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※2020年1月23日 毎日新聞 画像クリック拡大
検証
衆院各党代表質問 首相答弁、法政大・上西教授が斬る 「桜」説明、ごまかしだらけ
https://mainichi.jp/articles/20200123/ddm/002/010/114000c
毎日新聞 2020年1月23日 東京朝刊
パソコンで衆院代表質問を見る上西充子・法政大教授=東京都千代田区で2020年1月22日、内藤絵美撮影
22日の衆院本会議は、安倍晋三首相に野党が、首相主催の「桜を見る会」やカジノを含む統合型リゾート(IR)の汚職事件について問いただす場となった。閣僚や官僚の答弁の論点ずらしやごまかしを「ご飯論法」と名付け、政府・与野党が繰り広げる論戦の動画を駅前や繁華街で放映する「国会パブリックビューイング(PV)」活動を展開している法政大の上西充子(うえにしみつこ)教授(労働問題)に首相答弁を解説してもらった。【大場伸也】
「ホテル側が…」を連呼
午後1時、代表質問が始まった。
上西氏と記者は法政大の上西研究室で、パソコンに映し出された衆院のインターネット中継を見つめる。最初に質問に立ったのは立憲民主党の枝野幸男代表。枝野氏は、質問時間の多くを桜を見る会の問題にあてた。
まずは前夜祭を巡り、枝野氏は5000円の会費は安すぎると指摘し、「差額を首相の後援会等が補塡(ほてん)していれば買収となり、公職選挙法違反だ。(会場の)ホテルには発注者から求めがあれば明細書発行に応じる義務がある。やましいことがないなら、明細書を入手して開示することで、簡単に疑いを晴らすことができる」と、首相に開示を求めた。
さらに、翌日の桜を見る会について「バス17台、約800人の地元の支持者が招待され、無料で飲食の提供を受けた。桜を見る会は、後援会の不特定多数に呼びかけて参加者を募ることができるものなのですか。このようなことは、公職選挙法違反の買収と実質的に何が違うのですか」と追及。反社会的勢力とみられる参加者がいた疑惑や、内閣府が野党からの資料請求の1時間後に昨年分の招待者名簿を廃棄した問題などについて首相の説明を求めた。
枝野氏が約35分の代表質問を終えると、首相が答弁に立った。「夕食会についておたずねがありました」。枝野氏に比べて声が小さく、早口で、聞こえにくい。上西氏も「声に張りがないですね」とポツリ。
やがて、前夜祭の説明が始まったが「価格についてはホテル側が設定し、ホテル側においてサービスが提供され……明細書については、ホテル側としては営業の秘密に関わることから資料提供には応じかね……夕食会の費用はホテル側との合意に基づき……」と、やたらと「ホテル側」が耳に入ってくる。
議場が騒然として、答弁がよく聞き取れず、大島理森議長が「静粛に」と声をかけたが、その後も「ホテル側に渡すという形でホテル側への支払いが……」と、「ホテル側」が続く。ホテルが明細書の公開に応じないという。上西氏も声を上げて笑い、「何回言うんだろう。よっぽどホテルのせいにしたいんですね」とあきれた。
「ご飯論法」から開き直り
次に桜を見る会の推薦者について、首相は「各界において功績・功労のあった方々などを幅広く招待し……」と説明を始めた。上西氏は「出た。<など>が」と身を乗り出す。
首相は「私の事務所においては、内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方をはじめ幅広く参加希望者を募り、推薦を行ってきた。招待者は提出された推薦者につき、最終的に内閣官房および内閣府においてとりまとめを行っている」と説明した。
上西氏は険しい表情になり、「これ、<ご飯論法>から開き直りましたね」と指摘した。
「ご飯論法」は、「朝ごはんは食べなかったんですか?」と聞かれて「ご飯は食べませんでした(パンは食べたが黙っておこう)」というやり取り。「朝ごはん」を「ご飯(白米)」にすり替え、「パンを食べた」という事実を隠す話法だ。
首相は昨年11月8日の参院予算委員会で、首相の後援者が多数招かれているのではないかと追及する共産党の田村智子氏への答弁の中で「私はあいさつや招待者の接遇は行うのですが、招待者の取りまとめ等には関与していない」と強調している。「ご飯は食べていない(招待者のとりまとめ等には関与していない)」と言うことで、「パンは食べた(推薦はした)」ことを隠し、あたかも何も関与していないかのように装ったものだ。
ンタビューに答える上西充子・法政大教授=東京都千代田区で2020年1月22日、内藤絵美撮影
上西氏は「政府は11月8日の参院予算委で、萩生田光一文部科学相が『自分の知り合いの方を、のべつまくなし呼べるという仕組みになっておりません』と述べたように、当初は政治家が推薦する仕組みはないかのような答弁をしていたのに、もはや首相が『私の事務所では内閣官房の依頼に基づき、推薦を行っていた』と悪びれもせず言うようになった。なぜ答弁を変えたのか。本来、説明すべきことを説明していない」と指摘する。
さらに「功績・功労のあった方々<など>」「後援会の関係者を<含め>」「地域で活躍されている<など>」「桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を<はじめ>」などの「ごまかしワード」をちりばめることで、功績・功労と関係ない自身の「票集め」のための人々をまぎれこませることができるのだという。
そして、「そもそも『幅広く参加希望者を募り』がおかしいです。功績・功労者を招待する会なのに、幅広く募っちゃダメですよね」と切り捨てた。
首相と枝野氏のやりとりを終えて、上西氏に感想を聞いてみた。「首相は全体的に声のトーンを落とし、謙虚さをアピールする演出だったのかなと思いました。20日の施政方針演説が『軽薄だ』という批判を受けたことも影響したのかもしれません。ただ、桜を見る会についても肝心なところは『セキュリティー』『個人情報』などを盾に説明しようとしていません。これを許しては、説明責任を果たさなくても何でもできることになる。見た目の低姿勢にだまされないことが大事だと思います」
桜を見る会「公職選挙法違反の買収」枝野幸男の代表質問:1/22 衆院・本会議
代表質問を全部見る【2020年1月22日・衆院本会議】
※6:34〜 再生開始位置設定済み
2020/01/22 テレ東NEWS
国会では22日13時から、衆議院で安倍総理大臣の施政方針演説など政府4演説に対する代表質問が行われます。
論戦に先立ち、安倍総理はきょう、記者団に対し、「新しい時代の日本をどうするのか、堂々と政策論争を行いたい」と述べました。
一方の野党側は、総理主催の「桜を見る会」をめぐる問題や、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業に絡む汚職事件を取り上げ、政権の責任を追及する構え。
立憲民主党の枝野代表、自民党の二階幹事長、国民民主党の玉木代表が質問に立ちます。
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