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新型肺炎に市場動揺 SARSと異なる深刻さとは 編集委員 志田富雄
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54893810X20C20A1QM8000/
2020/1/28 5:00 日経新聞
人の移動が頻繁になっており、SARS以上の経済への影響が懸念される(タイ・バンコク)=ロイター
先週から原油などの国際商品相場が急落した。米原油先物は27日時点の時間外取引で期近取引が一時1バレル52ドル台まで下げ、昨年10月以来の安値をつけた。1月上旬に中東情勢が緊迫した際の高値に比べた下落率は2割に達した。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の猛威を目の当たりにし、市場は2003年に直撃した「重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)ショック」の再来におびえている。
国際商品市場では中国経済の変化に敏感で「ドクター・カッパー」の異名を持つ銅価格も下落し、指標になるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は1トン6000ドルを下回った。アルミ、ニッケルなど他の非鉄金属も全面安となっている。
主要商品の中でも原油の下げがきついのは、「新型肺炎の流行で人の移動が停滞し、輸送燃料の消費が落ち込む」との連想が働くからだ。もともと原油の国際需給は米国の原油生産の増加と世界的な需要減速で今年前半に供給過剰になると見込まれており、改めて先安観が認識された側面もある。
市場関係者の脳裏には03年に中国でSARSが流行した時の急落場面もよみがえる。
石油製品や非鉄金属など14品目で構成する日経国際商品指数(1980年平均=100)は当時、世界保健機関(WHO)が3月に世界的な警告(グローバル・アラート)を発する前の73前後の水準から、4月には61近辺まで下落した。米英両国が大量破壊兵器の査察を拒むイラクを攻撃した時期と重なるため、その影響も考えなければならないが、「SARSショック」という言葉が生まれるほどのインパクトがあった。
それでも当時の相場急落は一時的なものにとどまり、日経国際商品指数も年後半には急角度で持ち直した。新型肺炎はいまのところ、致死率もSARSに比べて低く、経済への影響も限られるとの見方はある。市場の不安心理をあおるようなことは慎まなければいけないが、それでも楽観視は禁物と言わざるを得ない。
03年と現在の状況の違いを冷静に見る必要もある。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「SARS流行のピーク時には、中国の小売売上高の増加率は前年比で半分ほどに落ち込んだ。当時と比べ個人消費への依存度がかなり高くなっている点を踏まえると、中国経済への悪影響は大きくなる」と指摘する。
中国ではSARS発生の際、感染を防ごうと道路にも検問所が設けられた
木内氏によると、中国からの訪日観光客数も02年から昨年までに21倍強に拡大しており、インバウンド需要が縮小すれば日本経済への影響も03年時より格段に大きくなる可能性があるという。
中国経済の勢いも当時と現在では対照的だ。03年は中国が2桁の高成長に突入し、資源の爆食を始めた時期だ。オーストラリアの鉱山には鉄鉱石などを買いあさる中国企業が殺到、中国の石油消費も急速に増加した。SARSショックで一時25ドル近辺まで下げた米原油先物もすぐに30ドル台を回復し、翌04年には40ドル台、50ドル台と高値を更新していった。商品相場が長期にわたって上昇する「スーパーサイクル」の序盤だ。
米中が報復関税の緩和に動いたことで先行き悲観論は後退したとはいえ、実体経済が上向く確証は商品市場で見いだしにくい。先週からの原油相場の急落ぶりは、中国の成長力が弱まり、同じようなショックに見舞われた場合に当時よりも経済や市場への影響が大きくなることを示唆している。
商品で唯一、金相場だけが堅調なのも不気味だ。住友商事グローバルリサーチの本間隆行チーフエコノミストは「ヒト・モノの動きが鈍くなって経済面での打撃が大きくなり、金融緩和が長期化することを想定し、金に物色の矛先が向かいやすい」と考える。
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