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米国の対ロシア戦略で重要度を増しつつあるポーランド
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2020.08.16 櫻井ジャーナル
ポーランドに駐留するアメリカ軍が1000名増やされる。ドナルド・トランプ大統領がドイツに駐留しているアメリカ軍3万4500名の中から1万2000名を引き上げると発表した数週間後にマイク・ポンペオ国務長官がポーランドを訪問、合意文書に調印して決まった。トランプ政権はロシアとの良好な関係を維持しようとするドイツから歴史的にロシアを敵視しているポーランドへシフトしようとしているように見える。
現在、ロシアとドイツとの結びつきを象徴しているのは、ロシアからEUへバルト海経由で天然ガスを運ぶためのパイプライン。これはノード・ストリームと呼ばれ、2012年に最初のものは稼働している。そのパイプラインに並行してノード・ストリーム2を建設されているが、ポーランドはアメリカの意向を受けて妨害している。
EUとロシアを結ぶパイプラインの多くはウクライナを通過しているが、そのウクライナで2014年2月にネオ・ナチを使ってネオコンはクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。このクーデターの前、アメリカはポーランドなどでネオ・ナチを訓練している。
クーデター派はヤヌコビッチを拘束、あるいは殺害するつもりだったのだろうが、脱出に成功している。ノード・ストリーム2の建設でロシアとEUの合意したのはクーデターの翌年、つまり2015年のことだ。その頃、ジョー・バイデンや彼の息子であるハンター・バイデンの名前がスキャンダルの中心人物として浮上している。
イギリスにはユーラシアとアフリカを支配するためにはロシアを制圧する必要があるとする考え方がある。ロシアを制圧するためには東ヨーロッパを支配しなければならない。そこで注目されたのがポーランド。
すでに本ブログでも書いたことだが、ポーランドにはポーランド・リトアニア連邦の復活を夢見る勢力が存在する。その「夢」はバルト海とエーゲ海に挟まれた中央ヨーロッパにカトリックの帝国を作ろうというインターマリウム構想と重なった。その構想を実現しようと動いていたひとりがユセフ・レッティンゲル。ヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようとしていた。
レッティンゲルはポーランド生まれで、第2次世界大戦中はロンドンへ亡命していたポーランドのブワディスラフ・シコルスキー将軍の側近であり、1954年に創設されたビルダーバーグ・グループの生みの親はレッティンゲルだと考えられている。
ビルダーバーグ・グループはヨーロッパとアメリカの支配層の利害を調整するために作られたと言われているが、その上部機関が1948年に作られたACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)。ACUEはアメリカやイギリスがヨーロッパを支配する目的で設立した組織で、イギリスのウィンストン・チャーチルやアメリカのアレン・ダレスたちが参加していた。
アメリカはソ連圏に対する工作を続けていたが、その工作がポーランドで表面化する。1980年9月に反体制労組の連帯が創設されたのだ。この組織にはNEDなどを経由してCIAの資金が流れ込んでいたほか、またローマ教皇庁や西側の労働組合が持つ銀行口座も利用されていた。イタリアの大手金融機関だったアンブロシアーノ銀行やバチカン銀行(IOR/宗教活動協会)から連帯へ不正送金されていたことも発覚している。(David A. Yallop, “In God`s Name”, Poetic Products, 1984/日本語版では送金が違法だったとする部分は削除されている)
当時のポーランドでは入手が困難だったファクシミリのほか、印刷機械、送信機、電話、短波ラジオ、ビデオ・カメラ、コピー機、テレックス、コンピュータ、ワープロなどが数トン、ポーランドへアメリカ側から密輸されたと言われている。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992)連帯の指導者だったレフ・ワレサも自伝の中で、戒厳令布告後に「書籍・新聞の自立出版所のネットワークが一気に拡大」したと認めている。(レフ・ワレサ著、筑紫哲也、水谷驍訳『ワレサ自伝』社会思想社、1988年)
バチカン銀行の不正行為で中心的な役割を果たしていたのはシカゴ出身のポール・マルチンクス頭取。マルチンクスはローマ教皇パウロ6世(ジョバンニ・バティスタ・モンティニ)の側近で、このパウロ6世はモンティニ時代からCIAと緊密な関係にあった。
CIAでパウロ6世/モンティニと最も強く結びついていた人物は防諜部門を統括、秘密工作にも深く関与しているジェームズ・アングルトンだ。アレン・ダレスの側近であると同時にイスラエルの情報機関との連絡を担当していたが、封書の開封工作が発覚して辞任することになる。
このパウロ6世は1978年8月に死亡、アルビーノ・ルチャーニが新教皇に選ばれ、ヨハネ・パウロ1世を名乗った。若い頃から社会的弱者の救済に熱心だった人物で、CIAとの関係はなかったと見られている。つまり、新教皇はCIAにとって都合が悪い。
そのヨハネ・パウロ1世はCIAにとって都合が良いことに、就任して1カ月余り後の1978年9月に急死する。そこで登場してくるのがポーランド出身のカロル・ユゼフ・ボイティワ。1978年10月に次の教皇となり、ヨハネ・パウロ2世と呼ばれるようになった。
ウォーターゲート事件で有名なジャーナリストのカール・バーンスタインによると、1982年6月7日にロナルド・レーガン米大統領とローマ教皇のヨハネ・パウロ2世はバチカンで50分間にわたって会談、ソ連圏の解体を早めるための秘密工作を実行することで合意した。バチカンを舞台にしたポーランド工作にはポーランド出身のズビグネフ・ブレジンスキーが重要な役割を果たしたとされている。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992)この会談の3週間ほど前、レーガン大統領はNSDD 32を出し、ソ連を「無力化」するために経済的、外交的、そして秘密工作を使うことを承認した。(Robert Parry, “Secrecy & Privilege”, The Media Consortium, 2004)
ソ連が生まれる以前からポーランドのリーダーはロシア人を敵視、アングロ・サクソンに従属してきた。アングロ・サクソンの戦略で重要な役割を果たしてきたとも言える。ポーランドを哀れな弱小国だと考えるのはセンチメンタルすぎる。
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