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シリアに対する侵略戦争
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/331.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 14 日 17:51:44: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 米国のカラー革命に資金を出している富豪はファシズム体制の樹立を目指している 投稿者 中川隆 日時 2020 年 6 月 26 日 16:03:26)


シリアに対する侵略戦争


2020.10.14
シリアへの侵略を正当化する英政府の宣伝工作を裏づける文書がハッキングされた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010140001/


 シリアに対する侵略戦争をアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟のほか、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、パイプライン建設を目指していたカタール、オスマン帝国の復活を夢想するトルコなどが始めたのは2011年3月のことだった。

 この戦争について、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の聖職者は2012年6月の段階で「​もし、全ての人が真実を語るならば、シリアの平和は守られる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実からほど遠い。​」と指摘、シリア政府軍が戦っている相手が外国からやってきた戦闘員だということも報告していた。この報告の中でシリアにおける戦争の本質は明らかにされている。

 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは、地上で戦うアル・カイダ系武装集団と空爆を行うNATO軍の連携が機能し、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィは惨殺された。そして戦闘員や兵器/武器はリビアからシリアへ運ばれ、2012年からシリアで大攻勢が予定されていたようだ。

 シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すため、リビアと同じようにNATO軍、あるいはアメリカ主導軍を介入する環境作りも始められた。侵略勢力は配下の有力メディアなどを使い、「独裁者と民主化勢力との戦い」や「シリア政府軍の残虐行為」といった物語を広めようとしたのだ。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載するということも行った。こうした嘘をメルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の司祭は批判したのだ。

 真実を語らず、侵略を正当化する宣伝を繰り返してきたのは侵略国の政府や有力メディアだが、その中にはイギリスの外務英連邦省が含まれている。そこのコンピュータがハッキングされ、​プロパガンダ作戦の実態を明らかにする資料​が奪われ、その一部が公表された。そうしたプロパガンダ作戦が存在することは知られている話だが、内部資料が出てきたことは重要だ。

 リビアのカダフィ体制が崩壊した後、シリアの政府軍と戦う傭兵部隊への支援をアメリカ政府は強化するが、リビアでの戦闘で地上軍の主力がアル・カイダ系のLIFGだということが判明している。

 そこでバラク・オバマ大統領は穏健派を支援しているのだと強弁、外務英連邦省も同じことを主張しているのだが、これは​2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAが否定​したもの。

 その報告書の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘され、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。

 それだけでなく、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。

 その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧された。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。2012年7月からDIA局長を務めていたマイケル・フリン中将はダーイッシュが売り出された直後、2014年8月に退役させられてしまう。

 シリアの反政府軍への支援を強化しはじめたオバマ大統領は、シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと宣言した。その年の12月になると国務長官だったヒラリー・クリントンはシリアのバシャール・アル・アサド大統領が化学兵器を使うかもしれないと語り、13年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦を大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中にあるとする記事を載せた。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された。)

 しかし、すでにシリア政府はロシア政府のアドバイスに従い、化学兵器を全て廃棄していた。これはアメリカ政府も否定できないため、一部が隠されたと主張せざるをえなくなる。勿論、その主張を裏づける証拠はない。イラクの「大量破壊兵器」の話と同じだ。

 その後、アメリカやイギリスをはじめとする西側の政府や有力メディアは化学兵器話を繰り返すが、そのたびに嘘が露見している。何度でも嘘が繰り返されるわけだ。

 そうした嘘を広める上で重要な役割を果たしていたのが「シリア市民防衛(SCD、通称「白いヘルメット」)」。ジェームズ・ル・ムズリエなる人物が2013年3月にトルコで編成、メンバーを訓練していた。

 この団体の活動目的は医療行為だとされたが、公開された映像からそのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと指摘する人もいる。しかもSCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真も存在、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物ではSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などがバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットらのジャーナリストによって確認された。

 SCDの設立資金30万ドルはイギリス、アメリカ、そして日本が提供、さらに西側のNGOやカタールを経由してアメリカ政府とイギリス政府から1億2300万ドルが渡ったとされている。

 ル・ムズリエはイギリス軍の元軍人とされているが、イギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだと言われている。2000年に軍を退役した後にオリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になった。この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名され、現在に至る)に吸収されている。

 2008年に彼はオリーブ・グループを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持していた。

 勿論、アメリカやイギリスが新たな化学兵器話を宣伝し始めても不思議ではない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010140001/  

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コメント
1. 中川隆[-10853] koaQ7Jey 2020年10月14日 17:58:17 : qeoz4h8Nwg : dm1xMUg1aTVyQWc=[20] 報告

意図的な世論誘導報道で悪魔呼ばわりされているシリア アサド大統領
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/816.html

命を賭して悪の帝国と闘ったサダム・フセイン
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/298.html

プーチン大統領は神の申し子
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/297.html

東海アマ イスラム国を作ったのは、イスラエルであること
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/896.html

リビアの戦乱を引き起こしたのはアメリカ政府を操ってきたネオコン(シオニストの一派)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/847.html

ヒラリー・クリントン
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1090.html

ロスチャイルドの番頭で殺人鬼だったジョージ・ソロスがやった事
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/148.html

平和主義者だったトランプがイラン革命防衛隊の精鋭組織コッズ部隊の司令官を殺害した理由
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/786.html

2. 中川隆[-7317] koaQ7Jey 2021年2月16日 18:21:42 : 2Rqleo9YRc : OFhWL1kxNk5ZblU=[7] 報告
2021.02.16
バイデンの大統領就任でオバマ政権の中東侵略作戦が復活する可能性(1/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160000/


 アメリカにジョー・バイデン政権が登場して以来、世界的に軍事的な緊張が高まっているが、中でもシリアでの動きは目につく。​アメリカ軍が北東部にあるハサカで新たな軍事基地を建設している​と報道されているが、そこには戦闘員や物資を輸送するために滑走路も作られ、油田地帯に近いデリゾールでもアメリカ軍は新しい航空施設を建設しているという。

 イスラエル軍によるダマスカス周辺に対する攻撃も激しくなり、シリア政府が反発しているだけでなく、イラン側もイスラエルが一線をこれれば「後悔させる」と語っている。また​ロシア軍は地中海に近いラタキアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地の滑走路を拡張して戦略爆撃機が離着陸できるようにした​という。

 バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権は2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵を使った侵略戦争を中東から北アフリカにかけての地域で始めた。2011年の2月にはリビア、3月にはシリアも戦場になる。侵略を正当化するため、オバマ政権は「独裁者」による「民主化運動」の弾圧を演出した。

 しかし、西側で主張された「流血の弾圧」を否定する情報は早い段階から流れていた。例えば、シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエによると、実際は限られた抗議活動があっただけで、すぐに平穏な状況になっていたという。

 その調査結果をシュバリエはパリへ報告したが、アラン・ジュペ外相はそれを無視しただけでなく、シリアのフランス大使館に電話して「流血の弾圧」があったと報告するように命じたという。

 その後も西側の政府や有力メディアはシリア政府による「民主化運動の弾圧」を盛んに宣伝、その情報源としてダニー・デイエムなる人物やロンドンを拠点とする「SOHR(シリア人権監視所)」を使っている。

 デイエムはシリア系イギリス人で、シリア政府による「流血の弾圧」を主張し、外国勢力の介入を求めていた。ところが2012年3月、「シリア軍の攻撃」を演出する様子を移した部分を含む映像がインターネット上へ流出してしまい、その実態が知られてしまった。シリコンバレーの巨大企業が検閲してもその事実を消し去ることはできない。

 SOHRは2006年にラミ・アブドゥラーマン(本名オッサマ・スレイマン)なる人物がイギリスで設立したのだが、その背後にイギリスの政府機関が存在している。イギリス外務省はSOHRに約19万5000ポンド相当の支援をしていることを認めたとイギリスの​デイリー・メール紙が伝えている​。

 デイエムのインチキが発覚した2012年3月当時、アメリカをはじめとする勢力はシリア侵略に集中しはじめていた。その前年の10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制を倒し、戦闘員や武器/兵器をシリアへ集中させるのだが、リビアの戦闘でNATO軍がアル・カイダ系武装勢力のLIFGと連携していたことが明確になってしまう。

 2001年9月11日以来、アメリカ政府は「アル・カイダ」をテロリズムの象徴的な存在にしていた。アル・カイダ系武装勢力のLIFGがNATO軍と連携していた事実は衝撃的なはずだが、一部の有力メディアが報道しただけで、西側では大して問題にされていない。

 アメリカにとって好都合なことに、「アル・カイダ」のリーダーだとされていたオサマ・ビン・ラディンは2011年5月2日にアメリカの特殊部隊によって殺されたことになっている。その段階で人びとの意識の中から「アル・カイダ」も消えたのかもしれない。

 シリア北部ホムスでは2012年5月に住民が虐殺されるのだが、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと主張した。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載しているが、この写真は2003年3月にイラクで撮影されたの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載していた。こうした西側有力メディアの偽報道をローマ教皇庁の通信社が伝えている。

 ホムスの虐殺を現地調査、報告したフランス人司教は、「​もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている​」としている。その後、そうした状況はさらにひどくなっている。

 こうした報告は流れたものの、アメリカなど侵略勢力は有力メディアを使ったプロパガンダで圧倒できると考えたようで、オバマ政権はシリアでの戦争を「政府軍と民主派の戦い」だと言い張り、内戦だと主張する。オバマ政権は「穏健派」を支援しているのだとオバマ大統領だと言い張る。

 ところが、この主張は​アメリカ軍の情報機関DIA​が否定している。2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していた。

 この警告は2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧されたのだ。

 モスル制圧の際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。

 2012年7月からDIA局長を務めていたのはマイケル・フリン中将。サラフィ主義者が支配する地域が出現するという警告がダーイッシュの登場で現実になったのだが、その結果、オバマ政権にとって目障りな存在になった。そして2014年8月に退役させられてしまう。(つづく)

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160000/


2021.02.16
バイデンの大統領就任でオバマ政権の中東侵略作戦が復活する可能性(2/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160001/


 バラク・オバマ政権はNATO軍、あるいはアメリカ主導軍をシリアへ侵攻させる口実として「化学兵器話」を使い始める。2012年8月、オバマ大統領は生物化学兵器の使用がシリアへの直接的な軍事介入の「レッド・ライン」だと宣言、同年12月には国務長官だったヒラリー・クリントンがシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語っている。

 そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中に書かれているとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された)

 その後、シリア政府軍が化学兵器を使ったとする話を西側の政府や有力メディアは何度か主張してきたが、いずれも嘘が明らかにされている。それでもアメリカ政府は同じシナリオを繰り返し、有力メディアはそれを垂れ流している。

 そうした化学兵器話の発信源のひとつがSCD(シリア市民防衛/通称白いヘルメット)。2013年3月にジェームズ・ル・ムズリエなる人物がトルコで創設した。設立資金の30万ドルはイギリス、アメリカ、そして日本から得たという。その後、西側のNGOやカタールを経由してアメリカ政府とイギリス政府から資金を受け取ったとされている。

 ル・ムズリエはイギリス軍の元軍人で、2000年に退役、その後オリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になった。この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名、現在に至る)に吸収されている。

 2008年に彼はオリーブ・グループを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持している。

 SCDはアル・カイダ系武装集団の医療部隊として活動してきたが、公開された映像から、そのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと指摘する人もいる。

 また、SCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真の存在、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物でSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などがバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットらによって確認されている。

 こうした実態をアメリカ政府も知っているようだ。​SCDのシリアにおける責任者ラエド・サレーをFBIは「テロリスト」だと認識、彼はアメリカへの入国を拒否されている​。

 オバマ大統領は2015年に戦争態勢に入る。政府を好戦的な布陣に作り替えたのだ。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代している。

 ヘーゲルは戦争に慎重だったが、カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張した人物。シリアからバシャール・アル・アサド大統領を排除しようとしていたバラク・オバマ大統領とは違い、サラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていたデンプシーはシリア政府と情報を交換していたと言われている。

 統合参謀本部議長が交代になった直後の9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュなど武装勢力の支配地域は急速に縮小していく。アメリカ主導軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力を攻撃したのだ。アメリカの軍や情報機関はダーイッシュなどの主要メンバーを救出、クルドを新たな手先にした。必然的にSCDの出番も減る。そして2019年11月11日、SCDを創設したジェームズ・ル・ムズリエがトルコで死亡した。

 そのSCDがバイデン政権になってから活動を再開させたという情報がある。​ロシア国防省はSCDがシリアのイドリブで新たな挑発工作を目論んでいると警告​した。ハイアット・ターリル・アル・シャムの活動と関係がありようだ。

 軍事的に優位だったにもかかわらず、シリア政府軍が化学兵器を使ったとする話がSCDなどから流されていた2013年8月、ダマスカスの近くのゴータで爆発があった。

 攻撃の直後にロシアのビタリー・チュルキン国連大使は反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射されてゴータに着弾したと国連で説明、その際に関連する文書や衛星写真が示されたと伝えられている。

 その後、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュや国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授を含むジャーナリストや学者によって化学兵器話は否定された。

 それでもオバマ政権は直接的な軍事侵略を実行しようとしていた可能性が高い。西側の有力メディアは9月の初めに攻撃が始まると推測していたが、実際、2013年9月3日に地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射された。

 この発射はロシアの早期警戒システムがすぐに探知、公表されるが、ミサイルはいずれも途中で海へ落下してしまう。イスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、この説明には疑問がある。事前に周辺国(少なくともロシア)へ通告せずに発射実験をするとは考えにくいからだ。何らかの手段、例えばジャミングでミサイルのGPSが狂って落下したと推測する人もいる。

 この当時、アメリカ軍はシリアの近くにある基地にB52爆撃機の2航空団を配備したほか、5隻の駆逐艦、1隻の揚陸艦、そして紅海にいる空母ニミッツと3隻の軍艦などを地中海に配備した。これに対抗してロシア政府は「空母キラー」と呼ばれている巡洋艦のモスクワを中心にしてフリゲート艦2隻、電子情報収集艦、揚陸艦5隻、コルベット艦2隻がシリアを守る形で配置されたとされている。

 その翌年にダーイッシュが出現、その残虐性が宣伝された。その残虐な武装集団と戦うという名目でNATO軍、あるいはアメリカ主導軍が軍事侵攻、シリア政府を潰すというシナリオだったのだろう。

 アメリカでオバマ政権の副大統領が大統領に就任、オバマ政権と同じことをする可能性がある。それに対する準備をシリア政府だけでなく、イランもロシアも始めている。(了)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160001/

3. 中川隆[-7250] koaQ7Jey 2021年2月19日 19:53:58 : ggtj42tZ3E : MkF0VFlkVHpkbEE=[41] 報告

2021.02.19
米軍を中心とする勢力がシリアやイラクで軍事力を増強、緊張が高まっている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102190001/

 アメリカ主導軍がシリアの反政府勢力に対する支援を強化している。2月18日にも60台のトラックを連ね、イラクのクルド支配地域からシリア北東部のハサカ周辺へ軍事物資や装甲車両を運び込む光景を撮影した映像がインターネット上で公開されている。イラク政府はアメリカなどに対して撤兵するように求めてきたが、占領軍は無視している。それどころかNATO軍はイラクにいる部隊の規模を500名から4000名へ増やすのだという。

 イラクのクルドは1960年代後半からイスラエルの情報機関の影響下にある。クルドを率いていたムスタファ・バルザニはイスラエルの情報機関モサドのオフィサーだったと言われ、その息子であるマスード・バルザニも同じだと見られている。アメリカはイラク北部にクルドの国を建設しようと目論んだこともあるが、クルド内部の反バルザニ派がこの計画に反対して挫折してしまった。

 アメリカ軍がイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃したのは2003年3月のこと。スンニ派を中心とするサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル派の体制を樹立する予定だったが、イラク国民の多数を占めるシーア派が同じシーア派のイランに親近感を持つことから親イラン派の政権が誕生してしまった。

 こうした状況を打開するため、イギリスの首相だったトニー・ブレアはブッシュ米大統領に対し、非宗教政権を倒してムスリム同胞団と入れ替えるように求めたという。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019)

 ​シーモア・ハーシュが2007年3月にニューヨーカー誌で書いた記事​によると、ブッシュ政権はイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰そうと考えた。

 その記事の中で引用されたジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のバリ・ナスルの説明によると、資金力のあるサウジアラビアは「ムスリム同胞団やサラフィ主義者と深い関係」があり、そうしたイスラム過激派を動員することができる。ただ、その勢力は「最悪のイスラム過激派」であり、彼らが入っている箱を開けたなら、2度と箱の中へ戻すことはできないとも警告していた。

 2009年1月に大統領はバラク・オバマに交代、2010年8月にはムスリム同胞団を使った体制転覆プラン、PSD-11を承認している。ブラア英首相の意向に沿う計画だ。そして「アラブの春」が始まり、リビアやシリアでは2011年春から戦争になる。これを西側では「内戦」と表現しているが、侵略戦争以外の何ものでもない。

 ムスリム同胞団は歴史的にイギリスと関係が深いが、アメリカの国務長官だったヒラリー・クリントンの側近中の側近と言われたヒューマ・アベディンもムスリム同胞団と結びついている。母親のサレハはムスリム同胞団の女性部門を指導している人物だ。

 2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ自身は惨殺された。その直後、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジの裁判所にアル・カイダの旗が掲げられている。(​ココ​や​ココ​)そうしたこともあり、反カダフィ軍の主力だったLIFGはアル・カイダ系であり、NATO軍がそのLIFGと連携していたことが明確になった。

 アメリカ政府が戦闘員や武器/兵器をシリアへ集中させていた2012年5月にロシア大統領がドミトリー・メドベージェフからウラジミル・プーチンへ交代して状況が大きく変化する。リビアのカダフィ体制が倒されようとしている時に手を拱いているばかりだったメドベージェフ大統領とは違い、プーチンはアメリカの前に立ちはだかった。しかもシリア政府軍はリビア軍より強い。

 そこで​オバマ政権は反シリア政府軍への支援を強化するが、そうした行為は危険だと警告する報告書が2012年8月にホワイトハウスへ提出​されている。アメリカ軍の情報機関DIAが出したのだが、その中で反シリア政府軍の主力はオバマ大統領が言うような「穏健派」ではなく、サラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘されている。「過激派」だということだ。

 それだけでなく、オバマ政権の政策はシリア東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していた。これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になり、残虐さを演出してアメリカ軍、あるいはNATO軍の介入を誘う。この時期、ダーイッシュの戦力は急拡大しているのだが、その一因はサダム・フセイン時代のイラク軍将兵が合流したからだとも言われている。

 そのダーイッシュやアル・カイダ系武装集団に大きなダメージを与えて支配地域を急速に縮小させたのが2015年9月にシリア政府の要請で介入したロシア軍。シリア政府に無断で軍隊をシリア領へ入れているアメリカ、シリア、フランスなどとは違う。

 この過程でアメリカの軍や情報機関は戦闘集団の幹部を救出、末端の戦闘員が残されることになった。イドリブの戦闘集団はトルコが後ろ盾になっている。ジハード傭兵が敗走する中、アメリカ政府が新たな手先として選んだのがクルドである。

 戦闘車両などが運び込まれている先の​ハサカではアメリカ軍が新たな軍事基地を建設​、戦闘員や物資を輸送するために滑走路も作られ、油田地帯に近いデリゾールでもアメリカ軍によって新しい航空施設を建設されている。シリアに対するイスラエルによる攻撃も激しくなっている。

 そうした攻勢に対抗して​ロシア軍は地中海に近いラタキアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地の滑走路を拡張し、戦略爆撃機が離着陸できるようにした​。ジョー・バイデン政権は支配体制を「リセット」するため、軍事的な圧力を世界規模で強めている。中東は特に危険な状態だと言えるだろう。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102190001/

4. 中川隆[-4667] koaQ7Jey 2021年5月22日 09:59:54 : jJNYa2PyeU : SlIxQ2pKL2N5MjI=[9] 報告
【ゆっくり解説】しくじり国家〜シリ ア・アラブ共和国〜
2021/05/19に公開済み


5. 保守や右翼には馬鹿し[82] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年3月23日 08:45:23 : JvKaF64CkU : dTRCbmk4cENCV2c=[4] 報告

2023.03.23XML
ウクライナから台湾へ転進を図るアメリカだが、その台湾でもアメリカ離れの動き
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303220001/

 ​台湾の総統を2008年5月から16年5月まで務めた馬英九が3月27日から4月7日にかけて学者や学生を率いて中国を訪問する​。現総統の蔡英文は中国からの独立を実現するためにアメリカの属国になる道を選んだが、これは台湾の経済を破壊し、戦乱を招く行為。有権者に支持されていない。昨年11月に実施された地方選挙では蔡英文の民主進歩党が馬英九の国民党に大敗した。

 アメリカのシステムは1970年代から金融が中心になり、国内の製造業は衰退、生産活動は低賃金国へ移動させた。アメリカの巨大資本は資源を支配、略奪するために海兵隊やCIAを利用してきたが、金融の仕組みも駆使している。ドルが基軸通貨として認められたことで、そうした支配システムが可能になったのだが、ドルが基軸通貨の地位から陥落しつつある。アメリカの支配システムがは崩壊し始めたということだ。

 アメリカが軍事的にも弱体化していることが2008年8月の南オセチアによる戦闘とシリアでの戦争で明確になった。

 南オセチアではイスラエルやアメリカの支援を受けたジョージアが奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃で惨敗。バラク・オバマが大統領に就任して3年目の2011年春、シリアはアメリカなどから軍事侵略を受けたが、バシャール・アル・アサド政権は倒れない。

 そこでオバマ大統領は政府を好戦的な布陣に変更、2015年にアメリカ/NATO軍を直接介入させる動きを見せた。それに対し、シリア政府は2015年にロシアへ軍事介入を要請、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長が退任した直後の9月30日にロシア軍は軍事介入、アメリカなどが手先として使っていたジハード傭兵を敗走させている。その年の10月7日にはカスピ海からシリアのターゲットへ向けて巡航ミサイルのカリブル26機を11のターゲットに向けて発射、いずれも数メートルの精度で命中した。そうしたミサイルの存在を認識していなかったアメリカ軍を震撼させたとも言われている。

 ドナルド・トランプは大統領に就任して間もない2017年4月、地中海に配備されていたアメリカ海軍の駆逐艦、ポーターとロスからトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、約6割が無力化されている。ロシアの防空システムS-300やS-400だけでなくECM(電子対抗手段)で落とされたとも言われている。

 翌年の4月にもトランプ政権は巡航ミサイルでシリアを攻撃する。この時はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上のミサイルを発射したが、今度は7割が無力化されてしまった。前年には配備されていなかった短距離用防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったようである。

 2014年2月にオバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行して政権転覆に成功しているが、これを切っ掛けにしてロシアと中国は戦略的な同盟関係を結び、世界がアメリカを見る目は厳しくなった。

 こうしたことが影響したのか、中東で大きな変化が起こり始める。サウジアラビアがロシアへ接近、さらにイランとの関係修復に乗り出したのだ。

 イラン側でメッセンジャーの役割を果たしていたのはイスラム革命防衛隊の「コッズ軍」を指揮していたガーセム・ソレイマーニー。この人物がサウジアラビアへの返書を携えてバグダッド国際空港に到着したところをアメリカ軍は2020年1月、無人機のMQ-9で暗殺している。イスラエルが協力していたともいう。

 しかし、こうした暴力で流れを変えることはできなかった。​今年3月10日に中国、サウジアラビア、イランは共同声明を発表​、中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交を正常化させ、それぞれ大使館を再開させることを明らかにした。サウジアラビア国王は自国にイラン大統領を招待している。

 またシリアでの戦乱を終わらせるためにロシアはイランやトルコと協力して話し合いを進めていると伝えられているが、シリアはエジプトのほか、オマーンやアラブ首長国連邦といったペルシャ湾岸の産油国との関係を改善させている。こうした産油国の動きはサウジアラビアが承認いているはずだと考えられている。

 サウジアラビアをはじめとする産油国のアメリカ離れはドル体制を揺るがす可能性が高い。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303220001/

6. 保守や右翼には馬鹿し[90] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年3月26日 08:10:50 : OncNpJRpfs : Ti5ZS0ZNWktzODY=[1] 報告
2023.03.26XML
シリアで不法占領を続けるアメリカ軍の基地に対する攻撃が続いている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303260000/

 シリア北部にあるアメリカ軍の基地が3月23日に無人機で攻撃され、ひとりが死亡したと伝えられている。ジョー・バイデン米大統領は報復攻撃をロイド・オースチン国防長官に命令、アメリカ中央軍はシリア東部の施設を空爆したが、それに対する報復で24日にはアル・オマール近くにある別の基地がロケット攻撃を受けた。イランのネットワーク局アル・アラムによると、25日には20機以上のロケットでふたつのアメリカ軍基地が攻撃されたという。

 ジョージ・W・ブッシュ米大統領はネオコンの戦略に基づき、「大量破壊兵器」に関する偽情報を流して環境作りをした上でアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させ、サダム・フセイン体制を破壊した。2003年3月20日早朝のことだ。

 しかし、イラクに親イスラエル政権を築くことに失敗、アメリカ軍による占領は今も続いている。この軍事作戦で殺されたイラク人は100万人程度とも言われている。

 例えば、アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から06年7月までに約65万人のイラク人が殺され、イギリスのORBによると、07年夏までに94万6000名から112万人が死亡、またNGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたと推測している。

 正規軍の投入は機能しないと考えたのか、バラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。そして始まるのが「アラブの春」だ。その流れの中で​アメリカ、イギリス、フランスを含む国々がリビアやシリアに対する軍事侵略を始めた​。この戦術はオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めたもので、​「アル・カイダ」の仕組み​はその時に作られた。


 リビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。その際、アル・カイダ系武装集団とNATO軍の連携が明らかになり、​反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている​。

 アル・カイダはCIAが訓練した戦闘員の登録リストで、戦闘員の募集活動をしていたのがオサマ・ビン・ラディンだと言われている。一般的にアル・カイダのリーダーだと言われ、イコンとして扱われていた人物だ。このビン・ラディンは2011年5月、アメリカ海軍の特殊部隊によって殺害されたとされている。イコンを消したとも言えるだろう。

 2012年からオバマ政権はシリア侵略に集中する。リビアから戦闘員や武器をNATO軍がシリアへ運び、軍事支援を強化するのだが、そうした行為を正当化するためにシリア政府を悪魔化するための偽情報を流した。

 例えば、シリア北部ホムスで2012年5月に住民が虐殺されると、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝した。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載しているが、この写真は2003年3月にイラクで撮影されたもの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載していた。

 こうした西側有力メディアの偽報道をローマ教皇庁の通信社が伝えている。例えば、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長を務めていたフィリップ・トルニョル・クロはホムスでの住民虐殺事件を調べるために現地へ入って調査、西側の宣伝が嘘だという結論に達し、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と2012年6月に報告している。

 西側の有力メディアは当初、現地の情報源としてシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物を使っていた。ところがデイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2013年3月にインターネット上へ流出、中継はフィクションだということが明らかになる。

 2012年8月にはアメリカ軍の情報機関​DIAが反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだと指摘されていた)であり、その中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘​、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も報告書の中に出している。オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないということだ。

 オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になった。

 その2012年8月にオバマ政権は軍事侵攻を正当化する口実として化学兵器を言い始めた。シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと宣言したのだ。シリア軍が予想外に強く、アメリカ軍、あるいはNATO軍が介入しなければならないと判断したようだ。

 2012年12月になると、ヒラリー・クリントン国務長官がシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語る。そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、イギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールにシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述があるとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された)

 そして2013年3月にアレッポで爆発があり、26名が死亡したのだが、そのときに化学兵器が使われたという話が流れる。シリア政府は侵略軍であるジハード傭兵が使用したとして国際的な調査を要請するが、イギリス、フランス、イスラエル、そしてアメリカは政府軍が使ったという宣伝を展開する。

 しかし、​攻撃されたのがシリア政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということをイスラエルのハーレツ紙が指摘​、​国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言​している。

 2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧される。ダーイッシュの登場だ。モスル制圧の際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。

 アメリカのチャック・ヘーゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、クリントン国務長官らと対立していたが、ダーイッシュは残酷さをアピール、アメリカ/NATO軍の介入を誘う。

 オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないとする報告を出したDIAの局長、マイケル・フリンは2014年8月に退役を強いられていたが、それだけでなくヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任を拒否されている。オバマ大統領は戦争体制を整えた。そこでロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させた。

 そこでアメリカはクルドと手を組むのだが、これによってアメリカとトルコの関係が悪化する。現在、アメリカ軍はシリア領内に900名程度の部隊を侵攻させ、10カ所とも20カ所とも言われる数の軍事基地をシリアに建設、不法占領を続けている。

 そうした基地のひとつであるアル・タンフではアメリカとイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練、2018年9月にはアメリカ軍が軍事演習を実施、最近ではウクライナでロシア軍と戦わせるために戦闘員を訓練しているとも言われている。

 シリア領内のアメリカ軍は侵略者以外の何ものでもない。アメリカ軍に対する攻撃はシリア人の権利である。


https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303260000/

7. 中川隆[-8261] koaQ7Jey 2024年12月10日 19:44:02 : cgTuRwGi0A : dkNJeTRpcE9pWGc=[9] 報告
<△20行くらい>
意図的な世論誘導報道で悪魔呼ばわりされているシリア アサド大統領
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/816.html

シリアに対する侵略戦争
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14098853
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/331.html

【シリア】ロシアの崩壊間近!?シリア内戦がもたらす可能性
世界史解体新書 2024/12/10
https://www.youtube.com/watch?v=4AjxkdVhMh8

【越境3.0チャンネル】石田和靖 シリア崩壊,アサド大統領亡命... その裏側にあるものは何か?
https://www.youtube.com/watch?v=-ueh2dKSVSA&t=991s

【越境3.0チャンネル】ネタニヤフ命令発動! "シリア全土を侵攻せよ" イスラエル不法な土地強奪を全面開始
【越境3.0チャンネル】石田和靖
https://www.youtube.com/watch?v=1IouVyNOHpU

8. 中川隆[-8259] koaQ7Jey 2024年12月11日 19:18:57 : izBExsNXAQ : ZWVHNG5kNGVQOEE=[2] 報告
<■122行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024.12.11XML
シリアのアサド政権崩壊でトルコはロシアを裏切ったのか、両国は連携したのか
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412110000/

 バシャール・アル・アサド一家はロシアへ到着したと伝えられている。ロイターは12月8日、アサド大統領を乗せた航空機が墜落したと伝えていたが、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官はそれを誤報だと主張し、撤回を求めていた。

 2021年8月にアフガニスタンの首都カブールが陥落した際にはアメリカ軍を含めて大混乱だったが、今回のアサド政権崩壊は穏やかに推移しているように見える。ダマスカスを制圧したハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)だけでなくシリア政府側も落ち着いているようだ。HTSが攻め込んだ際、シリア軍は戦わなかったとも伝えられている。政権が「崩壊するスピードの速さ」を生み出した原因はそこにあるのだろう。

 アメリカ軍は油田地帯を含むシリア東部をクルドと共同で支配しているが、ロシア軍も地中海沿岸にタルトゥス海軍基地とフメイミム空軍基地を置いている。HTSはこうしたロシアの基地を攻撃する動きは見せていないだけでなく、防衛態勢に入っている。

 HTSはアル・カイダ系のアル・ヌスラ戦線を改名した組織だとされ、そのアル・ヌスラはシリアで活動を始める前はAQI(イラクのアル・カイダ)」と呼ばれていた。

 アル・カイダとはCIAがアフガニスタンでソ連軍と戦わせるために訓練した戦闘員の登録リストである。​イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックも05年7月、「アル・カイダ」についてCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだと説明している。​この指摘をした翌月、2005年8月6日にクックは休暇先のスコットランドで散歩中に心臓発作で急死した。

 この流れから考えてHTSはアメリカの影響下にあると推測できるが、アル・カイダは傭兵の登録リストだということも忘れてはならない。現在の雇い主はトルコ政府だと言われている。HTSの内部にトルコ軍の兵士が含まれている可能性もある。

 そのトルコの大統領、レジェップ・タイイップ・エルドアンはアサド政権崩壊する際に興味深いことを口にしている。現在、世界に存在する真の指導者はロシアのウラジミル・プーチン大統領と自分だけだというのだ。エルドアンがプーチンを裏切ったという見方もあるのだが、エルドアンの発言を素直に受け取ると、そうした見方は適切でないということになる。

 エルドアンが敵視しているクルドは2015年10月以降、アメリカの手先として活動してきた。今後、HTSがクルドを攻撃する可能性がある。アサドを倒したという点はアメリカ政府にとって喜ばしいことなのだろうが、クルドを攻撃するとなると状況は変わる。

 アメリカのバラク・オバマ政権は2011年3月、ムスリム同胞団やサラフィ主義者を主力とする戦闘集団を使い、シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒す工作を始めた。同年2月から同じような工作が始められたリビアは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ政権が崩壊、カダフィ本人は惨殺されているが、シリア政府は倒れない。

 そこでオバマ政権はリビアから戦闘員や兵器を移動させるだけでなく支援を強化、2014年にはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)を生み出した。ダーイッシュは残虐さを演出、アメリカ/NATOの軍事介入を正当化しようとし始めたのだが、2015年9月30日にロシア軍がアサド政権の要請で軍事介入、ダーイッシュを一掃してアメリカのプランを壊した。こうした支援が有効だったのはアサド大統領が毅然とした態度をとっていたからだ。

 しかし、東部の油田地帯をアメリカ軍に支配され、アメリカ主導の経済封鎖でシリア経済は回復しない。シリアで稼ぐために傭兵集団の戦闘員になる人もいたようだ。苦境の中、シリア政府は国民の税負担を増やし、国民の離反を招いたと言われている。これは欧米支配者の計算通りだったのだろう。

 ロシアにとってシリアはアフリカへの中継地で、重要な国だと指摘されている。ロシアからそうした国を奪うことも欧米支配者がシリアを侵略する目的のひとつだったはずだ。

 アメリカ政府が火をつけた戦乱を避けるため、シリアから約400万人の難民がトルコへ逃れたと言われているが、その難民をトルコの情報機関が管理していると見られている。それ以上の難民がEUへ移動しているが、さらに難民を移動させるとトルコ政府はEUを脅したこともあった。そうした事態になれば、ヨーロッパは今以上の大混乱だ。経済が破壊され、資金源の油田をアメリカ/クルドに占領されているシリア政府にとっても難民の問題は深刻だった。

 すでに本ブログでも書いたことだが、2020年にプーチン露大統領、トルコのエルドアン大統領、イランのハッサン・ロウハニ大統領がビデオ会議を開き、シリアでの戦争に軍事的な解決はなく、政治的プロセスを通じてのみ解決しなければならないという「確信」を3カ国は共同声明で表明した。今回のアサド政権崩壊は「政治的プロセス」だったという見方もできる。このプロセスには勿論、アサドも含まれていたのだろう。

 2011年には侵略に断固として立ち向かった彼が今回はあっさり退いて亡命した。2011年にシリア侵略を始めたアル・カイダ系武装勢力はキリスト教徒を虐殺、それをアサド政権が守っていたのだが、今回、HTSはキリスト教徒と話し合う姿勢を見せている。2011年と現在では何か違うことが起こっている。

 こうした見方が正しいかどうかは西側諸国が今後、どのように反応するかで推測できるだろう。現在、西側諸国はHTSを「自由の戦士」として扱っているが、とりあえず、アメリカ政府がHTS体制を認めるかどうかが注目されている。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412110000/

2024.12.11XML
シリア全土でHTS戦闘員による虐殺が行われていると報告され始めた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412110001/

 ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)に制圧されたダマスカスは落ち着いているように見えたが、バシャール・アル・アサド政権の軍人、役人、クルド人などをHTSの戦闘員が殺害、その様子を撮影した映像がインターネットを通じて伝えられている。そのダマスカスでは核微生物や化学の学者が殺されているが、イスラエルによる暗殺だと見られている。

 港湾都市ラタキアでは虐殺の後、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の旗を掲げたジハード傭兵の車列が走行。これまでアサド政権に守られていたキリスト教徒も彼らのターゲットになることが予想されているが、キリスト教徒の中にはイスラムへ改宗する動きも見られる。

 アレッポではHTSの司令部がキリスト教コミュニティの指導者と会談したと伝えられ、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はPKK(クルディスタン労働者党)とダーイッシュを撲滅するように呼びかけているが、現実は違うようだ。

 2011年3月にバラク・オバマ政権はアル・カイダ系武装集団を使ってシリアへの軍事侵攻を開始、経済システムが破壊され、しかも西側諸国の経済封鎖で社会生活は成り立たなくなり、稼ぐためには傭兵になるしかないとも言われていた。しかもシリアの収入源だった東部の油田地帯はアメリカを後ろ盾とするクルドが支配、石油が盗まれてきたが、その一方、1000万人とも言われるシリア人が国外へ脱出。アサド政権が崩壊したベースにはこうした状況があった。アメリカの支配層はロシアに対して同じことを目論んだが、失敗している。

 アサド政権が倒れる直前からイスラエルはシリアに対する激しい空爆を実行しているが、イスラエル軍によると、政権崩壊後に約350機の戦闘機を投入してシリア全土の320か所を標的にし、同時にゴラン高原などではイスラエル陸軍が軍事侵攻、ダマスカスの南西25キロまでイスラエル軍が迫っているとする情報もある。イスラエル政府はHTSを反イラン陣営に引き込みたいようだが、そのHTSの戦闘員はイスラエルと対決する準備ができていると叫んでいる。

 それに対し、イラン政府のモフセン・レザイはHTSがイラク攻撃を準備していると警告、シリア北部にあるアメリカ軍基地でダーイッシュの戦闘員1万1000人が訓練を受けているとしている。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412110001/

9. 中川隆[-8229] koaQ7Jey 2024年12月13日 18:01:37 : 2eVrOKZLJo : TjNYeG40V3hYQUU=[15] 報告
シリアで大変なことが起きています。
室伏謙一『霞が関リークス』公式チャンネル 2024/12/12
https://www.youtube.com/watch?v=2JnizdkOXyY
10. 中川隆[-8188] koaQ7Jey 2024年12月16日 23:13:49 : kFv5Lpf8MI : eTRsdWI0ZUlkS1U=[8] 報告
<■88行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024.12.16XML
CIAが作った仕組みから生まれたHTSはシリアを攻撃してもイスラエルには友好的
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412160000/

 シリアのバシャール・アル・アサド政権は11月27日、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)の奇襲攻撃を切っ掛けにして崩壊した。

 HTSはアル・カイダ系の武装集団であり、傭兵の集まりだ。​ロビン・クック元英外相が説明したように、アル・カイダとはCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストにほかならない​。つまり、アル・カイダという組織は存在しない。現在、HTSと呼ばれる傭兵を雇っているのはトルコ政府だと言われている。いわばHTSはトルコ政府の操り人形だが、一般的にはアブ・ムハンマド・アル・ジュラニが率いているとされている。しかもCIAの影響を受けているはずだ。

 事実上、CIAはウォール街、MI6はシティの情報機関であり、ウォール街とシティが緊密な関係にあることを考えれば、CIAとMI6が緊密な関係にあることも必然だ。

 これまでもイスラエルはシリアを執拗に空爆してきたが、HTSがダマスカスを制圧して以来、イスラエルはシリアを300回以上にわたって空爆、さらに地上部隊を侵攻させているのだが、こうしたことについてHTSは沈黙している。ガザでの大虐殺を怒っているようにも思えない。

 そして12月14日、ジュラニはイスラエルとの紛争に巻き込まれたくないと語った。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)と同じように、イスラム諸国を荒らしまわる一方、イスラエルの「三光作戦(殺し尽くし、焼き尽くし、奪い尽くす)」を容認しているが、HTSの背景を考えれば必然である。

 これまでアサド政権を攻撃してきた勢力の背景は概ね同じなのだが、団結しているわけではない。アメリカを背景にし、トルコに雇われているHTSはアメリカやイスラエルの手先になっているクルドと対立関係にあり、そこにトルコ、イスラエル、アメリカ、そしてシリア軍の残党が絡んで内乱が始まる可能性もある。

 シリアに住む人びとにとってこうした「バルカン化」は好ましくないが、イスラエル、イギリス、アメリカをはじめとする欧米諸国にとっては好都合だ。小国、小集団が互いに殺し合ってくれれば支配しやすい。イスラエル、イギリス、アメリカはそうしたプランを持っていた。

 そもそも、パレスチナに「ユダヤ人の国」を作るというシオニズムはイギリスで生まれたカルトだ。そのためには、パレスチナに住むアラブ系の住民を「浄化」する必要があり、「三光作戦」が始まったのは必然だった。

 イギリスにシオニズムが登場したのは、エリザベス1世が統治していた16世紀後半のことのようだ。イギリスではアングロ-サクソン-ケルトが「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする信仰がこの時期に出現した。ブリティッシュ・イスラエル主義とも呼ばれている。

 17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世は自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、その革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルなどピューリタンもそうした話を信じていたようだ。

 イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査し、イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出す。いわゆる「バルフォア宣言」だ。

 イギリスは1920年から48年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。

 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。

 この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立されたのだが、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱だ。

 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。

 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃した。イスラエルによるパレスチナ人虐殺はこの延長線上にある。

 こうした殺戮、破壊、略奪を「経済活動」として行うのが帝国主義。19世紀のイギリスで帝国主義の中心にいたのはシティの支配者だったナサニエル・ロスチャイルド、その資金を使って南部アフリカを侵略し、ダイヤモンドや金を手にしたセシル・ローズ、そのほかウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、アルフレッド・ミルナーたちがいる。

 世界支配の戦略を立てたのはローズだと言われているが、この人物は1877年にオックスフォード大学を拠点とする秘密結社「アポロ・ユニバーシティ・ロッジNo.357」へ入会、その直後に「信仰告白」を書いた。その中でローズはアングロ・サクソンが「世界で最も優れた種族」だと主張、アングロ・サクソンが住む地域が広くなればなるほど人類にとって良いと主張、そうした戦略を実現するために秘密結社は必要だとしている。シリアを破壊したのもローズの後継者たちだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412160000/

11. 中川隆[-8174] koaQ7Jey 2024年12月18日 07:24:54 : HIhM1qZm26 : ay9LcnM3YXl3dVU=[2] 報告
<■72行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
シリア革命、気がつけばまた独裁国家に戻っているだろう
2024.12.18
https://www.thutmosev.com/archives/37878.html

シリアの新たな指導者ジャウラニ


https://www.boersen-zeitung.de/thema/muhammad-al-jawlani
シリアの独裁政権が倒されたが

24年12月7日頃に30年間続いたシリアのアサド独裁政権が倒れて反体制派「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)が暫定政府を主導している

ヌスラ戦線の指導者ジャウラニは国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓った人物で米国などが国際テロリストに指定、最近が穏健派になったと主張している

この手の人は権力を握ると国際社会に認めてもらうために「穏健派」を演じるが、一旦世界から認められたら独裁者の本性を現す

中華人民共和国の毛沢東がそんな人で国共内戦に勝って大陸を統一すると、国際社会に認められるために温厚な人物を演じたが実際には自国民3000万人を虐さつしていた

あのアドルフヒトラーもそうでベルリン五輪の時は「穏健な人物」をアピールしていたが、その裏でユダヤ人弾圧の準備を着々と進めていた

シリアの新しい指導者になったジャウラニはシリア人の父が石油関連の技術者として赴任していたサウジアラビアで1982年に生まれた

2000年代初頭の対イスラエル民衆蜂起に感化され、イラク戦争開始後はイラクに渡ってアルカイダ戦闘員となり、米軍に5年間拘束された

11年にシリア内戦が始まるとアルカイダの支援を受けヌスラ戦線設立に関与、16年にアルカイダとの絶縁を宣言したが今も米国からテロ組織指定を受けている

ジャウラニは首都ダマスカスを制圧した8日頃から、アル・カーイダ加入後に使っていた「アブムハンマド・ジャウラニ」から本名のアフマド・アッシャラアを名乗り始めた

2016年にアルカイダと絶縁してから軍服での露出が少なくなり、欧米のインタビューに応じて穏健派をアピールするようになった

シリアは様々な勢力が入り乱れ、分離独立を目指す同国のクルド人勢力とシリアのクルド人勢力が連携しクルド人民兵組織「シリア民主軍」(SDF)とトルコが支援する旧反体制派「シリア国民軍」(SNA)が対立している

「イスラム国」も活動していて米国に協力してイスラム国と戦ったクルド人組織が打撃を受けると、再びイスラム国が勢力を拡大するかも知れない

イスラエルはアサド政権の崩壊にあわせて「国境の安全を確保するため」として、シリアとの係争地「ゴラン高原」の非武装緩衝地帯に軍を展開させている

「シリアの春」は幻に終わるだろう
シリアはアサド政権が倒れたと言ってもジャウラニの新政権が首都を占領して完了というのではなく、国内はロシアの占領地があったり米軍の占領地があったり四分五裂の状態にある

国が外国やテロ組織やイスラム過激派などに細切れ占領されている状態で民主主義は期待できず、強力な独裁政権によってしか統一できないと考えられる

これが中東のアラブ諸国に民主主義国が存在しない理由でアラブに民主選挙をしている国は一カ国もなく、どれも怪しい「王」や独裁者やカルト教団が支配している

民主主義は段階を経ないと機能しないものだがアラブ諸国はその段階に達しておらず、独裁やカルト教団や武装勢力が国民を押さえつける形でしか人々を統治できません

今回のアサド政権崩壊につながったとされているのは2011年にアラブ世界で発生した民主化運動の「アラブの春」だが運動自体は”いつものように”簡単に鎮圧されました

2010年12月のチュニジアで最初に民主化運動が起きてベン・アリ大統領が辞任に追い込まれ「ジャスミン革命」と呼ばれました

チュニジアでの民主化運動の成功は、アラブ各国の民衆に広がり、エジプト、リビア、イエメンなどの独裁政権が倒れました

民主化後のアラブ各国では部族対立や宗教対立が激化し治安が悪化、イスラム過激派の勢力拡大を許してしまうという状況が出現した

ここに「アラブの矛盾」があってアラブは混乱した世界なので独裁者の強力な権力でなくては統治できないのに、民主化されると政府が弱くなってイスラム国やアルカイダのようなのが復活しやすいのです

2012年に入ると政権の打倒が実現した国でも国内の対立や衝突が起きるなど民主化に綻びが見られ始めた

シリアではアサド政権側の政府軍と反体制組織に加え、外国勢力の介入やISILの台頭などによる泥沼の内戦状態に突入した

リビアとイエメンではこれまで続いてきた抗議運動の高まりにより政権を打倒したものの、その後国内が分裂しリビア内戦やイエメン内戦を招いた

結局のところアラブの春は失敗に終わり22年から24年にかけてもイランで民主化運動があったが鎮圧され、サウジアラビアでも民主化は鎮圧された

シリアの政権交代による「シリアの春」も結局は新しい独裁者を迎えて新たな独裁国家を作る事になるでしょう
https://www.thutmosev.com/archives/37878.html

12. 中川隆[-8172] koaQ7Jey 2024年12月18日 07:31:21 : HIhM1qZm26 : ay9LcnM3YXl3dVU=[4] 報告
<■120行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
アサド政権崩壊。しかし、これから平和になるのではなく新たな混乱の幕開けか?
2024.12.17
https://blackasia.net/?p=48162

アサド政権崩壊後のシリアの政治情勢は、これからも依然として不安定な状況が続くと考えられる。長年にわたる独裁体制の崩壊は、シリア国内に大きな権力の空白を生み出し、その埋め合わせには時間がかかる。場合によっては、アサド政権よりも、もっと悲惨なことになるかもしれない。(鈴木傾城)


アサド長期独裁政権があっけなく崩壊した
2024年12月8日、シリアの独裁者バシャール・アル・アサド長期独裁政権があっけなく崩壊した。これによって、2011年から13年にわたって続いた血みどろの内戦に終止符が打たれた。

アサド政権の崩壊は、中東地域の力学を一変させる歴史的な出来事だ。しかし、この劇的な展開は果たしてシリアに平和をもたらすのだろうか。それとも新たな混沌の始まりに過ぎないのか。

アサド政権の崩壊は、まさに電撃的だった。

2024年11月27日に、反体制派が新たな攻勢を仕掛けてからわずか12日で、半世紀以上続いた独裁体制が音を立てて崩れ去ったのだ。首都ダマスカスを含む主要都市が次々と陥落し、政府軍は目立った抵抗もせずに撤退していった。

バックにいたロシアがウクライナで泥沼に取られてアサド政権を守る余力を失っている上に、長年にわたるシリアの内戦で疲弊し切った軍の忠誠心の低下が、この急激な崩壊の背景にあった。

シリア内戦は2011年、「アラブの春」の波及を受けて始まった。

当初は民主化を求める平和的なデモだったが、アサド政権による武力弾圧をきっかけに内戦へと発展。その後、イランやロシアがアサド政権を、トルコやサウジアラビア、米国が反体制派を支援するなど、各国の思惑が絡み合って泥沼化していった。さらに「イスラム国」などの過激派組織の台頭も事態を複雑化させた。

13年に及ぶ内戦の代償は計り知れない。38万人以上が死亡し、1,300万人以上が難民や国内避難民となった。これは内戦前の人口の半数以上に相当する。首都ダマスカスをはじめ多くの都市が廃墟と化し、かつての「中東のパリ」の面影はもはやない。

1,300万人が難民となったシリアの惨状
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によると、2019年末時点で約660万人のシリア難民が存在する。これは世界の難民全体の実に22%以上を占める驚異的な数字でもある。

さらに、シリア国内で避難生活を送る「国内避難民」は670万人に上る。合わせて1,300万人以上のシリア人が、戦火や迫害から逃れるために自宅を追われたことになる。

この1,300万人という数字の重みを理解するには、シリアの人口が内戦前は約2,300万人だったことを考えれば十分だろう。実に人口の半数以上が難民や避難民となったのだ。これは第二次世界大戦以来、最大規模の人道危機と言っても過言ではない。

難民の多くは隣国のトルコやレバノンに逃れた。トルコには約370万人、レバノンには約90万人のシリア難民が滞在している。人口わずか600万人のレバノンにとって、90万人の難民の受け入れは非常に大きな負担になっていた。

この難民の7割以上が国際貧困ライン以下の生活を強いられていた。劣悪な環境のキャンプでの生活、教育や医療へのアクセスの欠如、就労の機会の制限など、難民たちはさまざまな困難に直面している。

さらに、難民の女の子たちが、人身売買で売り買いされていた闇もあった。(ブラックアジア:性奴隷と人身売買にシリアの少女が巻き込まれ続けている)

シリアの難民の女の子を買っていたのは、サウジアラビア人の金持ちだった。想像を絶する苦境がシリアの難民に襲いかかっていたのだ。(ブラックアジア:今、ヨルダンで生まれている巨大な少女売買マーケット)

シリア国内の状況も悲惨だ。国連児童基金(UNICEF)の調べによると、シリア国内の子供の90%が人道支援を必要としている。また、5歳未満の子供の3分の1が発育阻害に苦しんでいる。

世界銀行の推計によると、2011年から2018年までのシリアの累積GDP損失は約5,260億ドルに上る。これはシリアの2010年のGDPの約9倍に相当する。インフラの破壊、産業の崩壊、人材の流出など、シリア経済の再建には途方もない時間と資金が必要となるだろう。

アサド政権の闇「カプタゴン」
中東全域に「カプタゴン」と呼ばれる奇妙なドラッグが蔓延していた。アンフェタミンやメタンフェタミンに似た作用を持つドラッグで、わかりやすくいえば覚醒剤の一種である。中東では「貧乏人のコカイン」とも呼ばれている。

誰もが知っていた事実であるが、このカプタゴンの生産と密売こそが、アサド政権の重要な資金源だった。

米シンクタンクのニューラインズ・インスティテュートによる「カプタゴン・トレード・プロジェクト」の推計によると、カプタゴンの世界的な取引額は年間100億ドルに上り、シリア指導部の利益は約24億ドルに達していた。

国際社会の制裁下にあったアサド政権にとって、貴重な外貨獲得源だったのだ。

西側諸国は、アサド大統領の弟マヘル・アサド氏がこのドラッグ取引を取り仕切っていた。マヘル氏は現在、所在不明だ。アサド一族によるドラッグビジネスの全容解明は、今後の重要な課題となるはずだ。

カプタゴンの蔓延は、シリア内戦の悲劇をさらに深刻化させた。

戦場から建設現場、富裕層のパーティーまで、中東全域に広がったこの薬物は、多くの若者たちを中毒の淵に追いやった。そして、その利益はふたたび戦争の資金となり、負の連鎖を生み出していたのだ。

独裁政権がドラッグビジネスをやるのは、珍しいことではない。アフガニスタンでもハミド・カルザイ首相の弟アフメド・ワリ・カルザイがヘロインの元締めだった。そして、ヘロインの元になるケシ畑はタリバンがコントロールしている。(ブラックアジア:ますます深刻化していくアフガニスタンのヘロインとその影響)

アサド政権によるカプタゴン生産は、国際社会の制裁をすり抜け、政権を維持するための重要な物資だったのだ。正規の貿易ルートを断たれた政権は、アンダーグラウンドの経済に活路を見出していた。そして、その利益は軍や情報機関の維持、支持者への利益誘導に使われたのだ。

つまり、アサド政権はドラッグで国を維持していた政権なのだ。

アサド政権崩壊後、シリアのドラッグ生産基地は次々と発見されている。しかし、これは問題の終わりではなく、むしろ始まりに過ぎない。カプタゴンの生産・流通網は、シリア国内だけでなく周辺国にも深く根を下ろしている。

アサド政権の崩壊は、新たなドラッグ組織の台頭を招く危険性もある。

アサド政権崩壊後のシリアも地獄か?
アサド政権崩壊後のシリアの政治情勢は、これからも依然として不安定な状況が続くと考えられる。長年にわたる独裁体制の崩壊は、シリア国内に大きな権力の空白を生み出し、その埋め合わせには時間がかかる。

反政府勢力が首都ダマスカスを掌握したと発表しているものの、国全体を統治する新たな政権を樹立するには、多くの障害が立ちはだかる。これから、さまざまな勢力が権力を巡って争い、政治的混乱が続く可能性は極めて高い。

トランプ次期政権はシリアにはかかわらないと明言している。そのため、国連主導による和平プロセスが再開されるのだろうが、シリア国内の勢力間の利害対立や、外国勢力による影響力争いが絡み合い、このプロセスは容易には進まないのは目に見えている。

過激派組織の動向も懸念される。アサド政権崩壊後の混乱に乗じて、いくつもの過激派組織が勢力を拡大してもおかしくない状況だ。これらの過激派との戦いは、新たな政権にとって避けられない課題となる。

同時に、シリア国内では約1,300万人もの難民や国内避難民が存在し、人道危機への対応も急務である。破壊されたインフラや医療システムを再建し、避難民の帰還と再定住を進めることは、新政権にとって極めて重要な使命となる。

混乱し、まとまらず、脆弱な政権にそれが可能なのだろうか?

結局のところ、アサド政権崩壊後のシリアも、不安定な状況が続くと見たほうがよさそうだ。新政権の樹立から和平プロセス、経済再建、人道危機への対応まで、一歩間違えると、新たな内戦が勃発する可能性すらもある。

いったん壊れてしまった国を建て直すのは厳しい仕事でもある。これからのシリアの行く末は非常に険しく、多くの困難が待ち受けている。アサド政権の統治よりもひどいことにならなければいいのだが……。
https://blackasia.net/?p=48162

13. 中川隆[-8142] koaQ7Jey 2024年12月20日 06:10:17 : iOn881qu8Y : RkxFRlhUZ3hzeVE=[12] 報告
<△24行くらい>
アサド大統領の正体 _ 世界最悪の拷問収容所 シリアのサイドナヤ刑務所
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16884040

意図的な世論誘導報道で悪魔呼ばわりされているシリア アサド大統領
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/816.html

シリアに対する侵略戦争
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14098853
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/331.html

【シリア】ロシアの崩壊間近!?シリア内戦がもたらす可能性
世界史解体新書 2024/12/10
https://www.youtube.com/watch?v=4AjxkdVhMh8

【越境3.0チャンネル】石田和靖 シリア崩壊,アサド大統領亡命... その裏側にあるものは何か?
https://www.youtube.com/watch?v=-ueh2dKSVSA&t=991s

【越境3.0チャンネル】ネタニヤフ命令発動! "シリア全土を侵攻せよ" イスラエル不法な土地強奪を全面開始
【越境3.0チャンネル】石田和靖
https://www.youtube.com/watch?v=1IouVyNOHpU

14. 中川隆[-8141] koaQ7Jey 2024年12月23日 09:59:05 : SujOgBCYUU : VkZrRFFORzNXVEU=[1] 報告
シリアの闇01/イギリスが何をしたのか?
もぎせかチャンネル 2024/12/22
https://www.youtube.com/watch?v=O33qJhadLU0

シリアの闇02/アサドはなぜロシアと組んだのか?
もぎせかチャンネル 2024/12/23
https://www.youtube.com/watch?v=PTVvJugyaBA

15. 中川隆[-8096] koaQ7Jey 2024年12月25日 09:45:02 : 4V41CIWo9c : WWRTalgxWDdmaFE=[12] 報告
アサド政権崩壊で中東の勢力図激変!プーチンの深謀遠慮。イスラエルとアメリカ、イラン核施設攻撃か!?(ゲスト︰元陸将補 矢野義昭氏)【言論チャンネル】
https://www.youtube.com/watch?v=TQ80PlOaQdE

アサド政権が劇的に崩壊し、中東の勢力図がどう変わるのか、元陸将補・矢野義昭氏に伺いました。主導権を握るトルコの狙いはどこにあるのか、ロシアの中東での影響力低下は本当か、イスラエルとアメリカはイラン核施設攻撃に踏み切るのか等、今後の世界の動きに影響を与える内容です。タイムリーな内容なので、ぜひご視聴ください。
2024年12月18日収録

16. 中川隆[-8080] koaQ7Jey 2024年12月29日 10:03:01 : e0UNEw6kfA : d0xKeVZ6UUVQcms=[2] 報告
<■140行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
2024.12.29XML
HTS戦闘員がシリア人を処刑する映像が流れる一方、住民の抵抗運動が始まった
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412290000/

 シリアのダマスカスを制圧、バシャール・アル・アサド政権を倒したアル・カイダ系武装集団、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)の戦闘員がアラウィー派の人びとを拉致、処刑しはじめた。キリスト教徒も攻撃の対象になっていると伝えられている。

 こうした殺戮は「散発的」でなく、頻発しているようで、首を切る様子を撮影した映像など、殺戮の場面がインターネット上に流れ始めた。クリスマス・ツリーを焼き払う行為もキリスト教徒を怒らせる一因になっているようだ。

 アサド政権が自国民を殺害しているという偽情報の流布、繰り返された偽旗作戦などを利用してアメリカをはじめとする外国勢力は2011年春以来、シリアへ武装集団を送り込んできた。その実態は本ブログでも繰り返し書いてきたことだ。そしてアサド政権は倒された。

 西側諸国は自分たちが流してきた偽情報に合わせ、アサド政権を悪魔化して描く一方、HTSの指導者とされるアブ・ムハンマド・アル・ジュラニのイメージを良くしようと必死だ。事実の裏付けのない物語でアサド政権の打倒を正当化する一方、事実を無視してHTS支援を納得させようとしている。

 そうしたプロパガンダが展開される中、アメリカはジュラニにかけられた1000万ドルの懸賞金を取り消した。バラク・オバマ政権がアル・カイダ系武装集団を利用してシリアに対する軍事侵略を始めた直後に発覚した残虐行為を忘れた人が少なくないかもしれないが、この武装集団は今でも似たようなことを行なっている。

 イギリス人のダニー・デイエムが「現地の情報」として発信、西側の有力メディアが垂れ流していた作り話を忘れた人も少なくないだろう。彼や彼の仲間が「シリア軍の攻撃」を演出する様子を撮影した映像が2012年3月1日に流出、彼の「現地報告」がヤラセだということが発覚している。

 そこで登場してくるのは「化学兵器話」だ。そうした作り話を有力メディアへ発信する役割を演じることになった団体のひとつがSCD(シリア市民防衛)、通称「白いヘルメット」にほかならない。

 この団体は2013年3月にジェームズ・ル・ムズリエというイギリス人が編成、訓練してきた。シリアのアレッポで化学兵器が使われた頃だ。後にSCDの活動を紹介する映像が公開されるのだが、医療行為の訓練を受けていないことが指摘されている。

 ル・ムズリエはイギリスの対外情報機関MI6の「元」オフィサーだとされている。「退役」後、オリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になるが、この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設)に吸収されている。

 2008年に彼はここを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持している。そしてSCDをトルコで創設したが、アメリカ国務省の副スポークスパーソンを務めていたマーク・トナーは2016年4月、SCDがUSAIDから2300万ドル受け取っていることを認めた。言うまでもなく、USAIDはCIAの資金を流すパイプのひとつ。そのほかジョージ・ソロス、あるいはオランダやイギリスの外務省も資金を提供していた。

 SCDはシリア政府軍が化学兵器を使ったとする話の発信源になったことでも知られている。そのSCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真の存在、被害者を救出している場面を演技者を使って撮影している様子、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物でSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などが確認されている。

 現地に入って地道な取材を続けているバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットなどがこうした事実を明らかにしてきたが、ほかにも現地を取材していたジャーナリストがいる。そのひとりがイギリスで発行されているインディペンデント紙のロバート・フィスク特派員だ。

 フィスクは攻撃があったとされる地域へ入って治療に当たった医師らに取材、患者は毒ガスではなく粉塵による呼吸困難が原因で担ぎ込まれたという説明を受けている。毒ガス攻撃があったことを示す痕跡はないという。(Independent, 17 April 2018)​アメリカのケーブル・テレビ局、OANの記者も同じ内容の報告をしている​。

 ​2013年12月19日には調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがイギリスの書評誌「ロンドン・レビュー・オブ・ブックス」に記事でも、オバマ政権が化学兵器に関する情報操作を行なったとする情報があるとしている​。

 国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授も化学兵器をシリア政府軍が発射したとするアメリカ政府の主張を否定する​報告書​を公表した。

 その一方、アル・カイダ系武装集団だけではシリア政府軍を倒せなかったアメリカのバラク・オバマ政権は軍事介入を正当化する口実作りを始めた。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の編成だ。2014年から残虐さで売り出し、それを利用してアメリカ軍はシリアの施設を空爆で破壊しはじめている。

 しかし、その段階でも統合参謀本部はオバマが支援しているサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を危険だと認識していた。そこで2015年2月に国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、同年9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへというように好戦派へ交代させている。

 ​アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)もオバマ政権のジハード傭兵を利用した計画を危険だと考え、2012年に報告書を提出している​。反シリア政府軍の主力はAQIであり、その集団の中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、さらにオバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告したのだ。その時にDIAを率いていた軍人がマイケル・フリン中将にほかならない。

 この警告通り、2014年には新たな武装集団ダーイッシュが登場、この集団はこの年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック、ハイラックスを連ねてパレードし、その後、残虐さをアピールする。

 過去を人びとが忘れても、現実がプロパガンダの前に立ちはだかる。自分たちやその配下の人間が行った残虐行為を相手が行ったように宣伝するのはアメリカ支配層の「癖」らしく、それを西側の有力メディアが拡散するのだが、それでも現実は彼らを追い詰める。

 アサド政権の崩壊は政府軍の幹部将校たちが戦わずに逃走したところから始めるが、残された兵士たちはアサド政権の支持者が編成した部隊に加わり、ダマスカスの北部ではHTS体制に対する武装抵抗が始められたとも伝えられている。

 アサド政権は西側諸国による経済封鎖で人びとの生活は厳しく、政府軍兵士の給与はHTS戦闘員が得ている報酬の十数分の1だったと言われている。そうしたことも政府軍を弱体化させる一因だったようだが、これからは状況が変化するだろう。

 CIAが作り上げたアル・カイダと呼ばれる傭兵システムから派生したHTSは現在、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権が雇い主になっていると言われている。2015年9月末にアサド政権の要請で軍事介入したロシア軍がダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を含むアル・カイダ系武装集団を一掃した後、アメリカはクルドを手先として利用し始めるが、エルドアン大統領はクルドを敵と認識している。こうした状況は今でも同じで、エルドアン大統領に近いトルコの政治家はBBCに対し、クルド人を根絶すると発言していた。クルド側はトルコと戦争する準備を進めていると伝えられている。

 HTSはアラウィー派、キリスト教徒、クルドを殺戮するだけでなく、アレッポにあるアラフィ派の聖地を冒涜したことで抗議行動を誘発することになった。アレッポにあるシェイク・アブ・アブドラ・アル・フセイン・アル・ハシビの聖堂内で火災が発生、武装集団が聖堂内へ侵入して警備員を殺害する様子を映した動画が流れた後、抗議活動が激化したと伝えられている。12月25日にはラタキア、タルトゥース、ホムス、ハマ、カルダハでは数万人が街頭でHTS側と衝突したという。

 抗議活動を激化させる切っ掛けになった映像は過去のものだとHTS側は主張しているが、アル・カイダ系武装集団やイスラエル軍は歴史的な建造物の破壊を繰り返してきたことは事実だ。欧米の私的権力はシリアの資源を略奪を推進するために新自由主義の導入を目論んでいるが、そのためにもHTS体制への抵抗を鎮静化させる必要がある。

 アメリカをはじめとする外国勢力に侵略される前のシリアでは医療が無料で、就学年齢に達した児童の推定97%が学校へ通い、識字率は男女とも90%を超え、中東地域で食糧生産を自給自足していた唯一の国でもあった。IMFの融資を拒否していたことも欧米諸国を怒らせただろう。

 そのシリアが軍事侵略によって破壊され、略奪されつつある。リビアと同じことがシリアでも引き起こされつつあるのだが、ユーゴスラビアも国が破壊された上で分割され、略奪されている。帝国主義国が行なってきたことが繰り返されようとしていると言えるかもしれない。

 そうした現実を隠蔽し、遂行するため、西側の有力メディアは荒唐無稽な話を、勿論根拠を示すことなく、盛んに流している。そうした話が有効な理由は、おそらく、そうした話を好む人が少なくないからだろう。そこに事実は存在しない。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412290000/

17. 中川隆[-8025] koaQ7Jey 2025年1月04日 15:13:51 : Rettfgwcz6 : MkRTd2JmbUhCLkU=[17] 報告
シリアの闇03/オバマは何をしたのか?
もぎせかチャンネル 2025/01/02
https://www.youtube.com/watch?v=zWLFHDLubkU

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