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感染症数理モデルとCOVID-19
稲葉 寿 東京大学大学院数理科学研究科 教授
日本医師会 COVID-19有識者会議HP 2020-12-18
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3925
(要旨)
・今回の新型コロナ流行(COVID-19)は,100年前のスペイン・インフルエンザや90年代におけるエイズ流行に比肩しうるパンデミックであるが,とくにワクチンが開発されない段階における非薬剤的流行制御に関しては,感染ダイナミクスを記述・分析する感染症数理モデルの活用が世界的に広まり,その果たす役割が非常に大きいことが認識されるようになった点に特徴がある。
・しかしながら,緊急事態宣言や行動自粛政策の影響はあまりにも大きく,国レベルにおける社会経済的環境との相互作用も十分に検討されていなかった。理論・数理分析の結果をいかに有効な政策に結びつけるかに関しては多くの問題が残されている。
・一方で,COVID-19の数理モデル分析によれば,緊急事態宣言や自粛行動は一定の成果をあげたと判断される。流行収束を考える上でキーとなる集団免疫理論に関しては,従来の理解では不十分であり,人口の異質性,免疫学的背景を考慮した理論が必要とされることが指摘できる。政策的な議論の一つであった大量検査と隔離に関しては,普遍的検査は流行抑止に対して非常に有効な方法であることが示唆される。
(紹介者は以下の部分(図を含む)がこの記事で最も重要と考え引用しますが、他の大部分は省略しますので、リンク先でお読みください。)
また大量検査の流行抑止手段としての有効性に関しては、國谷・稲葉[4],[19] が、定常的な検査による隔離政策の効果を数理モデルで検討した。実効再生産数Re に対する検査率と社会的距離拡大政策の効果をみてみると、【図表1】に示すように、検査率k がおよそ0.23 以上であればRe < 1 であり、流行の制御が可能と考えられる。特に、検査率k に対してRe が下に凸で減少していることに注意すると、検査率がもともと低い集団で検査率を高めることに大きな効果があるという示唆が得られる。さらに、社会距離拡大政策を同時に行うことで、流行制御に必要となる臨界的な検査率の値を実用的な水準まで低くすることができることに注目すべきである。
4. 稲葉寿(編著) (2020), 「感染症の数理モデル」増補改訂版, 培風館.
19. T. Kuniya and H. Inaba (2020), Possible effects of mixed prevention strategy for COVID-19 epidemic: massive testing, quarantine and so-cial distancing, AIMS Public Health 7: 490-503.
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