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大西つねきの経済理論はMMTを知らなくてもおかしいし、MMTを知ってからだとなお、おかしいこと気にづきます。
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/368.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 9 月 16 日 15:22:09: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 誤解している人が多いけど、大西さんは緊縮財政派だよ 投稿者 中川隆 日時 2020 年 9 月 16 日 10:29:00)

大西つねきの経済理論はMMTを知らなくてもおかしいし、MMTを知ってからだとなお、おかしいこと気にづきます。
大西つねきはまず、信用創造の説明、として「又貸しモデル」という嘘の説明をします。
それは2014年も2019年れいわ新選組出馬後も同様です。

大西恒樹の「日本から世界を変える動画vol_002/お金の発行のしくみ」
https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

6:37から「又貸しモデルを信用創造と嘘をついているシーン」

途中で「日銀ではなく民間銀行です」と言っておきながら日銀が関わらないとできない準備預金制度の説明も挟んできます。

いや、昔そう言ってただけで今は違うんじゃ?と思われる方もいるかもしれません。
でも、昨年、れいわ新選組に合流すると決意した後に「ベーシックインカム・実現を探る会の白崎一裕」さんと一緒にこんな対談をしています。
https://youtube.com/watch?v=zCROccYD64A

しかも、この動画の主題はMMTに関する説明です。

つまり、この思想のままれいわ新選組に入った、ということはMMTの貨幣発行の方法を金融的な「又貸しモデルにすり替えようとした」のです。

因みに、先ほど示した
https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

10:34からは「こんな借金を増やし続けるシステムが持続可能なわけがない、いずれ破綻する!」を連呼し続けています。

https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

11:31「皆さんは気づいたでしょうか?信用創造で発行されたお金の仕組みに?それはすべてのお金が誰かの借金だということです。」

特にこれは明確に違います。というか明らかに捏造です。
貨幣は「借金をしても破綻しない政府の借金であり、国民の借金ではありません」。

https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

12:05からは、返済されるお金の「金利分も新たに借金という負担が国民に増える」、という嘘をついています。しかも面白いことに「借金を返済することがまるで良い事のような誘導」が言葉巧みに行われています。

現実は日本政府は金利分も国債発行をすることでこれまで賄ってきていました。そしてそれは破綻するはずがないのです。なぜなら、元々貨幣にプールはなく、空になった貨幣のプールという存在しないものを満たす必要がないのですから!
つまりこの人は2014年時点から「返済する必要がない政府の負債」を「国民の借金のように偽って、さらに金利まで上乗せされる地獄の貨幣のプールへのバケツリレー返済」をイメージさせることに終始し、そのイメージの源泉が「現在の通貨発行システムのせいである」という嘘を流布して、れいわ新選組で政治活動をしていた、ということになります。

今回問題になった「大西つねき」さんの「高齢者負担のリソース不足に伴う命の選別をよしとする意見」は、つまり以上のような「MMTによるリソース創出」を完全に無視し、「返さなくていい政府の負債」を

「借金は貨幣のプールに『国民が返さねばならない』」という嘘で塗り固めたが故に出た発言です。

この理論は山本太郎の積極財政理論、MMTともっと明確に意見を異にします。
最終的にこの動画の別の回では、大西つねきさんは「だから、負債によらない貨幣=国債廃止貨幣=「公共貨幣(政府紙幣)に切り替えましょう」といっているのです。

というわけで、以上のことから元々大西つねきさんは「積極財政派」ではなく、「緊縮派」であり、彼の言う積極財政は「国債のない貨幣である公共貨幣」の緊縮にならざるを得ない貨幣の積極財政である、ということです。    

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コメント
1. 中川隆[-10904] koaQ7Jey 2020年10月12日 12:34:59 : RpwMiNUFXo : Nzk2SWtSOXdJekE=[15] 報告
大西つねきの経済理論はMMTを知らなくてもおかしいし、MMTを知ってからだとなお、おかしいこと気にづきます。
大西つねきはまず、信用創造の説明、として「又貸しモデル」という嘘の説明をします。
それは2014年も2019年れいわ新選組出馬後も同様です。

大西恒樹の「日本から世界を変える動画vol_002/お金の発行のしくみ」
https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

6:37から「又貸しモデルを信用創造と嘘をついているシーン」

途中で「日銀ではなく民間銀行です」と言っておきながら日銀が関わらないとできない準備預金制度の説明も挟んできます。

いや、昔そう言ってただけで今は違うんじゃ?と思われる方もいるかもしれません。
でも、昨年、れいわ新選組に合流すると決意した後に「ベーシックインカム・実現を探る会の白崎一裕」さんと一緒にこんな対談をしています。
https://youtube.com/watch?v=zCROccYD64A

しかも、この動画の主題はMMTに関する説明です。

つまり、この思想のままれいわ新選組に入った、ということはMMTの貨幣発行の方法を金融的な「又貸しモデルにすり替えようとした」のです。

因みに、先ほど示した
https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

10:34からは「こんな借金を増やし続けるシステムが持続可能なわけがない、いずれ破綻する!」を連呼し続けています。

https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

11:31「皆さんは気づいたでしょうか?信用創造で発行されたお金の仕組みに?それはすべてのお金が誰かの借金だということです。」

特にこれは明確に違います。というか明らかに捏造です。
貨幣は「借金をしても破綻しない政府の借金であり、国民の借金ではありません」。

https://youtube.com/watch?v=IRSJ6G6ma6g&list=PLFU_7EoHUSO0J8JlpNA1qFrF1dw9drfcL&index=2

12:05からは、返済されるお金の「金利分も新たに借金という負担が国民に増える」、という嘘をついています。しかも面白いことに「借金を返済することがまるで良い事のような誘導」が言葉巧みに行われています。

現実は日本政府は金利分も国債発行をすることでこれまで賄ってきていました。そしてそれは破綻するはずがないのです。なぜなら、元々貨幣にプールはなく、空になった貨幣のプールという存在しないものを満たす必要がないのですから!
つまりこの人は2014年時点から「返済する必要がない政府の負債」を「国民の借金のように偽って、さらに金利まで上乗せされる地獄の貨幣のプールへのバケツリレー返済」をイメージさせることに終始し、そのイメージの源泉が「現在の通貨発行システムのせいである」という嘘を流布して、れいわ新選組で政治活動をしていた、ということになります。

今回問題になった「大西つねき」さんの「高齢者負担のリソース不足に伴う命の選別をよしとする意見」は、つまり以上のような「MMTによるリソース創出」を完全に無視し、「返さなくていい政府の負債」を
「借金は貨幣のプールに『国民が返さねばならない』」という嘘で塗り固めたが故に出た発言です。
この理論は山本太郎の積極財政理論、MMTともっと明確に意見を異にします。
最終的にこの動画の別の回では、大西つねきさんは「だから、負債によらない貨幣=国債廃止貨幣=「公共貨幣(政府紙幣)に切り替えましょう」といっているのです。

というわけで、以上のことから元々大西つねきさんは「積極財政派」ではなく、「緊縮派」であり、彼の言う積極財政は「金利のない貨幣である公共貨幣」の緊縮にならざるを得ない貨幣の積極財政である、ということです。

2. 中川隆[-7487] koaQ7Jey 2021年2月10日 10:58:15 : TlFczT83Iw : bUdxY2h5ZlBYM0E=[4] 報告
マネーストックがいくら増えても物価が上がるだけで、絶対に経済破綻なんかしません。大西さんが準拠しているエンデの経済論や地域通貨の話は古典派経済学の貨幣の中立説そのものです。 しかし、大西さんはマネーストックが増えると貨幣が紙屑に近づいていくというのがわかっていないのです:


貨幣数量説 _ 貨幣の総量とその流通速度が物価の水準を決定している
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC


貨幣数量説(かへいすうりょうせつ、英: quantity theory of money)とは、社会に流通している貨幣の総量とその流通速度が物価の水準を決定しているという経済学の仮説。物価の安定には貨幣流通量の監視・管理が重要であるとし、中央政府・通貨当局による通貨管理政策の重要な理論背景となっている。

歴史

貨幣数量説の萌芽として、14世紀エジプトの歴史家マクリーズィーの議論がある。当時のエジプトでは金と銀の不足により銅貨がインフレーションを起こし、経済危機が発生していた。マクリーズィーは銅貨の流通と物価に注目し、金銀を取引の中心にすえて貨幣政策を行うよう主張した[1]。

ヨーロッパにおける貨幣数量説の議論は、文献の上ではサラマンカ学派、ジャン・ボダン、ジョン・ローの真手形ドクトリン、リチャード・カンティロンのエッセイに端緒を発する。スペインでは新大陸からの金塊の略奪と流入は経済の活性化につながっていると報告され、またイギリスでは戦争や海戦の発生により、なんとはなく経済が刺激されていると観想がなされていた一方で、古典派の啓蒙思想においては貨幣の中立性が強調された。国富の増強は生産能力の増強や市場の整備などによるべきであり、貴金属の他国からの掠奪や金鉱の開発など貨幣そのものの増大を目的としても意味がないとされた。

地金論争

貨幣に対する経験と洞察が進み、単に貴金属の備蓄量ではない通貨の性質が明らかになるにつれ、古典的な貨幣中立説は批判を受ける。1800年代前半のイギリスにおける地金論争がこれである。当時、金塊は持ち運びや決済の便利のため、両替商に預託してその引換証(銀行券)を取引の代価にすることが一般化していた。また、その引換証を銀行に一定期間預託して別の借り手に貸し付けることで利息を受け取る仲介契約も一般化していた。このため両替商がカルテルを組み、特定の銀行の引換証を意図的に収集し、突然その全量の引換を要求して破綻させる行為が横行した。1765年までスコットランド法は緊急の場合の金塊への引換を制限していた。またフランス革命直後の1797年には英国政府は英仏戦争の激化を背景にイングランド銀行の一時的な兌換停止措置を取る。

この措置の解除をめぐって論争が起きた。解除賛成派は、兌換停止の継続は引換証を担保とした銀行券の乱造を産み際限のないインフレーションを生むとした(ヘンリー・ドーソン、ジョン・ホイットリー、デヴィッド・リカード)。一方反対派は、引換証は決済の時点で銀行で清算されて商取引で必要とされる規模以上には増加しないため、兌換停止を解除する必要はないとした(リチャード・トレンス、ボサンケ、ジェームズ・ミル)。1821年に兌換性は回復されたが、ナポレオン戦争終了後の1815年から30年にかけてイギリスでは一貫してデフレーションが進み、金塊と銀行券との兌換性は物価安定への影響に対して重大な疑問を投げかけた。

ピール銀行条例

1844年のピール銀行条例は、イングランド銀行以外の銀行券の発行を禁じ、なおかつイングランド銀行に発行紙幣量と同等の金塊の保有を義務付けた。これは完全な兌換性の要求として重金主義の再燃であり、英国内で流通する銀行券はイングランド銀行が貯蔵する金塊の量に一致することを要求した。これを支持したのが通貨学派で、彼らはイングランド銀行の発券業務と銀行業務を分離し、発券量は金塊の貯蔵量に厳格に一致させるべきと主張した。同法に反対したのが銀行学派で、銀行券の兌換性を確保すれば需給の調整により銀行券の総量は調整されてインフレは発生しないため、銀行券の発行は厳格に金塊の貯蔵量に制約を受ける必要はないとした。結果的に1844年の銀行条例は三度にわたり停止され、銀行学派の権威が強化された。

物価の乱高下

イギリスでは1818年に100だった物価が1891年には45と継続的なデフレになやまされ、ドイツ・アメリカなども同様の傾向が見られた。この間、1848年カリフォルニア、1851年オーストラリアのビクトリア州、1886年南アフリカなど各地で金鉱が発見され、金塊ベースの開削供給は順調であったとみられるのにデフレは進行した。古典的な中立説によれば、経済システムの中の金塊量が増えればインフレになるが、貨幣中立説では説明できない現象が起こっていた。これは産業革命が成熟期に達し、欧米各国で商品供給力が急激に増大したことや、金銀複本位の交換レートが変動し、金が退蔵される傾向(グレシャムの法則)にあったことなどが要因であるが、革命や戦争、経済恐慌(英1836、英1847、英1857、英1866、欧州1873-1896[2])と物価の乱高下に悩まされ続けた。

20世紀

第一次大戦に起因する管理通貨制度の一時的な採用や、金本位制に復帰後の不胎化政策の採用などにより、ベースマネーと銀行券の発行量、物価に対する行政府や金融当局の関わり方、金融政策の指針は、より具体的で重要な課題として浮上した。

この頃アーヴィング・フィッシャーの交換方程式や、アルフレッド・マーシャルあるいはその批判的継承者であるジョン・メイナード・ケインズのケンブリッジ方程式が提案される(後述を参照)。フィッシャーは著書『貨幣の購買力(1911)』で交換方程式を提唱するが、その書評でケインズやW・C・ミッチェルが批判したのをはじめ、後にドン・パティンキンらの批判を受ける。

鬼頭仁三郎は、古典的な貨幣数量説を批判し、実際の経済では貨幣が重要な働きをしており、この貨幣的要因が経済を規制していると考えた[3]。

現在

現在では、貨幣の流通量やベースマネーの監視・監理は中央銀行の中心的な業務目的とされ、物価安定のための必要条件とみなされている。為替や実体経済の側面、すなわち労働分配率(賃金)、税、利子率、人口動態や設備投資、あるいは技術発展などといった可視・不可視な要素までを考量することが物価安定の目標を達成するために必要であるとされている。

貨幣の中立説

貨幣量の増減は物価にだけ影響を与え、生産活動や雇用の増減などには影響を与えないとする説。古典派経済学の中心的な命題のひとつであり、中立説によれば、貨幣は社会的な分業や効率性をもたらす以上の役割はない。経済活動の本質は物々交換であり貨幣はその仲介を行っているにすぎず、貨幣量の増減は貨幣錯覚による混乱をもたらすが国富・国民経済の観点では中立的であり、国富の増大には貨幣量の拡大ではなく生産・供給能力の増強によるべきとした。

数量説は貨幣の中立性を前提にしており、物価の乱高下は流通貨幣量の管理によって押さえ込むことができるとする。管理通貨制度が定着する以前は、社会に存在する貨幣の総量は誰にも計測できず、金塊が採掘されるなり、難破などの事故により貴金属が喪失するといった確率現象や、貯蓄のために金塊を退蔵するといった個々人の経済行動は、物価に対して深刻な影響を与える要素であった。

貨幣中立説は、歴史的には大航海時代以後にスペインなどが重金主義を採用したことによる反動ともいえる。後の絶対王政以後のフランスでは重商主義が唱えられ、貿易黒字による差額があれば、金銀は自然と自国に蓄積されるという考え方であった[4]。

フリードリヒ・ハイエクは、貨幣は相対価格を動かすことによって生産量に影響を及ぼすと考え、貨幣中立説を否定している[5][6]。

長期的には貨幣の中立性は成立し、金融政策は実体経済に影響を与えず、ただ名目変数を動かすだけであるという点では、新古典派経済学、マネタリスト、ニュー・ケインジアンの見解は一致している[7]。ただし、短期的には実体経済に影響を及ぼすかどうか、急激な経済の変動に対して金融政策は有効かどうかという点では、新古典派とケインジアンは対立している[7]。

フィッシャーの交換方程式

詳細は「フィッシャーの交換方程式」を参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

現実の統計値から貨幣量と物価の相関関係を分析するためのツールとして、アーヴィング・フィッシャーの交換方程式がある。これは貨幣量と物価の関係を、貨幣の流通速度あるいは取引水準といった概念を導入することで記述するもので、貨幣数量説の代表的なアイデアである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC#%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ここで

M はある期間中の任意の時点tにおける流通貨幣(通貨)の総量
V は貨幣の"流通速度"(特定期間内に人々のあいだで受け渡しされる回数:貨幣の回転率のようなもの)売買契約の約定回数
P はある期間中の任意の時点tにおける物価水準(通常は基準年度を1としたデフレータ)
Q は"取引量" (特定期間内に人々のあいだで行われる取引量(quantity)の合計)
である。

交換方程式は逐一個別の取引(単価p の商品をq 個だけ取引するため、貨幣m を1回支払う)をマクロ経済全体で合計(牌 = 1 → V )したものとされる。これは数学上非常に明晰な記述であるが、現実にはマクロ経済全体における流通速度V (= P Q /M )や取引量Q といった経済統計としては非常に観測・推計しにくい概念を導入しなければならない困難がある。

現金残高方程式(ケンブリッジ方程式)とマーシャルのk
アーヴィング・フィッシャーとほぼ同時代のイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルも、独自に貨幣量と経済水準の相関関係に着目していた。1871年頃には着想を得ていたとされ、1923年に文章化、完全な定式化は弟子のアーサー・セシル・ピグーによって公刊された。貨幣数量説を批判的にとらえる論拠とされるアイデアである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC#%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ここで

M はある期間中の任意の時点t における現金残高(=ストック)
k は比例定数で、マーシャルのkと呼ばれる
P はある期間中の任意の時点t における物価水準(通常は基準年度を1としたデフレータ)
Y は実質GDP
である。

P Y は名目GDPであり、ケンブリッジ方程式の要諦は「現金として保有される残高は名目GDPに比例している」というものである。人はある年間所得(P Y)の水準に比例する程度に、つねに手元に投資や貸付、消費に回してしまわない資金量を一定(M )確保していることが予測できる。その割合比率(k )は貨幣選好であるが、マクロ経済全体で合計した場合にも同様の傾向があるはずである。そこで経済全体をおしなべた結果としての貨幣選好をk とすれば前述の方程式で記述される。なお、このマーシャルのkの逆数(P Y /M )は、貨幣の所得 流通速度と呼ばれる。フィッシャーの交換方程式とは異なり、特定時点での現金残高Mや、期中での名目GDP(名目総生産=名目総所得)は直接の統計や推計により比較的容易に計測することができる。また、k やP が変化しないという仮定の下では、M を増加させることでY を増加させることができるという関係を表している。


解釈に関する議論

フィッシャーの交換方程式は明瞭で、一見するとMとPに極めて強い相関関係が予想される。しかしその根拠としてVとQが硬直的であることが前提となる。VやQが柔軟に動くものであれば、実際Mが増減してそれがPの変動をもたらしたとしても、なぜそうなるのかはフィッシャーの交換方程式では説明されていない。MV=PQは恒等式であり常に成立するが、あるMの水準に対してVやQがなぜか相応な値をとって、結果Pが相応な水準になっている、としか言えない。

新古典派経済学の考え方によると、労働供給が飽和する水準で実質GDPは均衡するので(セイの法則)、実質GDPは貨幣量や物価とは関係なく決定される。そこで貨幣量Mが一意的に物価水準Pを決めることになり、物価を安定させるには貨幣量Mの水準にのみ関心を払えばよい。フィッシャーのMが増加すればPも増加するという説明は、昔からある貨幣の中立性を数学的に洗練して叙述したものである。

ミルトン・フリードマンに代表されるマネタリストは、Q/Vの構造に長期的な安定傾向を見いだし、短期的には貨幣の中立性が満たされないことはあるが、長期的には満たされるとする。このため貨幣量が増加すると一時的に実質GDPまで拡大することはありうるが、長期的には実質GDPは完全雇用できまる水準に低下し、物価Pの上昇をもたらすだけだと考える。Q/Vは一回あたりの発注ロット数の平均値をあらわすが、フリードマンは経済の期待成長力や期待収益率の多寡によって、1回あたりの受発注量が増減することは短期的に観察できる事実であるが、長期の統計においては安定した関係にあると実証した(この功績でノーベル賞を受賞)。

交換方程式は取引経済の実態そのものの数式化であり、かならず両辺が一致する。限定された期中における交換のみに着目した恒等式には、来期以降の不確実性に対する予測やそれに対する準備という概念を一見必要としない明瞭さがある。一方でケンブリッジ方程式は貨幣選好kにもとづいて現金残高は特定の水準PYに対しても変動する。マーシャルのkは経済全体がどの程度の含み資産をもっているか、経済成長力(自然利子率)がどの程度か、投資収益率(名目利子率)がどの程度か、などといった状況にも左右されるかもしれない。


フリードマンの指摘は80年代後半から乖離を始めマネタリベースと物価の長期安定性は撹乱状態にある。これはインフレターゲットの議論を呼んだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC.jpg


フィッシャーの交換方程式と、マーシャルのケンブリッジ方程式は、本来まったく別のアプローチから通貨量と物価の関わりを記述したものである。流通速度(PQ/M)の逆数が貨幣選好であると読み換えることの根拠はない。しかしQとは相殺取引等を前提とせず、不動産や債券など金融資産の売買を考慮せず、中間生産物の売買を除去すれば国富・国民経済計算の観点からは実質的な価値(実質GDP=Y)そのものであり、また統計的にはMやPは共通した統計量であり、二つの方程式を統合した分析は信用サイクルの分析などに重要な示唆をあたえている。

現実にはマーシャルの現金残高方程式の過程、すなわち貨幣量(流動性)が増減することで実体経済Yが深く影響を受ける効果があることは無視できない。


有効需要

詳細は「有効需要」を参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E5%8A%B9%E9%9C%80%E8%A6%81

貨幣量の増加は、実質金利の低下へつながる。この結果、設備投資の増加へつながり乗数効果で有効需要が増加する。有効需要の増大は生産の増大、あるいは物価の上昇へ結びつく。


貨幣錯覚

「貨幣錯覚」も参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E9%8C%AF%E8%A6%9A

流通貨幣量の増減は、事前に約束され容易に変更されることのない数値である金利や賃金、社会保障、税、および資産価格などに対する評価の修正を通じて経済活動全般に影響を与える。

ケインズによる解釈

一般化された記述

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC#%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ここで

e は貨幣量の変化に対する物価の弾力性
ed は貨幣量の変化に対する(貨幣で測られた)有効需要の弾力性
ee は(賃金単位で測られた)有効需要の変化に対する雇用の弾力性
e0 は雇用の変化に対する産出量の弾力性
ew は(貨幣で測られた)有効需要の変化に対する賃金単位の弾力性

である。

ケインズによれば[8]、貨幣数量説では、ed = 1であるとともに、失業の存在するときはew = 0、ee e0 = 1よりe = 0となって物価が不変となり、完全雇用に到達するなり、ew = 1、ee e0 = 0よりe = 1となって物価は貨幣量に正比例して変化すると主張されているとする。

これに対してケインズは、流動性選好・資本の限界効率・消費性向の諸制約によってed = 1とは限らず、ew は完全雇用の到達以前に貨幣賃金率などの上昇が見られるため0と1の間の値を示し、ee e0 は収穫法則の制約によって1と0との間の値を示すことから、e は通例1より小であると一般化することができると考え、これを貨幣数量説の一般化された記述と呼んだ[9]。

所得速度

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC#%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ここで

M は全体としての貨幣供給量
M1 は取引動機及び予備的動機を満たすために保有される貨幣量(活動貨幣)
M2 は投機的動機を満たすために保有される貨幣量(不活動貨幣)
である。

ケインズによれば、貨幣数量説において一定と仮定される流通速度と呼ばれているのはY /M であるが、商取引の慣習が与えられている場合にほぼ一定と見なせるのはY /M1 であると主張し、ケインズはこれを貨幣の所得速度と呼んでいた。


出典・脚注

^ 加藤博『イスラム経済論』書籍工房早山、2010年。 p166
^ これは第二次産業革命直後の「大不況」と呼ばれた時代であり、1873年にドイツが通貨と銀の兌換を停止したことを受け銀価格が崩落したことをきっかけとしている。 矢野誠「危機・先人に学ぶ、マーシャル」(日本経済新聞やさしい経済学2012.6.20)。
^ 田中秀臣 『経済政策を歴史に学ぶ』 ソフトバンククリエイティブ〈ソフトバンク新書〉、2006年、157頁。
^ 奥山忠信「金貨幣の合理性に関する考察」P.2以降。奥山(政策科学学会年報創刊号 2010年12月)[1][2]
^ 日本経済新聞社編著 『現代経済学の巨人たち-20世紀の人・時代・思想』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、48頁。
^ 江頭進「ハイエクと貨幣」(小樽商科大学経済論叢1995.7)P.53、PDF-P.8以降[3]
^ a b 田中秀臣 『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』 講談社〈講談社BIZ〉、2006年、176頁。
^ 浅野栄一(1976)「ケインズ一般理論入門」有斐閣
^ ただケインズは、この種の公式化が、関係諸要因の間の厳密な不依存性の仮定に依存したものにすぎないとして、これに多くの価値を認めていなかったことも事実である。

参考文献

平山健二郎 『貨幣数量説の歴史的発展』 関西学院大学経済学論究 第58巻第2号(20040920)[4]
『わが国における貨幣の長期中立性について』大井・白塚・代田(日本銀行金融研究所・金融研究2004.10)[5]※実質GNPとM2の長期中立性の検証
大森郁夫 『文明社会の貨幣−貨幣数量説が生まれるまで−』 知泉書院、2012年。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC  



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フィッシャーの交換方程式
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

フィッシャーの交換方程式(フィッシャーのこうかんほうていしき、英: Fisher's equation of exchange)とは、アメリカの経済学者・統計学者であるアーヴィング・フィッシャーが定式化した、古典的な貨幣数量説で貨幣量と物価の関係を表す式である。


フィッシャーの交換方程式は、次の式で表される。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ここで

M : 貨幣量
V : 貨幣の取引流通速度
P : 物価
T : 1期間における財・サービスの取引量

である。

この式において、Vは貨幣の流通速度を意味している。VはVelocity(速度)の頭文字で、一定期間における貨幣の使用回数である。

例えば、ある経済の貨幣が1000円札一枚しかないと仮定する。期間を1週間とする。

このとき、一週間の間にこの1000円札が3回使用された(3回持ち手が替わった)なら、V=3となる[1]。「M:貨幣ストック」のMはMoney(貨幣)の頭文字で、その経済にある貨幣の量を指す。

例えば、ある経済には1000札5枚の貨幣しかないとすると、M=1000×5=5000円である。この5枚の1000円札が一週間にそれぞれ4回使用されたとしよう。すると、このそれぞれの1000円札についてはV=4なので、この経済についてはMV=5000×4=20000円(2万円)ということになる。すなわち、一定期間(この場合は一週間)の購買価格(MV)の合計は2万円である[1]。

「P:物価」はPrice(物価、価格)の頭文字で、物価を表わす。「T:1期間における財・サービスの取引量」はTransaction(取引)の頭文字である。例えば、1個200円のリンゴが100個あるとしよう。

ある経済には、この1個200円のリンゴ100個しか売り物がないとすれば、この経済はPT=20000円(2万円)となり、販売価格総額(PT)は2万円である。ある経済全体の購買価格総額と販売価格総額は一致するはずであるから、MV=PT=2万円である。すなわち、MV=PTというフィッシャーの交換方程式は常に正しいことなる[1]。

フィッシャーは、貨幣の流通速度:Vと1期間における財・サービスの取引量:Tは慣習的に(大きな)変動はないとみなした(実際はVを観測するのは非常に難しく、観測はほぼ不可能である)。だとすると、MV=PTの左辺のV、右辺のTが大きく変動しないのであるから、自明なこととして、この方程式においてMとPは常に比例することになる。

そうであるならば、M(貨幣量)を増やせば、P(物価)も上昇することになる。あるいは、M(貨幣量)を減らせば、P(物価)も低下するであろう。そうだとすれば、政策論的に言えば、例えばある経済の物価を上昇させたいのであれば、貨幣量を増やせば物価が上昇させることができるとこの方程式から言えるだろう[2]。

あるいは、もし物価が下がっているならば、それは貨幣量が足りないからだということができるだろう[2]。これが古典派の貨幣数量説の基本的な考え方である。


ケンブリッジ方程式(現金残高方程式)

ケンブリッジ方程式(あるいは現金残高方程式とも呼ばれる)は次の式で表わされる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

ここで、

M : 貨幣量
V : 貨幣の所得流通速度
P : 物価
Y : 実質GDP(取引額の内の付加価値部分の合計)
k : マーシャルのk

マーシャルのkは一般的に比例定数とされたり、比例定数でなくとも安定的な変数であると考えられている。そのため、貨幣量を増やしたとき、ケンブリッジ方程式によれば、物価が上昇することが導かれる。フィッシャーの交換方程式と同じ結論が導かれるのである。

すなわち、ケンブリッジ方程式では、貨幣所有者に貨幣保有をする動機があることを前提とし、そのうえで貨幣所有者は名目国民所得のk%を保有すると考えている[3]。よって、ケンブリッジ方程式は単に販売価格総額と購買価格総額が一致することを述べているのではない。

そのため、ケンブリッジ方程式のMは単に流通手段としての貨幣だけでなく、価値保蔵手段としての貨幣も含めたものなのである。そのため、フィッシャー方程式が現実的には検証が不可能だったのに対し、ケンブリッジ方程式は統計的に把握できるという利点がある。

しかしながら、フィッシャーの交換方程式が「販売価格総額=購買価格総額」という自明的に正しいものであったのに対し、ケンブリッジ方程式は自明的に正しいとは必ずしも言えない[4]。奥山忠信 (2012)によれば、「使用されない貨幣が、式の中に含まれることで、kの安定性自体が、検証すべきあらたな課題となる」[4]。

(参考:現金残高方程式(ケンブリッジ方程式)とマーシャルのk)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%95%B0%E9%87%8F%E8%AA%AC#%E7%8F%BE%E9%87%91%E6%AE%8B%E9%AB%98%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%EF%BC%88%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%B8%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%81%AEk


また、ときにフィッシャー方程式を変形することで、ケンブリッジ方程式を導く試みがされる[5]。

{\displaystyle MV=PT}{\displaystyle MV=PT}

この等式のT(取引量)をY(実質GDP)に置き換え、

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

とし、

{\displaystyle M={\frac {1}{V}}PY}{\displaystyle M={\frac {1}{V}}PY}
とする。

このとき、貨幣の所得流通速度(V)の逆数をkとして、{\displaystyle k={\frac {1}{V}}}{\displaystyle k={\frac {1}{V}}}とすると

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

このようにケンブリッジ方程式を導くことができ、k(マーシャルのk)は貨幣の所得流通速度(V)の逆数だということができる。

しかし、実際にはT(取引量の総額)とY(実質GDP)は必ずしも一致せず、数値的にも大きく異なることが多いため、TとYを同一視したうえでのこの試みは妥当でないと述べる研究者もいる[6]。


マーシャルのk

マーシャルのkは、前述したような、ケンブリッジ方程式における貨幣の所得速度Vの逆数kとして知られるものである。あるいは、名目国民所得に対する貨幣の保有比率を意味している[3]。ある一国の生産水準(ここではGDP)にとって、マネーサプライ(通貨供給量)が適正水準にあるかどうかを判断するための指標として用いられる[7]。一国の生産水準(GDP)を1としたときに、マネーサプライがその何倍であるかを表しており、マーシャルのKの値が大きいほど、その経済に多くの貨幣が出回っていることを示す[7]。ケンブリッジ方程式にて、マーシャルのkは一般的に比例定数とされたり、比例定数でなくとも安定的な変数であると考えられている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F


ただし、

M : 貨幣量
Y : 実質GDP
P : 物価

マーシャルのkは貨幣量を名目GDPで割ることで求めることができる(参考:マーシャルのkと所得流通速度)。


フィッシャーの交換方程式の問題

フィッシャーの交換方程式の問題は、使われなかった貨幣をどのように扱うのかという問題である[8]。例えば、ある貨幣として何枚かの1000円札を使う経済があって、この中に一度も使われなかった1000円札があったとしよう。

すると、この1000円に関してはM=1000であっても、V=0(すなわち、一度も使われなかった)なので、MV=0ということになる。つまり、1000円という貨幣が存在しながら、貨幣としては使われなかったということになる。

しかしながら、この考えを積極的に取り入れると貨幣数量説の考え方に関する問題が生じる。貨幣数量説とは簡単に言えば「貨幣を増やせば物価が上がる」という考え方だったが、MV=PTと言う等式において、貨幣量を増やしても購買に使用されない貨幣があると考えると、貨幣量を増やしても物価上昇につながらないということになってしまう[9]。

そこで、使われなかった貨幣の扱い方は2通り考えられる。

第一に、貨幣数量説では、購買に使用されない貨幣は、フィッシャーの交換方程式にはそもそも含まれないというものである。

あるいは、2つ目の扱い方として、貨幣が増加したときに、使われなかった貨幣も含むとすると、その分だけ貨幣流通速度のVが低下するというものである[9]。

この考え方を積極的に取り入れ、貨幣量を増やしても貨幣流通速度が下がる可能性を考慮してしまうと、MV=PTという方程式のMとPの比例関係が成り立たなくなり、貨幣数量説の考え方に問題が生ずる。 現実には、貨幣が使用されない場合とは、例えば購買を控えたために使用されなかった貨幣や、将来の使用のために退蔵された貨幣が考えられよう。

また、等式MV=PTにおける取引量Tにも問題がある。フィッシャーの交換方程式MV=PTは恒等式であり、常に正しいと考えられるが、取引量Tと物価Pの積が常に購買価格(MV)と等しくなるためには、売れ残りの商品を取引量Tから除く必要がある[10]。なぜなら、買われなかった商品の分を取引量Tに加えれば、取引量Tと物価Pの積が購買価格(MV)と等しくならなくなってしまうためである。


もうひとつの問題が、貨幣の種類の問題である。

今までの例では1000円札だけを貨幣として挙げたが、現実には1000円札以外にも5000円札や500円玉、1円玉など、多くの種類の貨幣が存在する。それらすべてを考慮して「貨幣が一定期間に何回使用されたか」という定義をするならば、全てを共通単位、例えば最小単位の1円に還元する必要がある[2]。

つまり、1000円札が使用された場合、1円玉が1000回使用されたとみなし、500円玉が使用された場合は、1円玉が500回使用されたと考えるのである。すなわち、Vそのものを計算することは現実的には不可能である。また、このような考え方をすると、1000円札や500円玉といった区別のない預金通貨や電子通貨まで、貨幣の流通速度が適用できるようになる。


出典
^ a b c 奥山忠信 2012, p. 3.
^ a b c 奥山忠信 2012, p. 4.
^ a b 奥山忠信 2012, p. 7.
^ a b 奥山忠信 2012, p. 8.
^ 山崎匡毅 1983, p. 13.
^ 例えば(奥山忠信 2012, p. 7)でこれに関する説明がされている
^ a b 外国為替用語集、マーシャルのK(Marshallian k)、コトバンク、2015年2月3日アクセス
^ 奥山忠信 2012, p. 4-5.
^ a b 奥山忠信 2012, p. 5.
^ 奥山忠信 2012, p. 5-6.


参考文献
奥山忠信「貨幣数量説における交換方程式の考察 (PDF) 」 『埼玉学園大学紀要(経営学部篇)』第12号、2012年。
山崎匡毅「貨幣の流動性と交換方程式」『長野大学紀要』第5巻第1号、1983年、 13-22頁。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F
2. 2020年10月12日 10:36:06 : RpwMiNUFXo : Nzk2SWtSOXdJekE=[12] 報告
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管理通貨制度
アメリカのマネーサプライの推移。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E7%90%86%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%88%B6%E5%BA%A6#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Components_of_the_United_States_money_supply2.svg


管理通貨制度(かんりつうかせいど)とは、通貨の発行量を通貨当局が調節することで、物価の安定、経済成長、雇用の改善、国際収支の安定などを図る制度。本位制度(金本位制、銀本位制)に対していう。

管理通貨制度のもとでは通貨当局は金や銀などの保有量とは無関係に通貨供給量を増減させることが出来るので、第二次世界大戦後から情報革命を背景に電子記録としての預金通貨を止め処なく増やしている。右図のような通貨供給量の増加は世界的な傾向である。 また、この預金通貨が生まれる働きを「信用創造」と言い、銀行が借入金を申し込まれた際に貸し出し相手の返済能力や現在抱えている別の借入金の額など勘案・算段し、それを持って「返済能力が欠如する場合は貸し出しを断ったり、高い金利を付けて貸し出しを了承する」場合もある。与信行動に問題がなく貸し出しが成立した場合、銀行は申し込み相手に口座を開設させ、その通帳の額面に借入金額を書き込む事で「貸借関係の成立」となる。この貸借関係成立によって生まれる預金通貨は「万年筆マネー」や「キーストロークマネー」と呼ばれる「いわば架空通貨」とも言えるもので、直接的に現金紙幣や硬貨が用意されるものではない。しかしながら一度通帳に書き込まれた預金通貨があれば、企業であれば設備投資のための支払いが出来たり、個人の場合であれば住宅建築費用などの大口の購入決済手段として用いる事が可能となる。これは現金紙幣や硬貨が直接手に触れられる形として存在するのと同義である。そのため多くの人は銀行が貸し出すお金は現金であると思い込む勘違いが存在する。しかしながら「現金紙幣及び硬貨と預金通貨は全く違うもの」である事を理解するのが経済の知識としては必須である。またこのような「書き込む事で生まれる預金通貨を生み出す権限の担保(裏付けとも言える)」にあるのが中央銀行が発行する当座預金であり、日本の場合は「日銀当座預金」と呼ばれるもので、これも日本の場合は中央銀行にあたる日本銀行が各銀行に割り当てて付与しているもので、その当座預金の保有額が法律によって定められており、その法令を「銀行準備率」と呼ぶ。


特徴
管理通貨制度の下では、自国通貨は原則的にいくらでも発行できる[1]。金を貨幣価値の裏付けとする金本位制においては、銀行券発行量は正貨準備高に拘束されるのに対し、管理通貨制度では行政府の通貨政策次第であり、貨幣の価値は政府または中央銀行の政策によって裏付けされるためその価値は不安定となりやすい。よって通貨当局は金融政策により貨幣価値の安定化を図ることを重視する。

銀行学派の考え方によれば、中央銀行はプライマリバンク(中央銀行と直接取引の口座を開設している市中銀行)の担保の差出の対等物として通貨を発行するのが原則であり[2]、この場合通貨の価値は市中の信用力に依存している。一方で議会や行政府が国債を発行して中央銀行に引き受けさせている場合、その通貨の価値は行政府の信用(徴税権や国庫財産など)を担保としている。

管理通貨制度では、発行量が本位の備蓄量に拘束されることがないので、景気や物価調整のために柔軟な通貨量調整をすることができるメリットがある。一方で通貨当局と行政府の関係(独立性と協調性)がつねに問われ、通貨当局が行政府の影響下にある場合、景気対策のための恒常的な金融緩和がインフレを招く場合がある。また独立性が極端に保護されている場合、通貨当局の失策が国家に破滅的な混乱をもたらす場合がある(ライヒスバンクの事例)。

管理通貨制度においても通貨は市中あるいは政府の信用の対等物として取り扱われるのが原則であり[要出典]、この原則に政策上の事情あるいは恣意性が加わるとインフレーションやデフレーションの原因となる。

歴史

20世紀に管理通貨制度が採用される以前において、欧米諸国を中心とした国際決済市場では金本位を利用することが一般的であった。これは銀行に金貨・金地金を預託しその預かり券(紙幣)を用いて取引を行い、最終的な決済は売り手・買い手の指定する銀行間で金現送することによって精算する制度である。

金本位による国際決済は戦争によりしばしば中断されることがあり、とりわけ19世紀にはロンドンが主要国にとって国際決済の中心であった事から、第一次世界大戦の発生により金本位の中断を余儀なくされた。例えば日本は1913年12月末の時点で日銀正貨準備は1億3000万円、在外正貨2億4,600万円であり、在外正貨はすべてロンドンにあった。また外貨決済の8 - 9割をロンドンで行っていたが、第一次世界大戦が始まる1914年の8月には手形輸送が途絶し(当時はシベリア鉄道で輸送していた)、ロンドンの金融機関が活動を停止するなど混乱した。大戦終結にともない1919年にアメリカが、1925年にはイギリスが金本位制に復帰した。

金本位制の問題は資本となる金塊を国際市場である都市に集中させざるをえない点にもあった。とくに19世紀における国際金融の中心地であったイギリス・ロンドンや20世紀にかけてその地位を継承したアメリカ・ニューヨークには世界各国の中央銀行の支店や、各国政府の出先機関が集中しており、各国の国際収支の調整はその都市に設置された支店間での金塊の現送により調整されるシステムであった。

第一次世界大戦の前後から金(本位金)は経済力の格差からアメリカに集まり、アメリカでは国内で正貨が過剰となってインフレが昂進したことから、通貨準備から金の一部をはずす不胎化政策をとった結果、金本位制の持つ国際収支調整のメカニズムは失われ金の偏在が進行した。フランスでは第一次世界大戦の賠償金としてドイツから1320億マルクを獲得する請求権を得たが現物給付などにより十分な支払いがなされなかったこともありインフレ(リーブル相場の下落)が発生し、極端な金塊主義政策を採用し本位金の備蓄をおこなった。

これらの背景のもとに1929年からの世界恐慌が拡大し、イギリスは1931年に金本位制を離脱、アメリカを除く各国もこれに追随し、以後金本位制に代わる管理通貨制度の時代になった。イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは1920年代の半ばから、為替の安定に主眼を置く金本位制に替わって、国内経済の諸目的(物価・景気・雇用)を優先させる管理通貨制度の採用を主張していた。

第二次世界大戦後はIMF体制のもと、金と1オンス=35ドルの平価で交換可能なアメリカ合衆国ドルを基軸通貨とし、各国通貨は米ドルとの固定相場制を採用した(ブレトン・ウッズ体制)。この体制下でも加盟各国は国内においては管理通貨制度を取っており、通貨当局は為替介入と金融政策により対ドル固定相場を上下幅1%以内に維持しつづけた。この制度は「金ドル本位制」「金為替本位制」などといわれる。1971年、アメリカの財政赤字、経常収支の赤字が増大してインフレが進行、アメリカはドルと金の兌換停止に踏み切り(ニクソン・ショック)、これをもって金と通貨の関係は完全に切り離され、国際的にも管理通貨制度へ移行した。

文献情報

「自由銀行制度の再評価について」松岡和人(愛知教育大学研究報告2010.3)[2]
「日華事変をめぐる日本金融の「広義国防化」変換過程と、「華北『分治』工作」の「高度国防」化」判澤純太(新潟工科大学国際関係論、研究紀要2004.12)[3][4]
脚注
^ 田中秀臣・野口旭・若田部昌澄編 『エコノミスト・ミシュラン』 太田出版、2003年、229頁。
^ バジョットの原理、「公衆が要求する限りどこまでも信用を供与すべきであり、またそれを可能にするために平時においては十分な準備を維持しておくようにしなければならない」とする銀行学派の命題。「インドネシアにおける通貨金融危機の再考(下)」内野好郎(立教経済学研究第61巻第4号2008年)[1]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E7%90%86%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%88%B6%E5%BA%A6


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公開市場操作

公開市場操作(英: open market operation)とは、金融市場で、中央銀行が国債・社債・手形・上場投資信託・REITなどの有価証券を売買することによって、マネタリーベースの量を操作しマネーサプライや金利を調整する金融政策の一手段[1]。単にオペレーションあるいは略してオペとも呼ばれる。

公開市場操作は目標を決めてから行うため、その影響が予測しやすい。公開市場操作が効果を上げるためには債券市場が発達していることが必要である。


手法

資金供給オペレーション(買いオペレーション)

中央銀行が銀行から国債などを買うことを言う。代金が中央銀行から銀行に支払われ、通貨量が増える。景気の低迷で金融市場への資金供給量が少なくなった時や、海外の金融状態が不安定であると言った理由で国内銀行が海外金融機関への資金供給を渋る事で資金供給量が少なくなった時に行われる。供給量が増えることで金利を下げる効果がある。供給量が多くなる事で金融機関は資金調達ができ、金融機関は調達した資金を企業や個人に供給する為、金融緩和に似た効果がある。

日本銀行では以下の種類の資金供給オペレーションを行っている[1]。

共通担保資金供給オペ - 金融資産を担保として資金供給
国債買入
国庫短期証券買入
コマーシャルペーパー・社債買入
ETF・J-REIT買入
国債買現先オペ
CP等買現先オペ
購入代金は取引を仲介している銀行の日銀当座預金に振り込まれる。民間金融機関は日本銀行の要求を必ずしも受け入れる必要は無く、判断は民間金融機関がする。

資金吸収オペレーション(売りオペレーション)

中央銀行が銀行に国債などを売ることを言う。代金が銀行から中央銀行に支払われ、通貨量が減る。

日本銀行では以下の種類の資金吸収オペレーションを行っている[1]。

手形売出オペ
国債売現先オペ
国庫短期証券売却オペ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E9%96%8B%E5%B8%82%E5%A0%B4%E6%93%8D%E4%BD%9C


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セイの法則

セイの法則(英: Say's law, 仏: Loi des débouchés)は、「非貨幣市場の総供給と総需要が常に一致する」という原則である[1]。フランスの経済学者ジャン=バティスト・セイによって発見され、「セイ法則」、「販路説」などとも呼ばれる[1]。「近代経済学の父」リカードが採用したことから、マルクス、ワルラス、ヒックスといった多くの経済学者によって継承されたが[2]、ケインズ『一般理論』(1937年)によって否定され、その問題点が広く認知されるようになった[3]。


概要

あらゆる経済活動は物々交換にすぎず、需要と供給が一致しないときは価格調整が行われ、仮に従来より供給が増えても価格が下がるので、ほとんどの場合需要が増え需要と供給は一致する。それゆえ、需要(あるいはその合計としての国の購買力・国富)を増やすには、供給を増やせばよいとする。

ジャン=バティスト・セイが著書『経済学概論』第1巻第15章「販路」に叙述したことからセイの販路法則と呼ばれることもある。単に「セイ法則」とも呼ぶ。セイの法則が主張する重要な点は、経済の後退は財・サービスへの需要不足や通貨の不足によるものではないとする点にある。

貨幣がこの相互交換において果たすのは一時的な役割だけである:交換が終わってみると、ある生産物に別の生産物が支払われたのだ、ということが常に見出される(L’argent ne remplit qu’un office passager dans ce double échange ; et, les échanges terminés, il se trouve toujours qu’on a payé des produits avec des produits.)


次のことは注目に値する。すなわち、ある生産物は作り出されるやいなや、その瞬間から、それ自身の総額の価値に見合った他の生産物の販路を供給するということである。(Il est bon de remarquer qu’un produit terminé offre, dès cet instant, un débouché à d’autres produits pour tout le montant de sa valeur.)
— 『経済学概論』(Traité d’économie politique)

セイは、経済や景気の好転、あるいは購買力のさらなる増強は、ただ生産力の増強によってのみなされるのだとの社会的な洞察をもっていた。そこで不況の原因が行政府による消費支出の不足や、通貨としての金(金塊Bullion)の調達・供給不足にあるとする分析に対して、その批判の矛先を向けていた。

ジョン・スチュアート・ミルは、生産につながらない消費(非生産型の消費)の増大による経済刺激策をセイの法則を引用することで批判した。

なおセイ本人は、後代にセイの法則に付け加えられたこまかな定義をつかうようなことはなく、セイの法則とは、実際には同時代人や後代の人たちによって洗練されたものである。その断定的で洞察に富んだ表現から、セイの法則は、ジェームズ・ミルやデヴィッド・リカードなどによって再述され、発展して行き、1800年代中頃から1930年代まで経済学のフレームワークとなった。

セイの法則については、現代では好況等で十分に潜在需要がある場合や、戦争等で市場供給が過小な場合に成り立つ限定的なものと考えられており、また一般に多数の耐久財・資本財がある経済を想定していないことが指摘されている(耐久財のディレンマ)。またセイの法則そのものは後世の研究者により現代においても成熟されつづけている未完成のものであり、たとえば技術革新による供給能力の変化と生産調整による供給能力の変化の違いなどの現実のディテールなどは想定していない。また生産されたものがつねにあらゆる状況で財であることが暗黙の前提となっており、生産され供給されつづける財が累積的に人への効用を拡大させることを前提としている。この点がのちにオーストリア学派により批判された(限界効用理論、限界効用逓減の法則)。

「セイの法則」に対する議論
セイの法則に相対する考え方として、同時代に発生した一般過剰供給論争における、トマス・ロバート・マルサスやジャン=シャルル=レオナール・シモンド・ド・シスモンディ、および後代のジョン・アトキンソン・ホブソンによる過少消費説がある。また彼らを先駆者としたジョン・メイナード・ケインズによる有効需要の原理がある。ケインズは投資需要によって消費性向とあいまって経済全体の供給量がマクロ的に決定されると主張した。また貯蓄投資の所得決定理論において、セイの法則が貯蓄(供給)は常に投資(需要)されることで両者が一致すると説明した貯蓄投資の利子率決定理論を批判し、むしろ投資に見合うように貯蓄が決まることを主張した。

セイの法則として著名な「供給はそれ自らの需要を生み出す」という文言について、ポール・デヴィッドソンによればセイのオリジナルではなく、1803年にジェームズ・ミルがセイの著作を翻訳するさいにそのような要約が登場したと指摘する。またセイら古典派の貨幣観を「ヴェール」と呼んだのはミルであるとする。

命題としての「セイの法則」
ケインズの体系においては、セイの法則はただ単に「供給された量は必ず需要される」という命題として捉えられている[4]。この場合に価格調整(需要不足のときは自動的に価格が下がるメカニズム)は、命題を成立させる十分条件の代表例の一つにすぎない。

現代経済では、資本財市場か資本用役(賃貸/サービス)市場のどちらか一方でしか価格調整は機能しないことが多い(耐久財のディレンマ)。鉄道輸送や電力供給などの場合、サービス(用益)需給の市場均衡に資本財市場は従属しており、列車や発電機の需給はセイの法則が想定する均衡システムの例外となる。またマンションなど戸売り(財市場)と賃貸(用益市場)が並存している市場においても、賃貸オーナーは市中金利と年間償却額より十分賃料価格が高い(低い)場合は投資用マンションを購入(売却)するため、おおむね財市場が用益市場に従属性をもつ関係にある。

このように資本財が用益市場の均衡に従属し独自の調整が利かない場合、資本財への投資が旺盛なとき(自然成長率が実質金利より十分に高いとき)にはこの命題(供給は必ず需要される)は真であるが、投資が旺盛でないときには偽となる。

通貨切り下げ競争
成熟した経済圏の間で、不況時にしばしば自国通貨の切り下げ競争が行われることがある(通貨安競争を参照)。自国通貨の価値を相手国の通貨より引き下げることは一見、自国の購買力を損なうように思えるが実際には生産増を通じて購買力が増すこの現象は、セイの法則が示す「生産力の増強が購買力の増強につながる」を如実に示現している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87


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コロナ不況でデフレになる日本、インフレになるアメリカ
2021年1月18日 GLOBALMACRORESEARCH

2020年は新型コロナウィルスで大変な1年だったが、周知のとおり株式市場は一度の急落を経験したあと2021年に入っても好調が続いている。

一度は株価下落を予想した著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏も今では株式に強気な相場観を表明している。

・ガンドラック氏: 米国株、アジア新興国株に強気


相場が上昇している理由はトランプ政権が行なった莫大な財政政策と中央銀行による金融緩和が金融市場に資金を流入させているからである。

資金流入の代償

資金さえ流入させてしまえば株式市場は上がり、すべてが解決するのだろうか? ガンドラック氏ら株式市場の上昇を予想するファンドマネージャーらがその代償として指摘するのが物価の高騰である。しかし先進国経済は長らくのデフレに慣れてしまっており、インフレが起こると指摘されても多くの人がピンとこないだろう。

ではアメリカや日本の物価はどうなっているのだろうか? チャートを並べてみよう。まずはアメリカの消費者物価指数(CPI)である。経緯が分かりやすいように上昇率ではなく物価指数そのものを載せている。


右肩上がりである。最新の数字である12月のデータを前月比年率で見ると4.5%のインフレとなる。

これは11月から12月の物価上昇のペースが12ヶ月続けば年間のインフレ率は4.5%になるということであり、実際にはそこまでのインフレにはならないだろうが、10月以降のインフレ加速は目を見張るものがある。

しかもロックダウンのあった4月に一度落ち込み、そこから上昇しているこのチャートはあるものに似ている。米国株のチャートである。


これは政府による資金注入が金融市場とともにインフレ率を押し上げていることを示している。

金融緩和と現金給付がついにインフレを押し上げた

先進国はこれまで量的緩和など未曾有の金融緩和を行なってきたが、インフレ率が危険な水準まで上がることはなかった。しかし金融緩和と現金給付という新型コロナによる今回のアメリカ政府の対応はついにインフレ率を有意な規模で引き上げてしまったようである。

これは株価の上昇や店舗の売上の回復などを文字どおりには喜べないということを意味する。100ドル余分に儲かったとしても100ドルの価値そのものが減っている可能性があるからである。以前は100ドルで買えたものが200ドル出さなければ買えなくなる。

長らくデフレに慣れてしまった先進国の国民にはこの考え方は馴染みにくいかもしれないが、インフレがこのまま続くのであればそれは誰にとっても対処しなければならない現実となる。レイ・ダリオ氏は政府による資金注入が根本的な解決策にはならないと主張し、国民には自分の身は自分で守るように早くから警鐘を鳴らしてきた。

・世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな


インフレが今後どの程度のものになるのかはまだ分からない。しかし紙幣をばら撒きすぎた国が警戒しなければならないのは物価高騰と為替レートの暴落である。物価高騰については去年からここでも警鐘を鳴らしておいた。

・金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰


まだ警戒するべきレベルの物価高騰ではないと思った読者もあっただろうが、既に兆候は見受けられていた。金融市場は実体経済に先行するからである。

そしてドル暴落の可能性についてはガンドラック氏、ダリオ氏の両氏が警戒している。

・世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき


日本はインフレに成るか

では日本はどうだろうか? 日本の消費者物価指数は次のようになっている。


下落トレンドである。注入された資金がアメリカほどではなかったということなのだろう。チャートは10月までのデータだが、続く11月でも更に下落となっており、アメリカのように上昇トレンドとはなっていない。

それを喜ぶべきなのかどうかは読者の判断次第だろう。貧富の差の激しいアメリカで物価の高騰と株価の上昇が起こった場合、すでに暴動が起こっているアメリカの政治的混乱が更に激しいものとなることが予想される。

日本はまだそこまで行っていない。しかし、まだそこまで行っていないだけである。

・世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11939


▲△▽▼
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
2021年2月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182
新型コロナによる現金給付などの経済政策のため、経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の通貨崩壊・インフレ論を持ち出すまでもなく著名投資家のなかではインフレへの警戒が広がっているが、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年率いたスタンレー・ドラッケンミラー氏もその列に加わったようである。

ドラッケンミラー氏もインフレ予想

ドラッケンミラー氏がGoldman Sachsのインタビューでやはりインフレを予想している。その理由は新型コロナによる景気後退で政府が行なった現金給付などの経済政策である。彼は次のように述べている。

景気刺激策がどれほど大きかったって? 3ヶ月で増えた政府債務の量は過去5回の景気後退で増えた分を合わせた額よりも大きい。

現代人には初耳かもしれないが、紙幣印刷とはタダでお金が降ってくることではない。限界を超えて紙幣をばら撒けば物価が上昇し始め、10万円余分にもらえる代わりに20万円余分に支払わなければならなくなる。

しかしこれは投資家には、特にドラッケンミラー氏のようなグローバルマクロの投資家にはかつてない規模のチャンスである。資金が大きく動くということだからである。

これまで長らく起こらなかったインフレという歴史的転換点を前にしてドラッケンミラー氏はどう投資するのだろうか。彼は次のように述べている。

わたしはインフレが中央銀行が考えているよりも上昇すると踏んでいる。

それで長期側の国債を空売りしている。でも中央銀行が正気を失えばこのポジションは実らないかもしれない。だからコモディティを大量に保有している。もし中央銀行が債券価格を買い支えて金利上昇を抑えれば、コモディティのポジションが利益を出してくれるだろう。

国債の空売りとは金利上昇に賭けているということである。金利上昇は債券価格の下落を意味するからである。

事実、アメリカの長期金利は上昇している。コロナで一時期0.4%まで下がった金利は再び1%を超えてきた。


しかしドラッケンミラー氏は同時に中央銀行がこの金利を抑え込んでくる可能性を懸念している。低金利を演出することで中央銀行は株式市場を昨年3月の株安から救ったため、金利が上がってしまうと株式市場が揺らいでくる。だから中央銀行は金利上昇を許さないだろうということである。

そこでドラッケンミラー氏は「大量に」コモディティを買っているという。物価上昇となれば先ずは金融市場で取引できる貴金属や農作物が上がるのは当然である。

ドラッケンミラー氏は特定の銘柄には言及しなかったが、金融市場に流入した資金のせいでコモディティ市場は一様に好況となっている。以下は金価格のチャートである。


以下は銅価格のチャートである。


コロナで一時期はマイナスになった原油価格も持ち直してきた。


今見返すと面白いチャートである。

一般人の暮らしにより近い農作物も見てみよう。以下は大豆の価格チャートである。


以下はコーンのチャートである。


金融市場におけるこうしたコモディティ価格の高騰はいずれ人々の食卓へと影響してくるだろう。ちなみにこのコモディティ高のトレンドについては昨年秋にいち早く紹介しており、乗れた人もいるだろう。

・金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)

膨大な資金流入を考えれば当然の結果である。そしてドラッケンミラー氏はまだまだこれからだと言っている。

結論

インフレシナリオについては既に多くの著名投資家が賛同しているが、世界屈指のマクロトレーダーであるドラッケンミラー氏もそこに加わった形となる。

・世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
・ガンドラック氏: 米国株、アジア新興国株に強気

そして忘れてはならないのが、ビットコインもまた(通貨でなければ)コモディティであるということである。ビットコイン価格のチャートを再掲したい。


読者もお気づきの通り、最近の記事では株式や債券の話よりも通貨発行の話ばかりしているが、昨年秋にコモディティのトレンドを無意味にしたのではないように、今ビットコインやハイエク氏の通貨発行自由化論の話をしているのも無意味にしているのではないということである。早く気付いた人はそのトレンドに乗ることが出来るだろう。著名投資家の何人かは既に気付き始めている。

・マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
・世界最大のヘッジファンド: ビットコインは素晴らしい発明だ
・ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

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