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ロシア軍の離反がプーチン大統領暴走のブレーキに “重鎮”退役大将が異例の辞任要求
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301923
2022/03/01 日刊ゲンダイ
プーチン大統領の軍事侵攻に対抗するため、総がかりで火炎瓶をつくる住民たち(ウクライナ西部・ウジホロド市)/(C)ロイター
プーチン大統領の暴走を止めるのはロシア軍か──。ロシアがウクライナへの軍事侵攻に踏み切ってから6日。ウクライナ軍をはるかにしのぐ軍事力を持ちながら、ロシア軍は大苦戦している。国の独立を守ろうとするウクライナ兵と異なり、ロシア兵は「戦争の大義」に首をかしげ、士気も下がっているという。プーチン統領への不満は募る一方だ。
◇ ◇ ◇
もともとウクライナ侵攻は、軍関係者からも疑問の声が上がっていた。退役将校でつくる「全ロシア将校の会」の会長を務めるレオニード・イワショフ退役大将(78)の「公開書簡」(1月31日に会のHPに投稿)は衝撃だ。
イワショフ退役大将はNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大にも断固反対しているタカ派だ。プーチン政権も支持してきた。しかし、ウクライナ侵攻には強く反対している。
「公開書簡」によると、NATOの脅威は差し迫っておらず、ウクライナへの軍事侵攻は「権力と国民から盗んだ富を守る手段だ」とバッサリ。「プーチン辞任」まで求めている。軍OBの“重鎮”が辞任要求するのは異例のことだ。
低い士気「何のための戦いなのか」 |
SWIFTからロシアの銀行を排除(プーチン大統領=右)/(C)ロイター
軍事ジャーナリストの前田哲男氏はこう言う。「最前線のロシア兵も、イワショフ氏と同じ思いではないか。アフガン戦争中の1983年に捕虜となったソ連兵にインタビューした時、兵士が『何のために戦っているのか、分からなかった』と語ったのを思い出しました。ウクライナに送り込まれた兵士も侵攻の必要性に疑問を抱いているように見えます。しかも、銃を向ける相手は“兄弟国”です。兵士は、訓練と聞かされて派兵されたとも報じられている。ロシア軍の士気が上がらないのは当然です。キエフ陥落が難航しているのもロシア兵の低い士気が影響しているのでしょう」
さらに、ロシア兵のやる気の低下を加速させそうなのが、国際決済システムのSWIFTからのロシア排除だ。
SWIFTが利用できないと、ロシアは外貨取引が封じられ、ロシア通貨「ルーブル」が暴落する。28日の外国為替市場でルーブルは過去最安値の1ドル=119ルーブルをつけた。ルーブル急落と物価高騰が進めば、兵士の給料も目減りする。ますます士気は萎えるだろう。
「プーチン大統領がこのまま戦争を続け、ロシア兵の犠牲者が増えれば、兵士の不満は大義なき戦争を強いたプーチン氏に向かうでしょう。戦争反対の訴えは、退役大将の“公開書簡”もそうですが、ロシア国内でデモまで起きています。旧ソ連以来、見られなかった現象です。戦争が長期化する前に、ロシア国内の声によってプーチン氏の暴走が止まるのを期待したい」(前田哲男氏)
ソ連の秘密警察「KGB」出身のプーチン統領は、国内警察は牛耳っているが軍は門外漢。完全に掌握していない可能性がある。ロシア軍の離反が戦争にブレーキをかけるのか。
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