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“検査不要”“4日間自宅”はやはり政府の都合! 政府専門家会議副座長が「PCR検査のキャパの問題」「個人的には初日でいい」
https://lite-ra.com/2020/03/post-5308.html
2020.03.13 “検査不要”“4日間自宅”は政府の都合だった! 専門家会議副座長が本音 リテラ
10日の公聴会で発言する尾身氏(参議院インターネット審議中継より)
新型コロナをめぐって、日本のPCR検査件数が他国に比べて著しく少ないことに対し、「検査を拡大すべき」という声が多くの専門家、国民から上がっているにもかかわらず、一向に改善する気配がない。日本の厚労省は「1日6000件の検査能力がある」と言い、6日からはPCR検査が保険適用となったが、12日発表のPCR検査数はたったの181件。10日発表の検査数は1314件と増えたが、それ以外は数百件以下にとどまり6000件にはほど遠い。累計の検査実施数も10205件(12日発表時点)でしかない。
これは結局、約1カ月前に厚労省が打ち出した方針がいまも生きているからだ。2月17日に発表した「帰国者・接触者相談センター」に相談できる目安では、風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いたり、強い倦怠感や息苦しさがある場合としてきた。
こうした現状に対し、検査を拡大すべきという真っ当な批判の声はかなり早くから上がっていたが、訳知り顔(実際はこの“冷静”気取りも正常性バイアスというパニックの表れだと思うが)の連中は、「検査は不要」「むやみに検査しない政府の方針は正しい」などと政府の方針を擁護、批判意見を封じ込めてきたのだ。
ところが、ここに来て、「検査は不要だから」「医療崩壊を防ぐため」検査をしていないのではなく、「検査できないから」検査をしていなかったにすぎないことが、当の政府専門家会議の尾身茂・副座長の発言によって明らかになった。
尾身副座長が真相を明らかにしたのは、3月10日の参院予算委員会公聴会でのこと。日本共産党の小池晃参院議員からの質疑に応じたなかで飛び出たものだ。
小池議員は、「37.5度以上の発熱があった患者は4割程度にとどまる」というイギリスの医学雑誌に掲載された中国のデータや、「重症化する患者さんは普通の風邪症状が出てから約5日から7日程度で急激に悪化して肺炎に至っている」という専門家見解に触れながら、「37.5度4日間は自宅で経過観察」という政府の基本方針について、こう疑問を呈した。
「とくに高齢者にですね、『37.5度4日間は自宅で経過観察』、これは、肺炎に移行するような重症の患者さんを見落とす危険性はないんだろうか。こういう対応でいいんだろうか」
尾身副座長は、政府の基本方針にも一応「高齢者や基礎疾患のある人については2日」とあることを説明したうえで、「それは我々も政府も説明すべきだったと思います」と説明不足を認め、さらにこんな見解を示した。
「もっと言えば、私個人的にはもう初日でもいいと思います」
「高齢者対策は肝ですので、高齢者については4日じゃなくてもっと前にして。さらに症状でとくに『だるさ』というのが今回の特徴と、初日から『息切れ』だとか『息の速さ』、こういうものについては初日から」
「高齢者はほっといたらもっと悪くなる、早めにやるというのは、大賛成です」
専門家会議の副座長を務める尾身氏が、高齢者については、政府の基本方針にある「4日」あるいは「2日」ではなく、初日から受診・検査するべきだと明言したのである。
さらに小池議員は、元臨床医の視点からも、「4日あるいは2日、自宅で経過観察」という基本方針は撤回すべきだと提案した。
「公衆衛生と臨床医の発想はちょっと違うのかなという感じがして。やっぱり私は、1日でも、熱発したら高齢者は受診すると。あるいはその、このケースでいうと、熱発していなくても、肺炎に移行するような危険性のある症例もかなりあるといわれているわけですから。僕はやっぱりね、37.5度4日、まあ高齢者には2日にしているとおっしゃるけれども、やっぱりこういう基準ははっきり撤回したほうがいいんじゃないか」
■尾身副座長の発言に羽鳥慎一が「4日間自宅がキャパの問題だったというのは『おおっ』と」
小池議員の提案はもっともだろう。これまで国内の症例のなかでも、急激に人工呼吸器が必要な状態まで悪化するという事例は、高齢者に限らず、いくつも報告されている。
ところが、撤回を迫られた尾身副座長は、こう吐露したのだ。
「これは、実は、私自身は、臨床家の先生を交えてこの議論をずいぶんしたのですが、実は、実態としては、当時まだPCR検査のキャパシティが(少ない)、という現実的な問題も当然考慮しました」
「机上の空論だけをしていても、実際的なレコメンデーションになりませんので、それで、当時のキャパシティを考えると、いま言ったようなことで、もちろん、これからいろんなデータが出てきたり、キャパシティの問題で、先生おっしゃるように、少しアジャストするという、検討するということは、みんなで考えてはみたい」
本当は「初日から受診すべき」だが、「PCR検査のキャパシティ」の問題で、「4日あるいは2日、自宅で経過観察」という基準にしたというのである。
さらに小池議員が「尾身公述人、キャパシティを広げるべきだということは、公述人もおっしゃってるんですね。いまの段階からPCR検査拡大していくと、PCRの保険適用しただけでなく、検査できるようにしていくということが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。」と検査拡大を訴えると、尾身氏は、予算委員長が尾身氏の名前を呼ぶのも待たず、「私もそう思います」と即答したのだ。
この国会質疑については、翌11日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも取り上げていたのだが、『モーニングショー』ではさらに尾身氏に追加取材。
番組ディレクターの「4日間の経過観察という期間の理由は?」という質問に対して、尾身氏は「『4日間は自宅で経過観察』というのは、PCR検査のキャパシティとのバランスを現実的に考えたから」と、国会で語ったのと同様に「キャパシティの問題」とあらためて明言した。
さらに「今後日数が変更される可能性は?」という質問に対しても、「キャパシティさえ増えれば、4日が3日になるという話も今後可能性がゼロではない。みんなで話し合い調整していく可能性はある」「PCR検査のキャパシティが増えることは私も大賛成。本当に必要としている方に、より確実に検査を受けて頂くことができるようになる」と回答、PCR検査を拡大すべきだとの認識を再度示したのである。
この尾身氏の回答に、司会の羽鳥慎一が「『4日間自宅での経過観察』というのは医学的に4日じゃなくキャパシティの問題だったというのは『おおっ』と思った」「尾身さんは、もっと早く検査したほうがいい、いまの検査体制・数、不十分ですよってことを言ったってことですよね」と言うと、岡田晴恵・白鴎大学教授も「医学的には、他の病気もありますし、問題だということは再三再四言っていたことだと思います」「保険適用にもなりましたし、民間も入れて、拡充できないのかと」と、あらためて検査拡大を訴えた。
■CNN報道に「受信の目安と検査能力は別」と抗議した厚労省のほうが嘘だった
「4日間自宅で経過観察」という方針には、本サイトや『モーニングショー』など一部メディア、岡田晴恵教授や大谷義夫医師などの多くの専門家、何より多くの一般国民から疑問の声が上がっていた。
ところが、上述のように安倍応援団や政府御用メディアに限らず、一部専門家やBuzzFeed Japanの岩永直子記者なども、「重症者重視の方針」「検査拡大は不要」として、「冷静になれ」「エビデンスを見ろ」などとしたり顔で解説し、そうした批判の声を封じ込めようとしてきたのだ。
しかし実際は、「4日自宅で経過観察」という基本方針は医学的エビデンスに基づいた基準などではなく、単に検査能力の問題だったのである。エビデンス、ファクトを見ていないのは、一体どちらなのか。
そういえば、厚労省は、CNNの報道に対してツイッターで〈新型コロナウイルス感染症の「相談・受診の目安」が、「PCR検査」の能力との関係で厳しく設定されているとの報道がCNNなどでありました。しかしながら、両者は別のものです〉などとイチャモンをつけ、「日本だけが相談・受診のハードルを高く設定したのは、政府のPCR検査体制の能力が低いからではない」と主張していたが、これも『モーニングショー』に対する反論同様、完全にデマだったということだ。
別稿であらためて詳報したいが、「検査拡大すると医療崩壊する」というのは、「原発止めると、江戸時代みたいな生活するしかなくなる」に共通する、非論理的・非科学的なものだ。
「医療崩壊」論者が持ち出す、イタリアや韓国の例も、事実と違う。イタリアが医療崩壊しているのは、検査の多寡の問題ではなく、医療削減策によりそもそも医療体制が脆弱になっていたことが大きい。検査をやりすぎて医療崩壊したなどと日本メディアがバカにしていた韓国も、死者数の低さを見ればわかるように大邱など一部地域が危機的だったのを除けば医療崩壊状態とは言えず、実際ここにきてピークアウトしつつある。国内でも、「政府の基本方針には従わない」と知事が公言し、積極的に検査をした和歌山はピークアウトしている。
感染拡大を防ぐためできるだけ検査して感染者を見つけ出すという方針を打ち出している国や地域は少なくなく、実際、ヨーロッパ各国やアメリカにも日本は検査件数を追い越されつつある。
医療崩壊を避けるには、陽性者を一律入院ではなく、災害現場におけるトリアージのように症状や危険性に応じて、重症者を優先的に入院、軽症者は自宅待機か病院ではない隔離用施設と腑分けしたり、検査のパンクを避けるために年齢や症状によって優先順位を整理るなど、対策を取ればいいではないか。
当の専門家会議の副座長が、検査のハードルをあげていたことに医学的エビデンスはなかったことを明言したのだから、一刻もはやく検査体制、治療体制を整え、検査拡大するべきだろう。
そうした現実的な対策を考えず、「検査拡大すれば医療崩壊する」などと思考停止している連中こそ、実際に起きてもいない「患者殺到」「医療崩壊」を騒ぎ立てるパニック状態に陥っていることを自覚したほうがいい。
(編集部)
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