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美辞麗句 アフターコロナに乗じる従来の国策と巨大IT資本 二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/274334
2020/06/10 日刊ゲンダイ
テレビ電話で糖尿病予防を指導する保健師さん(C)共同通信社
ウイルスは撲滅できない。我々は新型コロナウイルスと“戦う”のではなく、“共生”を目指すべきだ――。
こんな認識が、多くの人々に共有されるようになってきた。なるほど、そう考えるしかなさそうだ。コロナ禍を戦争に例えては、強権発動の喜びに打ち震えているような政治家たちにも、いいかげん気付いてもらいたい。
ただし、“共生”の美名の下で相次いでいる提言や未来予測の評価には、慎重でありたい。事態の性格上、「ピンチをチャンスに」「災い転じて福となす」式のやや強引な主張が目立つのは自然の成り行きだが、問題は、それらの具体的な中身である。
「なんでもリモート社会が到来する」と語ったのは、NICT(国立研究開発法人・情報通信研究機構)の徳田英幸理事長だ(日経BPムック「アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド」)。労働でも教育でも医療でも、この間には確かにオンライン化が進んだか、推進の機運に火がついた。
公共空間における移動や行動が制約されれば、一部の職種は従来以上に社会的な重要度を高めていく。医療従事者をはじめ、公共交通機関の職員や小売店、飲食店などの店員、運送業者らを「エッセンシャルワーカー」(不可欠の労働者)と総称する習慣も広まった。
“なんでもリモート社会”は、各家庭や個人の条件整備と、感染の危険を回避できない職能の活躍なくして成立しない。そうした本質の議論が伴わない将来設計は、階層間格差のより一層の拡大と固定化を不可避にする。
苦境に追い込まれた中小・零細企業に対する支援に否定的で、「過度な保護は新陳代謝を損なう」から、逆に廃業を促せとする論者の多くは、政府に近いエコノミストや経済学者らだ。志向されているのは、ここでも徹底的な階級社会である。
あるいは感染追跡アプリの開発や、「スーパーシティ」に象徴される監視社会の深化、“命の選別”の正当化……。新自由主義にトチ狂い、あえて医療体制を縮小・後退させてきた連中が、よくぞ臆面もなく“医療資源の限界”を盾に取れるものだ。
アフターコロナの形容とは裏腹に、状況は従前からの国策ないし、巨大IT資本の思惑通りに進行している。彼らが好んで口にする「人間中心の社会」という美辞麗句にだまされてはいけない。言葉の意味も人間の感覚も、時代とともに変化させられ得る。「支配され、操られるだけの社会」を指して、“人間中心”なのだと思い込まされていく可能性なしとしない。
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
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