★阿修羅♪ > 近代史5 > 1201.html
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ ★阿修羅♪
北朝鮮伝統の「ミサイル芸」、日本の国政選挙のタイミングに合わせる深い理由
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1201.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 21 日 13:29:11: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 北朝鮮は政策として農村を極貧階級の地としている 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 09 日 08:28:45)

北朝鮮伝統の「ミサイル芸」、日本の国政選挙のタイミングに合わせる深い理由
窪田順生 2021/10/21
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E3%81%AE-%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E8%8A%B8-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%94%BF%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AB%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%82%8B%E6%B7%B1%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1/ar-AAPLcAJ

「そろそろミサイル発射か」と予期していた?

東京不在の首相、過去にも

 衆議院議員選挙公示日である10月19日午前、北朝鮮が日本海へ向けてミサイルを発射した。北朝鮮の国防科学院の発表では、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だったという。

 この時、岸田文雄首相は選挙の第一声を上げるため福島にいた。「官邸危機管理の要」である松野博一官房長官も自身の選挙区である千葉県にいた。慌てて官邸に戻った岸田首相は、国家安全保障会議を開催して、「北朝鮮のミサイル技術の著しい発展は我が国と地域の安全保障にとって見過ごすことができない」として、関係閣僚に「敵基地攻撃能力の保有」の検討を指示した。

 実は今回のミサイル発射に関しては、日本の防衛関係者、そして政府高官の多くは、「そろそろ発射するだろうなあ」と予測していた可能性が高い。つまり「想定内」だったのだ。

 なぜかというと、北朝鮮の金正恩最高指導者は権力の座に座ってから、日本や韓国の国政選挙を意識したスケジュール感で、ミサイルを打ち上げてきた、という「実績」があるからだ。

 例えば、2016年の参院選は今回とまるっきり同じパターンで、6月22日の公示日にやはり北朝鮮が弾道ミサイルを発射している。この時も、安倍晋三元首相はやはり選挙の第一声をあげるため、大分県由布市に滞在していた。官邸には菅義偉官房長官がいたが、対応状況を確認してから選挙の遊説に出かけてしまったことで叩かれている。当時、民進党の岡田克也代表はこう訴えた。

「我々の時にも北朝鮮問題があり、関係閣僚5、6人が選挙期間中も東京にいた」(読売新聞2016年6月23日)

日本の国政選挙のタイミングで

ミサイル発射する北朝鮮

 岡田氏の言葉の通り、実は自民党が政権奪取をした2012年の衆院選も公示の3日前、北朝鮮がミサイルを発射すると事前予告をしたことがあったのだ。この時は12月16日が投票日だったのだが、北朝鮮が“人工衛星”を10日以降の午前中に打ち上げると宣言。そのため、野田佳彦首相(当時)が想定される時間帯の遊説の自粛をしなくてはいけなくなった。

 そういう状況の中で、12月8日には藤村修官房長官(当時)が自身の選挙区で「要は北朝鮮のミサイルがいつ上がるかだ。さっさと月曜日(10日)に上げてくれるといいんですが」(読売新聞2012年12月8日)と失言。当時は野党だった自民・安倍総裁から批判されるというようなドタバタも起きている。結局、官房長官が「待ち焦がれていた」北のミサイルは13日、投票日の3日前に発射された。

 このように、北朝鮮がこれまで日本の国政選挙にドンピシャのタイミングで、ミサイルを打ち上げてきたという動かし難い事実がある。

 そこに加えて今回は、自民党総裁選前の9月13日に巡航ミサイル、15日には弾道ミサイル2発が発射されている。セオリーでいけば、衆院選の公示前後にも仕掛けてくると考えるのは当然だ。日本の防衛関係者、安全保障担当者がこのようなリスクを、官邸に報告しないわけがない。これが冒頭で「想定内」と申し上げた理由である。

北朝鮮の巧みな

「熱湯風呂」ネタ的PR戦略

 さて、そこで皆さんが気になるのが、なぜ北朝鮮が国政選挙のタイミングを狙ってくるのかということだが、これはシンプルで、「北朝鮮という国をたっぷり恐れてもらいたい」というPR戦略に尽きる。

 ご存じのように、庶民が飢える中で北朝鮮が巨額の費用をかけたミサイルを日本海に落とし続けるのは、軍事技術に磨きをかけているからだけではなく、アメリカに「北の脅威」を認識させて、交渉のテーブルにつかせるという「ミサイル外交」のためでもある。

 本連載の過去記事『金正恩、実は高度なPR戦略と交渉術を持つ男の真の狙い』の中で紹介しているが、ミサイル発射で国際社会で批判されていた2012年、朝鮮労働党高級幹部が講演の中で、金正恩氏のこんな「名言」を誇らしげに紹介している。

「実は賛成の中で発射するより、反対の中で発射する方が、我々の威力を誇示できる」

 これはダチョウ倶楽部の伝統芸「熱湯風呂」をイメージしていただければわかりやすい。素直に熱湯風呂に浸かろうとしている上島竜兵さんを突き落としても何も面白くない。しかし、「押すなよ、絶対に押すなよ」としつこく訴える上島さんの背中を押すので盛り上がって「芸」として成立する。

 金正恩氏もこれをよくわかっている。日米韓から「ミサイル発射するなよ、発射したらただじゃおかないぞ」と強く警告されればされるほど、ポチッとやる時に大きな衝撃がある。北朝鮮ここにあり、と存在を世界にアピールすることができる。まさしく父・金正日氏の代から続く、伝統の「ミサイル芸」と言っていい。

 だから、米韓の軍事演習などでは必ずミサイルを飛ばす。そしてもうひとつ格好のタイミングが選挙だ。

 日本でも韓国でも対北朝鮮政策は極めて大きな政治的イシューだ。選挙になれば、候補者は必ず訴える。有力議員はテレビに出演して、コメンテーターと激論もする。そんな時に日本海にミサイルを落とせば、日本全国に散らばった候補者たちが「北の脅威」を朝から晩まで演説をしてくれる。そのPR効果たるや凄まじいものがある。

 要するに、広告代理店やウェブマーケティング会社の人間がちょっと前、何かとつけて口にした「バズらせる」ことができるのだ。

ミサイル発射は

強硬姿勢の政党に有利

 ここまでの話を聞くとモヤモヤしたものを感じる方も多いだろう。

 もし選挙期間を狙ってミサイルを発射したら、安倍晋三元首相や高市早苗氏のように、北朝鮮に強硬な姿勢でのぞむ政治家や、厳しい制裁を訴えるような政党に票が流れてしまうおそれもある。そんな自分たちの首を絞めるようなことをするだろうか…と。

 そのご指摘はごもっともで、確かに北朝鮮が選挙のタイミングにミサイルを打てば打つほど、「国際社会と連携して制裁すべし」と訴える自民党の議席が増えて、「ミサイル発射はとんでもないが、まずは対話が基本」などと弱腰の政党が失速する、という現象が起きている。

 例えば、先ほども触れた2012年のミサイル発射後、「衆院選の候補者は敏感に反応。発射を強行した北朝鮮を一斉に非難した」(読売新聞2012年12月13日)と有権者の投票行動にも大きな影響を与えた。ミサイル発射直後、群馬県の会社員はこう述べている。

「打ち上げられたと聞いてどきっとした。今度の選挙でも日本の安全保障をきちんと考えてくれる政党を選びたい」(同上)

 この時、自民党は294議席獲得して大勝し、民主党から政権を奪取した。公示日にミサイル発射があった2016年の参院選も、自民党は議席を6増やして121議席。民進党は32議席に後退した。

 この傾向は、韓国も同じだ。日本の与野党候補者が選挙カーで「北の脅威」を連呼していた2012年12月、実は韓国も19日に大統領選挙を控えてザワザワしていた時だったのだ。当時、聯合ニュースが、任期を終える李明博大統領のインタビューを報じていて、その中で李氏は、北朝鮮が過去にも国政選挙に合わせて武力挑発を仕掛けてきたと指摘したうえで、こう述べている。

「北朝鮮好みの候補がいるかもしれないが、北朝鮮が(有権者の投票行動に)影響を与えることはできない」(読売新聞2012年12月3日)

 しかし、蓋を開ければ、朴槿恵氏が、筋金入りの親北政治家・文在寅氏に108万票余の差をつけて大勝している。投票日の6日前に発射された北のミサイルの影響もゼロではないはずだ。

敵視してくれる政治家・政党は

北朝鮮の思う壺?

 こういう事実を踏まえると確かに、「金正恩の選挙を狙ったミサイル発射は自分の首を絞めている」と感じる方もいらっしゃるだろう。しかし、筆者は「逆」ではないか、と考えている。

 国政選挙のタイミングでミサイルを発射するのは、北朝鮮の脅威を唱える政治家、厳しい対応を主張する政党が台頭してくることを期待しているようにしか見えない。

 つまり、金正恩氏が選挙のたびにミサイルを発射するのは、「北朝鮮に対して強硬姿勢の政治家・政党」を、文字通り「援護射撃」をしているのだ。

 なぜそんな自分を窮地に立たせるようなことをするのかというと、「体制維持」のためである。

 ヒトラー、カエサルなど歴史上の独裁者を見れば明白だが、独裁政権の維持のためには「強い外敵」の存在が必要不可欠だ。侵略や略奪に対する恐怖心のある国民は、議会制民主主義で不毛な議論を延々と続けられるより、「強いリーダー」がスピード感を持って「敵を叩く」と宣言するような専制スタイルを待望する。そのような国民的人気があれば、独裁者は政敵やクーデターをねじ伏せられる。

 つまり、独裁者にとっての「強い外敵」とは、「ものわかりの良い平和的な隣人」よりも、「常にけんか腰で何かとつけてイチャモンをつけるクレーマー」の方がありがたいのだ。

 激しいけんかを続けるにしても、和解して信頼関係を築くにしても、独裁者自身の「唯一無二の存在」という価値がつり上がるからだ。

 これは親子三代で独裁を続けてきた金正恩氏にも当てはまる。それを示したのがトランプ前米大統領だ。

北朝鮮が切望する

日本の「次のトランプ」

 トランプ氏は周囲やメディアが狂人扱いする中で、ミサイル発射をちらつかせる金正恩氏を「リトル・ロケットマン」などとバカにした。これに対して、金氏も「老いぼれ」「おじけづいた犬」などと応酬。ジャーナリストの中には、「第三次世界大戦の危機」などと騒いだが結果として、2人は蜜月となった。

 トランプ氏は手のひら返しで「とても頭がよく、才能がある」「彼のようにタフに国家の運営をしてきた人物は1万人に1人」と絶賛。互いに連絡を取るようになった。トランプ氏が負けて、米朝関係は振り出しに戻ったが、これこそが金正恩氏が理想とする「ミサイル外交」の姿だ。強い外敵とバチバチ火花を散らし、緊張を極限まで高めて、内政でも外交でも「やはり金正恩がいないとダメだ」というブランディングをするのだ。

 そう考えていくと、金正恩氏が日本の選挙のたびにミサイル発射をしているのは、一体誰を「援護射撃」するためなのか、という構図が見えてくる。北朝鮮に厳しく、拉致被害者奪還を叫び、厳しい制裁を強く求めていく。そう、安倍元首相をはじめとした保守系政治家の皆さんだ。

 口では安倍元首相のことを「ならず者」「白痴」などと口汚く罵るが、結果として安倍政権をずっと支えた陰の立役者になっている。ミサイルを発射するたび、スキャンダルで弱った自民党は息を吹き返している。

 この両者の「強敵と書いて友と読む」的な関係は、安倍元首相もよくわかっているのではないか。

 そう思えるのが、前回、2017年10月22日の衆院選だ。実はこの時には北朝鮮のミサイルは飛んでいないが、これまで同様に「北のミサイル」が争点になった。というよりも、安倍元首相がそうした。

 8月29日、北海道えりも町の上空を、北朝鮮の弾道ミサイルが通過して、太平洋に落下したのだ。さらに9月に入ると核実験も行い、15日には再び北海道上空を越えるミサイルを発射した。これまで日本海に落ちていたミサイルが、日本の上空を超えていった。これで「北の脅威」のステージが上がったのだ。

 その13日後、安倍元首相は解散を決断。これを「国難突破解散」と名付けて、実質的に選挙戦に突入したのである。

 当時、モリカケ問題などで逆風の中だったが、この衆院選は議席増減なくなんとか乗り越えた。起きた現象だけを客観的に見れば、安倍政権にとって、金正恩氏のミサイルは「ナイスアシスト」になっているのだ。

 さまざまな事実が示しているとおり、北朝鮮のミサイルが、日本の選挙と密接な関係があることはお分かりいただけただろうか。これまでの状況を見れば、金正恩氏が望んでいるのは、「強い外敵」、日本で言えばゴリゴリの対中・対北朝鮮強硬派だ。

 これまでのミサイル発射の傾向を見ると、その役割を安倍元首相に求めてきたフシがあるが、世代交代でもっと過激で、もっと若い政治家を望んでいるはずだ。

 そこで思い浮かぶのは、新たな「保守のマドンナ」となった高市早苗氏だ。今回も選挙応援で引っ張りだこだという。

 敵基地無力化を強く主張する高市氏は、拉致問題を最重要課題の一つに位置づけて、総裁選でも金正恩氏と1対1の対談の場をつくるべきであり、北朝鮮に乗り込んででも話をつける、と力強いメッセージを発信した。

 そういえば、しばらくおとなしかった北朝鮮がミサイルが発射し始めたのは、自民党総裁選からだ。今回のミサイルは、金正恩氏なりの高市氏への「ラブレター」かもしれない。

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E3%81%AE-%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E8%8A%B8-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%94%BF%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AB%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%82%8B%E6%B7%B1%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1/ar-AAPLcAJ  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲上へ      ★阿修羅♪ > 近代史5掲示板 次へ  前へ

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
最新投稿・コメント全文リスト  コメント投稿はメルマガで即時配信  スレ建て依頼スレ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 近代史5掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
近代史5掲示板  
次へ