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山本太郎の都知事選応援に須藤元気が参戦して、演説のなかで「ロスジェネ世代」という言葉を使った。
この意味は、新自由主義社会の制約のなかで、相当に大きな意味を持っている。
「ロスジェネ世代」の概念は、日本では、2000年代に入りバブル崩壊後の就職氷河期世代に対して「失われた世代 」という言葉が使われるようになった。
日本の「失われた世代」は「団塊ジュニア」と呼ばれる世代(1971年 -1974年生まれ)と想定されている。
以下は、ロスジェネ世代を代表する有名人だが、いずれも一騎当千の強者(スーパースター)が揃っていて、日本社会からロスジェネ世代が消えたなら、社会そのものが成立しなくなるのではないかと思うほどだ。
http://sedainet.web.fc2.com/dankaijryumeijin.html
スポーツ界
・前田智徳・種田仁・小久保裕紀・元木大介・大塚晶文・新庄剛志・稲葉篤紀・谷佳知・小坂誠・中村紀洋・石井一久・イチロー・小笠原道大・三浦大輔
・松中信彦・岩瀬仁紀・井口資仁
高橋尚子・貴乃花・武蔵・清水宏保・内藤大助・野村忠宏
芸能界
・森且行・山口達也・中居正広・木村拓哉・稲垣吾郎・草g剛・国分太一・GLAY・山崎まさよし・平井堅・YUKI・GACKT・岡本真夜・華原朋美・藤原紀香・檀れい・松岡充・細川茂樹・牧瀬里穂・稲森いずみ・常盤貴子・谷原章介・藤木直人・中村獅童・高岡早紀・深津絵里・大泉洋・宮沢りえ・篠原涼子・松嶋菜々子・堺雅人・浅野忠信・反町隆史・照英・和泉元彌・水野美紀・竹山隆範・ペナルティ・ココリコ・オアシズ・ほっしゃん。おぎやはぎ・オセロ・矢部浩之・塚地武雅 ・ロンドンブーツ1号2号
・TKO・中川礼二・よゐこ・藤井隆・椿鬼奴・品川祐・バナナマン・ガレッジセール
・ケンドーコバヤシ・アンジャッシュ・土田晃之・宮川大輔・ブラックマヨネーズ・友近・陣内智則・千原ジュニア・サンドウィッチマン・笑い飯・有吉弘行・後藤輝基・ふかわりょう・西川史子・千秋・はるな愛・梅宮アンナ・マツコ・デラックス・島崎和歌子・梨花・さとう珠緒・安住紳一郎・米良美一
文化人
・伊坂幸太郎・門倉貴史・渡部陽一・堀江貴文・荒川弘・野口健・うすた京介・山本太郎・須藤元気
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引用以上
あまりにも、たくさんいて、全部を書きだす気力が萎えた。日本社会の文化スポーツ活動を照らし出している著名人の大半が、実はロスジェネ世代であることが分かる。
以上は、日本社会の表のロスジェネ世代有名人の一部だったが。裏の有名人もまた凄まじい。
この10年くらいに起きた社会を震撼させた犯罪事件の犯人像を見てみよう。
川崎20人殺傷の岩崎隆一(51)
京都アニメーション放火事件の日本犯罪史上のタイトルホルダーになった33人殺し、青葉真司(41)
あおり運転の宮崎文夫(43)
秋葉原通り魔事件 加藤智大(37)
秋葉原事件の加藤だけは、ロスジェネ世代の年齢定義から外れているが、彼の置かれた非正規雇用の立場からみれば、まさに共通の本質がある。
ロスジェネ世代の社会的立場は、あまりにも派手だ。というより、非ロスジェネ世代は、彼らのように全身全霊で必死に生きる必要がなかったから、社会の片隅で一歩引いてたライフスタイルで十分に生きてゆけたわけだ。
ロスジェネ世代は、私の子供時代の、在日朝鮮韓国人、部落民が置かれた立場に似ている。彼らは、戦後日本社会のなかで、あからさまな差別を受け続けた。
私の記憶でも、今から半世紀以上前の日本社会では、在日とか部落民とか認定されたなら、もはや、まともな就職は不可能であり、いわゆる表社会の主要な企業は、「壬申戸籍=差別台帳」を懐に抱えて、門前払いが常識だった。
だから、在日・部落民の就業といえば、まずは土建屋・パチンコなど遊戯産業・飲食接待業・暴力団・海運業・そして芸能界・スポーツ界くらいしかなかった。
それゆえに、冒頭にリストアップしたロスジェネ世代の有名人と同じように、芸能・スポーツ界から、彼らが消えたら、産業そのものが成立しなくなるほどだった。
例えば、スポーツ界でいえば、金田正一・張本勲・王貞治、力道山、大木金太郎、他あまりに多すぎて割愛、芸能界では、大鶴義丹・都はるみ・和田アキ子・岩城滉一・矢沢永吉・松田優作・西城秀樹・松坂慶子など、これも多すぎて割愛。
いずれも一流・超一流の選手・芸能人が揃っていて、彼らが日本社会から消えたら、寂しいだけではすまず、関連産業が成立しなくなってしまうのだ。
また、日本社会から在日者を完全追放したらと仮定すると、まずは、すべてのパチンコなど遊戯産業が瞬時に消滅する。おそらく半数以上の夜の街が消滅する。日本で、安くて美味しい食事を提供してくれていた、半数以上の食堂も消え去ってしまうだろう。
これほどの実力が形成された在日社会をもたらしたものは、日本社会に江戸期から深く根付いた「差別体制」だったといってよい。同じ意味で、ロスジェネ有名人を成立させたのも「社会差別」である。
だが、苛酷な差別社会が、被差別世代に大きな奮起を促し、人々を磨き、鍛えていったといえるのは、あくまでも表社会のことであり、裏社会では、被差別者に対する苛酷な扱いは、多数の自殺者と殺人などの悲劇を生んでいるはずだ。
岡林信康が歌った被差別の歌、これを聞くロスジェネ世代や、在日、被差別民たちは、自分のせいでない、いわれもなく自分たちに降りかかってきた差別システムに、怒りや悲しみや絶望や、さまざまの強烈な感慨をもたらしている。
https://www.youtube.com/watch?v=lbiCLUwFwTY
「差別があって良かった」などと吐くのは竹中平蔵くらいだろう。
竹中自身も、和歌山の被差別履き物業の家に生まれて、社会差別の洗礼を受けたはずなのだが、なぜか、彼は、差別を撤廃させるのではなく、それを増殖させて、自分だけが成り上がる道を選んだ。
戦後、数年にわたる幅を持った、特異な年代特性を与えられた人々が登場したが、その最初は、「団塊世代」である。
これは1947〜1949年までの三年間に出生した人々に対して与えられている。
出生年代を聞いただけで、これは第二次世界大戦という凄まじい災厄が終わって、出征兵士が帰還し、続々と結婚して、子供を作り始めた世代であることは説明の必要がない。
dankai01.jpg
https://www.mhlw.go.jp/www1/toukei/10nengai_8/hyakunen.html
戦争直後の、この三年間では年間出生数が260万人を超えていて(昨年の出生数は86万人)、もはや二度と日本社会が経験することのない驚異的な出産ブームだった。
この世代の特徴=共通点を一言で表すなら、それは「競争」である。
何せ、団塊世代が進学してくると、現在30名程度に設定されている1教室、学級あたりに、70名近く詰め込まねば義務教育の必要カリキュラムが成立しなくなるのだ。
机も椅子も足りず早い者勝ちなので、最後列では立って授業を受ける姿も珍しくなかった。
学校は、次々に増設ラッシュに沸いた。
私はアフター団塊世代で、1950年代前半生まれなのだが、それでも1学級、50名近くいるのが普通だった。
これは、高校・大学進学のときに、もの凄い倍率を生み出し、ありふれた普通高校の進学競争でも、2倍以上の倍率を克服しなければならなかった。有名校なら数十倍なども常識だった。
だから、みんな必死に勉強し、日本の教育戦争、受験戦争を極めて苛酷なものに変えていった。当時の受験競争は、今とは大きく異なる深刻さに彩られていたのだ。
戦争直後に生まれた世代の結婚適齢期は、1960年代末から1970年代はじめくらいだが、ちょうど、第一次団塊世代が生み出した第二次ベビーブームが、1970年〜1975年にやってきていて、ぴったり、ロストジェネレーション世代に重なっている。
苛酷な競争を強いられた団塊世代の子供たちは、再び、親の世代と同じように苛酷な生存競争を強いられることになった。
第二次ベビーブーム当時の出生数は、再び200万人を超えていた。だから、第一ほどではないが、競争の苛酷さが子供たちを苦しめ続けた。
第一次のときは、1960年代、高度成長の黎明期に、もの凄い人手不足の時代だったから、ロスジェネ世代のような就職先を探す苦悩はなかった。
だが、ロスジェネ世代は、学校教育における苛酷な競争を終えて、就業先がないという二重の苦悩を与えられた。
須藤元気が山本太郎、応援演説のなかで涙ながらに訴えたことは、まともな就職先がなく、みんなアルバイトでその日暮らしを続けるしかなかった。
金がないから、車も買えない、免許も取れない、結婚もできない。ギリギリの生活を続けていたら、新型コロナ禍で、ネットカフェなどの住処を追い出されて、ホームレスになるしかなくなった。
https://www.youtube.com/watch?v=5pNdAGcagsQ
これは、自民党の経済政策が、竹中平蔵による新自由主義の導入、格差拡大政策により、「大衆から消費税で金を奪って、大企業や大金持ちに貢ぐ」という、世界的にも超馬鹿げた最低のクズ政策が続いた結果、日本の未来を育てるはずの中核的人材を失ってしまったということであり、まさに日本社会の凋落を演出したものだった。
ロスジェネ世代が、第一次団塊世代の子供、第二次ベビーブーム世代と重なった理由については、第一次団塊世代の消費傾向と、1989年に導入された消費税が大きな原因になっていると思っている。
消費税が消費を大きく冷却してしまった結果、日本社会全体の景気が冷え込んだのが、導入から5〜10年後の1990年代後半であり、ちょうど、この頃にロスジェネ世代の就職期が重なったのだ。
この頃、私はタクシーの運転手をしていて、繁華街の人通りが減ってゆき、1時間街を流しても一人の客も拾えないという悲哀を経験させられた。
学者や役人と違って、タクシー業務というのは、社会の動向をダイレクトに、むき出しに実感させられる職種である。
山一証券倒産以降、社会がどんどん冷却してゆく様を、私は懐具合を通じて実感していたのだ。
このとき、第二次ベビーブーム=ロスジェネ世代は、自分の就職口を探すのに、必死になっていたが、どんなにがんばっても、竹中平蔵の陰謀、労働者の非正規化のなかに組み込まれてゆくしかなかった。
須藤元気の涙は、このときの残酷な絶望感から流れ出たものである。
だが、社会の本質は、竹中平蔵の希望に添って動くわけではない。
ロスジェネ世代は、大企業支配体制のぬくぬくした座布団からはじき出されたのではあるが、一方で「自力更生」という、いわばジャングルのなかに放り出された遭難者のような、死に者狂いの努力を要求され、人間としての原石が磨き上げられていったのだ。
それゆえ、冒頭に紹介したように、日本社会を代表する人材ばかりを輩出するようになった。
今や、鍛え抜かれた人材といえばロスジェネ世代、我々の社会を救う希望も、山本太郎や須藤元気に託すしかないのだ。
これからロスジェネ世代は、社会支配の仕組みの外側に追い出されていながら、日本社会の真の中核的人材として、大いに社会変革に邁進することだろう。
親方日の丸の温かい座布団にくるまって生きてきた人たちは、困難を自分で解決できる実力を与えられていないのだから、ほとんど何もできないだろう。
日本社会の主役は、ロスジェネ世代である!
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