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※2022年3月16日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年3月16日 日刊ゲンダイ2面
【それ次第で状況一変】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 16, 2022
世界が固唾を吞む 中ロ連携の成否
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/cxIgPA1i3k
※文字起こし
ロシアのプーチン大統領が仕掛けた無謀なウクライナ侵攻から3週間。電撃戦で親ロ政権にすげ替えるというプーチンのもくろみは大きく外れ、泥沼化する戦爭の出口はいまだ見通せない。ウクライナ市民とゼレンスキー大統領の士気も一向に衰えない。そうした中、ロシア国防省は15日、南部ヘルソン州全域を制圧したと発表。事実であれば、侵攻後、州全域の制圧は初めてだ。2014年に併合したクリミア半島に隣接する海岸部の支配を狙う足場となる上、クリミア実効支配の強化につながる。ロシア軍は東部や首都キエフ周辺のほか、NATO(北大西洋条約機構)と隣り合わせの西部でも攻撃を続行。ズサンな作戦計画や兵站不足が明らかになっているが、プーチンは振り上げた拳をまだまだ下ろすつもりはないのだろう。もっとも、それを担保するのは世界が固唾を呑む中ロ連携の成否であり、事と次第で状況は一変する。
欧米メディアの報道によると、ロシアは侵攻後、中国に軍事的・経済支援を要求。英紙フィナンシャル・タイムズ電子版はさらに踏み込み、米国が欧州やアジアの同盟国に送った外交公電の内容として、中国が軍事支援に応じる意思を伝えたと報じた。ロシアは地対空ミサイルのほか、軍用ドローン、装甲車、情報活動に関する装備、兵站に使用するための車両を求めたという。
中国外務省の副報道局長は15日の記者会見で「米側が虚偽情報をまき散らしている」と猛反発。「米国が中国の正当な利益を損なわないよう強く求める」と語気を強めて中国への制裁拡大を牽制する一方、対ロ制裁反対を強調し、経済協力を継続する姿勢を変えなかった。それはそうだろう。世界に中ロ蜜月を見せつけたのは、ほんの1カ月半前。分が悪いからと電光石火でプーチン切りに転じたら、それこそ習近平国家主席の威信にかかわる。
徹底削除される中国学者の進言
5年ぶりに開かれる今秋の共産党大会で、前例のない3期目入りを目指す習近平は北京五輪の「成功」は絶対だった。欧米などが人権問題を理由に外交的ボイコットをする中、プーチンは開会式に出席。組織的ドーピング問題でロシアは国家として参加できず、選手は「ロシア・オリンピック委員会」の代表として出場するにもかかわらず、最高級の来賓として迎えられた。中ロ首脳会談は2時間半以上に及び、共同声明には「中ロの新型の国際関係は冷戦期の軍事・政治同盟を超えている」と明記し、プーチンの主張に沿って「NATOのさらなる拡大に反対する」ともハッキリ書き込み、対米結束を見せつけていたのだ。外交トップの楊潔篪共産党政治局委員とサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)との会談は7時間に及んだものの、平行線のままだったわけである。
中国国内のSNSで拡散した「プーチンと早急に手を切る必要がある」と迫る政治学者の進言が次々に削除されているのも、指導部の変わらぬ親ロ姿勢を浮き彫りにしている。
「ロシア・ウクライナ戦争のあり得る結果と中国の選択」と題した問題の提言をまとめたのは、上海の共産党幹部養成機関に所属する胡偉氏。侵攻から2週間あまり過ぎた今月11日に国外の論壇サイトで中国語で発表された。氏はプーチンが思い描いた短期決戦での勝利は失敗し、ロシアの軍事力ではNATOに太刀打ちできず、ひどい敗北をもたらすなどと分析。戦略を見直すようこう訴えている。
〈プーチンにとって中国の支持こそが勝敗のカギだが、現時点で見通しは暗く、中国もロシアを支える力を持っていない。国際政治の基本ルールは「永遠の友もなく、永遠の敵もなく、あるのは永遠の利益だけ」だ〉
〈中国が責任ある大国として積極的な役割を果たすためには、明確な行動でプーチンの冒険を阻止しなければならない。中国は世界で唯一その能力を持つ国であり、独自の優位性を発揮しなければならない〉
19世紀の英国首相パーマストンの格言「英国は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。英国が持つのは永遠の国益である」を引き、現実主義外交の遂行を求めたものだが、指導部が追求するリアリズムは次第に輪郭をあらわすのかもしれない。
外貨準備の半分凍結でデフォルト強行か |
国際世論と経済制裁で追い詰められながら、軍事的には圧倒的優位に立ち、ウクライナ包囲を続けるロシアだが、問題は制裁の長期化のダメージと停戦合意した後のパワーゲームの攻防だ。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「言論統制が強化されている中国で『胡偉提言』が削除されている状況を見れば、答え合わせはできてしまっている。ロシア寄りの姿勢を変える意思はないということです。指摘の通り、国際情勢を展望すれば対米関係はさらに悪化し、西側との溝は深まる一方でしょう。もっとも、台湾統一を『歴史的任務』とする習近平指導部は台湾侵攻を視野に入れている。どこで損切りするかがポイントなのです。ロシアから離反しないことによって欧米の出方を見極め、有事の先取りができる。資源大国であり、穀物大国であるロシアを押さえておけば、国民を窮乏させることはない。欧州は突如として日常を奪われたウクライナ国民に物心両面で寄り添い、市民レベルでも難民受け入れに熱心ですが、次の冬までこの状況が続けばどうなるかわからない。原油や天然ガスの高騰で電気・ガス代が跳ね上がったままでは、世論の不満は噴出するでしょう。中国はそうした事態も見越しているはずです」
かつてなく強い対ロ制裁の効果により、ルーブルは大暴落している。シルアノフ財務相は中央銀行が保有する外貨準備と金について「6400億ドル分のうち、約3000億ドル分が使えなくなっている」と発言。2021年の貿易黒字額の1.5年分に相当し、懸念されていたデフォルト(債務不履行)が現実味を帯びてきた。ドル建てのロシア国債は16日、1億ドル超の利息の支払日を迎えた。シルアノフは外貨準備凍結が解除されるまでルーブルで支払うと主張しているが、返済条件の一方的な変更はルール違反。格付け会社はデフォルトとみなす可能性が高い。30日の猶予期間を経て来月15日までに支払わなければ、どのみちデフォルトだ。今月31日に3億ドル超、来月4日に20億ドル超の元本償還も迫っている。
情報機関も「6月崩壊」を内部告発
プーチンの古巣KGB(国家保安委員会)の後身組織FSB(連邦保安局)のアナリストの内部告発によると、情報機関のFSBは侵攻失敗の責任を問われているが、何の注意喚起もなかったため制裁対処の準備を整えなかったという。「一番大事なことは、戦争が起こるなんて誰も知らなかったということ」「ロシア経済が崩壊する6月が区切り」などとブチまけていた。ロシア経済はすでに仮死状態同然なのだ。
「経済制裁は発動よりも解除がはるかに難しく、現状では出口は到底見えない。ロシアを追い込み過ぎることによって、世界経済は空恐ろしいほどの影響を受ける可能性がある。ロシアがデフォルトを強行すれば、世界中の株価が大暴落し、マーケットは混迷を極めるでしょう。天然ガスの追加供給でも合意した中国がドル決済する、ロシア国債を買い上げる、あるいは外貨準備を貸し付ける、といった手だてで側面支援しなければ、ロシアはこの危機的局面を乗り切れないのではないか。中国がキャスチングボートを握っているのは間違いありません」(経済アナリストの菊池英博氏)
中国の出方次第でプーチンは言うまでもなく、欧米、日本の命運が激変してしまうのか。だとすれば、これほど愚かしいパワーゲームはない。
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