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古賀茂明「安倍政権の人事介入で、検察の反乱が起きる」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200209-00000007-sasahi-pol
AERA dot. 2/11(火) 7:00配信 週刊朝日 2020年2月21日号
古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談...
東京高検の黒川弘務検事長 (c)朝日新聞社
ある検察官の定年延長が大きな問題になっている。
検察官は国家公務員だが、普通の公務員とは全く異なる。普通の公務員は、各大臣の指揮下で動き、人事権も政治家が握る。政治家が公務員の上に立つ仕組みだ。国民によって選ばれた政治家、そして、その政治家によって国会で選ばれた総理大臣がトップとなる内閣は、国民のために働くはずだという前提がある。
一方、公務員は、選挙がないから自己や所属省庁の利益を優先しがちになる。だから、国民のために働くはずの政治家が公務員を指揮監督するというのが、今の政治家と公務員の関係だ。
しかし、検察官はこれとは根本的に違う。時の総理や大臣も、刑事事件の捜査や訴追の対象となる。検察官は、政府の指揮命令に従うのではなく、国民に代わって、独立して正義を追求する義務がある。
それを前提にすれば、検察官の人事に政権が介入してはいけないというのが当然の原理となる。最高検察庁のトップ、すなわち検察組織のトップである検事総長は、法的には内閣が任免することになっているが、上述した理由により、実際には検事総長が自分の後任を選ぶのが慣例となっている。これも検察官独立の大原則を守るためだ。
こうした配慮は、検察官の定年にも表れる。普通の国家公務員の定年は、国家公務員法上60歳だが、公務に著しい支障が生じる場合は例外的に定年延長が認められる。
一方、検察官の定年は、検察庁法という特別の法律(特別法)により、63歳。検事総長は例外で65歳だ。定年延長の規定はない。延長を認めると、時の政権が延長を認めるかどうかで検察人事に介入する恐れがあるからだ。
ところが、さる1月31日、安倍政権は、東京高等検察庁の黒川弘務検事長(当時62歳)の定年(今年2月8日で63歳)を半年延長して8月7日とする閣議決定を行った。検察庁法に規定がないのに無理やり国公法の規定を使ったのだ。前述したとおり、これは検察の独立という観点から大問題で、違法の疑いが濃厚だ。
現在、検察トップの検事総長は、稲田伸夫氏(63歳)だが、今年の8月までに退官すれば、黒川氏は定年前で後任になれる。今回本件が特に問題視されるのは、黒川氏が、安倍政権べったりだという噂が絶えないからだ。
本当に政権に忖度する検事総長を誕生させるために定年延長したのか。
そうだとしたら、そこまであからさまな政権による検察人事への介入は史上初ということになるだろう。日本の民主主義を崩壊させると言っても過言ではない。
官邸が検察の人事に派手に介入する前例ができれば、検事総長を狙う検察幹部は、安倍政権と事を構えるのは危ないと考える。
今、桜を見る会事件で、政治資金規正法違反や収賄の疑惑で追い詰められている安倍晋三総理。IR汚職事件を検察が本気で追えば、菅義偉官房長官や安倍総理にも波及する可能性は高い。そんな折、秋元議員だけで他の疑惑のある議員は不問という検察の方針が報じられたり、菅氏の地元横浜市で活発に活動しているマカオなどでカジノを経営する「メルコ」に検察が家宅捜索したという大ニュースがほとんど報じられないまま消えてしまいそうなのはなぜか。
安倍独裁は、どこまでも強化され続けるのか。それとも、検察の反乱が起きるのか。検察の現場の奮起に期待したい。
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