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2021年5月13日 10時45分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/103929
新型コロナウイルスに感染したかどうかを調べるPCR検査装置で変異株の種類まで判別できる技術を、名城大(名古屋市)の神野透人教授(衛生化学)らが開発し、12日発表した。検査に使う試薬を変えたところ、ほぼ完全に判別できたと説明。1週間ほどかけている判別が1時間半程度で可能という。法令上、行政機関の検査ですぐに使うことはできないが、神野教授は「対策に効果的だ」と話している。 (出口有紀)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/103929
判別できるのは、感染力が従来より約1・3倍強いとされる英国株のほか、インドで猛威を振るう株、米国カリフォルニア州などで流行する株、南アフリカ株やブラジル株、ワクチンの効き目だけを弱めるとされる変異株など8種類。国内でも従来株から変異株に置き換わりつつある。
PCR検査では、綿棒で鼻の粘膜などを取り出し、新型コロナウイルスの遺伝子が含まれているかどうかを調べる。検査装置で遺伝子を増やし、蛍光試薬を加えて加熱。光が強くなれば陽性と判定している。
だが、陽性と分かっても、変異株の種類までは判別できない。種類を特定するため検体を国立感染症研究所(東京)へ送り、感染研が全遺伝情報を解析。判別に1週間ほどかけている。
神野教授は薬学部の実習で、名古屋コーチンなど鶏肉の銘柄を、遺伝子の配列の違いから見分ける解析法を教えている。「同じニワトリでも遺伝子の配列が違うので銘柄の違いが分かる。新型コロナウイルス(の従来株と変異株)も同様」と考えた。
この解析法で使う蛍光試薬は、PCR検査で使う試薬とは違い、加熱時に光が強くなった後、弱くなる時の温度で遺伝子配列の違いを精密に区別できる。新型コロナの変異株で試しても、種類によって光が弱くなる温度が異なることが分かった。
神野教授らは4月上旬から、愛知県衛生研究所で新型コロナの200検体以上を使って実験を重ね、光が弱くなる温度の違いで、それぞれの変異株をほぼ正確に判別できたという。PCR検査装置は都道府県の研究機関などにあり、検体を感染研に送らなくても1時間半程度で判別できるとしている。
一方で、行政機関が担う新型コロナのPCR検査は、感染症法で手法や試薬が厳密に定められており、今回の技術をすぐに導入できるわけではない。神野教授は「簡便な方法でも応用できない体系になっており壁は厚い。だが、変異株の素早い特定が正確な感染経路の把握やクラスター(感染者集団)対策につながる。感染拡大の局面で使ってほしい」と説明した。
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