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(回答先: バイデン政権の目的はグレートリセットにある。グレートリセットは米国の弱体化を図り、中国に覇権を譲渡して完成する 投稿者 中川隆 日時 2021 年 1 月 25 日 18:56:11)
イギリスを二流の地方国家にしたサッチャーの政策
サッチャーのやろうとしたことは、まさしく産業主義を現代に取り戻し、意識改革を起こそうというもので、ダニエル・ベルが「現代風のブルジョア革命」といみじくも名づけたものである。そしてサッチャーの「現代風のブルジョア革命」の内容は以下のようなものだった。
@国営企業の民営化、非効率企業への国家援助を取り外し、国際競争に耐え得ない企業
は倒産させる。
A最高所得税を 83%から 40%に減税し、豊かな層の企業活動を一層活発化させる。
B慣行の上にあぐらをかいて働かない労働組合に対して、労働法を改正して労働組合活動を制限するとともに、国営企業をはじめとして企業から多くの失業者を作り出し、
失業の恐怖の下、働くことを強制する。
C労働者に公営住宅を払い下げ、所有意識を持たせるとともに、国営企業を民営化する際、株式を払い下げ、900 万に及ぶ株主を作り出し、企業の業績に関心を持たせる。
サッチャー政策は自由市場政策をとり、国際競争に生き残れる企業が生き残ればいいという政策をとった。この結果、伝統的な産業部門は長期間にわたって多くの部分が衰退することになった。この政策で恩恵を受けたのはシティを中心とする金融、商業会社に加えて既に多国籍企業に支配されている部門であった。
しかし、こうした蓄積戦略は、一国経済の発展は製造業が担っており、サービス産業
が取って代わることはできないので、イギリスの相対的衰退に歯止めをかけることはできなかった。後に 90 年代に入り、シティを中心とした金融業務は活発化し、イギリスを蘇らせることにはある程度成功した。しかし、製造業については、外国資本を導入して補うという政策であった。
サッチャー政策が効果を上げたもっとも大きな政策が労働組合の弱体化であった。労組が弱体化したからこそ、安心して外国資本がイギリスへ大挙入ってきた
のであり、この外国資本がイギリスを支えたのである。
サッチャー政策においては、効果的な経済活性化政策はなかった。イギリスの国際経済
への完全な統合を促進し、その中で競争に生き残れる産業だけが生き残っていけばいいという産業戦略であった。
こうした中で製造業生産はその前のピークである 1973 年水準をようやく 1988 年に超えたに過ぎないという程度にまで縮小したのである。先進国で 16 年前の製造業生産量と変わらないという国はほかにはない。
1972→1991 の国内シェア
イギリスの工作機メーカー 70%→40%
靴 69%→30%
衣服 79%→56%
洗濯機 82%→49%
多国籍企業の進出
製造業生産 25%
資本支出 30%
輸出 40%
乗用車・テレビ
バイク・半導体 100%
サッチャー政権以来の民活・民営化路線の裏側でイギリスの製造業の空洞化が進んだ。
上の表のとおり、1971 年から 91 年の 20 年間でイギリス工作機メーカーの国内シェアは
70%から 40%に転落した。同様に靴が 69%から 30%に、衣服が 79%から 56%に、洗濯機が 82%から 49%に落ちた。イギリスでは製造業を衰退させることによって、やはり将来の発展基盤を失っている。
一方で、イギリスをヨーロッパ市場向けの組み立て基地として利用する、日本をはじめ
とした他の先進国の多国籍企業の進出が続いた。結果、外国企業はイギリスの製造業生産の 25%、資本支出の 30%、輸出の 40%を占めている。そして乗用車生産、カラーテレビ、オートバイ、半導体は 100%外国資本の所有であり、化学産業も 3 分の1が外国人所有である。
自動車部品やコンピューターのICL社にみられるように、最も重要な部門が外国資本の
支配に服していっているが、そうした分野では研究開発はイギリスでは行われない。総体として今後イギリスは製造業リードを外国資本に任せることになり、ヨーロッパの辺境経済化するであろう。
- サッチャーはマルクスが預言した階級社会を作ってしまった 中川隆 2021/1/31 20:02:38
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- グローバリズムは19世紀の帝国主義の21世紀版で共産主義とは対極にある考え方 中川隆 2021/2/11 10:46:22
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