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プーチン大統領“暴発のカウントダウン”が始まった ロシア軍の首都キエフ総攻撃まで96時間
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302410
2022/03/11 日刊ゲンダイ
【緊急現地リポート】 |
予想外の膠着状態に苛立つロシアのプーチン大統領(C)ロイター/Sputnik/Kremlin
ロシアがウクライナに軍事侵攻してから2週間ーー。戦況はドロ沼化の一途をたどっている。これまで両国代表は3度、“停戦交渉”を実施したが、事態打開の合意には至っていない。10日行われた外相会談も予想通り、不発に終わった。心配なのは、膠着状態に焦るプーチン大統領が“暴発”する恐れがあることだ。
「南ウクライナ原発」も標的に |
ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相は10日、トルコ南部のアンタルヤで会談。両外相による対面での会談は、ロシアによるウクライナ侵攻後初めて。両国との関係が深いトルコが仲介役を務めた。
交渉継続では一致したものの、肝心の停戦を巡っては進展なし。過去3回の停戦交渉と同じく不発に終わった。
ロシア軍は侵攻の手をまったく緩めていない。ウクライナ国内で稼働する原発4カ所のうち2番目の規模を誇る「南ウクライナ原発」の占拠も狙っているという。すでに制圧した北部のチェルノブイリ原発、欧州最大級のザポロジエ原発に続き、「第3の標的」としているようだ。
ウクライナの首都キエフ中心部にもロシア軍は迫っている。9日にはキエフを北西、西、東の3方向から包囲、北東でも進軍が確認された。キエフ中心部で取材を続けるジャーナリストの田中龍作氏がこう言う。
「ロシア軍による爆撃が続く郊外に比べ中心部は静かですが、市民と兵士が協力してバリケードを築くなど、日に日に警戒感が増しています。戦車の侵入を少しでも食い止めるためでしょう。テレビ塔が爆撃された現場まで地元のテレビクルーに連れて行ってもらうと、通りを挟んでテレビ塔の向かいにあるスポーツジムが壊滅的な打撃を受けていました。ロシア軍による攻撃は、ますます見境がなくなってきている印象です」
「人道回廊」の設置は“最後通牒” |
ロシアの砲撃を受け、キエフ市内のスポーツクラブ建物も丸焦げに(田中龍作ジャーナルから)
市民を退避させる「人道回廊」の設置に伴いキエフを含め6都市で「一時停戦」となったはずが、戦闘がやまず避難は難航。「人道回廊」の設置自体、ロシア側が総攻撃に入る前の「最後通牒」との見方も根強い。一定の時間が経った後、「市民はすでに退避したはずだ」「残っているのは兵士だけだろう」という理屈で無差別攻撃を浴びせる恐れがある。
実際、ロシア軍による総攻撃のタイムリミットは迫りつつある。
米戦争研究所が8日公表した戦況分析は、ロシア軍によるキエフ中心部への攻撃を〈24〜96時間以内〉と予測。
イギリスの国際政治学者で英ロンドン大キングス・カレッジのローレンス・フリードマン名誉教授は6日に公表した論考で、ロシア軍について〈戦力を再投入しなければ、もってせいぜい3週間〉と分析した。つまり戦闘が長引くほど、ロシア側には不利なのだ。
となると、ウクライナの抵抗に苛立つプーチン大統領が、近いうちに総攻撃を仕掛ける可能性は否定できない。それを察してか、ウクライナ側も「NATO加盟」を棚上げし、ロシアの求める「中立化」に歩み寄りを見せている。国際ジャーナリスト・春名幹男氏がこう言う。
「ウクライナ側は西側諸国の支援を受け、抵抗する力をつけているので、一定の譲歩を見せつつも、ロシアの要求に対して簡単には妥協しないでしょう。一方、長期戦に苛立つプーチン大統領は戦術核兵器の使用を含め、何をしでかすか分かりません。より徹底的な打撃をウクライナ側に与えれば、戦況悪化は必至です。現状打破のためにウクライナへの攻撃をエスカレートさせないか心配です」
ついに始まってしまったプーチン大統領暴発のカウントダウン。止めることはできるのだろうか。
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