第2波を完全に織り込んだ予測ではないから、その場合は、さらに悪化する国内であれば、過去の失業率との相関が維持されれば、自殺が記録的に幅に増加することになる (とは言え、現実には、そうはならないだろう) https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-imf-outlook-idJPKBN23V24I ビジネス2020年6月24日 / 23:23 / 5時間前更新 IMF、20年世界成長見通し4.9%減に下方修正 コロナ影響深刻 Reuters Staff 1 分で読む
[ワシントン 24日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は24日、2020年の世界経済成長率見通しをマイナス4.9%とし、4月時点のマイナス3%から下方修正した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が経済活動にもたらした打撃が当初の予想以上に幅広く深刻との認識を示した。 21年の成長率見通しはプラス5.4%とし、4月時点のプラス5.8%から引き下げ。さらに、同年に新型コロナ感染が再拡大すれば成長率はプラス0.5%にとどまる可能性があるとした。 IMFは、ウイルス感染拡大抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)やソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)が投資と消費双方に影響したと指摘。「ロックダウンによって幅広い総需要ショックと短期的な供給の混乱が引き起こされた」とした。 チーフエコノミストのギタ・ゴピナス氏は「まだ危機を脱していないのは明白で、グレート・ロックダウン(多くの国で導入された都市封鎖)からも抜け出していない」とし、「このとてつもない不透明性を踏まえ、政策当局者は引き続き警戒する必要がある」と述べた。 IMFは、世界経済がコロナ禍によって1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最悪の景気後退(リセッション)に陥るとの認識を示しているが、ゴピナス氏は各国が実施した10兆ドル規模の財政支援や中銀による金融緩和が大規模な破産を食い止めていると指摘。同時に、回復の下地を整えるためにも追加支援が必要と強調した。 地域・国別では、先進国への影響がとりわけ深刻とし、今年の米国内総生産(GDP)は8%減、ユーロ圏は10.2%減と予想。ともに4月見通しから2%ポイント超引き下げた。 感染が引き続き拡大している中南米の見通しも大幅に下方修正。今年のブラジル経済成長は9.1%減、メキシコは10.5%減、アルゼンチンは9.9%減と予想した。 4月に経済を再開し、新型コロナ感染が終息しつつある中国については1%増と予想したが、4月時点の1.2%増からは下方修正した。 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00170/061900003/ この連載の前回で、4月の自殺者数が前年比で大きく減少した「謎」について専門家に聞いた。テレワークの拡大によって出社や登校に伴う対人ストレスが減少し、家族の絆で癒やされた――。精神科医の夏目誠氏はそんな通説に一定の同意を示しつつ、しかし、自殺件数減少の理由の大きな部分を占めるのは「思考停止」だとした。 前回の記事を配信したあとに5月の統計も発表されたが、4月と傾向は変わらなかった。だが、5月25日に緊急事態宣言が解除され、今まさに経済活動が再開し始めている。冷却されて血行が抑制されていた打撲傷の患部に血流が戻ったときのように、企業業績や家計が傷の痛みを実感するのはこれからだ。そのうずきに「思考停止」が解けたらどうなってしまうのか。 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R02/202005sokuhouti.pdf 今回は、その先に起こりうる未来を探ってみたい。 連載の初回で示したように、経済情勢と自殺者数には相関があり、相関の度合いも明らかになっている。また、新型コロナウイルスによる経済への影響はまだ全容が分からないが、予測するシナリオが示され始めている。過去の係数と、今回推定されている実数を掛け合わせることで、どの程度の自殺者増を見込むべきなのかを弾き出したのが、連載初回でも示した京都大学レジリエンス実践ユニットによるシミュレーションだ。 いわく、国内総生産(GDP)の縮小に伴う失業率の増加で、累計自殺者数が今後19〜27年間にわたって累計14万〜27万人増加する。その内容を詳しく見ていこう。 同ユニットが経済情勢の予測として採用したのはゴールドマン・サックスの推計だ。国民1人当たり「1律10万円」を含む1次補正までの117兆円の事業規模の政府の経済対策を加味して検討したところ、2020年4〜6月期の実質GDP成長率は年率前期比でマイナス23.2%となると予測している。同ユニットは「GDP下落率1%で、失業率が約0.11%増加する」という先行研究に基づいて、同期間に失業者数は2.5%増加するとした。 1年間で事態が収束し、通常の状態(1998年以降の平均値である実質成長率0.8%)に21年4〜6月期に戻るとする「楽観シナリオ」を取ると、20年4〜6月期以降のGDP下落率の回復で、20年度の実質成長率をマイナス14.2%まで戻すと推計。失業率は20年度末のピークに6.1%まで上昇するとした。一方、収束に2年かかり、通常状態に22年4〜6月期に戻るとする「悲観シナリオ」を取れば、実質成長率は20年度のマイナス14.2%に続き、21年度もマイナス5.2%と水面下にとどまると推計。失業率は21年度末にピークを迎え8%を超えると予測した。 シミュレーションでは、この失業率の推定を基に、自殺者数の増加を読む。過去の日本の自殺者数と失業率から分析すると「失業率が1%上昇することで、年間自殺者が約2400人増加する」との傾向が分かった。 問題はここからだ。先述のように、GDPが1%下落すると失業率が約0.11%増加する。しかし、GDPが反転しても、同じ割合で失業率は回復しない。失業率は、GDPの上昇に対するより下落に対する方がよりセンシティブに反応する。過去のバブル崩壊やリーマン・ショックなどの経済危機以降の経済の回復と失業率のそれを比較してみれば明らかだ。 GDPが1年間で反転する楽観シナリオで、失業率の回復には19年間。GDPが2年間で戻る悲観シナリオで、失業率の回復には27年間を要するとシミュレーションでは試算している。その間、自殺者増のインパクトが累積されていき、2019年度の水準を基本に比べると14万〜27万人、自殺者が増加すると予測できると結論づけた。楽観シナリオで2020年度末の失業率ピーク時には、年間自殺者が、2019年より約1万4000人超の増加となる3万4449人になるとする。 京都大学レリジエンス実践ユニットによる自殺者数推移の推計結果 [画像のクリックで拡大表示] もっとも、政府は追加経済対策として2次補正を組んでいる。藤井聡レジリエンス研究ユニット長は「(経済対策によって)自殺者数は推計よりも減少する可能性はある」とするものの「現状の経済支援規模ではそこまでの大きな解決には至らないだろう」と指摘する。 次ページ雇用危機の本格化、これから こうした予測は他にもある。 公益財団法人中部圏社会経済研究所(名古屋市)の島澤諭研究部長も、第1次補正予算による経済支援策までで、2020年について自殺者数が3万351〜3万6862人と推計。2019年から1万182〜1万6793人の増加となり、過去最悪だった2003年の3万4427人を超えて、さらなる「最悪の事態」となる危機を指摘している。 島澤氏の推計では、国際通貨基金(IMF)の4月の「世界経済見通し」による世界実質GDP成長率などを前提条件として、2パターンで予測。「シナリオ1」では、20年後半に感染症の世界的な大流行(パンデミック)が収束。2020年で世界の実質GDPがマイナス3%の成長率となり、訪日外国人客数(インバウンド)は20年10月以降に回復とした。一方、「シナリオ2」では20年の遅い時期までパンデミックが継続。世界実質GDPはマイナス6%の成長率になり、インバウンドは21年4月以降に回復とした。また緊急事態宣言による消費縮小、東京五輪・パラリンピックの1年間の延期分を考慮した。 その結果、国内の実質GDP成長率は「シナリオ1」でマイナス9.7%、「シナリオ2」ではマイナス15.8%とそれぞれ試算。その試算を基に雇用への影響を推計すると、「シナリオ1」では185万5000人(19年の就業者数の2.8%)、「シナリオ2」では301万5000人(同4.5%)の雇用がそれぞれ失われるとした。 こうした前提を基にして、過去の失業率と自殺率数の関係性を基に高齢化率や離婚率などを加味した推計が「20年の自殺者数が3万351〜3万6962人になる恐れがある」との結果だ。 2020年自殺者数の予測は、前述の藤井氏による推計と大きな乖離(かいり)はない。追加の経済支援策が打ち出されているとはいえ、4月時点のデータから見るのであれば現実のものとして危機が迫っていることが分かる。 前回の記事で示したように、たしかに4月の自殺者数は統計上、大幅な減少を見せていた。ただし、藤井氏は「経済が悪くなり倒産・失業者が増える事態はこれから本格化する」と危機感を示す。 4月の失業率(季節調整値)は2.6%と、前月に比べて0.1ポイント上昇とそこまで大きな影響はまだ出ていないようにも見える。それでも就業者数は前年同月比で80万人減と、88カ月ぶりに減少。実際、藤井氏が代表を務める一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議(京都市)が5月22日までにバスやタクシー事業者から436件の回答を得た調査によると、8月中旬までに事業が困難になると回答した事業者は約半数に上った。「仕事が見つからない状況が続けば、次第に絶望感が広がる。今年の冬ごろから自殺者が急増する可能性がある」(藤井氏)と語る。 予測通りのシナリオなら、 今年だけで19日時点の新型コロナによる直接の死者数に比べ自殺による死者数への懸念は10倍以上となり、19年に比べて大幅に増加することになってしまう。
|