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新型コロナ蔓延の今、安倍首相が「国連通貨」発行を提案すべき訳
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2020.03.19 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース
もはや世界の人と物の流れを断ち切りつつある、新型コロナウイルスによる感染症。この新しいウイルスがここまで蔓延した原因のひとつとして、巨額な拠出金を提供する中国に「忖度」したとしか思えぬWHOの後手に回った対応が挙げられています。今後再発するとも限らないこのような事態を防ぐため、各国はどのような対策を取るべきなのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で今回、「国連通貨」の発行を提案。その完璧とも言えるシステムを詳しく解説しています。
※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年3月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。
今こそ国連通貨の発行を!
国連通貨についてのお話です。
今回、新型コロナが世界的に被害が拡大した背景には、WHOの対応のまずさが大きな原因の一つになっています。WHOがもっと早い段階でパンデミックを宣言したり、中国との渡航に警戒を呼び掛けていれば、これほど早く被害が世界に広がることはなかったはずです。WHOの対応が後手に回った背景には、中国に対する遠慮があります。
世界各国がWHOへの拠出金を渋ろうとしている中で、大金を出してくれる中国は大事な「顧客」でもあります。またWHOのテドロス事務局長の母国はエチオピアであり、エチオピアは中国から多額の支援を受けています。テドロス氏がWHOの事務局長になれたのも中国のおかげだという見方もあります。
それもこれも元はといてば、国連機関が独自の財政基盤を持たないからでもあります。国連機関は加盟国の拠出金によって運営されています。必然的に拠出金の大きい国ほど発言力が強くなります。これでは真に世界に役に立つ機関がつくれるはずがありません。先進国はどこも財政赤字を抱えて国連の拠出金を出し渋るようになっています。一方、経済成長が著しい中国は財政に余裕があり、国連への拠出金も積極的に増額しています。だから国連の諸機関は、中国の影響が非常に強くなっているのです。
欠陥だらけの現在の通貨システム
また現在の世界の金融システムというのは大きな矛盾を抱えています。
現在の金融システムというのは、銀行から誰かがお金を借りることによって社会に回るようになっています。そして驚くべきことに、お金が社会に出るためのルートは、これ一本しかありません。社会で使われているどんなお金も、元をたどれば、誰かの借金なのです。貿易などで得た外貨を円に交換するときにも、新しいお金が社会に出てくることになりますが、その外貨は外国において誰かの借金により社会に流れ出たものなので、煎じ詰めれば、「誰かの借金」ということになるのです。
世の中に出回っているお金というのは、実はすべてが借金なのです。借金というものは、いずれ返さなくてはならないものです。しかも利子をつけて、です。
が、銀行が貸し出しているお金は元金だけです。社会には元金しか流れていないのに、利子をつけて銀行に返還することは数理学的に不可能です。
なのに、なぜ社会が銀行にお金を返せているかというと、常に誰かが新たに借金をしているからです。借金によって社会に流れるお金が増え続けているので、とりあえず「そのときそのときの利子」は返せるというわけです。
しかし、逆に言えば、我々の社会は常に借金を増加させ続けなくては回っていかないシステムなのです。そして、社会が銀行からあまり借金をしなくなれば、社会の金回りは非常に悪くなります。実際に、バブル崩壊後の日本の社会では、企業が借入金を減らしたために金回りが非常に悪くなり、不景気が続きました。
だからといって、必要もないのに借金を増やすということはなかなかできるものではありません。特に先進国では、それほど大きな巨額のインフラ整備や設備投資などは必要ありませんから、企業の借入金は減る傾向にあります。それを補うためには、政府が借金をしてお金を社会に回さなくてはなりません。現在、先進国の多くは赤字財政となっていますが、ある意味、社会にお金が流れるようにするためには、仕方ないことだともいえるのです。
かといって、政府の赤字があまり大きくなりすぎれば、政府の信用が揺らぎ、国債の価値が下がり、金融不安を招くこともあります。
新しい通貨を創設することとは?
この矛盾を解消するためには、「銀行から借金する」以外の方法でお金が社会に流通するルートをつくらなければなりません。一番手っ取り早いのは、政府が独自に通貨を発行することです。
「銀行融資以外での通貨の発行」は、著名な経済学者の間で有効な経済政策としてたびたび提言されてきました。たとえばノーベル経済学賞を受賞したブキャナン・ワグナーなども政府通貨の発行を勧めたことがあります。
が、この政府通貨というのは、国レベルではなかなか発行できません。一国がそれを採用した場合、他国との為替などの問題が生じるからです。どの国も、「銀行融資による通貨」しか発行していない中で、一国だけが銀行融資によらない政府通貨などを発行した場合、果たして他の国がその通貨を認めてくれるかという懸念が生じます。もしそれを通貨として認めてもらえなければ、その国は貿易などで大きな支障をきたすことになります。そのため、どの国も踏み込めないでいるのです。
国連通貨とは?
が、国連ならば、それは可能だといえます。国連が通貨を発行し、それを国連加盟各国が了承したならば、全世界で支障なく使用できるはずなのです。何の保証も担保もない「仮想通貨」が、通貨として流通している現状を見たとき、国際社会が了承した「国連通貨」が流通しないはずはないのです。
具体的に言えば、現在世界経済のGDPは9,000兆円前後なので、この1〜5%を目安に国連通貨を発行します。国連通貨は、アメリカ・ドルとのペック制にします。ドル・ペック制というのは、通貨の価値がドルと固定して連動するということです。そうすることで、これまで世界の中央銀行の役割を担ってきたアメリカのメンツも立つはずです。そして、各国はドルとの交換相場で自国通貨と国連通貨を交換することを保証するのです。どこの国も拠出金を出す必要はなく、たったこれだけのことで世界GDPの数%の財源が創出できるのです。
9,000兆円の1%としても、90兆円です。日本の国家予算に匹敵する規模です。その巨額の財源を国連は得ることになるのです。
またアメリカとしても、このままずるずる中国に国連でのイニシアティブを握られるよりは、今、座長となって国連通貨の発行をした方が得策なはずです。
あらゆる世界の災厄に役立てる
そしてこの国連通貨を、国連関係の諸経費に充てたり、貧困国の国民への所得補償を出したりするのです。そうすれば、国連は独自の財源を持つことになり、拠出金のことを気にすることなく、本当に世界に必要な施策を講じられるようになるはずです。
また今回のような世界的な大災厄において、世界各国は予算の制約もありなかなか有効な手立てが講じられません。が、国連が独自の財源を用いて、世界規模の対策を講じればかなりの効果が得られるはずです。
さらに世界通貨を発行すれば、世界経済に大きな好影響をもたらすことは間違いありません。というのも、貧困層に支給されたお金のほとんどは消費に向かうからです。貧しい人々、貯蓄をする余裕のない人々というのは、お金をもらえばそのまま消費する傾向が強いのです。これは発展途上国の産業だけじゃなく、先進国の産業にも大きな好影響をもたらすはずです。
先進国の負担が大幅に減る
国連通貨の発行は、先進国の負担も大幅に減ることになります。現在、先進国は、発展途上国に対して、様々な形で援助を行なっています。また途上国や貧困国は、難民や移民が先進国に入ってくることも多々あります。これも先進国にとっては大きな負担です。難民や移民が大量に入ってくれば、受け入れには多額の費用がかかります。また難民や移民の流入は、治安の悪化などを招きやすく、そういった点での負担も増します。
難民や移民というのは、経済的な問題で発生するケースが多いのです。途上国の紛争の多くは、経済的な背景があるのです。国連通貨で、世界の貧困層に一定額のお金を支給すれば、GDPの低い途上国や貧困国の国民は大きな恩恵を受けます。国連通貨により、生活が安定するという人々も大量に出てくるはずです。そうなると、先進国へ入ってきていた難民、移民も大幅に減るはずです。発展途上国、貧困国に大きな恩恵があり、先進国も大きな負担減になります。国連通貨は、まさにいいことづくめなのです。
世界通貨の量を調整できるようになる
国連通貨はさらにもう一つ大きな長所があります。それは、「世界の通貨の量をある程度調整できるようになる」ということです。これまでの世界の通貨の量は、各国の中央銀行の方針に基づいた金融政策によって調整されることになっています。
が、各国の中央銀行ができることというのは、「社会が借金をする条件」を調整することだけです。お金を借りやすくしたり、実際に社会に流れる通貨の量というのは、「その社会がどれだけ借金をするか」に委ねられているのです。だから人為的に社会の通貨の量を増やそうと思っても、なかなかできるものではありません。
しかし国連通貨を発行し、それを世界の人々に直接支給するようになれば、通貨の量をある程度、調整できることになります。「世界の人々に支給する金額」は、すなわち世界の通貨量の増加額となるので、「世界の人々に支給する金額」を増減することにより、世界の通貨量をある程度調整することができるのです。
たとえば、現在のように世界経済が失速傾向にあるときは「世界の人々に直接支給する金額」を増やし、世界全体がインフレ気味でバブル傾向にあるときは減らせばいいのです。
もちろん、「世界の人々に直接支給する金額」をあまり大きく増減させれば、人々の生活に大きな影響を与えることになるので、基準額は儲けておき、ある程度の幅の中で増減させるのです。この通貨量の調整をうまく使えるようになれば、リーマンショックや世界大恐慌のような金融災害はほとんどなくなるはずです。
もし安倍首相が日本からこの提言をすれば世界はどれほど喜ぶかと思います。
(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
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