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レジ袋の有料化が、プラスチックごみの削減にならない理由
https://diamond.jp/articles/-/241840
2020.7.1 5:40 垣田達哉:消費者問題研究所代表、食品問題評論家 ダイヤモンド・オンライン
7月1日からレジ袋(プラスチック製買い物袋)の有料化がスタートする。その大きな目的の一つはプラスチックごみ削減にある。だが、有料化がプラスチックごみの削減につながるかどうかは甚だ疑問だ。ではなぜ、政府はレジ袋の有料化に踏み切るのか。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
レジ袋有料化の目的は
ライフスタイルの見直し
Photo:Diamond
7月1日から、レジ袋(プラスチック製買い物袋)の有料化がスタートする。
だが、目的はあくまでも「レジ袋削減」であり、詳しくは後述するが、「プラスチックごみ削減」につながるかどうかは、かなり疑問である。
政府もそれは承知している。
経済産業省のホームページでは、レジ袋有料化の目的について「普段何げなくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとする」としている。
つまり、「レジ袋を有料化することでレジ袋が削減できれば、プラスチックごみは減るだろう」とは思っていないのだ。
7月1日から、レジ袋(プラスチック製買い物袋)の有料化がスタートする。
だが、目的はあくまでも「レジ袋削減」であり、詳しくは後述するが、「プラスチックごみ削減」につながるかどうかは、かなり疑問である。
政府もそれは承知している。
経済産業省のホームページでは、レジ袋有料化の目的について「普段何げなくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとする」としている。
つまり、「レジ袋を有料化することでレジ袋が削減できれば、プラスチックごみは減るだろう」とは思っていないのだ。
プラスチックごみが
減らない2つの理由
なぜ、レジ袋を削減してもプラスチックごみは減らないのか。
大きく分けて2つの理由がある。
1つは「ごみ袋の需要が増える」ことだ。
レジ袋は、スーパーだけではない。ドラッグストア、家電量販店、ホームセンター、衣料品、玩具店、書店、カー用品店、お土産店など、消費者はあまり意識していないが、意外と多い。それだけレジ袋を多く手に入れていて、ほとんどの消費者は、ごみ袋などに再利用している。
レジ袋は「伸びる、丈夫、縛ることができる」という便利さがある。持ち手があることで縛ることができ、密閉性もあるので、においも閉じ込めることができる。
その利便性から、生ごみ用の袋に活用している家庭は多い。犬の散歩時に、フンを入れる袋としての利用もある。ごみ箱の内袋としても、その大きさ・容量などがピッタリだ。
小さく折りたたむことができ、かさばらないので、バッグに1〜2枚入れておけば、買い物時などに何かと便利だ。簡易的なマイバッグであり、レジ袋の再利用(リユース)にもなる。レジ袋は、非常に使い勝手が良いのだ。
こんな便利な袋が、無料で手に入らなくなる。そうなれば当然、その代替となるごみ袋を買わなければならない。できれば、レジ袋と同じ持ち手(とって)のあるごみ袋がよい。ホームセンターなどの小売店やネットでも販売しているが、1枚数円する。それならば、小売店でレジ袋を買った方が、持ち帰り袋と家庭でのごみ袋として利用できるので、便利で安いかもしれない。7月から、小売店でのレジ袋やごみ袋の売り上げが増える可能性が高い。
こうしたごみ袋の大半はプラスチック製である。レジ袋が削減できても、代替のプラスチック製袋の需要が増えれば、プラスチックごみは減らない。
もう1つは「バイオマス25%のレジ袋は無料」ということだ。
有料化の対象外となる買い物袋には、(1)プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの(2)海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの(3)バイオマス素材の配合率が25%以上のもの――の3つがある。
バイオマス(動植物に由来する有機物)プラスチックは、原油、石油ガス、可燃性天然ガス、石炭を除いた資源から作られているが、25%程度では生分解されるものではない。普通のプラスチックごみと大差はない。
では、なぜ有料化の対象外となったかというと、化石燃料素材ではないので「地球温暖化対策に寄与する」という理由だ。
つまり、プラスチックごみ削減とは別次元のことで対象外となっている。
小売店の支出が減り
消費者負担が増す
消費者がレジ袋やごみ袋にお金を支払う一方で、小売店は、今まで経費であったレジ袋が商品となり売り上げに寄与する。
日本で流通するレジ袋を年間300億枚(諸説あり)とすると、大きさはいろいろあるが、平均1枚4円で1200億円の計算になる。
例えば、年間1億枚のレジ袋を使用する大手小売店は、有料化でどれだけの恩恵があるか。
仕入れ金額が2円(税込み)で、利益を取らずに1枚2円(税込)で販売する場合、2割の客がレジ袋を購入すれば、2000枚×2円=4000万円が売り上げとなる。
今まではレジ袋購入に2億円(1億枚×2円)を支出していたが、レジ袋有料化により、利益が0円としても支出は2億円減り、さらに売り上げは4000万円増えることになる。
そして、小売店が潤う分、そのすべてが消費者の負担になる。
すでに一部の小売店や飲食店では、バイオマス素材を25%以上配合したレジ袋を使うことで無料化を実現している。比率が高くなるほど環境負荷は低くなる。多くの店がこうしたレジ袋を使えば、消費者は別途にプラスチック製ごみ袋を買わずに済む。
プラスチックのレジ袋を有料で販売するのではなく、温暖化対策に貢献するレジ袋を無料で消費者に提供する、こうした企業の努力は評価されるべきだろう。
なお、有料化の対象となるレジ袋には「持ち手がある」という条件がある。
スーパーマーケットなどで、レジの後、袋詰めをするための「サッカー台」と呼ばれる作業台には、濡れているものや肉などを入れるための透明のビニール袋が、ロール状になって置かれている。これもプラスチック製であるうえ、レジ袋のようにごみ袋として再利用されることは少ないにもかかわらず、持ち手がないので有料化の対象外である。
新型コロナで増える
プラスチックごみ
プラスチックごみ削減問題で、今、レジ袋以上にもっとも気になるのが「新型コロナウイルスによるプラスチック製品の需要拡大」である。
世界中を襲った新型コロナウイルスは、莫大なプラスチックごみを生み出すことになった。
マスクのほとんどはプラスチック製であり、フェースシールドや透明なついたて、間仕切り、マスクをはじめとするさまざまな医療用機材も、多くはプラスチック製である。特に医療用機材は、病原菌が付着している可能性があるのでほぼ使い捨てである。再利用もリサイクルもできない。
しかも、巣ごもり需要が高まり、テイクアウトやデリバリー商品が増え、それらの多くはプラスチック容器で包装されている。
スーパーマーケットなどでは、野菜類のバラ売り(裸売り)が減り、トレイに載せてプラスチックフィルムで覆ったり、プラスチックの袋に入れたりした商品が多くなってきた。ベーカリーでもパンのほとんどをプラスチックで覆っている。
もちろん日本だけではない。この半年間で、世界中ではどのくらいのプラスチック製品が生産されたのだろうか。想像もつかないが、この状態がいったい何年続くのだろう。
今は、プラスチックごみのことなど考えていられないが、こうした感染症対策のためのプラスチック製品をどうするのかということは、レジ袋を減らすことよりも、はるかに大きな課題であることに間違いはない。
今回のレジ袋有料化は、最初に述べた目的にあるように、プラスチックごみを削減することではなく、国民の意識改革にある。
しかし、それ以上に重要なのは、政府の意識改革である。
政府がプラスチックごみの問題にどう向き合うのかを明確にするとともに、本気で削減に取り組まなければ、レジ袋の有料化を行ったところで、その効果は極めて小さいものとなるだろう。
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