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トヨタ衝撃「8割減益」 危機再び 予想あえて公表
https://digital.asahi.com/articles/ASN5F63BCN5FOIPE026.html
2020年5月14日 7時30分 朝日新聞
トヨタの業績に急ブレーキがかかった
トヨタ自動車が再び試練に直面している。世界的な需要低迷で、今年度(2021年3月期)の営業利益が前年より8割減の5千億円になりそうだと公表。グループの世界販売台数も1千万台の大台を8年ぶりに割る見込みで急ブレーキがかかり、豊田章男社長は「リーマン・ショック以上のインパクト」と危機感をにじませる。主要企業の多くが、収束が見通せないとして業績予想の公表を見送るなか、あえて公表に踏み切った理由とは。
トヨタが12日発表した21年3月期決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前年比79.5%減の5千億円になると予想。グループの世界販売台数の見通しは前年(1045万台)より約15%減って890万台となる。営業利益が1兆円を下回れば東日本大震災直後の12年3月期(3556億円)以来、9年ぶり。売上高は前年より約20%減って24兆円を見込む。世界販売台数の減り幅はリーマン・ショック当時より大きい。豊田社長はネットで会見し、「コロナ・ショックは(赤字に転落した)リーマン・ショックよりもインパクトははるかに大きい」と危機感を示した。
同時に発表した今年3月末までの決算(20年3月期、米国会計基準)は、売上高が29兆9299億円(従来予想29兆5千億円)、営業利益は2兆4428億円(同2兆5千億円)でほぼ前年並みと堅調だった。グループの世界販売台数で首位(20年3月期)となったものの、年明けに新型コロナで様相は一変したことがわかる。
オンラインで2020年3月期決算について説明するトヨタ自動車の豊田章男社長
赤字は回避
衝撃ともいえる「営業益8割減予想」により、売上高が日本企業として初めて30兆円を超えるなど過去最高を更新してきたここ数年の好業績が急落する。しかし、豊田社長は「これまで企業体質を強化してきた成果といえる」と、黒字確保の予想であることをむしろ強調した。
08年9月に起きたリーマン・ショック時は1年間で、グループの販売台数は11.7%減少。09年3月期決算は営業損益が4610億円の赤字に転落した。当時、「拡大路線」の戦略をとっていたトヨタは生産設備を拡張し、固定費が大きく膨らんでいた。そこにリーマン・ショックの全世界的な需要急減が直撃した。
一方、今回の業績予想では、今年4月以降1年間のグループの販売台数の減少幅は、リーマン当時より大きい14.9%減。全世界的な需要急減という同様の危機でも黒字を確保できるのは、トヨタがリーマン後に拡大路線から決別し、お家芸である「原価改善」を進めて利益を上げやすい体質に変えてきたこともある。
トヨタ自動車の米インディアナ工場(同社提供)。トヨタは11日に北米の工場を約50日ぶりに再開した
中国では通常の生産に戻り、欧米でも段階的に生産を再開させているが、販売面への影響は長期化が避けられない。「先々を見通すことは非常に難しい」(近健太・執行役員)なかで、21年3月期の業績予想をあえて公表したのは、トヨタを支える膨大な部品メーカーに対して先行き見通しを示す意味合いもあった。トヨタに先立って決算を公表したデンソーやアイシン精機などの大手部品メーカーでは業績悪化が相次いでいる。
「国内300万台生産」守る
豊田社長は「(業績予想という)『基準』があることで、裾野の広い自動車産業の各社が、何かしらの計画、準備ができる」と説明。国内のものづくりの基盤を守るめどとしてきた「年間300万台生産」の維持も改めて強調した。
トヨタ自動車の国内生産台数
業績が悪化する見通しの中、「研究開発費」は前年並みの1兆1千億円を維持する。自動車業界は「100年に1度」といわれる変革期にあり、トヨタは毎年、新たな移動サービスや自動運転などの新技術開発に巨費を投じている。ライバルに後れをとれば、将来の競争力の低下を招く。
今年1月には、人とサービスやモノがつながる街「スマート・シティー」を静岡県裾野市の工場跡地につくる構想も発表。来年着工予定で「相当大規模で集中的な投資が必要」(トヨタ関係者)とされるが、近健太・執行役員は、計画は変更しないことを明らかにした。財務を担当してきた小林耕士・執行役員は、現預金など手持ちの資金が「リーマンの時は約3兆円しかなかったが、今は約8兆円まで増えた」と説明。豊田社長は「未来の種まきは、アクセルを踏み続けたい」と話した。
大赤字に陥ったリーマン・ショック後の09年に就任した豊田社長は、東日本大震災といった危機も経験し、強みの原価低減など企業体質を強化してきた成果を強調した。リーマン後に研究開発費を絞り込み技術競争に立ち遅れた反省から、逆風のなかでも自動運転や電動化など未来への先行投資は緩めないともいう。
コロナ危機と「大変革期」のなか、どう成長軌道に戻ることができるのか。トヨタの力が試されている。(千葉卓郎、近藤郷平、石塚大樹)
証都市「ウーブン・シティ」のイメージ=トヨタ自動車提供
トヨタの決算説明会のポイント
・20年3月期は売上高、営業利益とも前年比1%減。新型コロナの影響は限定的
・21年3月期はグループの販売台数が前年比14.9%減の890万台、営業利益は79.5%減の5千億円を予想。純損益は未定
・世界の販売台数は4〜6月は前年同期比6割、7〜9月は8割、10〜12月は9割まで回復。21年初めに前年並みになると予想
・21年3月期の研究開発費は1兆1千億円、設備投資額は1兆3500億円とそれぞれほぼ前年並みの規模を維持。「スマート・シティー」の投資は継続
・国内の「年間300万台生産」は守る
◇
ウェブ会見、社長「未来の種まきはアクセル」
トヨタ自動車の豊田章男社長や小林耕士執行役員、財務担当の近(こん)健太執行役員らが12日、ネットで会見した。豊田社長は「コロナ危機はリーマン・ショック以上」と述べた。国内のものづくりの基盤を守るめどとする「年間300万台生産」についても触れ、「グローバルトヨタの基盤である」と引き続き重視していく考えを示した。主なやりとりは次の通り(順不同)。
――コロナが業績や働き方に与える影響は。
豊田「コロナ・ショックはリーマンよりインパクトがはるかに大きい。販売台数の落ち込みが大きいが、黒字を確保でき、収束後の経済復興の牽引(けんいん)役として準備は整ったのではないか」
「私自身、県外への移動を避けるため、愛知県の研修所で仕事をしている。移動時間80%減、会議時間30%減、会議資料50%減。時間を未来への投資、未来の新しいトヨタの仕事へと変更していくことができる。ただ守り続けるのはリアルの世界。我々には現場があり、IT化、テレワークが進んでも、リアルで人間がやる仕事であり、さらに改善できるトヨタパーソンを育てていく」
――業績予想の根拠は。
近「自動車産業は裾野が広く、何らかの基準を示すことが必要と考えて公表した。販売が徐々に回復し、年末から年明けにかけて前年並みに戻ることが前提だ。モビリティー社会に向けた投資、やり続けることが反映されている」
――研究開発費は前年並みを維持している。
豊田「未来の種まきはアクセルを踏み続ける」
小林「持続的成長に止めてはいけないのが、未来への開発費であり投資だ。スマートシティーへの投資などは変えるつもりはない」
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