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検察OB意見書が引用したジョン・ロックの訳者は安倍首相の大学時代の教授! しかも「無知で無恥」と安倍首相を徹底批判
https://lite-ra.com/2020/05/post-5428.html
2020.05.18 検察OB意見書にあったロックの言葉を訳した安倍の大学時代の教授が リテラ
首相官邸HPより
検察庁法改正をめぐる国民の怒りの声が止まらない。安倍首相と安倍応援団はいつものように「黒川弘務検事長の定年延長に恣意的な理由はない」「検察庁法改正は国家公務員法改正にあわせただけ」「提案したのは官邸でなく法務省」などと嘘八百をふりまいているが、そんな弁明を信じているのは、一部の頭の悪いネトウヨだけ。ほとんどの国民は、安倍政権が自分たちの不正、汚職を握りつぶせる体制を維持するために黒川検事長を強引に定年延長させ、それを後付けで正当化する目的で、いま、検察庁法を改正しようとしていることを見抜いている。
こうした状況に、政府内部でも動揺が走っているようだ。安倍首相周辺はいまも強行採決の姿勢を崩していないが、政権与党では採決への慎重論が出始め、法務省では安倍政権と政権に協力した幹部への批判が高まっているという。
「法務省内部では、官邸の意向を受けて、黒川検事長の定年延長と検察庁法改正の修正に動いた法務省の辻裕教事務次官に対する突き上げが凄まじいようだ。このまま、法案が強行採決されれば、現役の法務官僚や検察官からも官邸と幹部の動きを告発する動きが出てきかねない。河井克行前法相の買収事件捜査についても、強硬論が優勢になっているし、しばらくは法務省、検察の動きから目が離せない状態だ」(全国紙司法担当記者)
今回、こうした状況に追い込むのに大きな役割を果たしたのが、国民の声に後押しされるようにして出された、、松尾邦弘元検事総長ら大物検察OBが提出した意見書だ。検事総長や検察幹部経験者が表立って政権の方針を批判するという前代未聞の行動に加えて、その内容が国民や政府関係者に大きなインパクトを与えた。
何しろ、安倍政権による黒川氏の定年延長や、検察庁法改正法案の具体的な問題点や説明の矛盾を徹底的に論破したうえ、安倍首相の法解釈の変更に対しては、〈絶対王政を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる『朕は国家である』との中世の亡霊のような言葉をほうふつとさせるような姿勢〉〈17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「統治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。心すべき言葉である。〉と真っ向批判。〈時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであり、ロッキード世代として看過し得ない〉と宣言したのだ。
「文案は、元最高検検事だった清水勇男氏がつくったもの。それを松尾元検事総長も全面的に支持して、意見書提出となったと聞いている。松尾氏は法務省刑事局長時代に通信傍受法を手がけているし、清水氏も公安部長なども歴任しているから政治的にけっしてリベラルなスタンスというわけではない。ただ、2人とも現役時代からとにかく法運用には厳密で、法を無視し、手続きを歪める行為は許さなかった。だから、今回の安倍政権のやり方、それを認めてしまった法務検察の弱腰に対して、怒りを抑えきれなかったんでしょう。檄文といえるようなその激しい内容に法務省は震え上がったようです」(司法ジャーナリスト)
ところで、この意見書には、安倍首相にとって痛烈な皮肉になっている箇所がある。それは前述した「ルイ14世を彷彿」との批判に続く部分だ。意見書ではこのあと、ジョン・ロックの著書『統治二論』を引いて「法が終わるところ、暴政が始まる」という言葉を安倍首相に突きつけているのだが、この訳をした加藤節氏は、安倍首相が大学時代、授業を取っていた成蹊大学の名誉教授なのである。
しかも、加藤氏は2016年、ジャーナリスト・青木理氏のルポ『安倍三代』(朝日新聞出版)のなかでインタビューを受け、教え子である安倍首相を「無知で無恥」「学生時代、勉強しなかったからだ」と徹底的に批判しているのだ。
今回の意見書には、『統治二論』の訳者としてわざわざ加藤節氏の名前を挙げられていたが、これは清水元検事がそのことを知っていて、「大学時代の先生が訳したジョン・ロックの本を読め」というメッセージを込めた可能性もある。
もっとも、安倍首相はおそらくジョン・ロックを読むことなどないだろう。というか、ジョン・ロックを知ってるかどうかさえ怪しい。実は、前述した青木氏のルポにはほかにも、成蹊大学時代に安倍首相を教えた教員のインタビューが掲載されているのだが、一様に、安倍首相の学生時代の勉強に対する消極的な姿勢を証言し、いまの偏った政治姿勢がそこから始まっているのではないか、と批判しているのだ。
今回、意見書に『統治二論』が引用されたことを機に、大学時代の安倍首相を教えた教員たちのインタビューの内容を紹介した本サイトの記事(2016年6月5日初出)を再録するので、ぜひ読んでほしい。法手続きを無視し、民主主義を壊し続ける総理大臣がどうやって生まれたのかがおそらくわかるはずだ。
(編集部)
■ジョン・ロックを訳した大学時代の教授が「安倍君は自分自身を知的に鍛えることがなかった」
国会ばかりか、サミットでも無知をさらし、ウソやこじつけを吐いて、日本、いや世界中の良識ある人たちから呆れられている安倍首相だが、ここにきて、意外な人たちが痛烈な批判を口にし始めた。それは、学生時代の安倍晋三を指導していた出身大学・成蹊大学の元教員たちだ。
たとえば、安倍首相の出身学部である法学部で当時、教鞭をとり、安倍首相も授業を受けていたはずの加藤節名誉教授は、こんな厳しい言葉を投げかける。
「大学の4年間などを通して、安倍君は自分自身を知的に鍛えることがなかったんでしょう。いまの政権の最大の問題点は、二つの意味の『ムチ』に集約されていると私は思っています」
そのうえで、加藤名誉教授は2つの“ムチ”とはignorant(無知)とshameless(無恥)のことだと説明する。母校の恩師とは思えない手厳しさだが、加藤名誉教授の批判はそれだけに止まらない。安倍首相が2013年3月の参院予算委員会で憲法の最高権威である故・芦部信喜氏を「知らない」と言い放ったことを挙げて、さらにこう指摘している。
「(晋三氏は)政治学科ですし、憲法もしっかり勉強しなかったんでしょうね。しかし、改革を訴えているのに、(芦部を)『知らない』なんて言うべきではない。まさに無知であることをまったく恥じていない」
このインタビューは、2015年から「AERA」(朝日新聞出版)誌上で断続的に連載されているジャーナリスト・青木理のルポ「安倍家三代 世襲の果てに」に掲載されたもの。
もっとも、加藤氏は2015年の安保法制の際、成蹊大学で結成された「安全保障関連法案に反対する成蹊学園有志の会」の呼びかけ人代表であり、「9条科学者の会」にも名を連ねるリベラルな学者。そういう意味では、痛烈な批判が飛び出しても、当然な部分もある。
■恩師も安倍首相を涙ながらに批判!「安倍くんは間違っている」「健全な保守に」
「(安保法制は)間違っている、と思います。正直いいますと、忠告したい気持ちもあった。よっぽど、手紙を書こうかと思ったんです」
こう証言するのは、元外交官で中国政治史を軸とする国際政治学者、そして成蹊学園専務理事まで務めた学園の最高碩学といえる宇野重昭名誉教授だ。宇野氏は、「AERA」連載ルポの最終回(5月2・9日合併号)で青木氏の取材に答え、教え子である安倍首相との関係についてこう語っている。
「彼(晋三)が入学した当時、私は国際政治学とアジア研究を担当していました。たくさんの学生の一人として彼を見て、成績をつけたのは覚えています。政界入り後も食事をしたり、ゆっくり話をしたこともあるので、ある程度の人柄も知っているつもりです」
「私はどちらかというとリベラリストですが、決して右でも左でもない。中国の要人や知識人に会うと、彼(晋三)をすごく批判し、極右だと言わんばかりだから、『そんなことはありません』とも言ってきたんです」
恩師であり、理解者。そして教え子を批判する者たちからかばってきたという宇野氏。だが、その宇野氏ですら、現在の安倍首相の姿や政策には忸怩たる思いを抱かずにはいられなかったようだ。
宇野氏はなんと、このインタビューで涙を浮かべながら安倍首相をこう批判したという。
「彼は首相として、ここ2、3年に大変なことをしてしまったと思います。平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった」
「現行憲法は国際社会でも最も優れた思想を先取りした面もある。彼はそうしたことが分かっていない。もっと勉強してもらいたいと思います」
「彼の保守主義は、本当の保守主義ではない(略)彼らの保守は『なんとなく保守』で、ナショナリズムばかりを押し出します(略)私は彼を……安倍さんを、100%否定する立場ではありません。数%の可能性を、いまも信じています。自己を見つめ直し、反省してほしい。もっとまともな保守、健全な意味での保守になってほしい。心からそう願っています」
普通は、自分の教えていた大学から首相を輩出するというのは名誉なはずだが、今、その教え子が現実にやっていることを目の当たりにしたら、やはり学者として黙っていられない、そういうことなのだろう。
しかも、この「AERA」で証言している成蹊大学関係者の口からは、安倍首相の本質につながるような指摘も出てきている。
■恩師が証言「大学時代から仲間内では親しくするけれど、仲間内でまとまってしまう」
安倍首相の所属ゼミの指導教授は、成蹊大学の看板教授で日本行政学会の会長などを歴任した佐藤竺氏だが、佐藤氏からその様子を聞かされた元教員が安倍首相の学生時代について、こう語っている。
「ゼミの場で彼(晋三)が発言しているのを聞いたことがない。(略)ゼミで彼が熱心に自分の主張を口にしたとか、リーダーシップを発揮して議論をリードしたっていう記憶は皆無です。彼が卒業論文に何を書いたのかも『覚えていない』って佐藤先生がおっしゃっていました。『立派な卒論はいまも大切に保存してあるが、薄っぺらな卒論は成蹊を辞める時にすべて処分した。彼の卒論は、保存してある中に含まれていない』って」
前出の加藤氏も同様に、安倍首相の影の薄さを指摘している。
「安倍君も私の授業を受けているはずなんですが、まったく記憶にないんです。(略)授業の後、質問に来た記憶もない。平凡な学生だったんでしょう。(安倍氏が政界で知られるようになってから)先輩や同僚に聞いてみたんですが。ほとんど覚えていないと言うんです」
青木氏はこうした数々の証言から、〈岸の政治的思想を深く突き詰めて思索を下支えする知性をきたえあげた様子もない〉〈16年も籍を置いた学び舎で何かを深く学んだ形跡がない〉と喝破している。そして、安倍氏が代わりにやったことが、自分の周りを理解者だけで固めてしまうことだった。
安倍首相と学生時代から深い付き合いのあった前出の恩師・宇野氏は、その性格や行動をこう言い表している。
「気の合った仲間をつくり、その仲間内では親しくするけれど、仲間内でまとまってしまう。情念の同じ人とは通じ合うけれど、その結果、ある意味で孤立しています」
これは、見識を深めようとはせず、真摯な批判を無視し、周囲を“お友達”だけで固め、自分が望むことだけに目を向けようとする現在の態度と見事にリンクするものだろう。
そして、こんな人物だからこそ、集団的自衛権を“憲法解釈”だけで変更し、特定秘密保護法や安保法制を制定するなど数々の暴挙を行うことが可能だったのだ。アベノミクス失敗の批判を免れるためだけにサミットで手前勝手なデータを捏造し、「世界の経済危機」などという大ウソを世界に発信し、公約や前言を簡単に翻すことに、何の躊躇もなく恥じることがない。
執筆者の青木氏は安倍首相のことを〈空疎な小皇帝〉と称しているが、まさに本質を突く表現だろう。
しかし、その空っぽなものによって、日本はとんでもない危険な道に引っ張り込まれようとしている。成蹊大学の恩師達の言葉にもっとも真剣に耳を傾けなければならないのは、私たち有権者なのかもしれない。
(野尻民夫)
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