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アメリカが1898年の米西戦争以降に行った領土拡張
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投稿者 中川隆 日時 2020 年 9 月 24 日 13:20:26: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 100人以上が魔女として告発された「セイラム魔女裁判」 投稿者 中川隆 日時 2020 年 5 月 24 日 20:46:43)

アメリカが1898年の米西戦争以降に行った領土拡張

2020年9月24日
米中「歴史論争」に日本はどう行動するか
石澤靖治 (学習院女子大学教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20823

 最近の中国の行動に関して、世界から批判の目が向けられている。直近では香港特別行政府における香港国家安全維持法の施行により、香港紙「蘋果日報」を創業した黎智英氏や活動家の周庭氏を違反容疑で逮捕。また以前から指摘されている新疆ウイグル自治区での中国政府の行為は「人権侵害」という言葉を超えた形の、ある種の民族殲滅のような行為がなされている。外交誌フォーリンポリシーによれば、100万人超のウイグル人を強制収容所や刑務所へ収監し思想改造や自己批判を強要。虐待、拷問、レイプに加え、ウイグル人女性への組織的な不妊手術の実施などの蛮行もまかり通っているという(“The World’s Most Technologically Sophisticated Genocide” July 15, 2020)。これに加えて南シナ海の領有権や海洋権益の一方的な主張、日本の領土である尖閣諸島への継続的な接続水域や領海への侵入行為はいうまでもない。

 これらに対して、日本側の感覚からすると、アメリカ側はようやく中国に明確な形で対抗意識を示すようになったという感がある。2018年10月4日、中国に「断固として立ち向かう」としたペンス副大統領の歴史的演説に続いて、今年7月23日には、ポンペオ国務長官が極めて厳しい姿勢で中国と対峙する演説を行ったことがそれだ。11月の米大統領選で、トランプ政権の継続になろうとバイデン政権の誕生になろうと、手法や表現は異なっても、アメリカの中国に対する強い対決姿勢は変わらないだろう。

 しかしながら、そうした攻勢に対して中国側にひるむ姿勢は見えない。中国国内には実際には様々な意見があると思われるが、中国政府の姿勢を支持する人たちは、1840年のアヘン戦争以降、欧米(場合によっては日本)によって、自らの国土と民が「不法」に犯されてきたという政府の主張を受け入れている。そして中国は「あなたがたのような(悪い)ことはしていない」と主張しつつも、強気の姿勢はその報復であることを暗示している。それは中国のナショナリズムを高め、現在の中国世論の基盤となっている。

 そして中国は、現時点では声高には述べていないが、アメリカが中国の拡張主義に対して非難するのであれば、それに対する十分すぎるのほどの反論を用意しているはずだ。なぜなら、アメリカがイギリスから覇権国の地位をとって代わろうとしていた19世紀後半から20世紀初頭の行為は、現在のアメリカ主導の世界秩序に立ち向かおうとしている中国と、たぶんに重なるところがあるからだ。

 アメリカが非難する中国の南シナ海領における領有権主張に対しては、中国はアメリカが1898年の米西戦争以降に行った一連の行為を取り上げるだろう。アメリカはこの戦争までの間の国内での領土拡張を、自らを正当化する「明白なる天命」とした。そしてアメリカ先住民を時に仲たがいさせ、時に虐殺して西へ西へと領土を拡張してきたことは広く知られるところである。

 そして1890年に国内のフロンティアがなくなると、今度はスペイン領である南隣のキューバの独立を助けるという名目で、スペインと戦争の火ぶたを切る。戦争自体はアメリカの楽勝で、キューバはどうにか独立にこぎつけたものの、アメリカはキューバへの内政干渉の権利を保持するプラット修正条項を入れ込んで、その後長く同国を実質的な支配下においた。またその戦争では同じくスペイン領だったフィリピンを獲得し、長い間独立を認めず、多くの人を拷問し虐殺した。中国は新疆ウイグル自治区への対応をアメリカから非難されることに対して「どれほどのことが言えるのか」と笑うだろう。

 米西戦争の際には、ハワイ共和国を併合して太平洋の戦略拠点であるこの島を手にした。中国が南シナ海の島々を手にしたように。まずはアメリカ人を大量に住まわせて次第に主権を奪い、女王リリウオカラーニを廃位に追い込んでの領土獲得であった。

 こうした一連の行動をとってきたアメリカが、中国からそれらを指摘されたときには、どのように説明するのだろうか。一方中国は、それでもまだ言い足りないと思ったときには、アメリカがパナマ運河を手にするべく、いかにして中米のコロンビアから実質的にパナマを手にしたか。テキサスをどのようにしてメキシコから奪いとったかにも言及するだろう。アメリカはその後「自由」「民主主義」「人権」を掲げて世界に君臨するが、中国側からすれば笑止千万ということになるのだろう。

日本はどう過去を受け止めるべきか
 こうしたことが「歴史論争」になった際に、日本はたぶん「それは過去のことである」として、この問題に深入りすることはしないだろう。ようやく中国の現実を認識するようになった欧州連合(EU)の主要国も、特にイギリスやフランスなどは過去において過酷な植民地政策をとってきただけに、基本的には日本と同じような立場をとるだろう。ただし中国がアメリカのこのような過去を持ち出してくれば、日本でもEU諸国でも、そうした事実を詳しくは知らなかった国民は、「どっちもどっち」だとして、ある程度中国側への非難は薄まるようになるかもしれない。

 その点で11月の米大統領選が重要になってくる。先ほど対中政策でそれほど大きな違いはないだろうと書いた。だがこの選挙で自国第一主義を掲げるトランプ氏が勝てば、それはかつてのアメリカの過去の悪行を想起させる形になってくる。一方トランプ氏を強く否定するバイデン氏が勝てば「過去は過去」として、中国側はアメリカに対して歴史カードを切る効果はあまり期待できなくなるだろう。国際世論も中国に対して警戒的になる。

 中国は何をやってくるか見当がつかないトランプ氏でなく、オーソドックスなアプローチを取るだろうとして、バイデン氏の当選を望んでいると言われている。しかしながら、アメリカに対して歴史論争でアメリカの非難を無力化しようとするならば、トランプ氏が当選したほうが、中国は事を有利に運ぶことができる。

 このような米中対立の中で、世界の国々は日本の行動を最も注目しているはずである。現在、アメリカと中国という世界の2つの大国と、どのような距離感をもって関係を構築していくかは、世界の国々にとって最も大きな関心事である。その中で日本は、経済に加えて、アメリカとは政治的・外交的に、中国とは地理的・歴史的にともに関係が深く、両国の対立の中でどのようなポジションを取るか、最も難しい立場にある。大局観をもちつつ、ケースバイケースでいかに巧みに日本の国益を守っていくか――。その成果をみた時、日本は世界からの尊敬を集めることができるだろう。

 そしてその際に重要なのは、メディアの役割である。日本において、新聞メディアは時として冷徹な事実よりも、自らの主義・主張で報道を展開する傾向があり、テレビメディアは大衆への過度な迎合がある。ネットメディアは一時的な感情に大きく振れやすい。また日本は海外メディアの無責任な論調に過敏である。

 しかし日本が今後とるべき外交は、メディアが陥りがちな一面的なものではなく、より複雑で多面的・重層的な戦略から形成されるべきものである。一時的かつ感情的な世論に押されるのではなく、国益を第一にした戦略がじっくり語られるような成熟したメディア環境があればこそ、指導者の責任ある行動も生まれてこよう。それこそが日本にとって最も重要なことである。  

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コメント
1. 中川隆[-11190] koaQ7Jey 2020年9月24日 13:27:23 : FGqpD48T5s : RDVTamFLOWx0L1E=[13] 報告
今こそ合州国の正体直視を  本多勝一 週間金曜日 2003年 3月14日号「風速計」

この一文が出るころ、アメリカ合州国の体制主流は、イラク侵略を開始または開始寸前にあるだろう。

 国連安保理外相級会合に米英ら3国が今月7日提出した修正決議案は、国連安全保障理事会で11日に採決にかけられる見通しだが、ここで否決されても、合州国は単独で開戦・侵略に踏み切る構えである。

 あたりまえだ。アメリカ合州国の歴史は、こういうことの連続の末に今日の地球史上最強・最悪の帝国となった。ワシントン初代大統領以来の二百余年間は、手段を選ばぬ詐欺・脅迫・テロ・虐殺による侵略史にほかならぬ。そのことはこれまで機会あるごとに触れてきたが(注)、目前でまたしても超大軍事力によって同じことが強行されようとしている今、「正確な合州国史」にうといままその正体に気付かぬ例が多い日本人のためにも、このさい改めて正面から指摘しておきたい。

 ただし、こんどのイラク侵略が開戦されてもされなくても、これはコロンブス以来のヨーロッパによる世界侵略500年史の中で、ベトナム戦争とともに画期をなす歴史的事件となるかもしれない。

米西戦争などで世界制覇競争に勝った合州国は、それまでに北米大陸での先住民族侵略をウンデッドニー虐殺によって終了していたが、以降そのままハワイ・グアム・フィリピンへと「西部へ西部へ」を進めた。朝鮮戦争につづくベトナム戦争で、合州国軍隊はワシントン初代大統領以来初の敗戦を喫したものの、侵略のための巨大軍需産業や体質に傷はつかなかった。その成りゆきとしてのイラク戦争(12年前も今回も)である。ところが、合州国の正体に気づき始めた人々の世界的盛上りによって、開戦寸前での中止か、開戦してもベトナム以上の反戦の広がりで帝国の没落となるかもしれない。この500年来の画期をなすゆえんである。


合州国は“民主主義”をタテマエにしている。実態はともかく、民意を完全・明白に無視した侵略は支持されない。そこで開戦のとき必ずといえるほど使われるテこそ、相手が先に攻撃したとみせかける捏造事件である。これは先住民族への侵略以来イラクまで一貫してきた。

戦艦メーン号爆破事件(米西戦争)をみよ。トンキン湾事件(ベトナム戦争)をみよ。真珠湾(太平洋戦争)をみよ。その他その他。

これを書いている9日の朝日放送(サンデープロジェクト)は、イラクのクウェート侵入(これも裏に合州国あり)にさいして、イラク兵が乳児を哺育器から出して次々と放り投げた様子をクウェートの少女に証言させたこと、これが繰り返し放送されて世論を憤激させ、開戦に有利になったこと、ところが後に、この少女は駐米クウェート大使の娘で、証言は捏造だったこと等を放映した。

 こんどはどんな捏造が、いいように操作されるマスコミによって“報道”されることだろうか。

 開戦寸前の今、このテーマは「未完」としておく。
http://www.kinyobi.co.jp/KTools/fusoku_pt?v=vol451


ウンデッドニー以来…… (本多勝一)

 アメリカ合州国が、一方的な「ブッシュの戦争」でアフガニスタン空爆を続けている。予測されていたとおり、一般住民に多数の死傷者が出た。そして、そんなことは一切おかまいなく空からの無差別虐殺をつづけるであろうことも、予想通りである。なぜか。

 合州国の「はじまり」から点検してみられよ。この国は500余年前の「コロンブスの大虐殺」で始まる。すなわち南北アメリカ両大陸(および付属諸島)の、何千万人とも知れぬ先住民族たちの、おそらく人類史上最大の悲劇の始まりである(注1)。合州国に直接関連するものとして、北米の先住民族が最近までにどんな虐殺をされてきたかは、日本人による世界に誇れる報告『アメリカ・インディアン悲史』(藤永茂・朝日新聞社・1972年)がある。

 ワシントン初代大統領時代から強行された侵略は、最後の組織的虐殺「ウンデッドニー」で一応終るものの、そのわずか10年後(1900年)、フィリピンを侵略した米軍による「10歳以上すべて」の全男女が、ルソン島・サマル島で大虐殺された。のちの日本占領軍司令官マッカーサーの父親たるアーサー=マッカーサー将軍の命令だ。この虐殺軍の指揮官たるや、なんと米本国でのベテラン対先住民戦闘兵自身だった。つまりアメリカ先住民大虐殺の歴史は、アジア人大虐殺へと直結する(注2)。

 息子のマッカーサーを最高司令官とする米軍は、東京大空襲や広島・長崎への明白な無差別大虐殺を、「真珠湾」への“反撃”として強行する。真珠湾は軍事施設だけを目標としていたが、東京や広島・長崎等は住民の生命そのものが目標である。

 その5年後、朝鮮戦争が始まる。そこでの米軍による住民大虐殺については、たとえば松本昌次『朝鮮の旅』での「信川大虐殺」などで明らかだが、つい最近も「老斤里大虐殺」が暴露された(注3)。

 朝鮮での終戦後10年と経たぬうちに、ベトナム戦争への米軍介入だ。ソンミ事件その他、アメリカ先住民大虐殺と全く同じ無差別婦女子大虐殺が、カウボーイ米兵らによって“楽しく”行なわれた。

 ベトナム戦争終了26年後の今、父親ブッシュによるイラク戦争(湾岸戦争)を経て息子のブッシュが、国連を無視してアフガニスタンに開戦した。ウンデッドニー当時の大統領と現在のカウボーイ父子大統領とで認識に基本的違いがない以上、非白人で異教徒住民への無差別爆撃(虐殺)は当然である。良心的アメリカ人は、あくまで非主流だ。

 ここまで書いた直後、ミニコミ誌『シサム通信』10月号が届いた。その中から、アフガニスタンで長年医療活動をして今回脱出した中村哲医師の言葉――「一連の動きを見て思うのは、西部劇の続きである。勇敢な白人がバッタバッタとインディアンをなぎ倒していく。」


<注1>たとえばラス=カサスの『インディアス破壊を弾劾する簡略なる陳述』(石原保徳訳・現代企画室)などに詳しい。

<注2>詳細は拙著『アメリカ合州国』(著作集12巻=朝日新聞社)収録の「マイアミ連合からベトナムまでの合州国の道程」参照。

<注3>1950年7月に韓国・忠清北道老斤里で避難民数百人を米兵が無差別射殺。AP通信が一昨年9月に報道。
http://www2.kinyobi.co.jp/old/fusoku_oldf/386

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