トンポーロー(東坡肉)とは?角煮との違いや本場の作り方を紹介! https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/04/post-9795.html 中華料理店で見かけることのある、黒い見た目をした豚の角煮。 「トンポーロー(東坡肉)」と呼ばれる中国の歴史ある料理の一つで、その誕生は1000年ほど前になるといわれている。
外はカリッ、中はトロッとした特徴的な食感は、一度食べると忘れられないほどの美味しさである。今回はそんなトンポーローの歴史、日本の豚の角煮との違い、本場のトンポーローの作り方を紹介する。 1. トンポーローとは?
トンポーロー(東坡肉)は中国の江南地域で誕生した「皮付きの豚の角煮」で、現在は浙江料理の一つとして知られている。醤油・酒・砂糖・八角などで味付けしており、独特な香りが付いた甘辛い味が特徴。また、余分な脂を落とすために茹でたり蒸したりしてから、じっくりと時間をかけて煮込んでいる。こうしてできたトンポーローは、口の中でとろけてしまうほどの美味しさである。 トンポーローの歴史と誕生
中国の伝説によれば、中国で豚肉が広く食べられるようになったのは11世紀後半(宋の時代)。中国の役人である蘇軾(そしょく/蘇東坡:そとうば)によって広まったといわれている。それまでは肉といえば「羊肉」が一般的であり、「豚肉」は貧しい人が食べるものとされていたそうだ。 1077年、蘇軾は決壊した黄河の復旧のために徐州を訪れていた。その際、食べ物が少なくて困っていた徐州の人々に「豚肉の煮込み」の作り方を教えたという。その作り方では脂のくどさがなく、食感も柔らかでジューシー。やがて「回贈肉」という名前で徐州名物として親しまれていく(※1)。 そして、1080年には蘇軾は広州で荒地の開拓に従事している。彼によって開拓された耕作地は「東坡居士(トンポーレイ)」と呼ばれ、これが「東坡肉(トンポーロー)」の由来になったそうだ。詩人としても有名な蘇軾は広州で「食猪肉詩(豚肉を食べる詩)」を読み、その経験をまとめている。 2. トンポーローと日本の角煮の違い 中国生まれの「トンポーロー」と日本生まれの「豚の角煮」にはどのような違いがあるのだろうか。大きな違いとしては、使われる豚肉の種類や味付けなどが挙げられる。また、日本で作られている豚の角煮にもいくつか種類があり、トンポーローに似ているものもあるので紹介しておこう。 違い1.豚肉が皮付きかどうか
トンポーローと豚の角煮では、使われている豚肉の種類が異なる。一般的に日本で作られている豚の角煮には、皮のない豚バラ肉が使われている。一方、中国では皮つきの豚バラ肉が使われている。皮つきの豚肉では柔らかな弾力を楽しめるため、それがトンポーローの魅力のひとつになっている。 違い2.色味と味付けがどうか
日本の豚の角煮に比べて、トンポーローの見た目はやや黒っぽい。この理由はトンポーローの調味料に紹興酒や醤油などが使われているからだ。また、煮込み時間が長く、じっくりと味を染み込ませていることも関係している。ただし「味付けが濃すぎることはない」ので安心してほしい。 違い3.八角などのスパイスを使うかどうか
トンポーローと豚の角煮では、風味も異なる。この理由はトンポーローには八角などのスパイスが使われているからで、それにより中華料理特有の風味を楽しめるようになっている。一方、日本で作られる角煮には生姜などで香り付けすることはあるが、基本的に特別なスパイスを使うことはない。 違い4.トンポーローと似ている角煮もある
日本の豚の角煮は地方や家庭ごとに異なるが、沖縄料理である「ラフテー」はトンポーローと非常によく似ている。沖縄ではチガラー(豚の顔の皮)のように豚の皮を食べる文化があり、ラフテーには皮付きバラ肉(いわゆる三枚肉のこと)が使われているからだ。また、長崎の角煮は「東坡煮(とうばに)」と呼ばれており、その調理法はトンポーローとほぼ同じである。 3. 美味しいトンポーローの作り方とポイント それでは、本場のトンポーローの作り方と美味しく作るポイントをそれぞれ確認しよう。 醤油・紹興酒・八角・水を合わせて総合調味料を作っておく 豚バラ肉を5cm幅にカットし、タコ糸で結んでおく
鍋に豚バラ肉・長ネギ・スライス生姜・水を入れて30分下茹でする 下茹でしたら豚バラ肉を取り出し、人肌くらいまで冷ます サラダ油を熱したフライパンで、水切りした豚バラを炒める 炒めたらフライパンに総合調味料を入れて煮込む 煮立ったら厚手の鍋に移し替えて、超弱火で2時間程度煮詰める 出来上がった豚バラ肉をお皿に盛り付けたらトンポーローの完成 ポイント1.皮なし豚バラ肉で作っても美味しい
本場のトンポーローは皮付きの豚バラ肉を使うが、スーパーなどで売っていないことも多いので「皮なしの豚バラ肉(ブロック)」を使ってもよい。もし皮付きの豚バラ肉を使った本場のトンポーローに挑戦したいなら、精肉店・業務用スーパー・ECサイトなどで探してみるといいだろう。 ポイント2.下茹でした豚肉の表面に醤油を塗ろう トンポーローは豚の皮が「カリッ」と仕上がるほうが美味しい。そのため、下茹でして豚肉の表面に刷毛(はけ)で醤油を塗っておき、香ばしく炒めるのもおすすめだ。しかも豚肉の表面をしっかり炒めておけば、煮崩れを防いだり、柔らかく仕上げたりできるようになる。 ポイント3.時短のためには圧力鍋がおすすめ 普通の鍋でトンポーローを作る場合は、少なくとも2時間程度は煮込む必要がある。しかし、圧力鍋を使えば、半分以下の時間で中を「トロトロ」に仕上げることができる。自宅に圧力鍋があるという場合には、最後の煮込みの際に使うようにしよう。 結論 中国生まれのトンポーローは、日本の豚の角煮の起源ともいえる料理だ。現在も浙江料理の一つとして親しまれており、日本では中華料理店などで食べることができる。そんなトンポーローは自宅で作ることも可能。手間がかかり大変ではあるが、中華料理の特徴的な香りと風味は非常に美味しいためぜひ機会があればチャレンジしてみるとよいだろう。
【参考文献】 ※1:江蘇省観光公式「東坡回贈肉」
http://kousokankou.com/beautiful/detail.php?cid=3&id=160
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/04/post-9795.html
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