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(回答先: ヨーロッパ人の起源 投稿者 中川隆 日時 2020 年 8 月 25 日 16:02:53)
フランス人の起源
雑記帳 2020年06月02日
中石器時代から鉄器時代のフランスの人口史
https://sicambre.at.webry.info/202006/article_2.html
中石器時代から鉄器時代のフランスの人口史に関する研究(Brunel et al., 2020)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。過去1万年、ユーラシア西部集団は2回の大きな文化的変化を経てきました。最初は、新石器時代における狩猟採集生活様式から食料生産に基づき生活様式への移行です。その次が、紀元前三千年紀と紀元前二千年紀における冶金術の発展と改善で、青銅器時代となり、次に鉄器時代へと発展しました。古代ゲノムは過去の集団を特徴づけるのに役立ってきました。通時的連続は、ヨーロッパと定義された地域の時間的なゲノム規模動態を調査してきており、これらの文化的変化が、ユーラシア西部集団の遺伝的構成を深く変えた人口統計学的変化の結果だった、と明らかにしました(関連記事)。
現在のフランスでは、これらの移行の基礎となる人口統計学的過程は、地域全体の規模ではまだ調査されていません。部分的なミトコンドリア配列情報もしくは部分的なY染色体配列に基づいて、個々の考古学的遺跡に限定された一握りの研究が行なわれてきただけです。その地理的位置により、フランスはヨーロッパ西部の集団移住の理解に戦略上重要な位置を占めます。北部の新石器時代線形陶器文化(Linear Pottery、Linearbandkeramik、略してLBK)と、南部のインプレッサ・カルディウム複合(the Impressa and Cardial complexes、略してICC)という新石器化のヨーロッパ中央部および地中海の両方の傾向は、フランスで確立ましたが、その相互作用の程度は未解決のままです。さらに、青銅器時代と鉄器時代の始まりにおける、ヨーロッパ全域の冶金術の発展と拡大のランスにおける遺伝子プールへの影響は、まだ不明です。
本論文は、農耕開始前の中石器時代から鉄器時代までの7000年にわたる人口統計学的動態を調査するため、54ヶ所の異なる考古学的遺跡から標本抽出された243人を遺伝的に分析し、完全なミトコンドリアゲノムと、Y染色体を含む核の一塩基多型データを提示します。分析された243人のうち、40人で直接的な放射性炭素年代測定結果が得られました。また、223人で完全なミトコンドリアゲノムが得られ、62人の男性でY染色体ハプログループ(YHg)が決定されました。これらヨーロッパ西部のデータは、これまで欠けていた地理的間隙を埋め、ヨーロッパにおける過去の人口動態のより全体的な視野を可能とします。
●フランスの中石器時代の基層
フランスのシャラント(Charente)県アグリス(Agris)のレペラッツ(Les Perrats)遺跡の中石器時代5人のゲノムデータが生成されました。放射性炭素年代測定法による較正年代は紀元前7177〜紀元前7057年で、この中には低網羅率のショットガン配列の3人が含まれます。この5人は全員ミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプログループ(mtHg)がU5bで、以前の研究で示されているように、mtHg-U5bは中石器時代のフランスでは主流で(85%)、U5a(15%)が続きます。
フランスで発見された中石器時代狩猟採集民は、ゲノム規模の主成分分析では端に近く、ヨーロッパ西部中石器時代個体群の近くに位置します。14000年前頃となるイタリアのヴィラブルナ(Villabruna)遺跡個体の系統が、ヨーロッパ西部および中央部全域で完新世狩猟採集民において支配的である一方で、ベルギーのゴイエット(Goyet)遺跡で発見された 19000年前頃の個体(Goyet Q-2)に表されるマグダレニアン(Magdalenian)関連系統が、イベリア半島では完新世まで続いていた、と報告されています(関連記事)。
イベリア半島の狩猟採集民ではこの両系統が見られますが、他のほとんどの地域ではヴィラブルナ関連系統のみが存在します。フランスの狩猟採集民におけるこの後期更新世2系統の割合を調べるためqpAdmが用いられ、レペラッツ遺跡の狩猟採集民は、スペインの中石器時代のラブラナ(La Braña)もしくはカネス1(Canes1)遺跡の個体群と比較して、相対的に高いマグダレニアン関連系統(31.3〜45.6%)を有しており、イベリア半島外の狩猟採集民におけるマグダレニアン関連系統が示唆されます。最近公表された研究でも、フランスで発見された新石器時代個体群のゲノムでマグダレニアン(ゴイエットQ2)関連系統が確認されています(関連記事)。
●フランス新石器時代における移住と混合の継続的な波
新石器時代開始時のアナトリア半島新石器時代系統の到来は、単系統遺伝(父系と母系)でもゲノム規模でも明確です。紀元前5300年前頃に始まるフランスの新石器時代農耕民の母系は狩猟採集民よりも多様で、時間の経過に伴い頻度が変動します。前期および中期新石器時代個体群は、ヨーロッパ南部と遺伝的類似性をより多く共有しており、その遺伝的多様性は同時代のヨーロッパ集団に含まれます。LBK関連個体群のうち3人は、他のヨーロッパ中央部前期新石器時代(EN)個体群と遺伝的にクラスタ化し、LBK関連の他の早期農耕民と遺伝的浮動を共有します。フランス北東部の7100年前頃となるMor6個体は、LBK関連個体群として例外的に、イベリア半島EN個体群の遺伝的多様性の範囲内に収まり、ヨーロッパ西部狩猟採集民(WHG)の共有されたアレル(対立遺伝子)の最高の割合を有します。qpAdmでその起源を検証すると、アナトリア半島新石器時代系統とゴイエットQ2の混合モデルが最適で、従来これはイベリア半島のEN個体群でのみ報告されてきた構成です。
Mor6個体はゴイエットQ2系統の最北端の事例となります。これまで、ヨーロッパで新石器時代農耕民と混合したヨーロッパ西部の狩猟採集民集団におけるマグダレニアン(ゴイエットQ2)関連系統は、中石器時代狩猟採集民の遺伝的データの不足のため、明確ではありませんでした。イベリア半島におけるこの系統の観察は、ICCをLBK新石器時代移民と区別する特徴として解釈されてきました。ゴイエットQ2系統が、9100年前頃となるフランス西部のレペラッツ遺跡や、フランス中央部東方の15500年前頃となるRigney1(リニー1)遺跡や、ドイツ南西部の15000年前頃となるホーレフェルス(Hohlefels)および14600年前頃となるブルクハルツヘーレ(Burkhardtshöhle)という洞窟遺跡で発見された狩猟採集民で、ヴィラブルナ系統と一緒に見つかったという観察は、むしろこの混合がヨーロッパ西部の狩猟採集民の特徴であることを示唆します。本論文のデータセットで唯一の男性中石器時代個体のYHgがIである一方、フランスのLBK個体群のYHgは相対的に多様で、C1a2・G2a・H2に区分されます。
フランス東部では、中期新石器時代への移行は、紀元前4700〜紀元前4500年頃となるドナウ川圏のグロスガルタハ(Grossgartach)文化の個体群に代表されます。グロスガルタハ文化個体群は、mtHg頻度とゲノム規模両方の主成分分析では、同時代のヨーロッパ中央部個体群と近く、ドナウ川圏内の遺伝的均一性が示唆されます。フランス北部の中期新石器時代個体(BUCH2)は、アナトリア半島新石器時代系統とともに狩猟採集民系統を有しており、この狩猟採集民系統はゴイエットQ2系統とヴィラブルナ系統との混合です。ここでも改めて、ゴイエットQ2系統が新石器時代ではヨーロッパ南西部に固有ではない、と確認されます。
しかし、LBK個体群からWHGへの微妙な変化が観察され、WHGとの共有アレルの増加が反映されています。これは、ヨーロッパ全域における他の古代集団からの観察を反映しており、割合はより高くなっています。この現象はフランスではひじょうに早く出現するようで、新石器時代でも時代が進むと、さらにWHG関連系統が強くなります。mtHgでも、中期新石器時代以降の農耕民で、中石器時代狩猟採集民に特有の系統がさまざまな頻度で見られるようになり、たとえばU5bです。フランス北東部のシャンパーニュ地域で支配的なこれらのmtHgは、在来の狩猟採集民と拡散してきた農耕民との混合のさまざまな割合を示唆します。紀元前4500年頃以降となる中期新石器時代の後半になると、フランス北部および南部の個体群は、主成分分析ではほとんど区別されません。イベリア半島とは異なり、フランスの古代集団における新石器時代系統の起源となった移民は、明確には確定できませんでした。qpAdmを用いると、フランスの中期新石器時代後半の個体群における狩猟採集民系統の起源は、フランス南部の個体群のみ、ゴイエットQ2的系統のさまざまな水準を有しており、異なる狩猟採集民集団との混合が示唆されます。
●フランスの鐘状ビーカー複合期
新石器時代末に、鐘状ビーカー複合(Bell Beaker Complex、略してBBC)が出現し、ヨーロッパ中に広がりました。BBCは地理的分布が広範で、在来の後期新石器時代および銅器時代文化と共存しているという点で、独特です。本論文はBBC関連の2人(CBV95およびPEI2)を報告しています。フランスのBBC関連個体群は、ユーラシア草原地帯系統のさまざまな割合を示します。フランス北部のCBV95は、本論文のデータセットでは草原地帯系統のヤムナヤ(Yamnaya)系統の割合が最高となり、YHg-R1b1a1bで、紀元前2500年頃のフランスにおいてYHg-R1bの存在の最初の明確な証拠となります。YHg-R1bは後期新石器時代のヨーロッパ中央部における草原地帯からの移民の到来と関連づけられており、ヨーロッパの他地域とフランス南部のBBC関連個体群で報告されていますが、青銅器時代前のイベリア半島ではほぼ見られません。
BBC人工物を伴うフランス南西部のカルカソンヌ(Carcassonne)近くの埋葬遺跡で発見された男性個体PEI2は、主成分分析では新石器時代個体群の遺伝的多様性の範囲内に収まります。しかし、アナトリア半島新石器時代とヴィラブルナとヤムナヤ・サマラ(Yamnaya_Samara)の3集団をソースとした混合比率のモデル化では、PEI2で28.3%の草原地帯系統が検出されます。これらの観察は以前の知見と一致し、草原地帯系統が後に出現し、ヨーロッパ南西部ではヨーロッパの他地域よりも低い影響を及ぼした、と確証します。CBV95でもPEI2でも、混合モデルではヴィラブルナ系統は含まれず、既知の後期新石器時代個体群とは異なります。
●青銅器時代と鉄器時代の相対的な連続性
フランスの青銅器時代の個体群は、低頻度ながら新たなmtHgであるU2・U4・Iを示します。ヨーロッパ東部集団と後期新石器時代ヨーロッパ中央部集団で最初に報告されたこれらのmtHgは、青銅器時代の始まりにおけるポントス草原地帯牧畜民の母系に由来する集団との遺伝子流動を示唆します。BBC関連個体CBV95における早期出現で示されているように、青銅器時代にはYHgの劇的な置換が起き、本論文の標本でも、YHg-R1bが既存の新石器時代系統の多様性を置換しました。青銅器時代では13人のうち11人、鉄器時代では10人のうち7人がYHg-R1bです。
青銅器時代と鉄器時代のフランスの個体群は、主成分分析では共通の位置を占め、現代のヨーロッパ中央部個体群の方へと移動し、青銅器時代のブリテン島およびヨーロッパ中央部の遺伝的多様性の範囲内に収まり、草原地帯構成は均質化します。ヨーロッパ中央部とは対照的に、鉄器時代にはユーラシア東部の遺伝子型へのさらなる移動は見られません。代わりに、青銅器時代個体群間で不均一に分布していた草原地帯構成(30〜70%)は均一になっていき、フランスのハルシュタット(Hallstatt)文化およびラ・テーヌ(La Tène)文化の個体群は、現代人および古代人の両方へと似た類似性を示します。
これは、フランスにおける青銅器時代から鉄器時代への移行が、おもに文化拡散に起因しており、外部集団からの大きな遺伝子流動がなかったことを示唆します。この知見は、鉄器時代後半のケルト人がすでにヨーロッパ西部で確立されていた集団の子孫で、BBCの境界内にいた、という考古学的および言語学的仮説と一致します。しかし、青銅器時代までのヨーロッパ集団間の相対的な遺伝的均質性のため、ヨーロッパの異なる地域間のその後の移住は、これまでの水準の網羅率では容易に気づかれないかもしれない、と本論文は注意を喚起します。以下は、系統構成の経時的変化を示した本論文の図1です。
画像
https://www.pnas.org/content/pnas/early/2020/05/20/1918034117/F1.large.jpg
●表現型関連の遺伝標識の分析
変化する生活様式と環境への遺伝的適応の進化的年表を調べるため、身体および生理学的特性と関連する、73人の常染色体遺伝子座が分析されました。まず、目や肌の色(色素沈着)と関連する遺伝的多様体(SLC24A5・SLC45A2・GRM5・HERC2・IRF4・TYR)が調べられました。中石器時代狩猟採集民とアナトリア半島新石器時代農耕民は、色素沈着アレルで異なっており、後者は現代ヨーロッパでほぼ固定されている明るい肌と関連する派生的アレルを有していますが、前者はむしろ濃い色の肌と明るい色の目を有します。中石器時代個体群は、SLC45A2とGRM5遺伝子座で祖先的な色素沈着多様体を有しており、より濃い色の肌と関連しています。対照的に、フランスの新石器時代集団ではこれら2遺伝子座の派生的アレルが顕著に高くなっていますが(SLC45A2で24.9%、GRM5で38.4%)、現代ヨーロッパにおけるこれらのアレルの頻度(SLC45A2で93.8%、GRM5で68.9%)よりはずっと低くなっています。SLC24A5は明るい肌の色と関連している主要な変異で、本論文で分析された新石器時代集団の96%で見られ、現代ヨーロッパにおける99%に近くなっています。
これらの結果は、フランスにおけるそれらの変異の異なる進化的年表を示唆し、明るい肌の色という類似した表現型は、いくつかの選択事象の結果である可能性が高そうですが、こうした特製の遺伝的決定はより複雑で、これら3遺伝子座だけではコードされていない可能性が高いでしょう。目の色に関連する多様体(HERC2とIRF4)を有する中石器時代個体は、青い目と関連するアレルを有しています。新石器時代には、これら2多様体の頻度はそれぞれ29.6%と24.4%に達しました。興味深いことに、これら2多様体は新石器時代後の軌跡が異なるようです。HERC2の頻度は青銅器時代に37.5%から上昇して現代ヨーロッパで最終的に63%以上に達しましたが、IRF4は青銅器時代の23.81%から現代の11%に低下しました。遺伝型の特定された新石器時代個体群は誰も現代ヨーロッパ人の乳糖耐性関連変異を有しておらず、この変異のもっと後の起源と一致します。
現代ヨーロッパ人集団における最近の正の選択の痕跡を示す、いくつかの自然免疫関連多様体も分析されました。多くの免疫応答関連遺伝子(NOS2A・TOLLIP・CCL18・STAT6・IL3)に関して、現代ヨーロッパ人と派生的アレルの頻度が比較されました。その結果、これらの遺伝子座の選択が新石器時代に先行する一方で、TLR1–6–10遺伝子座(自然免疫応答関連のToll様受容体ファミリー)の多様体の頻度は、フランス新石器時代集団では現代ヨーロッパ人よりもずっと低い、と示唆されました。TLR1–6–10遺伝子クラスタは、ハンセン病か胚結核か他の結核への耐性と関連している可能性があります。本論文のデータは、農耕と家畜への接近の開始がこの遺伝子座への選択圧とはならなかった、と示唆します。同様に、SH2B3もしくはSLC22A4におけるセリアック病と関連する多様体は、さまざまな環境毒素の炎症と除去に果たす役割に起因する正の選択の標的だった可能性がありますが、フランス新石器時代集団では現代人集団の頻度には達していません。
●まとめ
古代ゲノム研究によるフランスの7000年の人口史は、現代ヨーロッパ集団で依然として痕跡の見られる、多くは大きな文化変化と混合事象を伴う、連続的な移動事象を明らかにします。フランス西部の中石器時代個体群のゲノムデータは、ゴイエットQ2に表される上部旧石器時代のマグダレニアン関連系統の遅い存続が、イベリア半島に限定されていなかった、と示します。この知見は、マグダレニアン関連系統が見られる地域を拡大し、この混合がどこで起きたのか、という問題を提起します。ヨーロッパ西部からのより多くの個体が、マグダレニアン関連系統の歴史をよりよく特徴づける研究に必要です。
フランス北部の新石器時代人がアナトリア半島の早期農耕民の子孫で、したがって在来の狩猟採集民とは異なる集団を形成した一方で、その後の狩猟採集民との混合が検出され、農耕共同体との漸進的な統合が支持されます。狩猟採集民との混合の過程は、広範ではあるものの、地域的な変性と起源を示します。しかし、フランス南部の利用可能なデータは乏しく、LBKとICCの間の接触が起きたのかどうか結論づけることも、それに続く新石器時代文化に存在するかもしれない遺産を識別することもできません。他のフランス北部および南部の他地域のゲノムデータが、中期および後期新石器時代の異なる文化集団の起源と関係に関する仮説を確証するのに必要です。
常染色体遺伝子座の研究は、フランスの新石器時代の人々と現代ヨーロッパ人との間の違いを明らかにしました。派生的アレル頻度は、高緯度と食性変化への適応と一致する、色素沈着と食性と免疫に関連する遺伝子座への選択を示唆します。また、フランスの中石器時代狩猟採集民も新石器時代農耕民も乳糖耐性アレルを有しておらず、青銅器時代末までにのみこのアレルの存在を報告した、より東方の新石器時代集団に関する研究と一致します。
本論文の重要な結果は、フランスにおける青銅器時代と鉄器時代の個体群間の遺伝的継続性ですが、鉄器時代の個体群間では異質性がより低下しています。そのような状況では、ヨーロッパのある地域から他地域へけいの移動の追跡はより困難になるので、より深い時空間的分析が必要です。
最近、中石器時代と新石器時代のフランス全域を対象とした古代ゲノム研究が公表されましたが(関連記事)、本論文はそれよりもさらに対象とする時代を拡大しています。本論文の見解は、じゅうらいの研究と大枠では一致していますが、最近公表された研究と同様に、イベリア半島外での新石器時代におけるマグダレニアン(ゴイエットQ2)関連系統の存在を報告するなど、新たな知見を提示しています。ユーラシア西部、とくにヨーロッパの古代DNA研究はユーラシア東部よりもずっと進んでいますが、より詳細なヨーロッパ人口史の解明には、さらに古代ゲノムデータが必要となります。本論文では、フランスにおける青銅器時代と鉄器時代の集団間の相対的な遺伝的連続性が示されていますが、本論文で指摘されているように、より高解像度の研究が提示されれば、ある程度大きな遺伝的変化が見えてくるかもしれません。日本人の私としては、ユーラシア東部、とくにアジア東部とヨーロッパとの古代DNA研究の差が今後少しでも縮まっていくよう、期待しています。
参考文献:
Brunel S. et al.(2020): Ancient genomes from present-day France unveil 7,000 years of its demographic history. PNAS, 117, 23, 12791–12798.
https://doi.org/10.1073/pnas.1918034117
https://sicambre.at.webry.info/202006/article_2.html
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