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米とイランは緊張状態…海自の中東派遣で日本危機が高まる 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/268704
2020/02/07 日刊ゲンダイ
中東へ派遣される護衛艦「たかなみ」の出国行事で隊員へ訓示する安倍首相(C)日刊ゲンダイ
海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が2日、横須賀基地から出航し中東に向かった。
安倍首相は出国行事で「日本関係船舶の安全を確保することは政府の重要な責務だ」と訓示していた。多くの国民はこの説明に理解を示し、例えば、読売新聞社の世論調査によると、海自の中東派遣を「評価する」は50%、「評価しない」は35%だった。
今回の海自の中東派遣は果たして船舶を含め、日本の安全を高めるのかといえば、真逆であり、日本を危険にさらす行為である。
米国とイランは今、大変な緊張状態にある。米国はイランが核開発に向けて動き出そうとしていることについて不満を抱き、経済制裁を科している。
米国は1月初旬、イランのソレイマニ革命防衛隊司令官を無人機で殺害。これに対し、イランは米軍が駐留するイラクのアルアサド空軍基地に十数発のミサイルを発射して反撃した。これまでにない大変な緊張状態である。そして、イランは「米国のみならず、米国の同盟国も攻撃の対象とする」としている。
こうした中で、中東に派遣される海自をイランはどう見ているのか。
日本政府は海自の活動を「調査」と説明している。しかし、軍事的緊張が高まっている時の「調査」は「偵察行為」である。過去を見ても、偵察行為にあたっていた飛行機などへの攻撃例は複数ある。最近でも、イラン革命防衛隊が2019年6月20日、南部ホルムズガン州に侵入してきた米国の無人偵察機を撃墜している。
自衛隊の「調査活動」はイランから見て決して「無害行為」ではないのである。
日本政府は海自の中東派遣は日本独自の行動であり、イランに敵対する有志連合の一員としての行動ではない、とも説明している。
しかし、菅官房長官は昨年10月18日の会見で、「米国とは緊密に連携していく」と語っており、今後も情報共有などを進めるとみられている。在京イラン大使館がこうした発言を本国に報告しないはずがない。
イランを敵国にするという意味は、イラク、シリア、レバノン、イエメンなど湾岸諸国のシーア派を敵に回すことであり、これらの国の人々のテロ行為の危険性も高まるのである。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) February 6, 2020
海自の中東派遣で日本の危険が高まる
— KK (@Trapelus) February 6, 2020
イランを敵国にするという意味は、イラク、シリア、レバノン、イエメンなど湾岸諸国のシーア派を敵に回すことであり、これらの国の人々のテロ行為の危険性も高まるのである
日本外交と政治の正体 孫崎享(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/A8FQArgbB8
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