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渦中のユースビオ社長が「ペーパーカンパニー」疑惑に反論!「アベノマスク」生産現場の驚くべき実態
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200503-00000001-sasahi-soci
AERA dot. 5/3(日) 10:30配信 週刊朝日オンライン限定記事
ベトナムにある「アベノマスク」生産工場内部の様子(樋山社長提供)
ユースビオの樋山茂社長(本人提供)
ベトナムにある「アベノマスク」生産工場内部の様子(樋山社長提供)
不良品問題などのドタバタが続く「アベノマスク」問題で、政府が4月27日になってようやく会社名を公表した納入業者が福島県福島市のユースビオ。同社をめぐってはネット上の一部から「実態のないペーパーカンパニーではないか」などと疑惑の目が向けられている。そこで本誌は今回、同社の樋山茂社長にベトナムでのマスク生産から輸入までの詳細を尋ねた。初めて当事者の口から明かされる「アベノマスク」生産現場の姿とは──。
樋山社長によれば、ユースビオは2017年に設立され、ベトナムから再生可能エネルギーの燃料として使われる木質ペレットを輸入し、それを日本国内や韓国、台湾などへ売りさばくビジネスを営んでいた。樋山社長は自らを「ブローカーのプロ」と語る。ちなみにユースビオは「use bio」、有益なバイオマス、といった意味合いをイメージして命名したという。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、以前から付き合いのあったベトナムの業者から4トントラック1台分ものサージカルマスクが送られてきた。これを各方面に寄付したことなどがきっかけとなり、経産省や厚労省などでつくる政府のマスク対策チームに布マスクを納入することになった、と樋山社長は説明する。
納入した布マスクは350万枚で、単価は1枚130円台。妊婦や介護施設向けに配布された。実際に生産したのはベトナムの業者で、樋山氏は原料の供給、型紙の作成、素材の選定、工程や品質の管理、成田までの通関手続きから輸送手段の確保までを担当したという。
「今回はうちでお金を出して生地を買って工場に供給して作らせている。ブローカーとしてはやりすぎだが、日本人なんでやるしかない、という気持ちだった。130円台は儲けを考えたら安いけれど、なんでも請け負った以上はプロだから、ちゃんとしたものをつくらないといけないと思ったんです」(樋山社長)
同社が今回、政府に納品したマスクは、中央部分が前方に膨らむ形。同タイプのマスクは男性用のブリーフパンツを思わせるシルエットから、ネット上ではいつしか揶揄するニュアンスも含んで「アベノブリーフ」などとも呼ばれるようになっている。「サイズが小さい」「ひもがゴムではなく布製のため耳にかけられない」と機能面を批判する声もあるが、樋山社長は「現在のところ、うちの納入したマスクに不良品があったという報告はない。評判は良いと聞いている」と言う。
現地の写真を見ると、広大なスペースの工場に数十台のミシンが並び、三角巾をつけた女性作業員たちがマスクを縫製していた。その隣には、完成したマスクの山を袋詰めする作業員の姿も写っている。樋山社長は、現地の様子をこう説明する。
「僕もそうだけど、ベトナムに滞在しているうちの駐在員も、ほぼ寝ないで作業していた。ホテルに帰る時間がもったいないって言って、工場に段ボールを敷いて寝ている写真を送ってきましたよ。僕は元自衛官で、そいつが『段ボールって暖かいですね』って言うから、『新聞紙をかけるともっと暖かいぞ』って教えてあげました。『本当だ』って、返事が来ましたよ」
品質管理については、マスク用の布を洗浄殺菌し、乾燥時にさらに熱による殺菌を実施するなどの注意を払っていると強調する。
「検品も厳しくしていて、うちの駐在員は不良品を発見したら、激怒して再確認させていた。不良品といっても、『畳み方が雑だ』という程度ですが。『一度舐められると国の威信にかかわる。ここまでやらないといけない』と言っていました」(樋山社長)
資金繰りの問題を考えなければ、この工場では1カ月で約5千万枚のマスクが生産可能だという。しかし、今回ユースビオの社名が公表されてからネット上などで騒がれたことも影響し、樋山社長は今後、マスク輸入を継続することは考えていないという。
「ネット上では私の家族までもが誹謗中傷され、会社や自宅を直接訪れての迷惑行為も多発しています。ここまでやって叩かれたら、悲しくてやりきれない。政府からまたマスクの納入を頼まれたとしても、もうやりたくありません。ベトナムからはフェイスシールド、ゴーグル、マスク、全身防護服、手袋、くつカバーのセットを100万着入手する目途が立っていましたが、それも止めています。今回、根拠のない誹謗中傷や迷惑行為をした人たちには法的措置を考えています」(同)
思わぬかたちで波紋が広がっているマスク騒動。多くの人の疑念を晴らすためにも、政府の情報公開が欠かせない。
(本誌・吉崎洋夫)
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