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特集/創・公連絡会議に見る「平和の党」の欺瞞性
日米安全保障戦略会議で“軍拡”容認する公明議員
宗教と社会の関係を考える週刊誌 FORUM21
本誌編集部
「平和の党」とパフォーマンス
創価学会と公明党の連絡協議会が10月5日、公明党本部で行われた。もともとこの連絡協議会は、社会一般の政教一致批判をかわし、創価学会・公明党の関係をあたかも政党と労働組合の関係と同質のものであるかのように見せるために設けられたもの。それゆえに一般マスコミにも公開している。マスコミに公開する以上、連絡協議会は創価学会・公明党のメッセージを社会一般にアピールする重要な場となる。それだけに、創価学会・公明党は連絡会議の席上、さまざまなパフォーマンスを行っている。
10月5日に行われた連絡協議会での最大のパフォーマンスは、創価学会・公明党が「平和勢力」だとアピールすることに置かれていた。その点について10月6日付「公明新聞」は次のように報じている。
「意見交換の中で、学会側がイラク南部サマワで復興支援活動を行う自衛隊の派遣延長問題で党の見解を求めたのに対し、冬柴幹事長は『派遣の期限が切れる12月14日の直前まで現地の様子を見て判断したい。仮に来年5月ごろ英国と豪州軍が撤収するとすれば、自衛隊が単独で現地活動するのは難しくなる』との認識を示し、『延長するなら、いつどのように撤収するのか政府とも詰めていきたい』と述べた」
「また、平和の党としての憲法改正に対する党の姿勢についての質問には、太田幹事長代行が『9条に関しては現行の1項、2項ともに堅持する。その上で『加憲』の論議の対象として自衛隊の存在の明記などを慎重に検討していく』と報告した」
ここで冬柴幹事長は、撤退を検討しているイギリス軍とオーストラリア軍が撤収すれば、自衛隊の活動は難しくなるとの認識を、政府与党首脳として初めて示したとして注目されたが、そもそも自衛隊のイラク派遣実現に大きな役割を果たしたのは公明党である。いまやアメリカ国内でも、イラクに対する軍事行動は誤りだったとの声が澎湃として沸き起こっているが、その米軍のイラク攻撃をいち早く支持した小泉首相を支え、イラクに自衛隊を派遣することを是認し、駐留を延長することに寄与したのは公明党であり、神崎代表、冬柴幹事長のイラク訪問が派遣決定に大きな意味をもった。
もとより公明党が自衛隊イラク派遣を容認したのは、「軍事力を否定するということは、一個の人間の『心情倫理』としてならまだしも、政治の場でのオプションとしては、必ずしも現実的とはいえない」「武力を伴った緊急対応も必要とされるかもしれない。そうした毅然たる姿勢がテロへの抑止効果をもたらすという側面を全く否定するものではない」と、紛争解決のための軍事行動を容認した平成15年1月の「SGIの日記念提言」における池田大作氏の発言があったからに他ならない。
多くの国民は、こうした事実を明確に記憶している。それだけに創価学会そして公明党は、イラク戦争に否定的な世論の高まりを受けて、自らを「平和勢力」だとアピールする必要性にかられているのだろう。
しかしそうした公明党の本音がどこにあるのか。本誌は今年の5月5日にアメリカのワシントンD・Cで行われたヘリテージ財団主催の第5回日米安全保障戦略会議での公明党の赤松正雄代議士の発言記録を入手した。この戦略会議では、アメリカ側からコーエン前国防長官率いるコーエングループの重役で元国防次官のジェームズ・ボドナー氏、日本側からは自民党の久間章生総務会長や額賀福志郎元防衛庁長官、民主党の新代表に就任する前原誠司代議士らが出席し、日米防衛体制の強化の必要性を確認した。
このうち久間総務会長は、日本の武器輸出管理政策の見直しを進めた結果、「日本で作った部品などを米国に輸出し共同生産することも可能」となったなどとアピール。また前原氏も自衛隊のイラク派遣の根拠となっている「イラク特措法」を特別措置法ではなく、恒久法化することや、「集団安全保障基本法」を制定し他国の部隊も守れるような中身にしたいなどと発言した。
その日米安全保障戦略会議での赤松氏の発言を以下に紹介する。政権与党内で大きな影響力を持つ公明党の「防衛」「軍事」に関する本音と役割が、ここでは赤裸々に語られており、大変注目すべき内容となっている。
赤松発言が示す公明党の“素顔”
皆さんおはようございます。ご紹介いただきました公明党の赤松正雄でございます。私がこのヘリテージ財団にお招きをいただき、来させていただいたのは、11回にわたるこの交流の中での8回目、2002年の時から2回目でございます。今まで公明党は私が参加した年から毎年一人ずつ参加させていただきました。この8回目というのが、私の記憶では、それまでの自由民主党の皆さんだけではなくて、当時の野党も含めての初めての参加、複数の政党の参加だったと記憶しております。
今回は私の仲間の佐藤茂樹衆議院議員、若くて優秀な公明党のエアボーンレーザーではないかと、こういうふうに私が勝手に思っております佐藤議員と一緒にやってまいりました。
ご承知のように公明党は現在、与党でございます。与党内野党、与党内野党、私は野党かなと、与党の中の野党、野党の中のさらに野党、まあこのような位置付けをいたしております。今、額賀先生が日本の安全保障にまつわる包括的なお話をきちっと約20分にわたってなさいました。久間先生が約13分間にわたってユニークな独自の提案をなさいました。前原誠司明日の内閣の防衛庁長官が極めて、なんといいましょうか、きちっとした、私は聞いていて自分の方が野党なのかと思うような、本当に健全な政権準備党としての安全保障政策を見事にまとめてお話をされました。約20分です。33分、20分、そうすると私の政党の数からいけば身の丈5分くらいかな、という感じがしますが、もう少し長くなるかもしれませんので、お休み中の方は引き続きで結構でございます。お聞きいただきたいと思います。
さて、今日のテーマ、いただいたテーマは日米安保新体制と日本の役割、先ほど前原さんもそのように言われました。私の場合このタイトルを聞いた瞬間に、現在の日米安保体制における日本が果たしている役割に対して、日米双方にいささかの不満というものが、そういったことが背景にあるのではないかと、瞬時、私には読みとれました。
先ほど前原さんの方からもありましたように、従来アメリカは矛というか、槍というか、そういうふうな役割分担であったと、手っ取り早く言えば日本は防衛において専守防衛の名の下に、言ってみればアメリカ任せ、ただ乗りとまでは言わないまでも、もう少し汗をかいたらどうだ、かくべきではないか、日米共同で対処できることがもっとあるべきではないのかというような、そういう思いが、言ってみればこのタイトルの背景にあるのではないか、そのように私には思われます。
これに対しまして、日本は基地の提供という大きな代償を払ってきているではないか、という思いが長く日本人の中には存在しました。そして今も存在していると思います。そのような中で、この約5年半、6年近く公明党は政権与党に参画をして、今まで長い間野党の立場にあったわけですけれども、今から過去に遡る5年有余の流れの中で、先ほど額賀先生からありましたさまざまな法律、安全保障に関する法律の決定・成立に公明党は積極的な役割を果たしてまいりました。敢えてどういう役割かというこちらの認識を知っていただくためにそれぞれについて申し上げますと、対米便宜供与の拡大、便宜供与の拡大としての周辺事態安全確保法、そしてアメリカの同盟国としての日本の今の憲法の下での精一杯の努力としてのアフガン特措法、そしてイラク特措法、さらに日本の防衛についての自助努力としての有事法制、こういうかつてならなかなかそう簡単には成立しえなかったとみられる各種法律の成立に公明党が積極的な役割を果たしてきたというのは、もう40年も前から公明党に携わっている私としては、非常に感慨深いものがあるわけでございます。そういう状況をふまえて、つまり両者には日米両国においては今の自画像、自分というものを描く自画像をめぐって双方の認識ギャップがあると私には思われます。
先程来、公明党が与党に入って5年半、そのような言い方をしました。これはあたかも日本における憲法論議の5年間、衆参両院に憲法調査会が置かれての、憲法論議の5年間と文字通り重なり合います。この憲法調査会の議論の集約的な、憲法の九条に関する議論をまとめて言えば、何らかの措置を加えるということがあっていいのだろうね、というようなところで、何となくの合意といいますか、まあできたということもあって、それ以上でもそれ以下でもない。このような状況であります。さらに公明党にとりましては、憲法九条は変え難いもの、変えてはならないものとして今なお認識をしているというのが大勢であります。言葉を換えれば不戦の誓いという意味合いは圧倒的に強いというのが公明党を支持する多くの人たちの認識であります。その上で、自衛権をめぐる問題にのみついて申し上げますと、自らが自らを守るということは自明の理だろうという考えは定着をしてきたのではないか、一方、自ら、つまり日本を守ってくれる同盟国としてのアメリカも、例えばアメリカの青年の命を守らない、見捨てるということは許されがたいと言う考え方も次第に芽生えてきているということが言えるのではないかと思います。つまり、極東アジアの安定についてはアメリカまかせではなくて、日本も応分の負担をする、こういった合意というものは私の心証の中にもできつつある、そんな風に思います。
例えばその実例として先ほど久間先生からのお話にもありましたミサイル防衛、ミサイル防衛に限定して日米間の武器技術のこの問題は輸出を禁止するということの例外にするということに公明党は賛成をいたしました。これはもう大変な決断でありました。このように思います。このことが先ほど申し上げました日本の応分の負担ということの一端の例証ではないかと思います。
次に、イラク戦争をめぐりましてはアメリカの介入を、戦争開始というものをいち早く支持した小泉首相の判断をやむを得ないものとして公明党は容認いたしました。国益重視の観点からの苦渋の決断であったと思います。水、医療、教育施設、そういったものの復旧という人道復興支援に限定しての自衛隊派遣に賛成をした公明党の選択は、歴史的な勇気ある選択であったと自負しております。これからも軍事的分野ではない非軍事的分野に限定して、すなわち自衛隊の平和的な活用、自衛隊の平和的な活用だけではなくて、NGOといった民間のパワーやODAとの組み合わせによる非軍事、経済、文化といった複合的な日本独自の貢献をしていくべきだと考えております。つまり、行動する平和主義、行動する平和主義といった考え方に基づいた行動が日本の進むべき道であり、果たすべき役割である、こんな風に考える次第でございます。
際だってあまりまとまらない、また抽象的なお話になりましたけれども、公明党のものの考え方の一端を申し上げさせていただきました。ありがとうございます。
「行動する平和主義」を標榜して、実質、軍拡の動きを容認する公明党。その前提に「絶対的な平和主義者」を気取る池田氏の軍事力容認の姿勢があることは前記の通り。とんだ「平和勢力」と言わざるを得ない。
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