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2021年10月26日 12時30分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/138964
2001年9月の米中枢同時テロに関わったとして、キューバのグアンタナモ収容所に14年にわたり拘束されたモーリタニア人モハメドゥ・ウルド・スラヒさん(50)の手記に基づく映画が、29日から全国で上映される。上映に先立ち、スラヒさんは本紙のオンライン取材に応じ、「米軍は想像を絶する拷問を行った。収容所の実情を知り、日本からも米国に閉鎖を呼び掛けてほしい」と訴えた。 (望月衣塑子)
◆アルカイダとのつながりを疑われ…
映画は「モーリタニアン 黒塗りの記録」。スラヒさんが受けた拷問や釈放を勝ち取るまでの経緯を描く。米国で今年公開されて大きな話題を呼んだ。
スラヒさんは米中枢同時テロから2カ月後の01年11月、母国のアフリカ北西部モーリタニアで拘束された。通話記録などから国際テロ組織「アルカイダ」とのつながりを疑われ、02年、グアンタナモ米軍基地にあるテロ容疑者収容所に送られた。
スラヒさんは「手錠をかけて宙づりにされたり、冷たい部屋で20時間以上も同じ姿勢を強要されたり、非人道的な尋問を繰り返された。女性兵士による強制的な性交などの性的虐待も受けた」と振り返る。耐えきれず、米政府が用意した自白調書に署名した。
◆裁判所の釈放命令後も拘束続き…母を亡くす
自身は子どもの頃から米国のドラマに親しみ、米国の民主主義、司法を信じていた。「米政府がこんな捜査を容認していたとは信じられなかった」と語る。
初めは弁護士をつけることも認められなかった。スラヒさん家族の依頼で05年、映画でジョディ・フォスターさんが演じるナンシー・ホランダー弁護士が弁護を引き受け、徐々に状況は変わっていった。
ホランダーさんは、尋問の状況を記録するようにスラヒさんに指示。拷問や自白の捏造ねつぞうを明らかにするため、公文書開示請求を重ねた。米政府は09年、違法な尋問をスラヒさんら2人が受けていたことを含む機密文書約13万ページを公開した。
「違法監禁と拷問を許している」と米国の地方裁判所にも提訴。裁判所は10年、「アルカイダの一部との政府の主張は根拠がなく、スラヒさんの拘束は不当」と釈放を命令した。だが検察側は控訴。16年に釈放されるまで、拘束はさらに6年間続いた。スラヒさんは13年には、無実を信じ、帰りを待っていた母を亡くした。
スラヒさんによれば、取り調べ中、母親を脅しの材料に使われたこともあるという。「実行されなかったが『警察が母親を署に連行し、男性だけの獄舎に入れるぞ』と供述を迫ってきたこともあった」と憤る。
◆「収容所閉鎖を」日本政府に働き掛け求める
グアンタナモには779人が収容されたが、うち有罪は8人だけ。しかもそのうち3人が上級審で判断が覆っている。だがCIAや国防総省は現在も、スラヒさんら元収容者に謝罪を一切、していない。
今年2月、バイデン米大統領は任期内でのグアンタナモの閉鎖を明らかにしたが、現在もまだ39人が拘束されている状況だ。
非人道的な扱いを受けながらも、スラヒさんは「米政府への怒りや恨みは(自分の心から)なくしたい」と話す。憎しみに支配されず「自分が真に自由になるため」だという。
スラヒさんは釈放後、米国人の女性弁護士と結婚、長男(2つ)が生まれた。ただ3人が希望する移住先から許可が下りず、妻子と別にモーリタニアに1人で住む。
日本政府に対しては「グアンタナモ収容所の問題を知ってもらい、1日も早く閉鎖するよう米国に働き掛けてほしい」と望んだ。
◇
映画は10月29日から、TOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)などで上映される。
【関連リンク】映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」公式サイト
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