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2021年3月20日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/92528
感染力が高いとされる新型コロナウイルスの変異株。政府はコロナ感染者の5〜10%に実施している変異株PCR検査を40%程度に引き上げる方針を打ち出した。全感染者への検査を求める声もあるが、なぜ40%なのか。背景を探ると、検査体制に限りがある中、可能な範囲で国民の不安を解消しようとする政府の姿勢が見える。(藤川大樹、曽田晋太郎、小倉貞俊)
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厚生労働省のまとめでは、16日時点で国内で確認された変異株感染者は、26都道府県で399人(ほかに空港検疫で74人)。神奈川などで変異株感染者の死亡が確認されている。変異株感染者は全員、無症状を含めて入院対象となっている。
厚労省によると、新型コロナの感染を調べるPCR検査は、ほとんどを民間の検査会社や医療機関が担っている。自治体が行っているPCR検査は全体では少数にすぎない。
変異株かどうかを調べる追加のPCR検査を増やすには、民間への検査依頼を増やすしかない。だが、変異株の検査をできる民間は限られている。
自民党の新型コロナ対策本部は「全感染者を調べられる体制づくりを急ぐべきだ」と提言したが、厚労省が可能な民間機関や大学などの数字を積み上げたところ、最大で約40%になったという。
厚労省の幹部は「変異株の広がりを見るには、10%程度のモニタリング検査で十分とされるが、国民の不安が強いことを考えると、できるだけ見つけたい」と話した。
東京都では現在、全感染者の約10%に、追加の変異株のPCR検査が行われている。検査を担当するのは都健康安全研究センターと民間の検査会社1社。都は政府の方針を受け、今後、ほかの数社にも検査を依頼し、4月上旬には約25%、最終的に約40%に検査を拡大する。
一方、検査の40%への引き上げを疑問視する意見もある。相模原市は現在でも、全体の約25%で変異株を調べているが、検査はまとめて週に1回。ある専門家は「変異株の感染拡大を防ぐには、検査の割合にこだわるよりも、検査スピードを上げる方が大切」と言う。
また、厚労省に助言する専門家組織のメンバーは「変異株も従来株も、感染予防対策は変わらない」と指摘。18日に開かれた政府の諮問委員会でも、出席者から「数を追うのではなく、変異株にどう対処するかが問題だ」という意見が出たという。
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