ドクダミ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%80%E3%83%9F ドクダミ(蕺草、蕺、学名:Houttuynia cordata)はドクダミ科ドクダミ属の多年草。 別名として、ドクダメ(毒溜め)や、薬草としての効能が多いことに由来するジュウヤク(十薬[1]または重薬[2])、ギョセイソウ(魚腥草)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)、ウマゼリなど。湿った陰地などに群生し、草全体に独特の香りを持つ。古くから民間薬としても広く知られる。
和名ドクダミの名称は、民間薬として毒下しの薬効が顕著であるので、毒を抑えることを意味する「毒を矯(た)める」から、「毒矯め(ドクダメ)」が転訛して「毒矯み(ドクダミ)」と呼ばれるようになったというのが通説である[3][4]。異説として、「毒痛み」の意味で毒や痛みに効くことから名付けられたという説[5][6]、群落地に漂う特有の臭気から毒気が溜まった場所を意味する「毒溜め(ドクダメ)」、あるいは植物自体が毒を溜めていると解されたものが転じてドクダミと呼ばれるようになったとする説もある[7]。ただし、あくまで植物に毒が入っているというのは誤った解釈であり、ドクダミ自体に毒はない[8]。
様々な地方名があり、ドクダン[9]、ハッチョウグサ[9]、ドクダメ[4]とも呼ばれていて、日本全国の方言名は160余りを数えるといわれている[10]。古くは、之布岐(シブキ)と呼ばれていた[11][12]。各地の方言名は、薬効や生態に関するものを由来とする呼び名はわずかで、あとはこの植物特有の臭気に関するもの、あるいはこの植物をあたかも有毒植物であるかのように表現したものが多い[10]。旧陸奥国(特に青森県下北郡・三戸郡・八戸市、秋田県鹿角郡・北秋田郡、岩手県盛岡市・紫波郡、福島県の会津)、旧常陸国(現茨城県)、栃木県、旧武蔵国、千葉県(東葛飾郡、山武郡、印旛郡)ではジゴクソバ[13]、大分県旧大分郡ではウマゼリ[13]と呼ばれてきた。 中国植物名(漢名)は、蕺菜(しゅうさい/じゅうさい)[9][3]。日本で生薬名として通称されているジュウヤク(十薬)は、民間薬として用途が広く、応用範囲が10を数えるというところから、漢名の蕺菜の蕺の字を十に読み換えものだとされている[3]。中国語と同様の魚腥草(腥の意味は「生臭い」)、ベトナム語のザウザプカーまたはザウジエプカー(ベトナム語:rau giấp cá/ rau diếp cá、意味は「魚の野菜の葉」)、英語のフィッシュミント(fish mint)・フィッシュハーブ(fish herb)・フィッシュウワート(fishwort)など、魚の匂いにまつわる名称も多い[12]。英語にはそのほか、リザードテイル(lizard tail:「トカゲの尻尾」の意)、カメレオンプラント(chameleon plant:「カメレオンの植物」の意)、ハートリーフ(heartleaf:「心臓形の葉」の意)や、ビショップズ・ウィード(bishop's weed:「司教の雑草」の意)という表現もある[12]。 花言葉は、「白い追憶」である[14]。 形態・生態等 原産地は東アジアで、日本から東南アジアにおいて広く分布する。日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する[6][14]。湿り気のある半日陰地を好み、住宅周辺の庭や空き地、道端、林によく群生している[15][6][4]。
多年生の草本で、全草にアルデヒド由来の特有の臭気がある[5][15][16]。地下に白い地下茎が横に伸び、盛んに枝分かれして繁殖する[15][17]。草丈は20 - 50センチメートル (cm) になり[6]、茎は黒紫色を帯びて直立し、まばらに葉が互生する[15][14]。葉は卵状の心臓形で全縁[15][14]。葉身の表面は緑色で、裏面は紫色を帯びる[16]。葉柄の基部に托葉がつき、はじめは新芽を包んでいる[15]。 開花期は初夏から夏にかけて(5 - 8月)[14]。茎上部の葉腋から花茎を出して[6]、頂には十字状に、径2 - 3 cmほどの4枚の白色の総苞(総苞片:花弁に見える部分)を開き、その中央につく長さ1 - 3 cmの穂のような円柱状の花序(花穂)に、微細な淡黄色の花を密生させる[15][14]。本来の花には花弁も萼もなく、雌蕊と雄蕊のみからなる[18]。1つの花には、先が3裂した雌蕊が1個と、3 - 8個の雄蕊がある[16]。果実はできず、花弁のように見える白い総包は、何のために美しく見せているのか理由はよくわかっていない[4]。 繁殖力が高く、ちぎれた地下茎からでも繁殖するため、放置すると一面ドクダミだらけになり、他の雑草が生えなくなる。強い臭気があることと、地下茎を伸ばしてはびこるため、難防除雑草である[4][17]。ドクダミを農作物として栽培する場合、定植直後に小まめに手作業で雑草を取り除いて密植して定着させれば、他の雑草が生えにくくなる[1]。 利用 昔から、ゲンノショウコ、センブリとともに日本の三大民間薬の一つに数えられ、薬効が多岐にわたるところから十薬とも呼ばれている[4]。欧米でも東洋のハーブとして人気がある[4]。薬草として農業の対象となる[1]ほか、観賞用として葉に斑が入った品種が栽培もされている[6]。
日本特産農産物協会によると、日本での栽培面積は、国産薬用植物の需要増加を背景に、2016年産までの200アール未満から2018年は666アールへと急増。兵庫県(253アール)と徳島県(250アール)が二大産地である[1]。 食用 ドクダミの葉は、加熱することで臭気が和らぐことから、日本では山菜として天ぷらなどにして賞味されることがある[5]。日本において料理用のハーブとして用いられることはないが、葉を乾燥させて茶外茶としてドクダミ茶を製造することがある。これは一種のハーブティとして、麦茶のように飲まれることが多く、商品化もされている。ドクダミはフラボノイドなどを含むことから、爽健美茶の原料の一つとしても使われている[19]。 地中に伸びる白い根茎にはデンプンがあり、日本で食糧難の時代に、茹でて食べていたといわれている[16]。 他の香草と共に食されるドクダミ(ベトナム) また、ベトナム料理では、とりわけ魚料理には欠かせない香草として生食される。ただし、ベトナムのものは日本に自生している個体群ほど臭気はきつくないとも言われている[要出典]。
中国西南部では「折耳根(ぢゅーあーぐぅん) 拼音: zhé’ěrgēn)」と称し、四川省や雲南省では主に葉や茎を、貴州省では主に根を野菜として用いる。根は少し水で晒して、トウガラシなどで辛い味付けの和え物にする。 別名 十薬 ドクダミは、内服薬として、胃腸病、食あたり、下痢、便秘、利尿などに利用され、外用薬としても腫れ物、吹き出物、皮膚病などの排膿や毒下しに用いられる[3]。 生薬として、開花期の地上部の茎葉を陰干し乾燥させたものは、中国の生薬名で魚腥草(ぎょせいそう)、日本では十薬(じゅうやく、重薬とも書く)と称され流通している[9][15]、日本薬局方にも収録されている。生葉も外用の薬草として利用される[15]。十薬の煎液には利尿作用、緩下、高血圧、動脈硬化の予防作用などがあり[20]、特に高血圧、動脈硬化予防には必ず花のあるものを選んで採取する[15]。 民間では、花つきの乾燥した全草5 - 20グラムを水500 - 600 ccで半量になるまでとろ火で煎じ、お茶代わりに3回に分けて服用する用法が知られる[20][15]。茎葉を日干しすることによって、特有の臭気は無くなる[5]。 患部の余計な熱を取る薬草で、便秘や熱感を持っている痔、赤く腫れて熱を持っているむくみやおでき、黄色い鼻汁が出る蓄膿症のときにもよいと言われている[9]。 ただし、妊婦への服用は禁忌とされる[9]。 また、湿疹、かぶれ、ニキビ、水虫、しらくもなどには、生葉をすり潰したものを貼り付けるとよく、蓄膿症、慢性鼻炎、膣炎に生葉汁を挿入する[20][15]。あせもには、布袋に入れて浴湯料として、風呂に入れる[15]。 漢方では解毒剤として用いられ、魚腥草桔梗湯(ぎょせいそうききょうとう)、五物解毒散(ごもつげどくさん)などに処方される。しかし、ドクダミ(魚腥草、十薬)は単独で用いることが多く、漢方方剤として他の生薬とともに用いることはあまりない。 薬理成分 生の地上部の茎葉の特異な臭気は、デカノイルアセトアルデヒドという成分で、これには制菌作用がある[5]。花にはイソクエルセチン、茎葉にはクエルセチンとカリウム塩が含まれている[5]。 デカノイルアセトアルデヒド - 生のドクダミに特有の臭気成分で、フィトンチッド。抗菌作用、抗カビ性がある。白癬菌やブドウ球菌も殺す作用がある[21]。乾燥させると酸化されて抗菌効果は失われる。 ラウリルアルデヒド - デカノイルアセトアルデヒドと同様にドクダミ特有の臭気成分で、抗菌作用がある。 クエルシトリン - 利尿作用、動脈硬化の予防作用。 クエルセチン - 毛細血管を丈夫にする作用、利尿作用[5]。 カリウム塩 - 利尿作用、動脈硬化の予防作用[5]。 副作用 ドクダミ茶の飲用による副作用が報告されている。 高カリウム血症[22] 肝機能検査値(GOT、GPT)の上昇例[23] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%80%E3%83%9F
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