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コロナ対策で総理への視線が変化 霞が関が隠す最大級の爆弾
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2020.06.02 07:00 NEWSポストセブン 週刊ポスト2020年6月12・19日号
第一次政権の悪夢ふたたび?(AFP=時事)
安倍内閣の支持率が20%台の「危険水域」に急落し、芸能人からも「さよなら安倍総理」の声が挙がった。そこに追い打ちをかけるようなリーク報道が相次いでいる。
2つとも共同通信によるものだが、一つ目の5月25日のものは、〈首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した〉とある。
もう一つは、スピード承認に前のめりになっていた「アビガン」に関するものだ。共同通信は5月20日の配信で〈(アビガンについて)国の承認審査にデータを活用できると期待された臨床研究で、明確な有効性が示されていないことが、分かった。複数の関係者が共同通信に明らかにした〉と報じた。
こうした報道の背後には、これまで安倍官邸の支配下で“忖度”してきた官僚たちが潜んでいるとみられる。内部事情に詳しい者によるいわゆる「リーク」である。
安倍首相はそうした「官僚の造反」に苦い経験がある。第一次政権当時、社会保険庁改革を打ち出した途端に「消えた年金問題」が発覚(2007年)して支持率が急落、自民党内から「社保庁役人のリークによる自爆テロだ」との声があがった。さらに天下り規制に乗り出すと、大臣の不祥事が次々に表面化して退陣に追い込まれ、「役人のリークで政権が潰された」(当時の閣僚)といわれる。
そうした教訓から、首相に返り咲くと官邸に「内閣人事局」を設置して各省庁の幹部人事を一元的に掌握し、忖度官僚を出世させ、気に食わない官僚は容赦なく左遷する“恐怖政治”で官僚をおさえつけてきた。だからこそ今、安倍首相やその“虎の威”を借りて行政を壟断してきた官邸の安倍側近官僚たちはこの状況に恐怖しているはずだ。元文科官僚の寺脇研・京都芸術大学教授が語る。
「コロナ対策で霞が関の総理への視線が明らかに変わった。総理は全国一斉休校を文科省の反対を押し切って法的根拠もなく実施し、クルーズ船への対応でも、厚労省内からおかしいという批判があったが、聞き入れなかった。挙げ句にアベノマスクというアホな政策に466億円。さすがに霞が関の官僚もこのままでは危険だと考えている。
これまではモリカケ問題などスキャンダルに口をつぐんできたが、総理の独断を止めるために過去の不祥事の決定的な証拠が明らかにされる可能性もある」
その霞が関が隠し持つ最大級の“爆弾”が「桜を見る会」の招待者名簿だ。総理や昭恵夫人が、誰を招待したのかの記録がある名簿は表向きシュレッダーで裁断、廃棄され、電子データのバックアップも消去されたことになっている。それが見つかれば大スキャンダルに発展するのは確実だろう。
「招待者名簿は省庁ごとに作成して保管されてきた。総理や昭恵夫人など官邸分の名簿は内閣総務官室の人事課が作成したが、機密指定されていない資料だから、他の役所の職員とも電子データでやり取りされていた。国会で問題化した後も公安などが名簿の一部をもとに内々に反社の出席者の確認に動いていたくらいです。
どの役所も問題の名簿を探し、わが社(役所)の大臣官房は官邸分の名簿データを持っている。ないことになっているだけで、主だった役所は部外秘にして握っていると思う」(有力官庁の人事課職員)
霞が関が“さらば安倍首相”と政権に三行半を突きつける時、そうした爆弾資料が流出する。総理が強いときはいわれるまま“疑惑隠し”に加担しながら、弱ったとみるや裏に回って倒閣に動く。官僚組織が長年受け継いできた“総理使い捨ての論理”こそ、安倍首相にとって最大の脅威なのである。
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