兆円、5の1.5兆円は官僚利権予算。 感染対策の2.5兆円も厚労省利権予算で、実質的にコロナ経済対策と言える部分は12.2兆円しかなかった。 国民に対する給付金は条件付き30万円だった。 予算規模は4兆円だった。 国民から批判が噴出して、条件なし10万円給付に政策が変更された。 予算規模は4兆円から13兆円に拡大された。 経済対策の実態部分=真水は一般会計補正予算の規模になるが、108兆円の経済対策に盛り込まれた一般会計補正予算の規模は16.7兆円に過ぎなかった。 国民への給付金が一律10万円に変更されて、補正予算の規模は25.7兆円に拡張された。 13兆円の一律給付金は、基本的にすべての国民に給付される透明、公正な財政支出である。 安倍内閣はコロナ問題の拡大を踏まえて第二次補正予算を編成した。 一般会計の第二次補正予算の規模は31.9兆円に膨張された。 第一次補正25.7兆円と第二次補正31.9兆円を合わせると57.6兆円の規模に達する。 巨大な財政支出が追加されることになった。 ところが、第二次補正予算では予備費に10兆円が計上された。 予備費は内閣が独断で支出を決定できるもの。 財政民主主義に反する例外的な予算費目だが、この予備費に10兆円の巨額が計上された。 合計58兆円もの補正予算を編成するなら、 消費税率ゼロを2年間実行=44兆円の施策 一律10万円給付=13兆円の施策 を実施しておつりが出る。 貴重な財政資金を透明・公正に配分するべきなのだ。 ところが、安倍内閣は透明・公正な財政支出を嫌う。 透明公正な財政支出は利権と票に直結しないからだ。 GoToトラブルキャンペーンに1.7兆円もの国費が投入される。 自公を支持する業界を選別して財政資金を投下すれば、政治献金としてキックバックされること、選挙の際の集票マシーンとして活動することが期待できる。 この理由で安倍内閣は財政支出の透明・公正化を徹底して嫌う。 GoToトラブルキャンペーンでは、特定の宿泊施設、全国旅館政治連盟、国観連政経懇話会、旅館ホテル政経懇話会などからの財政資金のキックバックを期待できる。 財政資金を用いた利益供与が行われ、利権政治屋に対するキックバックが実行される図式が鮮明だ。 こうした利権財政の根絶が求められている。 次の総選挙では経済政策が焦点になる。 安倍内閣の利権財政を排して、透明・公正な財政資金配分を実現することが最重要の課題である。 |
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