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5歳未満のコロナウイルス保有量「大人の10〜100倍」のナゾ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/276795
2020/08/03 日刊ゲンダイ
冬に子どもたちから病気をうつされることはよくあるが…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
子供から大人に感染しているのか――。新型コロナウイルス感染者のうち、成人よりも幼児の方が多くのウイルスを保有していることが判明し、話題となっている。
研究結果を発表したのは、米シカゴの小児感染症の専門家チーム。米国医師会雑誌に発表されたリサーチレター(査読期間の短い論文)によると、今回の研究では、シカゴの医療センターで行われたドライブスルー検査や入院患者、外来患者から採取したPCR検査時のスワブ(綿棒)を分析・比較したという。
対象となったのは、コロナ感染による症状の発症から1週間以内の軽症・中等症の患者145人。論文によると、5歳未満(46人)、5〜17歳(51人)、18〜65歳(48人)の3つのグループを比較したところ、なんと、5歳未満のウイルス量が年上の子供や成人の約10〜100倍に達したという。ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)がこう解説する。
「幼児は初めのうち、ウイルスに対する抗体を持っていません。成長する過程でいろんなウイルスに感染して免疫ができます。だから、年長になるにしたがって感染しなかったり、体内のウイルス量が増えなかったりするのです。ただ、感染した場合に体内でどの程度増えるのかは、ウイルスによって異なります」
幼児は大量にウィルスを持っているが感染させづらい?(仮設医療施設で新型コロナウイルスの検査を受ける子ども=米ロサンゼルス)/(C)ゲッティ=共同
幼児が媒介しているのか |
気になるのは、新型コロナウイルスの保有量の高い幼児が“スプレッダー”になってしまうのかどうかだ。今回の研究は、幼児が伝染させやすいのかどうかを調べていないが、論文を書いた医師は米CNNの取材にこう答えている。
「どんな小学校の教師や小児科医も、幼児がウイルスの小さな媒介者たちだと言うでしょう。私たち(大人)が冬に子供たちから病気をうつされることはよくありますから」「他の似たようなウイルスを考えてみると、子供たちが伝染させることも考えられます」
一方、感染者の接触歴を年齢別に比較した韓国の研究によると、0〜9歳の子供が家族に感染させた事例は全体のわずか5%程度だったという。幼児は大量にウイルスを持っているが、感染させづらい――。こんなことがあり得るのか。
「新型コロナに関して言えば、ウイルス量と感染力は必ずしも比例しないということでしょう。ウイルス量というよりも、どういう行動をするかが、感染する・させる要因だと思います。幼児は家庭内にいることが多いため、外に感染を広げることは考えにくい。『ウイルス量が多いイコール感染させやすい』と判断するのは早計です」(左門新氏)
ナゾを解くためには、新たな疫学調査を待つしかなさそうだ。
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