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コロナ第2波で不景気が続いても、9月までは株価が上がる3つの理由
https://diamond.jp/articles/-/241195
2020.6.24 5:25 奥村 尚:トリオアセットマネジメント株式会社代表取締役 ダイヤモンド・オンライン
実体経済は低迷しても、株高はしばらく続きそう…(写真はイメージです) Photo:PIXTA
新型コロナウイルスで大打撃を受けた株式市場だが、最近の株価は見事にV字回復している。当面、壊滅的な打撃を受けた実体経済の低迷は続き、今後は感染拡大の「第2波」の懸念もある。それでも株価は上がると予想される。その理由を解説する。(トリオアセットマネジメント株式会社代表取締役 奥村 尚)
株価が大きく下がり
上げてきた経緯
2020年2月、株価はガツンと大きく下げた。下がったのには理由がある。いうまでもなく、新型コロナウイルスだ。
そして、上がった。上がったのにも理由がある。これは、後述する。
まずは、大きく下げて、そして上げてきた経緯を、株価の推移を見ながらおさらいしておきたい。
2019年末、日経平均は1988年から1990年までの3年間の昭和バブル期を除くと、年次終値ベースでは最も高い位置、2万3656円で終わった。これは、ほんの半年前のことだ。
1987年から2019年までの推移を単純化して日経平均年終値だけでチャートにしたので見ていただきたい。
日本経済は、2018年、戦後最高の利益を上げて絶好調だった。2019年も成長に陰りはあったが、0.7%成長(IMF2020.4月世界経済見通し)と、一応プラス成長を達成し、そのまま2020年に入っても好調を維持していた。その流れは、株価にも表れていた。
新型コロナウイルスでやられたが
株価は見事なV字回復
2020年2月初旬までは高値を維持しており、今年こそ1990年以降、失われた30年を、株価として取り戻すことができる「はず」だった。
そう、新型コロナウイルスさえ来なければ…。
新型コロナウイルスでやられた相場の株価推移、この半年の動きを見てみよう。
株価は見事なV字回復である。
2月の暴落時、いかに割安な株価水準まで下がったか「割安さを見る指標」で見てみよう。
その指標は、簡単に説明すると企業の解散価値に対して、企業の価値が何倍になっているかを示すものだ。
PBRベースで
「戦後の最安値圏」に
解散価値として1株当たりの純資産をとり、今の企業価値として株価をとる。株価純資産倍率(PBR)という。
PBR=1株当たりの純資産/株価
である。
この値が1を割ると会社の価値は解散価値を下回り、解散した方が良いことになる。
「なんだ、株価と同じ形じゃないか」と思われるかもしれない。確かに、その通りだ。でも、重要なのは、「形」ではなく「数字」なのである。
どんな企業でも、たとえ利益を出していない企業でも、株価がPBR=1倍を割ると割安である。
0.9を割ると、特に割安である。リーマンショックで記録的な最安値になった時に0.86まで下がった。日経平均が0.8倍を割ったことは過去にない。
今回は、3月16日に0.82倍を割り込む水準にまで下げたのだが、これはPBRベースで「戦後の最安値圏」であった。
その後、日経平均はさらに2日間下落し1万7000円を割り込んだが、この2日間が下げのクライマックスであった(手前味噌だが、私のblogを読んでくれた人は、この買い時を逃さなかったと思う)。
相場の中では、勢いもつくので1倍を割ることはあるが、日本を代表する超一流225社を一つの会社とみなす日経平均である。それが解散した方が良いほど割安な水準まで下がりきった、のだ。
なお、6月19日時点で、PBR=1倍のとき日経平均は2万0623円である。
株価は
「2つの要素」で決まる
3月に下がりきった後、株価は急回復する。今度はどのくらい割高になったかを見て行こう。
株価は「2つの要素」に分けることができる。「利益」と「気運」だ。その2つを掛け合わせると株価になる。
株価=利益×気運
利益が大きいほど株は上がる。気運が大きいほど株は上がる。気運は、「市場心理」、あるいは「センチメント」などともいうが、利益が少なくても気運だけで上がることがあるし、利益が多くても気運がなければ買う人がいなくなるので株価は下がる。
実務では、
利益は、今年度の予想一株当たり利益(EPS)が用いられる。円が単位。
気運は、株価収益率(PER)が用いられる。株価をEPSで割る。倍数が単位。
コロナ前後の相場をこの2つの要素に分解してチャートにしてみよう。
5月はEPSが極端に下がったが、これはコロナで2020年度の予想利益がわからず、ひとまずゼロとしたからであって、5月の大きな山谷は無視してみてほしい。
まず、暴落後、PERの水準が上がったのがわかる。平均値をとると、暴落前はPER=14.4(倍)、暴落後は、PER=19.9倍。その差は実に5.4倍。
株価が上昇したのは気運(PER)が上がったためであり、皆が買うからPERが5.4倍分割高になったのだ(6月19日の時点でPER=14.4倍の日経平均は1万7669円である)。
利益(EPS)も1650円弱から1230円弱まで、25%下がったこともわかるだろう。
利益が大きく下がったのに
株価が上がる理由
なぜ、利益が大きく下がったのに、株価は上がったのか。
要するに、「買いたい気持ち」になっているわけだが、その理由はずばり、カネ余りだ。
不景気の株高、金融相場、などともいう。
カネは、国内では、いままでも日銀がばらまいていた。
ばらまくといっても、日銀が市場を通して株を買ったり、国債を買ったり、マイナス金利を誘導したりして、間接的にお金を市場に供給しただけである。
今回は、政府が本当にばらまいた。しかも、日本だけではない。西側主要国、世界同時にだ。例えば、このような具合だ。
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◎欧州
民間企業への融資の際、欧州中央銀行(ECB)が銀行にその資金を供給し、かつ金額の1%をECBが銀行にプレゼントしてくれる(TLTRO)。
そのほか、国によっても異なるが、例えば財力に余裕があるドイツだと自営業者に100万〜180万円給付、余裕のないイタリアでも7万円程度の給付がされている。
◎米国
ジャンクボンドになった社債もFRBが直接買ってくれる。
30兆円ものキャッシュを準備し全国民に給付。
◎豪州
中小企業向け給付金 約120万円。
新規住宅、もしくは住宅リフォームの補助金として150万円から300万円。
◎シンガポール
7万5000円くらいを、9カ月間支給(合計67万円)。
◎日本
法人給付200万円、個人給付10万円、学生給付、旅行給付。
日銀は年12兆円の予算で日本株(ETF)を買う、など
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以上のように、どの国も、ものすごい大金をばらまいている。
ばらまきの材料が
どんどん出てきている
株は、暴落こそしたが、あっという間に元に戻ったのは、こうした政府のばらまき努力があったためだ。
私の投資塾の生徒へのヒアリングでは、給付金の3割程度はFXや株式投資に向けられたようだ。
とにかく、ばらまきの材料が次々にどんどん出てきているので、株価は下がらない。下がる暇はないのだ。
企業利益はなくても良い。なにしろ、皆、「買いたい」という気運が大きいのだから…。少なくとも今は。
でも、いつかは気運が下がる。今の気運はいつまで続くだろうか。
「気運」は9月までは持つ
うまくいけば11月まで続くと考える3つの理由
私は夏まで持ちこたえるとみている。たぶん、9月までは持つのではないか。うまくいけば11月まで続く。
その理由は3つある。
1.(日本の)2019年度企業業績が出そろうのは9月末だから
本来は5月中旬に出そろうはずなのだが、今年は新型コロナの理由で特例措置が出て9月まで猶予された。6月19日の段階で、今年度の企業予想(今年度来年度の会社計画)は、日経平均採用銘柄だけ見ても半分も出そろっていない。
今後9月までにかけて、徐々に決算発表や今年度来年度の会社利益計画が発表されるが、この6月より水準が下がる可能性がある。もうかっていないことがどんどん明らかになってくると、さすがに株を買えなくなるだろう。
2.米国の大統領選挙があるから
選挙結果はどうあれ、過程の中で米国の不安要因が増幅され米国株式市場の気運をそぐ可能性がある。それは、むろん日本に伝搬する。
現在米国はコロナ感染者、死亡者ともに世界最多である。共和党が州知事をするテキサス、フロリダ州は経済再開を早まりコロナ感染者は6月に入り激増した。
トランプ大統領の支持率はそれほど低くはないが、選挙の年としてはいまいちだ(調査主体によるが40〜44%)。人種差別問題も米国から世界に広がった。歴代共和党の大物OBも、今回は共和党を支持しない、民主党を応援する、という動きが後を絶たない。どちらが勝つにせよ、議会の多数派を新大統領と同じ党が占めることは難しいなど不安要素はいくらでもある。
トランプ大統領は既に74歳。4年後は78歳となる。バイデン候補はさらに3歳年上だから健康上の心配だって起こる。米国男性の平均寿命は78.7歳なのだ。
通常、大統領選挙の年は株が上がるのだが、それは経済が良くなる期待があるからだ。しかし、今年は違う雰囲気がある。
3.新型コロナウイルスが再びやってくるから
新型コロナの復活。第2波の猛威は、日本に限らずありうる。
暗い話だが、2003年に猛威を振るったSARSのコロナウイルスについては、17年もたっているのに予防するワクチンは開発できていない(感染症情報センターHPによる)。
9月ごろには、ワクチンは簡単には開発できないこともわかってくるように思う。
それでも株は上がるのか?
筆者は「上がる」と思う。
「それでも地球は回る」は、ガリレオが地動説を唱え、宗教裁判で説を放棄する誓約書にサインしたときに残した言葉とされている。
今回は、こういいたい。不景気は続く。
「それでも株は上がる」
少なくとも、もうしばらくは…。
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