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米英の世界制覇戦略の主力としての性格を鮮明にしてきたNATO
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2020.10.26 桜井ジャーナル
NATO(北大西洋条約機構)は今年9月、新たな統連合軍の司令部をアメリカのバージニア州にあるノーホーク基地に設置した。オランダのブルンスム司令部とイタリアのナポリ司令部と連携して活動することになる。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、NATO創設の目的のひとつはアメリカとイギリスの支配者が第2次世界大戦後のヨーロッパを支配することにあった。今回の新司令部設置はアメリカの戦略にも続くものだ。
そのアメリカは2018年5月に太平洋軍をインド・太平洋軍へ名称を変更した。太平洋側の拠点を日本、インド洋側の拠点をインド、そしてインドネシアで領海域をつなごうという構想。これは中国が進めている一帯一路政策のうち、いわゆる「海のシルクロード」を睨んでのことだろう。
今年6月にイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長はNATO2030なるプロジェクトを始めると宣言したが、これは機構を太平洋へ広げ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにしようというもの。
アメリカはすでにふたつの軍事同盟を太平洋地域で組織している。ひとつはアメリカと日本、もうひとつはアメリカ、オーストラリア、そしてニュージーランドの3カ国によるものだ。前者は1951年9月8日にサンフランシスコのプレシディオで調印された安保条約から始まるが、そのその1週間前に同じ場所でアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約を結んでいる。
こうした軍事同盟を統合したいのだろうが、アメリカの戦略が順調に進んでいるようには見えない。今年10月6日にアメリカのマイク・ポンペオ国務長官は東京で日本、インド、オーストラリアの代表と会い、中国との戦いについて話し合ったが、インドネシアは参加せず、インドやオーストラリアも積極的とは言えなかったようだ。フィリピンの現政権はアメリカに批判的だ。最も従属的な日本の菅義偉首相はポンペオの使いっぱしりとしてインドネシアとベトナムへ行かされた。8日には岸信夫防衛大臣が横田基地で在日米軍のケビン・シュネイダー司令官と会談している。
こうしたアメリカの動きは中国とロシアを念頭に置いたもの。ユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸国を締め上げていくというイギリスが19世紀に始めた長期戦略に基づいている。
この長期戦略を理論化、1904年に発表したのが地理学者で地政学の父と言われているハルフォード・マッキンダー。彼はヨーロッパ、アジア、アフリカを「世界島」、イギリスや日本を「沖合諸島」、そして南北アメリカやオーストラリアのような「遠方諸島」と名付けた。世界島の中心がハートランドで、具体的にはロシアを指している。このハートランドを支配できれば世界の覇者になれるということだ。
ユーラシアを囲む三日月帯はインド、東南アジア諸国、朝鮮半島を結ぶ。その西端がイギリスであり、東端が日本だ。その途中、中東に空白地帯があった。そこにイギリスはイスラエル(1948年)とサウジアラビア(1932年)を作っている。日本列島は東アジアにおける侵略の拠点であり、日本人は傭兵だ。
イギリスやアメリカの支配者はシティやウォール街を拠点にして新自由主義を世界に広めてきた。この信仰で教祖的な役割を果たしたのがシカゴ大学の教授だったミルトン・フリードマンであり、その先輩とも言える学者がフリードリッヒ・フォン・ハイエク。このハイエクの教え子にはデイビッド・ロックフェラーも含まれている。彼らは社会や民主主義を否定、強大な私的権力が支配する市場と支配者が定める道徳を「新しい生活様式」の柱にしようとしている。そうした「リセット」を実現する上でCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)は重要な役割を果たしている。
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