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暑い八月:ウクライナ軍は南部の攻撃を準備(Voennoe Obozrenie / Military Review)
https://topwar.ru/199694-gorjachij-avgust-vsu-gotovit-nastuplenie-na-juge-ukrainy.html
2022年7月30日
なぜウクライナの南?
キエフ政権にとって南部への攻撃が必要であることにはいくつかの理由がある。
第一の理由はここを叩くのが最も簡単だからである(少なくとも、ウクライナ軍司令部の考えでは)。ヘルソン州とザポロージエ州の前線は長く、ここでの連合軍の密度は他の地域ほど高くない。もちろん,攻撃目標はハリコフ州である可能性もある。ロシア軍を国境まで押しやることはどれほど素晴らしいことだろう。しかし、ここでは連合軍は南部よりも作戦をはるかに行いやすい。ロシアの大陸部はすぐそこあり、戦力を投入することが容易である。ここであのHIMARSを使ったとしても補給を遮断するすることは困難である。しかし、ヘルソン州とザポロージエ州ではすべてが明らかというわけではない。連合軍の部隊の移動の負担は大きく、道路網はそれほど発達していない。これらのことがナショナリストたちに一定の希望を持たせている。
参謀部の戦略家は、連合軍を蹴散らしてアゾフ海と黒海に到達し、ロシアによって解放された地域を2つに分断するという「反攻」を夢見ている.そうなれば、ロシア軍がクリミアからメリトポリに戦力を移動することは不可能である。あわよくば、自然の障壁であるドニエプル川をウクライナ軍が渡るかもしれず、連合軍にとってこれはこの地域を奪還することを複雑にする。
第二の理由は、ウクライナはもうドネツク・ルガンスクを奪還することに消極的になっていることである。キエフ政権にとっては、ドンバスはもはや敵の領土である。そういう認識であるからこそ、平和な都市へ野蛮な砲撃を行っているのである。これはウクライナからナショナリストを取り除く活動を行っている連合軍兵士に対する復讐である。
“今日、お前は私と戦っている、そして明日、こちらの大砲はお前の背後の家族を殺すだろう”
国の東部の人々は8年間外国人として認識されているので、それを「解放」する理由はない。しかし、キエフ政権の戦略家にとっては、南の領土を取り戻すことはまだ可能である。
そして最後に第三の理由は、ロシアによって解放されたマリウポリの次に大きい都市であるヘルソンである。この地域の中心都市を喪失したままでは、西側のスポンサーや傀儡師にとって都合が悪く、その結果MLR、戦車、対空兵器が次々と投入されることになる。
こういった物語の中で、ウクライナ軍の参謀の目標設定の論理は間違っていない。残るは攻撃がうまく行くかどうかを正しく認識することだけである。
2022年の暑い8月
8月は双方にとって困難になることに留意すべきである。この月は伝統的に雨が多いと考えられている。季節の移り変わりにともなって、人々は冬の準備を始める。8月は特にキエフ政権にとって痛みを伴うだろう。このひと月でどうなるかは、前線の戦略的な状況を決定する。ウクライナに付いている西側のスポンサーは気まぐれである。ロシアが成功を収めると、たとえそれが戦術的な成功であっても、すぐに外国の語り部たちは平和的な交渉と領土割譲の必要性を言い立てる。そしてやがて来る冬のことはこの陣営をさらに神経質にさせるだろう。そのようなわけで、キエフは、巨大な人的損失を含むどのような犠牲を払ってでも成功を達成しようとする。我々は、上記でウクライナ軍の戦略的計画を議論したが、次はキエフの参謀が準備している運用・戦術の微妙な点に触れることにしよう。
いつものように、主な伝道者はアレストヴィッチであり、安っぽいプロパガンダを繰り返している。しかし、今回に限っては彼の言葉を軽視することはできない。彼によると、ウクライナ軍はほとんどNATOの基準に従って戦うことを学んだという。かれはこの用語をどのように理解しているのだろうか? 長距離・高精度の武器で敵の後部を攻撃し、残りを自動車化歩兵と戦車で殲滅するということである。しかし彼は、NATOが技術的な面ではより上の敵に対して自慢の戦術を使用したときのことを思い出すのを忘れている。また、イラク、シリア、アフガニスタンでの精密兵器を使った戦いは、ウクライナと同じではない。 科学的に言えば、完全に無関係な比較である。
アレストヴィッチ(おそらく、参謀本部)の計画によれば、HIMARSの正確な攻撃で地域の軍事指導部の首を取り、パニックを引き起こし、倉庫を爆破し、連合軍を蹴散らし、計画通り、ウクライナの南部をひそかに取り戻すという。
計画のまず第一の間違いは、連合軍の後部に深刻な損害を与えるための長距離攻撃複合体の数が絶対的に不足していることである。これまでのところ、ドニエプル川にかかるアントノフ橋を使えなくし、カホフカ水力発電所への嫌がらせをするだけの力はある。しかし、より大きな効果を生むためには、はるかに多くの武器が必要であり、おまけに攻撃は24時間体制でなければならない。ロシア軍が現在どのように活動しており、前進する軍の前に“火の城壁”を作っているかを知らなくてはならない。ウクライナの戦略家に、パルチザンだけと戦う方法を知っているNATOではなく、ロシア軍の砲手を参考にするように助言することが必要であろう。軍事の均衡がとにかく重要なのである。
参謀本部のナショナリストたちの第二の間違いは、攻撃のありかたそのものである。ウクライナ軍は防衛に優れていることはわかった。バンデラ主義者たちは地雷を敷設し、要塞を構築する能力を示し、後退と転進を巧みに行った。しかし、攻撃には異なるレベルの軍事能力が必要なのである。
まずは大量の機器と人材を秘密裏に集中させる能力である。ヘルソン周囲の様相はこれに全く貢献しない。地形は開いていて、見晴らしがよく、簡単に砲撃できる。戦車、歩兵、その他の装備を蓄積しても、すぐにロシアの砲兵によって破壊される。ロシアの大砲と多連装ロケットシステムの砲火が直接及ばない後方でのみ攻撃ユニットを形成することができる。ナショナリストたちが西側の支援を受けて機械化旅団、それも複数、を構成できたと仮定して、次に何が起こるだろうか。たとえそれが大きな損失をこうむることなくロシア軍の弾幕を通過したとしても、必ず対戦車防衛の最初の層にぶつかる。現代の対戦車砲と擲弾筒をもってすれば戦車の集団を止めることができる。また、戦車は大規模の航空支援と砲撃で援護されることを必要とするが、ナショナリストたちはこれを提供できない。したがってロシア軍の対戦車砲を破壊するものは何もないのである。条件付きで近代的と呼ぶことができる西側の武器は、最前線では滅多に火を吹かない。何故か?ナショナリストたちは、ロシア軍の砲弾の下で死ぬ可能性が高いため、NATOの装甲兵員輸送船やその他のMRAPを戦闘に投入することを敢えてしない。(ロシア軍の)“火の城壁”と言うべきものは、戦場に何も残さない。したがって動員された領土防衛隊は、トラックとソ連時代の車両の“グレーゾーン”(訳注:軍用と民生用の境界という意味か)に押し込まれることになる。
現代のウクライナ軍は完全に防御型の軍隊である。攻撃を行う方法を学ぶためには、ナショナリストたちは少なくともいくつかの成功を収める必要がある。これまでのところ、ハリコフ地域で漠然とした動き(それもすぐに停止した)が観察されただけである。
八月は本当に暑くなるだろう。 ナショナリストたちは、状況を逆転させるため、そして実体が定かでないにせよ“助け”を得るために、あらゆる可能な方法を試みるだろう。秋が始まると、ヨーロッパの問題が始まり、ウクライナ自身は冬のことを思い出すことになり、市民は軍事作戦の疲労がたまるだろう。そして、ウクライナの反攻は、もしそれが本当に起これば、“春の目覚め作戦”として歴史に記憶される第三帝国の最後の攻勢に似たものになるだろう。その後、ナチスは積極的な行動の機会を持たなかった。 歴史は、知られているように、繰り返す傾向がある。
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